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しおりを挟む手の空いている獣人さん達に声をかけて、お姉ちゃんや旭も一緒にフライドポテトを摘んでいると、蜘蛛糸を狩りに行っていたヴィス君が帰ってきた。
「ルイー!今日ははぐれ肉食恐竜の卵が手に入ったぞー!」
「卵?!」
まさかのタイミング。蜘蛛の巣が壊されていて、その近くに偶然卵を見つけたんだって。恐竜は近くにいなかったけど、肉食恐竜の匂いがしたから近くにいるらしい。発酵種を多めに撒いてきたって言ってた。
「わぁ。すごい、五個もある」
「ルイが卵が欲しいって言ってたから持てるだけ持ってきた」
「ヴィス君ありがとう!」
「惚れ直した?」
「もう惚れてるよ」
チューっとお礼にキスをすると、ニヤニヤしてたヴィス君の顔が、モニモニと口をむず痒そうに変化した。くふふ、可愛い。してやったり。
ヴィス君からお返しとばかりに口にキスされた。うう、してやられた。
「この卵は多分産まれてから一週間は経ってるから日持ちしないぞ。今日か明日で食べれるように作ってくれ」
「じゃあみんなで食べたらいいね」
「おおっ、ルイ君が作るのかい?今日の夜ご飯は楽しみだねぇ」
ネズさんを筆頭にみんながワイワイ僕の料理を期待してくれる。僕は夜は卵パーティーだなと久しぶりの卵料理に胸が高鳴った。
***
フライドポテトだけではケチャップは使いきれなかったので、まだ大量に余るケチャップ。ケチャップと卵が揃ったら、作るのは一択だよね。それは……オムライス!
旭の大好物だからずっと作ってあげたかったんだけど、ないものはどうしようもできなかったからね。美味しいオムライスを作ってあげよう。
「まずはトリケラトプスの干し肉を少量の水で出汁とろうかな」
ここには塩辛いお肉しかないので鶏肉の旨味と塩味を作ることにする。干し肉そのままは塩辛くて食べれないからね。
ヴィス君も今日のお仕事が終わったから一緒に料理を手伝ってくれる。今日はバターを使いたいので、ヴィス君にミルクの実の栓の抜く前の状態で二十分ぐらい振ってもらう。これでバターができるんだ。日本では無調整牛乳でできるよ!
この世界のバターはクリーミーで美味しいんだ。
バターを作っている、出会った頃よりも一回り逞しくなったヴィス君の身体を見ながら惚れ惚れする。
ヴィス君はこの二ヶ月、僕のご飯もモリモリ食べてくれた。毛に艶が出てきて、身体もひと回り大きくなった。男らしさが増し増しになって、僕は密かに惚れ直し中。
ミルクの実を軽々振ってる姿もカッコいいので、ありがとうの意味も込めて口にチュッとすると、そのまま深く貪られてしまった。ううっ、ほどほどにしないと止まらなくなるよー!
みんなが待ってるので、唇がふにゃふにゃになる前にキスを切り上げて、料理再開。
水に晒した玉ねぎをみじん切りにして、油虫の油で炒める。
玉ねぎが透明になったら、干し肉で作ったなんちゃって鶏がらスープとケチャップを入れて水分がなくなるまで混ぜ混ぜ。砂糖草と胡椒草で味を整えて、バターとご飯を入れてご飯をコーティング。んーバターの匂いって何でこんなに食欲をそそるんだろう。ヴィス君も鼻をクンクンさせている。可愛い。
そして今回の主役恐竜の卵!
手の平台だから一つで鶏卵五個分ぐらいある。熊獣人さんは身体が大きくて食べる量も多いからニ個は使う。狐、ネズミ、リス獣人さんは全員で二個分で足りそうだ。
手早く薄たまご焼きを作って、身体の獣人さんには、包丁で小さく切って、盛ったケチャップライスの上にのせる。そしてケチャップをかければオムライスは完成!
残りの卵はトマトで取ったダシで作った、だし巻き玉子と、ジャガイモや玉ねぎを入れたスペイン風オムレツ、そしてキャベツと人参の胡麻マヨサラダを作った。
野菜もたっぷり取ってもらいたいからね。
マヨネーズずっと作りたかったから作れて嬉しい。卵はこれでなくなったから、またマヨネーズに出会うのは先になるだろう。一口だけ味確認で味見しちゃえ。
「美味しい~。ヴィス君も舐めてみて。マヨネーズって言うんだよ」
スプーンで差し出したけれど、作ったときに手の甲にマヨネーズがついていたらしく、ヴィス君はそれを見つけて、スプーンではなく僕の甲をペロリと舐めた。
「ヴィス君っ」
「どっちも美味い」
「もう……」
ヴィス君の行動可愛いんだけど。
少し赤くなった顔を手で風を作って冷ます。そしてみんなにお腹いっぱいになってもらうために、鮭おにぎりと塩おにぎりと高菜おにぎりの三種類も用意した。
ヴィス君にも手伝ってもらって卵パーティーの準備をする。そしてみんなを呼んだ。
「皆さんお待たせしました。今日は卵づくしです!」
わぁっとみんなが湧く。パチパチと拍手されながら、みんなの前にオムライスを置いていく。
みんなでいただきますと手を合わせて、オムライスを口にすると、みんなの目が輝いた。
「「「うまい!」」」
ガツガツとかき込むようにオムライスが減っていく。旭も久しぶりのオムライスに目を輝かせた。
「瑠偉すごく美味しい!オムライスすごく美味しい!」
「旭足りなかったら僕の分も食べていいから、いっぱい食べてね」
「うん!」
旭の皿もすこい勢いで綺麗になっていく。ヴィス君に視線を向けるとヴィス君はすでに綺麗に食べていた。トマトだし巻き玉子とオムレツ、おにぎりをお皿いっぱいに載せている。大きく口を開けた姿が愛おしくなってふふっと笑うと、パチリと目が合った。
「ヴィス君美味しい?」
「めちゃくちゃ美味い」
ヴィス君はこっちにきて一緒に食えよと隣の椅子をポンポンと叩いた。僕はトトッと小走りで席に着く。
熊さんの大きな口で僕の作ったご飯が消えていくのが嬉しい。
「ほら、美味いぞ。あーん」
「あ、あーん」
ヴィス君は胡麻サラダを僕に差し出した。
ちょっと恥ずかしかったけど、僕はぱかりと口を開ける。僕が作ったから味は知ってるけど、なんだか味見のときよりも美味しい気がする。愛情の味?なんちゃって。
みんなお腹いっぱい食べてね食べて、寝る時間になるまで沢山話した。
これから寒くなってきたら秋刀魚がおいしいとか、トゲトゲのイガの中においしい実がなってるとか。栗かな。日本の気候に近いから、食欲の秋の時期なんだろう。
サツマイモとかキノコとか沢山おいしいのが見つかったらいいな。
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