姉に巻き込まれて異世界転移〜ワガママ舌を満足させます〜

ぺんたまごん

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「よし、仕込みできた」

 僕はお姉ちゃん、旭待望の味噌作り真っ最中です。

 味噌の中でも米味噌作りに必要な材料は、大豆、米麹、塩だ。
 そして麹は種麹とよばれる麹の種が必要となる。

 稲穂に良い麹が着くと、黒い菌の塊になって現れてくれる稲麹いなこうじが出来るが、なんと米の木にも同じ稲麹があったんだ!

 これを種に麹が出来る、麹が出来たら味噌や醤油が作れると僕は小躍りしたよ。ヴィス君は米の病気を喜ぶなんてどうかしてると怪訝そうな顔してたけどね。

 麹作りには玄米を水につけて、蒸して、冷ましながら木炭と混ぜて稲麹を入れる工程になる。木炭の作用によって他の菌は働かなくなり、麹菌だけが働くようになるんだ。

 昔これを発見した人は本当すごい。偉大です、ありがとうございます。

 万が一発酵に失敗しても解毒草を食べれば大丈夫だと思って、お米が発酵で甘くなっていくのを確認しながら試行錯誤した。
 何度も解毒草にお世話になりながら、この前ようやく緑色の胞子が出てくれたんだ。緑色の胞子は成功の証。やった!

 そして玄米を地道に小瓶に入れて、戦時中の様子でよくイラストがあるように、木の棒でトントン突いて白米にする。
 その白米を硬めに蒸して、人肌ぐらいになったら種麹を撒いて、すり込むように混ぜ合わせていく。
 あとは人肌ぐらいを保温しなくちゃいけないので、蜘蛛布でめちゃくちゃ覆って、キッチンが一番火を使って温かい場所だから、火から離した場所で温かさを保つように保温。
 時々米をバラバラと混ぜて二日経つと、板状の麹菌が出来ていた。手で簡単に解れて、成功したとわかったときは思わず泣いちゃった。
 今でもあの感動を思い出すとニヤニヤしてしまう。

「味噌、味噌味噌~♪」
「みっそ、みそみそ~っ♪」
「しょしょしょ醤油~」
「しょ、しょ、ちょ、ちょうゆ~」

 味噌と醤油を自作の歌で連呼しているのはお姉ちゃんと旭。旭噛んでるよ。ふふっ。

 恋しい味を連呼するのはわかる。でも期待させて悪いけど、これから味噌とか出来るのはまだまだ先なんだよー。

 大豆を水に一日ぐらい浸けてふやかした豆をネチッと指で潰れるぐらいまで四~五時間とにかく煮て、あとはゴリゴリ粒が残らないまですり潰す。

 僕が習った味噌作りではビニール袋に入れて足で潰してたんだけど、この世界はビニール袋なんていいものはないので地道にすり鉢でスリスリやっていく。スリスリ。

 そして麹と塩を混ぜ合わせ、次にすり潰した大豆、そして大豆の煮汁を入れて十分に混ぜ合わせる。
 あとは丸めて釜に隙間がないように味噌を詰めていく。空気が入ったらカビが生えるからね。あとは塩草を表面に敷き詰めて、木蓋をして石をのせて熟成させる。
 寒い時期は熟成が進みにくいので多分三ヶ月はかかる。んー、先は長い。

「味噌出来た?!」

 旭がキラキラとした目で聞いてくる。

「味噌の仕込みができたんだよ。味噌が出来るのはまだまだ先」
「えー!味噌汁飲めると思ったのに!」
「味噌って作るのに時間かかるんだよ。味噌がうまくいくように願っててくれる?」
「……はーい」
「よし、じゃあ醤油も仕込むから応援しててね」
「おっけー!」

 味噌を作るときに大豆を醤油の分も多めに煮たので、その大豆と小麦の木に生えた小麦を炒って、人肌になったら種麹をかける。

 あとは麹になれるように適時温度を保ちながら、定期的にほぐして空気を入れていく。麹が出来たら塩水と混ぜて発酵、熟成していくんだけどこれは日本では一、二年かかるって言われている。……成功するかな。してほしいな。
 でも失敗したときのために、また麹作り上手になったら別に仕込んでおこう。

「はい、仕込みおしまい!」
「うまく味噌とか醤油できますように!」
「出来ますように!」

 みんなでパンパンってお願いして、夜ご飯の仕込み時間まで遊ぶことにする。

 最近は寒くなってきて衣替えをして長袖長ズボンだ。もう少ししたらジャンバーがいるよね。
 ヴィス君も僕らのジャンバー用に蜘蛛糸を多めに見つけるために今日も森へ散策中。
 僕も食材探しに行きたいんだけど、なんだか森の様子が最近変なんだって。危ないから発酵種を撒いている外側には絶対行くなとキツく言われている。

 そう言われてるせいか、ヴィス君が森に行く時はいつも胸がモヤモヤするんだ。
 そのモヤモヤをヴィス君はちゃんと受け止めてくれてて、夜は僕を抱きしめながら寝てくれる。キスも沢山してくれて、それでモヤモヤを払拭してるんだ。ヴィス君好き。

 でもやっぱりヴィス君は発情期がまだまだ先で、僕はなんだか物足りない気分。

 ムズムズモヤモヤした時は、時々こっそり一人で処理してたんだけど、やっぱり鼻がいい獣人さん。ヴィス君にはすぐバレて、追加で抜いてくれるんだ。

 もう嗅覚でバレるから、最近はあからさまに触ってって誘うこともしばしば。
 今まで恋愛経験ゼロだったのに、僕はしたなくなっちゃった。ヴィス君はそんな僕を好きだと言ってくれるから、何でも言っちゃうようになったんだけど。

 旭達と遊びながらヴィス君の帰りを待っていると、愛しの姿が森から見えた。手には三つ卵を持っている。

「ヴィス君!おかえりなさい」
「ただいま」
「持ってるのって肉食恐竜の卵?」
「ああ。あったよ」
「……そっかぁ」
「えっ!ヴィス、卵見つけたのか?!」

 旭が目敏く卵を発見した。今日はオムライスだ!とテンションを上げている。
 喜んでいる旭の横で僕とヴィス君は何とも言えない顔をして見ていた。
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