姉に巻き込まれて異世界転移〜ワガママ舌を満足させます〜

ぺんたまごん

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 それから森の奥へどんどん進んでいった。
 僕は今まで何度も森に来ているけれど、こんな奥に入るのは初めてだ。
 ヴィス君を始め、みんなそれぞれ背中や腰から武器を取り外して構えて歩くようになった。警戒しているのがわかる。
 僕は最弱なので、みんなに囲われながら一生懸命歩いて、バッタのことをぐるぐると考えていた。

 すでに成虫になっているバッタは蜘蛛の巣で動けないようにして、餓死を待つ。そして集めて焼けば片付くと思うんだ。でも卵はどうしたらいいんだろう。
 草木への影響を考えるなら、卵の状態で駆除できるのが一番理想だ。
 でも土の中に産卵するって調べた時は書いてあった。それなら卵を見つけるために土を掘り起こさなくちゃいけないのかもしれない。産卵がいつあったかなんてわからないから、バッタが移動してきた場所全部確認するとなると、途方もない作業になる。
 簡単にバッタの卵を見つける方法があったらいいのに。

 結局いい考えは浮かばず、三時間経過した。昼食もまだだったため、長めの休憩をとることになり、座って携帯食をみんなで食べることにする。

 携帯食は僕たちがこの世界にきて初めて食べたチョコボールみたいな粒の食べ物。
 昼の干し肉は一人につき〇.五枚で、残りは携帯食になる。干し肉は貴重だからね。みんなで噛み噛み、ポリポリと食べていく。

「……毎日ルイの温かいご飯が美味しすぎて、コレ美味しくない」

 ヴィス君がポツリと呟くと、パピジェットさん以外みんな深く頷く。パピジェットさんはよくわからないな、とアンキロサウルスの干し肉を豪快に噛みちぎって食べている。
 蜘蛛さんは離れた場所で捕まえた昆虫をムシャムシャ食していた。ううっ……見ない見ない。

「ヴィス君、これも僕が作ったんだよ?食べないと元気出ないよ?ね?頑張ろう?」
「うっ……わかった」

 携帯食は、 野菜メインの携帯食とブルーベリー、ラズベリー、スィート草を混ぜたスイーツ系の二種類だ。携帯食ここにきて唯一美味しいと思ったレッスィの実は、五~六月が旬のイチゴを使っているため、今は在庫がない。
 スイーツ系は特に改良しなくても美味しいんだけど、野菜の方は苦味とかえぐみを何とかしたくて試行錯誤してみた。でも保存食で水分は残しちゃいけないから、どうしても食感がパサパサになって、アクもしっかりは抜けきることができなかったからちょっと苦い。ううっ、まだ僕は力量不足だな。

 僕は元気のなくなったみんなに、活力を持って欲しいなと自分のバックをギュッと握った。

「夜ご飯は楽しみにしててくださいね!調味料類は小瓶に入れて持ってきてるんです」

 僕はリュックの中から割れないように蜘蛛布で包んだ小瓶を見せた。
 塩コショウやお酒、酢、ケチャップを持ってきている。寒くなってきたので、ケチャップも今日中に食べ切ったら大丈夫だ。
 僕の調味料を見ると、みんなの顔に生気が戻った。

「夜が楽しみだ」
「いい食材があったらいいわね」
「肉か卵が欲しいな」

 みんなお腹をそこそこに満たして出発した。
 パピジェットさんが「ルイ殿はみんなの胃袋を掴んでいるのか?」と聞いてきたので、そうだったら嬉しいですと返答して、僕も大きく足を前に出す。

 歩く場所がパピジェットさんの隣になったので、僕はバッタについて聞いてみることにした。
 歩きながら頭の中でぐるぐる考えても、いい考えが出てこなかった。なら実際に、バッタを見てきたパピジェットさんと話せば、いい考えが出てくるかもしれない。

「パピジェットさん、見てこられたバッタについて聞きたいんですけどいいですか?」
「ああ、勿論。私に答えられるものなら何でも聞いてくれ」

 それから僕とパピジェットさんは歩きながらバッタの情報を教えてもらった。パピジェットさんの話でバッタの駆除に関わるかもと思ったことは二つ。

 一つはバッタ特有の臭いがあるとのこと。バッタが群れで行動するようになってから、ツンとするような独特の臭いがバッタからするとのことだった。僕が調べたときは臭いの記述はなかったから、嗅覚のいい獣人さんだからわかることかもしれない。
 卵も臭いがするのか聞いたら、バッタがいすぎて卵の臭いはよくわからなかったそうだ。成虫のバッタを駆除できたら卵の臭いで見つけられるかもしれない。

 もう一つはバッタは殆どの草木を食べ尽くしていたが、発酵種やクールバリルなどの匂いの強い植物、あとは毒性のある草やキノコは残っていたそうだ。
 毒性がある植物……もしかして毒性があるものとバッタが好んで食べているものを掛け合わせて、毒団子のように作ってばら撒けば、バッタが発生しても駆除できるかもしれないと閃いた。

 一つ目は獣人さん達に頼ることになるし、まだ不確定要素が大きい。人海戦術がものをいう方法だ。

 でも毒団子作りは僕でも出来るかもしれない。地球でもバッタは果物とか小麦とかを好んで食べる。この道中に毒草や毒キノコがあれば採取して、スィート草とか果物とか、甘い食べ物に混ぜたら間違って食べるかもしれない。

 僕はみんなに毒草か毒キノコがあったら、僕にくださいと声をかけた。
 みんなそれを料理に使うと思ったらしく、流石に食べれないぞと言ってくるので、バッタの駆除に毒団子を作ろうと考えついたんです、と説明して納得してくれた。

 毒物が料理に混ざったら大変なので、森に詳しいヴィス君とラインさんが責任持って軍手で毒物採取し、毒団子を作るのはバッタがいる現地ですることになった。

 毒団子を作っても、バッタに効果があるのか未知数だ。
 まぁまずは動けなくなったバッタが生きていて、毒団子を食べてくれないといけない。
 どの毒物が効果があるのかもわからない。出来るかな。わからないことだらけで不安ばかりが増えていく。

「毒団子作って、どれかがバッタに効いたらいいのに……」

 僕は力になりたいと思ってついてきたけれど、はたして今僕がやっていることは合っているのか、それとも間違っているのかわからない。
 確信が持てないし、もし駆除ができなかった時の未来が想像するだけで酷すぎて、不安を増やしていたら、ヴィス君が追い詰められている僕を察して頭を撫でてくれる。
 ヴィス君を見ると優しく微笑まれた。

「ヴィス君……」
「俺はな、ルイを頼りにしているよ。でも全部背負う必要はない。俺も出来ることを考えるし、実行していくから、そんなに追いつめて考えるなよ?」
「……うん。ありがとう」

 歩くスピードを緩めると迷惑になるので、素早く思いっきりギュッと抱きしめて、感謝の気持ちを伝える。
 ヴィス君ありがとう。僕頑張る。

 そしてその後も一生懸命歩きながら、毒草集めとバッタや虫が好む物をヴィス君と共に集めていった。
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