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第一章
1-1 俺の婚約者は王子さまらしい
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「カイルア様、こちらで陛下がお待ちです」
扉の前で兵士が一礼すると、中へ入るように促される。床に張り付いたかのように重い足を上げると、一歩一歩呼吸を整えながら前へと進む。
生まれてこのかた22年、『誰にも迷惑をかけず、自分の人生を自分のために』をモットーに今日まで穏やかな生活を送っていたカイルア・ウォルンは今、人生の境地に立っていた。
国王両陛下の前へと通されたカイルアは緊張のあまり、掌だけでなく背中にも汗をびっしょりとかいている。
□ □ □
ここは連なる山々に囲まれた独立国家、パミュロン王国。
豊かな水と穏やかな気候に恵まれた土地であり、時の流れもゆっくりと感じられる観光名所としても知られる国だ。
円を描くように形成されたこの国では、円の外は商業区、円の中心へ行くにつれ賑わいのある観光地、と言った具合に成り立っている。
そして、現在カイルアがいるのはその中心部にある王城の大広間。
煌びやかなシャンデリアに一切汚れの無い美しい真紅のカーペット、大きな窓には継ぎ目のない金の格子が輝き、それに合わせるように長いドレープカーテンが取り付けられた美しい空間。
貴族の社交界、パーティーなどが行われる場所でもあり、この場を訪れることは皆の憧れでもある。
だがそんな魅力で溢れた場所も、今は視界の片隅にすら入らなかった。
公爵家の三男に生まれたカイルアは、頭脳明晰な長男や武術に秀でた次男とは違い、これといった才能もなく公爵家の跡を継ぐことも期待されず、これまでただただ自由に生きてきた。
周りからも「ウォルン家の自由人」と呼ばれるほど好きなことをとにかくやってきたが、『人には迷惑をかけるな』という父の教えだけは忠実に守りこれまで過ごしてきたつもりだったのだ。
しかし1週間ほど前、カイルア宛に国王から手紙が届いた。
手紙には『王城、大広間にて面会をされたし。』という文章と日時のみが記されている。
詳細が全く書かれていない手紙に恐怖を覚えながらもこうして1人王城を訪れ、現在に至るのだ。
□ □ □
自分はは国王に呼び出される程の重罪を犯したのだろうか。そうなれば国外追放、最悪の場合は死刑になるかもしれない。
そんな身に覚えのない罪に怯えながらどう回避しようかと必死に思考を巡らせていると、「顔をあげよ」と国王陛下の声が聞こえた。
慌てて顔をあげると、そこには穏やかな表情で見つめる両陛下の顔がある。
(あれ?違うのか?)
てっきりお叱りをうけるためにこの城に招かれたと思っていたカイルアは安堵と同時に大きな疑問が浮かび上がった。
「アルミス、入って来なさい」
陛下が入口の方に向かってそう言い放つと、紺に金の細かな刺繍が施された美しい洋服に身を纏った綺麗な黒髪の少年が入ってきた。
そこでもう一度呼ばれた名前を頭の中で復唱する。
———アルミス
『アルミス』と言えば両陛下の息子に当たる第一王子の名前だ。
彼とカイルアはもちろん面識がない。
城によく出入りしている兄たちとは違い、家族の付き添い以外に城に来ることが滅多にないため、こうして会うのは初めてだった。
陛下に呼ばれたアルミスは、カイルアの前に来ると右手を左胸に添え、礼儀正しく挨拶をした。
「パミュロン王国の第1王子、アルミス・パミュロンと言います」
こちらも片膝を着き、右手を胸に添えると目線を合わせて自己紹介をする。
「ウォルン公爵家の三男、カイルアです。カイルアは少々呼びづらいかと思いますのでカイとお呼びください。家族にもそう呼ばれております」
「分かりました、カイ。今日は僕からお話があってお母様とお父様にお願いをしてカイに来てもらいました。」
そうか、あれは国王からではなく王子の代筆で送られてきた手紙だったのか。
それにしても、初めて会う王子が俺に一体何の用だろう。
次にくる言葉を次々と想像してみるが全く思い当たる節がない。
「突然の事できっと困らせてしまうかもしれませんがどうしてもお願いをしたいことがあるのです。」
そんなカイの表情を見てか、察したように王子は言った。
王子に気を使わせてしまったと思い、あわてて『困るなんて事はありません』などと言葉を続けようとした。
だが、王子は一呼吸を置いて覚悟を決めたかのようにこちらを改めて見つめ直すと、衝撃の一言を放った。
「私と婚約してくれますか?貴方に一目惚れしたんです!」
・・・え?
□ ■ □
あの後どうやって家に帰ったのかは覚えていない。気が付くと家の門前に着いていた。
城を出る前、ひっそりと王妃に『今はきっと子供の気まぐれかと思いますので、気の済むまで付き合ってあげてくださいね』と耳打ちをされた。
両陛下は本気にしていない様子ではあったが息子の願いを無下には出来ず、俺も流石にこの国の王子の申し出を簡単に断ることはできない。
穏やかに過ごしてきた日々が少しずつ失われかけていることにカイルアは軽い絶望を抱きながら執務室へ早足で向かっていた。
(この時間なら忙しくないかな。)
城から家へ帰る頃にはすっかり日が暮れていた。
陛下との面会は正午過ぎからで、移動時間は馬車で1時間。それなりに時間がかかってしまったのだ。
おそらくあの人の仕事がちょうどひと段落する頃だろう。
カイは帰ってきたその足ですぐに執務室の前へ来るとドアを開けた。
「兄さん、ただいま戻りました。今日の件で話があるんだけど…」
そこには我が家の長男、アビルがいた。
アビルはちょうど作業を終えた様子で、机の上に散らばった書類をまとめている。
「カイ、用があるならノックしろと何回も言ってるだろ」
アビルは不機嫌そうに話しながらも、カイの話を聞いてくれるようで動かしている手を止めてくれた。
カイは何かあるたびにアビルによく話を聞いてもらっている。アビルも口調は厳しいものの、なんだかんだと弟には優しい。
そんな優しい兄に話を聞いてもらうべく、執務室へと足を運んだのだ。
「今日、陛下に会いに行くって話してたでしょ?要件は何だったと思う?」
「さぁ、お前が悪さをして呼び出しを食らったと思ったが帰ってきたということはそうじゃないんだろ?」
父だけではなく兄にもやらかしそうだという認識を持たれているのは心外だったが、今はそんな事よりもこの問題の方が重要だ。
「婚約を求められたんだよ!」
「……誰にだ?」
「アルミス王子に!」
「アルミス王子は、まだ10歳だろ」
「その10歳の王子に婚約を申し込まれたの!」
アビルは頭を抱えるとしばらく黙り込み、何かを考える様子を見せると再び顔をあげた。
「……お前がたぶらかしたとか、」
「絶対に無い。」
「……」
「王子には会ったこと無かったんだから信じてよ」
いまだ疑念を拭えないといった様子でこちらに視線を向けられたが、カイもあり得ないといった様子を見せると信じざるを得なかったのか大きなため息をついた。
「まさか両陛下の前で断ったのか?」
「そんな事出来るわけないでしょ!さすがの俺でも無理だよ」
10歳であろうと、王子は王子だ。この国の将来を築くであろう御方の申し出を二言返事で断れるわけがない。だからこそ大変困っているのだ。
「アビル兄さんはどうしたらいいと思う?」
カイルアは助けを乞うように首を傾げてみせると、アビルは立ち上がり窓の外を眺めた。
「まずは友人からとでも言うべきか。だが、早めに断りを入れるべきだろう。両陛下も若くはないのだから、この国のことを考えると悠長にもしていられないだろうしな」
アビルの言う『この国のことを考えるとー』とはパミュロン王国の政治体制のことを指している。
この国は夫婦で政治を行うという古くからの決まりがある。
また、この国では他国とは違い同性婚が認められている。
そのため国民の3分の1程は同性婚をしており、養子を迎える夫婦も少なくはない。それは国王も然りだ。
そんな中で自分たちの子供を望んだ現王妃は、養子を断り40歳という年齢でアルミスを産んだ。
現在、50歳を迎える夫婦は次期国王へと政権を譲る時期を迎えることとなる。
しかし、アルミスの年齢はまだ10歳。とても政治を行える年齢ではない。
すぐに政権を交代するという訳では無いが、この国のためにも将来共に政治を行う相手を現国王は見極める必要がある。
はっきり言うと、本来カイルアに婚約を申し込んでいる暇など無いのだ。
「子供の気持ちはすぐに変わるよ。そのうち嫌になって無かったことになる。だからそれまで相手になろうと思う」
「それでもいいが、お前は自分の将来もしっかり考えることだな」
自分の将来。
自分はこの先どんなふうになるのだろうか。
兄たちは俺と同じ年齢のときにはすでにやるべき事が決まっていた。
アビルはこの家の跡継ぎとして父と共に学び、次男ミギアは剣の才能があったため騎士団に入団していた。
一方、カイルアは父たちの手伝いをしながら何となく生活をしているだけだった。
今の暮らしがずっと続くとは思っていなかったが、だからといって自分にできることも限られている。
この家のためにできることは出来るだけ身を引くことだと自覚をしているし、それを悲観してはいない。
ただ兄たちに心配はかけたくないと思うのだ。
何も出来なくても優しくしてくれる兄たちに。
「父様もそろそろもどる頃だろう。今日のことを報告しておくことだな」
そう言うと、アビルは先ほどの作業の続きに戻った。
父にはまた小言を言われるだろうなと思いながらもアビルに「そうする」と素直に返事をし、執務室を後にした。
扉の前で兵士が一礼すると、中へ入るように促される。床に張り付いたかのように重い足を上げると、一歩一歩呼吸を整えながら前へと進む。
生まれてこのかた22年、『誰にも迷惑をかけず、自分の人生を自分のために』をモットーに今日まで穏やかな生活を送っていたカイルア・ウォルンは今、人生の境地に立っていた。
国王両陛下の前へと通されたカイルアは緊張のあまり、掌だけでなく背中にも汗をびっしょりとかいている。
□ □ □
ここは連なる山々に囲まれた独立国家、パミュロン王国。
豊かな水と穏やかな気候に恵まれた土地であり、時の流れもゆっくりと感じられる観光名所としても知られる国だ。
円を描くように形成されたこの国では、円の外は商業区、円の中心へ行くにつれ賑わいのある観光地、と言った具合に成り立っている。
そして、現在カイルアがいるのはその中心部にある王城の大広間。
煌びやかなシャンデリアに一切汚れの無い美しい真紅のカーペット、大きな窓には継ぎ目のない金の格子が輝き、それに合わせるように長いドレープカーテンが取り付けられた美しい空間。
貴族の社交界、パーティーなどが行われる場所でもあり、この場を訪れることは皆の憧れでもある。
だがそんな魅力で溢れた場所も、今は視界の片隅にすら入らなかった。
公爵家の三男に生まれたカイルアは、頭脳明晰な長男や武術に秀でた次男とは違い、これといった才能もなく公爵家の跡を継ぐことも期待されず、これまでただただ自由に生きてきた。
周りからも「ウォルン家の自由人」と呼ばれるほど好きなことをとにかくやってきたが、『人には迷惑をかけるな』という父の教えだけは忠実に守りこれまで過ごしてきたつもりだったのだ。
しかし1週間ほど前、カイルア宛に国王から手紙が届いた。
手紙には『王城、大広間にて面会をされたし。』という文章と日時のみが記されている。
詳細が全く書かれていない手紙に恐怖を覚えながらもこうして1人王城を訪れ、現在に至るのだ。
□ □ □
自分はは国王に呼び出される程の重罪を犯したのだろうか。そうなれば国外追放、最悪の場合は死刑になるかもしれない。
そんな身に覚えのない罪に怯えながらどう回避しようかと必死に思考を巡らせていると、「顔をあげよ」と国王陛下の声が聞こえた。
慌てて顔をあげると、そこには穏やかな表情で見つめる両陛下の顔がある。
(あれ?違うのか?)
てっきりお叱りをうけるためにこの城に招かれたと思っていたカイルアは安堵と同時に大きな疑問が浮かび上がった。
「アルミス、入って来なさい」
陛下が入口の方に向かってそう言い放つと、紺に金の細かな刺繍が施された美しい洋服に身を纏った綺麗な黒髪の少年が入ってきた。
そこでもう一度呼ばれた名前を頭の中で復唱する。
———アルミス
『アルミス』と言えば両陛下の息子に当たる第一王子の名前だ。
彼とカイルアはもちろん面識がない。
城によく出入りしている兄たちとは違い、家族の付き添い以外に城に来ることが滅多にないため、こうして会うのは初めてだった。
陛下に呼ばれたアルミスは、カイルアの前に来ると右手を左胸に添え、礼儀正しく挨拶をした。
「パミュロン王国の第1王子、アルミス・パミュロンと言います」
こちらも片膝を着き、右手を胸に添えると目線を合わせて自己紹介をする。
「ウォルン公爵家の三男、カイルアです。カイルアは少々呼びづらいかと思いますのでカイとお呼びください。家族にもそう呼ばれております」
「分かりました、カイ。今日は僕からお話があってお母様とお父様にお願いをしてカイに来てもらいました。」
そうか、あれは国王からではなく王子の代筆で送られてきた手紙だったのか。
それにしても、初めて会う王子が俺に一体何の用だろう。
次にくる言葉を次々と想像してみるが全く思い当たる節がない。
「突然の事できっと困らせてしまうかもしれませんがどうしてもお願いをしたいことがあるのです。」
そんなカイの表情を見てか、察したように王子は言った。
王子に気を使わせてしまったと思い、あわてて『困るなんて事はありません』などと言葉を続けようとした。
だが、王子は一呼吸を置いて覚悟を決めたかのようにこちらを改めて見つめ直すと、衝撃の一言を放った。
「私と婚約してくれますか?貴方に一目惚れしたんです!」
・・・え?
□ ■ □
あの後どうやって家に帰ったのかは覚えていない。気が付くと家の門前に着いていた。
城を出る前、ひっそりと王妃に『今はきっと子供の気まぐれかと思いますので、気の済むまで付き合ってあげてくださいね』と耳打ちをされた。
両陛下は本気にしていない様子ではあったが息子の願いを無下には出来ず、俺も流石にこの国の王子の申し出を簡単に断ることはできない。
穏やかに過ごしてきた日々が少しずつ失われかけていることにカイルアは軽い絶望を抱きながら執務室へ早足で向かっていた。
(この時間なら忙しくないかな。)
城から家へ帰る頃にはすっかり日が暮れていた。
陛下との面会は正午過ぎからで、移動時間は馬車で1時間。それなりに時間がかかってしまったのだ。
おそらくあの人の仕事がちょうどひと段落する頃だろう。
カイは帰ってきたその足ですぐに執務室の前へ来るとドアを開けた。
「兄さん、ただいま戻りました。今日の件で話があるんだけど…」
そこには我が家の長男、アビルがいた。
アビルはちょうど作業を終えた様子で、机の上に散らばった書類をまとめている。
「カイ、用があるならノックしろと何回も言ってるだろ」
アビルは不機嫌そうに話しながらも、カイの話を聞いてくれるようで動かしている手を止めてくれた。
カイは何かあるたびにアビルによく話を聞いてもらっている。アビルも口調は厳しいものの、なんだかんだと弟には優しい。
そんな優しい兄に話を聞いてもらうべく、執務室へと足を運んだのだ。
「今日、陛下に会いに行くって話してたでしょ?要件は何だったと思う?」
「さぁ、お前が悪さをして呼び出しを食らったと思ったが帰ってきたということはそうじゃないんだろ?」
父だけではなく兄にもやらかしそうだという認識を持たれているのは心外だったが、今はそんな事よりもこの問題の方が重要だ。
「婚約を求められたんだよ!」
「……誰にだ?」
「アルミス王子に!」
「アルミス王子は、まだ10歳だろ」
「その10歳の王子に婚約を申し込まれたの!」
アビルは頭を抱えるとしばらく黙り込み、何かを考える様子を見せると再び顔をあげた。
「……お前がたぶらかしたとか、」
「絶対に無い。」
「……」
「王子には会ったこと無かったんだから信じてよ」
いまだ疑念を拭えないといった様子でこちらに視線を向けられたが、カイもあり得ないといった様子を見せると信じざるを得なかったのか大きなため息をついた。
「まさか両陛下の前で断ったのか?」
「そんな事出来るわけないでしょ!さすがの俺でも無理だよ」
10歳であろうと、王子は王子だ。この国の将来を築くであろう御方の申し出を二言返事で断れるわけがない。だからこそ大変困っているのだ。
「アビル兄さんはどうしたらいいと思う?」
カイルアは助けを乞うように首を傾げてみせると、アビルは立ち上がり窓の外を眺めた。
「まずは友人からとでも言うべきか。だが、早めに断りを入れるべきだろう。両陛下も若くはないのだから、この国のことを考えると悠長にもしていられないだろうしな」
アビルの言う『この国のことを考えるとー』とはパミュロン王国の政治体制のことを指している。
この国は夫婦で政治を行うという古くからの決まりがある。
また、この国では他国とは違い同性婚が認められている。
そのため国民の3分の1程は同性婚をしており、養子を迎える夫婦も少なくはない。それは国王も然りだ。
そんな中で自分たちの子供を望んだ現王妃は、養子を断り40歳という年齢でアルミスを産んだ。
現在、50歳を迎える夫婦は次期国王へと政権を譲る時期を迎えることとなる。
しかし、アルミスの年齢はまだ10歳。とても政治を行える年齢ではない。
すぐに政権を交代するという訳では無いが、この国のためにも将来共に政治を行う相手を現国王は見極める必要がある。
はっきり言うと、本来カイルアに婚約を申し込んでいる暇など無いのだ。
「子供の気持ちはすぐに変わるよ。そのうち嫌になって無かったことになる。だからそれまで相手になろうと思う」
「それでもいいが、お前は自分の将来もしっかり考えることだな」
自分の将来。
自分はこの先どんなふうになるのだろうか。
兄たちは俺と同じ年齢のときにはすでにやるべき事が決まっていた。
アビルはこの家の跡継ぎとして父と共に学び、次男ミギアは剣の才能があったため騎士団に入団していた。
一方、カイルアは父たちの手伝いをしながら何となく生活をしているだけだった。
今の暮らしがずっと続くとは思っていなかったが、だからといって自分にできることも限られている。
この家のためにできることは出来るだけ身を引くことだと自覚をしているし、それを悲観してはいない。
ただ兄たちに心配はかけたくないと思うのだ。
何も出来なくても優しくしてくれる兄たちに。
「父様もそろそろもどる頃だろう。今日のことを報告しておくことだな」
そう言うと、アビルは先ほどの作業の続きに戻った。
父にはまた小言を言われるだろうなと思いながらもアビルに「そうする」と素直に返事をし、執務室を後にした。
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