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1 森良幸平 20歳
6 ゼロイチ
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いつから分からなくなってしまったのだろう。
本当に昔……幼かった頃はまるで、二人だけにしか分からない言語があるみたいだったのに。
幸平は近くにあったグラスを取って、口に含んだ。異様に喉が渇いていて一気に飲み干してしまう。苦かった。辛い。それは味なのか、心なのか。
高校時代に追いやられた記憶が、更に奥へ進んでいく。瞼が急激に重くなって目を閉じる。
居酒屋に溢れる男女たちの、色とりどりの喧騒は、脳内をぐちゃぐちゃにして、黒く混ざっていくようだ。
その中に暖色の光が滲んできた。
……あれは、夕陽の色だ。
琥珀色に染まった記憶に、幼い頃の自分たちを見る。
――『俺とコウちゃんはチームだから』
癖っ毛の少年が隣でしゃがみ込んでいる。体の大きなクラスメイトたちを相手にしたから、彼の膝小僧は擦り切れていた。
――『チーム? 二人で?』
同じように怪我をした幸平が首を傾げる。血が滲み出ていたけれど、こんな傷、ちっとも痛くない。
あの頃の幸平には生傷が絶えなくて、膝小僧だけでなく身体中に痣がある。
けれど陽太が隣にいるから痛くない。
『チームっていうか、二人で一組』
『ひとくみ』
『バッテリー!』
野球のことは互いに詳しくなかった。覚えたての言葉を、陽太は口にしただけだ。
その頼もしい笑顔が、夕陽に照らされてこれ以上ないほど明るい。
陽太は給食着袋に小さなサッカーボールをぎゅうっと詰め込んでいる。幸平は陽太の横顔をぼうっと、眺めながら、呟いた。
『バッテリーって何?』
『わかんないけど、俺らは仲間なんだよ』
『うん』
『でね、これが俺らの武器。コウちゃんがこれであいつらを倒したろ? これを使ってこう。もっと強くするために、補強する』
『給食袋使って怒られない?』
『先生に言えばいいよ。無くしちゃったって』
中身の給食着は抜き取っている。幸平はふふっと笑った。
『袋だけ?』
『そう。袋だけ……できた! 俺らの秘密兵器だよ。これで次は、もっと強いやつ倒そうな』
陽太は勢いよく立ち上がると、サッカーボールを入れた白い袋をぶらぶらと揺らす。試しにアパートの外階段に叩きつけていた。ボコっと鈍い音が響く。
『コウちゃん』
陽太の背後に炎が轟々と燃えている真っ赤な空が広がっていた。幸平は眩しくて目を細めている。
『俺ら、今日は負けちゃったからゼロイチだけど、次は勝てるから。一点リードしてる時が一番やばいんだよ。だからあっちは、負けんの』
サッカーなのか野球なのか。武器を使う試合がアリなのかすら曖昧な、しっちゃかめっちゃかな言葉だった。
陽太が袋の紐を握って、それを天高く振り上げる。
『まだゲームは終わってない。勝つのは俺たち!』
あの頃の幸平はいつも負けていた。勝つだなんて発想がないし、争いだとも思っていない。
『まずは一点入れよう。それからもう一点! 頑張ろうね』
けれど陽太は自分たちの勝利を確信していた。
……一点。
リードしているのは敵だ。でもまだ巻き返せる。陽太は力強く断言していた。秘密兵器は幸平のアパートの、外階段下にある用途不明の箱の中に隠した。給食着袋を使ったことが大人たちにバレたら怒られるから、あれの存在は自分たちだけの秘密になった。
それは幸平と陽太にしか分からない、宝物のような。
共通言語のような。
もう一点。
勝つのは俺たちだと。
「――だから俺はさ、負けたくねぇんだよ」
まるで心臓を巨大な怪物の手で強引に引き上げられたみたいだった。
不意に意識が現実へと放り投げられる。幸平はハッと目を覚ました。
居酒屋は喧騒で一杯だった。でもぐちゃぐちゃには聞こえなくて、声がはっきりしている。
時川を相手にする谷田が饒舌に語っていた。
「行ったら負けなの」
「負け戦だと分かってるじゃないか」
「痛ぇなぁとは思ってんだけど、虫歯だって言われんのが怖くて歯医者行けねぇ。時川には分からねぇって。俺のこの複雑な気持ちが」
日本酒を手酌で呑む時川は問答無用で「行けよ」と言った。口調がいつもより荒くなっている。
ほろ酔いになると舌が回る谷田は軽く右手を挙げて、続けた。
「異常だなとは分かってんだけどさ、認めたくないんだ。病名を突きつけられるのが嫌なんだよ。中身を見るのが嫌。知らぬが仏。つまりシュレディンガーの虫歯なわけ」
「うるさいな。ごちゃごちゃ言ってないでさっさと病院行け」
「怖いんだよ。時川には分からないよな。いつもお前は正論ばかりだ。正論だからって正解じゃないからな。正しいことだけ言ってればいいと思うなよ。こっちの立場になってみればいい。お前にとっては簡単なことでも、怖くて動けなくなるんだ。怖いんだよ。虫歯だぜ? 小さいことだけど死ぬかもしんねぇって思っちゃう。俺の立場になってみろよ。そうなったらば時川もさぁ」
「私がお前なら歯医者の予約をする」
「……あれ、幸平? 起きたんだな」
谷田がこちらに気付いて口論から退場した。時川も同じように「幸平くん、はいお水」と議論を放って代わりに水を渡してくれる。
「お前、いつの間に酒呑んだんだ」
谷田はだらしなくテーブルに頬杖をついた。
「この間で分かったろ? 幸平はコークハイ一杯でちゃんと酔うんだから。今日は食に集中しろって言ったじゃねぇか」
「しょく……」
頭が働かない。ぼんやり言葉を落とした。
「しょ……」
「あー、もう」
「幸平くんお水飲もう」
隣の時川に手伝われて水を口に含む。特別甘く感じる。
目を閉じると勝手に聴覚が鋭くなった。
可愛らしい声の「溝口さん」が耳たぶに触れた。
微かな会話がそのまま否応なく耳に流れ込んでくる。
「……み、さん……誰の紹介でここ……?」
「ねー、そういえばそう……。こっちに友達……んだ?」
「あ、狙ってる子…か?」
「……何人か彼女……そう!」
「あははは……」
幸平は頭に入り込んでくる声を追い出すように呟いた。
「帰りたい……」
「はぁー!?」
谷田が不満気な声を上げる。
幸平は鈍く首を左右に振った。
「かえりたい」
「帰りたいってお前」
「も、やだ……」
「あー、もう勝手に呑むからだろ。おい、寝んなよ?」
ガクンと首を垂れると、隣の時川が言った。
「それじゃ私が送っていこうか?」
幸平は横目だけで時川を見る。彼は笑顔でお猪口の中身を飲み干した。
「私も帰ろうかなって思ってたんだよ」
「お前は十分元気だろ」
「元気なうちに帰りたいんだ」
「時川はザルだろうが」
「幸平くん、私と帰ろう。谷田くん、お代は現金? もちろん持ってないけど」
「学ばねぇ男だな」
はぁーとため息を吐いた谷田だが、案外あっさり了承した。
「後でマネーで俺に送っておいて」
「ありがと」
時川は軽やかに御礼を告げて、薄いコートを手にする。それから幸平に、「幸平くん、立てる? 一緒に帰ろう」と優しく言った。
彼の手を借りて座敷から降りると、こちらの様子に気付いた数人の女子が「時川くん帰っちゃうの?」「え、全然話せてない」と残念そうな声を上げた。時川はそれにも軽く「ごめんね。また構内で」とにこやかに返す。
一部の注目を浴びながらも店を出る。外もまた、別の種類の騒がしい夜が続いている。
と、背後で扉の開く音がした。
「コウちゃん」
ちょうど歩き出そうとした足が止まる。
振り返ると、陽太が立っていた。
「もう帰んの?」
「……陽太くん?」
よろけたが、幸平の腕を掴んでいた時川が支えてくれた。信じられないほどの眠気に襲われた幸平は「うん」とうっすら頷く。
「うん……、俺もう、眠いから帰るね。陽太くんは楽しんできて」
「俺も帰るよ」
「……?」
幸平はこてんと首を傾げた。
オレモカエル……。
かえる。
蛙……。
何で蛙……? 分からなくなって、幸平は重い瞼を閉じた。
「時川、だっけ」
陽太が低く呟く。
「うん。溝口さん、だよね」
同い年なのにまた、陽太は「さん」を使われている。
陽太はすると「時川、さん」と言葉を強くした。
「コウちゃんは俺が送るから」
「あれ? そっちで楽しんでなくていいのか?」
数秒の沈黙。それから陽太は、険のある言い方で
「俺が?」
と呟いた。
「楽しんでた……?」
本当に昔……幼かった頃はまるで、二人だけにしか分からない言語があるみたいだったのに。
幸平は近くにあったグラスを取って、口に含んだ。異様に喉が渇いていて一気に飲み干してしまう。苦かった。辛い。それは味なのか、心なのか。
高校時代に追いやられた記憶が、更に奥へ進んでいく。瞼が急激に重くなって目を閉じる。
居酒屋に溢れる男女たちの、色とりどりの喧騒は、脳内をぐちゃぐちゃにして、黒く混ざっていくようだ。
その中に暖色の光が滲んできた。
……あれは、夕陽の色だ。
琥珀色に染まった記憶に、幼い頃の自分たちを見る。
――『俺とコウちゃんはチームだから』
癖っ毛の少年が隣でしゃがみ込んでいる。体の大きなクラスメイトたちを相手にしたから、彼の膝小僧は擦り切れていた。
――『チーム? 二人で?』
同じように怪我をした幸平が首を傾げる。血が滲み出ていたけれど、こんな傷、ちっとも痛くない。
あの頃の幸平には生傷が絶えなくて、膝小僧だけでなく身体中に痣がある。
けれど陽太が隣にいるから痛くない。
『チームっていうか、二人で一組』
『ひとくみ』
『バッテリー!』
野球のことは互いに詳しくなかった。覚えたての言葉を、陽太は口にしただけだ。
その頼もしい笑顔が、夕陽に照らされてこれ以上ないほど明るい。
陽太は給食着袋に小さなサッカーボールをぎゅうっと詰め込んでいる。幸平は陽太の横顔をぼうっと、眺めながら、呟いた。
『バッテリーって何?』
『わかんないけど、俺らは仲間なんだよ』
『うん』
『でね、これが俺らの武器。コウちゃんがこれであいつらを倒したろ? これを使ってこう。もっと強くするために、補強する』
『給食袋使って怒られない?』
『先生に言えばいいよ。無くしちゃったって』
中身の給食着は抜き取っている。幸平はふふっと笑った。
『袋だけ?』
『そう。袋だけ……できた! 俺らの秘密兵器だよ。これで次は、もっと強いやつ倒そうな』
陽太は勢いよく立ち上がると、サッカーボールを入れた白い袋をぶらぶらと揺らす。試しにアパートの外階段に叩きつけていた。ボコっと鈍い音が響く。
『コウちゃん』
陽太の背後に炎が轟々と燃えている真っ赤な空が広がっていた。幸平は眩しくて目を細めている。
『俺ら、今日は負けちゃったからゼロイチだけど、次は勝てるから。一点リードしてる時が一番やばいんだよ。だからあっちは、負けんの』
サッカーなのか野球なのか。武器を使う試合がアリなのかすら曖昧な、しっちゃかめっちゃかな言葉だった。
陽太が袋の紐を握って、それを天高く振り上げる。
『まだゲームは終わってない。勝つのは俺たち!』
あの頃の幸平はいつも負けていた。勝つだなんて発想がないし、争いだとも思っていない。
『まずは一点入れよう。それからもう一点! 頑張ろうね』
けれど陽太は自分たちの勝利を確信していた。
……一点。
リードしているのは敵だ。でもまだ巻き返せる。陽太は力強く断言していた。秘密兵器は幸平のアパートの、外階段下にある用途不明の箱の中に隠した。給食着袋を使ったことが大人たちにバレたら怒られるから、あれの存在は自分たちだけの秘密になった。
それは幸平と陽太にしか分からない、宝物のような。
共通言語のような。
もう一点。
勝つのは俺たちだと。
「――だから俺はさ、負けたくねぇんだよ」
まるで心臓を巨大な怪物の手で強引に引き上げられたみたいだった。
不意に意識が現実へと放り投げられる。幸平はハッと目を覚ました。
居酒屋は喧騒で一杯だった。でもぐちゃぐちゃには聞こえなくて、声がはっきりしている。
時川を相手にする谷田が饒舌に語っていた。
「行ったら負けなの」
「負け戦だと分かってるじゃないか」
「痛ぇなぁとは思ってんだけど、虫歯だって言われんのが怖くて歯医者行けねぇ。時川には分からねぇって。俺のこの複雑な気持ちが」
日本酒を手酌で呑む時川は問答無用で「行けよ」と言った。口調がいつもより荒くなっている。
ほろ酔いになると舌が回る谷田は軽く右手を挙げて、続けた。
「異常だなとは分かってんだけどさ、認めたくないんだ。病名を突きつけられるのが嫌なんだよ。中身を見るのが嫌。知らぬが仏。つまりシュレディンガーの虫歯なわけ」
「うるさいな。ごちゃごちゃ言ってないでさっさと病院行け」
「怖いんだよ。時川には分からないよな。いつもお前は正論ばかりだ。正論だからって正解じゃないからな。正しいことだけ言ってればいいと思うなよ。こっちの立場になってみればいい。お前にとっては簡単なことでも、怖くて動けなくなるんだ。怖いんだよ。虫歯だぜ? 小さいことだけど死ぬかもしんねぇって思っちゃう。俺の立場になってみろよ。そうなったらば時川もさぁ」
「私がお前なら歯医者の予約をする」
「……あれ、幸平? 起きたんだな」
谷田がこちらに気付いて口論から退場した。時川も同じように「幸平くん、はいお水」と議論を放って代わりに水を渡してくれる。
「お前、いつの間に酒呑んだんだ」
谷田はだらしなくテーブルに頬杖をついた。
「この間で分かったろ? 幸平はコークハイ一杯でちゃんと酔うんだから。今日は食に集中しろって言ったじゃねぇか」
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「しょ……」
「あー、もう」
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微かな会話がそのまま否応なく耳に流れ込んでくる。
「……み、さん……誰の紹介でここ……?」
「ねー、そういえばそう……。こっちに友達……んだ?」
「あ、狙ってる子…か?」
「……何人か彼女……そう!」
「あははは……」
幸平は頭に入り込んでくる声を追い出すように呟いた。
「帰りたい……」
「はぁー!?」
谷田が不満気な声を上げる。
幸平は鈍く首を左右に振った。
「かえりたい」
「帰りたいってお前」
「も、やだ……」
「あー、もう勝手に呑むからだろ。おい、寝んなよ?」
ガクンと首を垂れると、隣の時川が言った。
「それじゃ私が送っていこうか?」
幸平は横目だけで時川を見る。彼は笑顔でお猪口の中身を飲み干した。
「私も帰ろうかなって思ってたんだよ」
「お前は十分元気だろ」
「元気なうちに帰りたいんだ」
「時川はザルだろうが」
「幸平くん、私と帰ろう。谷田くん、お代は現金? もちろん持ってないけど」
「学ばねぇ男だな」
はぁーとため息を吐いた谷田だが、案外あっさり了承した。
「後でマネーで俺に送っておいて」
「ありがと」
時川は軽やかに御礼を告げて、薄いコートを手にする。それから幸平に、「幸平くん、立てる? 一緒に帰ろう」と優しく言った。
彼の手を借りて座敷から降りると、こちらの様子に気付いた数人の女子が「時川くん帰っちゃうの?」「え、全然話せてない」と残念そうな声を上げた。時川はそれにも軽く「ごめんね。また構内で」とにこやかに返す。
一部の注目を浴びながらも店を出る。外もまた、別の種類の騒がしい夜が続いている。
と、背後で扉の開く音がした。
「コウちゃん」
ちょうど歩き出そうとした足が止まる。
振り返ると、陽太が立っていた。
「もう帰んの?」
「……陽太くん?」
よろけたが、幸平の腕を掴んでいた時川が支えてくれた。信じられないほどの眠気に襲われた幸平は「うん」とうっすら頷く。
「うん……、俺もう、眠いから帰るね。陽太くんは楽しんできて」
「俺も帰るよ」
「……?」
幸平はこてんと首を傾げた。
オレモカエル……。
かえる。
蛙……。
何で蛙……? 分からなくなって、幸平は重い瞼を閉じた。
「時川、だっけ」
陽太が低く呟く。
「うん。溝口さん、だよね」
同い年なのにまた、陽太は「さん」を使われている。
陽太はすると「時川、さん」と言葉を強くした。
「コウちゃんは俺が送るから」
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