24 / 26
最終章
24 甘い※
しおりを挟む
「?」
丈が片手でふに、と両頬を掴んでくる。
「今のいいなぁ」
「……」
「夕生ってさー、甘えた君だよな」
「ほうかな」
喋りづらくて声が変になる。丈は深く頷いた。
確かに、甘えているかもしれない。うん、そうだ。
「ほうかも」
「もっとチョコいる?」
「ううん、大丈夫」
「俺はあげたい」
なら何で聞いたんだろう。丈はまた一つチョコをとると夕生の口の中に押し込んでくる。
ひとまず素直に咀嚼する。丈は頬を解放してくれたが、黙って夕生を眺めている。
夕生はチョコを飲み込んだ。舌に甘みが残っているな、と思っていると、いきなり丈が顔を近づけてくる。
「んっ」
「夕生」
丈は一度だけ軽いキスをすると、また唇を重ねて、夕生の口内に舌を入れてくる。
「う、むぅ……っ」
甘みが丈にも移った。腰を片手で支えられて、どんどんキスが深くなる。
「甘いね」
「うん、ふ、んぅ……、う」
「夕生」
甘く心地良いキスで頭がふわふわしてくる。
すると一度唇が離れる。丈は夕生の頬を撫でながら、覗き込むように見つめてきた。
「していい?」
グレーの瞳が夕生を射抜く。
夕生は見惚れるような感覚に陥りながら、時間を置かずに呟いた。
「したい」
「……疲れてない?」
あまりにも夕生が即答するものだから丈は動揺したみたいだった。
続けて言いづらそうに「旅行帰りだし」と呟く。
夕生は思わず微笑んだ。どうしても頬が緩んでしまうのだ。
旅行帰りにやってきたのは丈と会いたいから。丈と早く二人きりになりたかったから。
「それでも丈のところにやってきたんだ」
卒業式を終えてからすぐに旅行へ出掛けてしまったから丈とゆっくりする時間が取れなかった。
家族旅行はすごく楽しかった。それでも綺麗な風景や美味しいものを食べるたびに、丈が思い浮かんでばかりで。
「早く抱き合っていたくて」
丈が噛み締めるような顔をする。夕生は「ふふっ」と溢す。
初めてのセックスは夕生が卒業してからにしようと言ったのは丈だった。
夕生もそれに同意した。いずれ番になるにしても、アルファ性とオメガ性の自分たちは慎重になるべきだと思ったから。
学生のうちは無事に卒業することが第一優先だ。だから丈は今まで待ってくれた。
初めてキスをしたのは、付き合ってから数日後だ。
デートもしたし、手を繋いだり、体を抱きしめ合ったりもした。
でも肌を重ねたことはない。
……丈はいつも優しかったから分からないけど。
手を繋いだり、体を抱きしめ合ったりするたびに、夕生は丈にもっと触れたくて仕方なかった。
体を沢山触られたいし、触りたい。丈の肌を目一杯に抱きしめて、強く抱きしめられたい。
丈の見たことのない顔が見てみたい。
必死な声を聞いてみたい。
深いところまで繋がりたい。
まだ知らない丈を見てみたい。
——だから、ずっとこの日を待っていた。
「う、んんっ、ふ……っ」
「夕生」
ずっとこの声を聞きたかった。
「痛くない?」
「……へいき」
裸の丈が夕生を見下ろしている。『痛くない?』と聞いてきたのは丈なのに、彼の方がよっぽど辛そうな声をしている。
その余裕のない声に夕生は胸が締め付けられる。気遣ってくれる彼が愛おしい。
夕生は安心させたくて、微笑んでみせた。
体の内側に入り込んだ丈の指が動く。夕生はまた「あっ」と声を上げた。
「ほんとに?」
「うん、全然……思ったよりも」
丈の指はもう三本入っている。細くて長い指が、内側をゆっくりかき混ぜるように動いた。
夕生も丈も裸でいる。組み敷かれたら恥ずかしくてたまらなくなると思ったのに、実際にこうしてみると、丈の体から目が離せない。
何も纏ってなくても丈はずっとかっこいい。夕生は丈をじっと見上げた。
恥ずかしそうに微笑んだのは丈の方だった。眉を下げて、笑いかけてくる。
「痛くないならよかった」
「痛くない……変かな」
「変じゃないよ。柔らかい」
「自分でいじってたからかな」
「まっ……まじすか」
「あっ、!」
驚いた丈の指が敏感な箇所に触れる。強く押されて、ビクッと夕生の太ももが震えた。
何だろ。今の。
目を丸くする夕生を見下ろした丈は、こちらの反応を目敏く拾ってその箇所を指でいじってくる。
「うっ!? あっ、なんか、そこ」
「あ、ここか」
丈が片手でふに、と両頬を掴んでくる。
「今のいいなぁ」
「……」
「夕生ってさー、甘えた君だよな」
「ほうかな」
喋りづらくて声が変になる。丈は深く頷いた。
確かに、甘えているかもしれない。うん、そうだ。
「ほうかも」
「もっとチョコいる?」
「ううん、大丈夫」
「俺はあげたい」
なら何で聞いたんだろう。丈はまた一つチョコをとると夕生の口の中に押し込んでくる。
ひとまず素直に咀嚼する。丈は頬を解放してくれたが、黙って夕生を眺めている。
夕生はチョコを飲み込んだ。舌に甘みが残っているな、と思っていると、いきなり丈が顔を近づけてくる。
「んっ」
「夕生」
丈は一度だけ軽いキスをすると、また唇を重ねて、夕生の口内に舌を入れてくる。
「う、むぅ……っ」
甘みが丈にも移った。腰を片手で支えられて、どんどんキスが深くなる。
「甘いね」
「うん、ふ、んぅ……、う」
「夕生」
甘く心地良いキスで頭がふわふわしてくる。
すると一度唇が離れる。丈は夕生の頬を撫でながら、覗き込むように見つめてきた。
「していい?」
グレーの瞳が夕生を射抜く。
夕生は見惚れるような感覚に陥りながら、時間を置かずに呟いた。
「したい」
「……疲れてない?」
あまりにも夕生が即答するものだから丈は動揺したみたいだった。
続けて言いづらそうに「旅行帰りだし」と呟く。
夕生は思わず微笑んだ。どうしても頬が緩んでしまうのだ。
旅行帰りにやってきたのは丈と会いたいから。丈と早く二人きりになりたかったから。
「それでも丈のところにやってきたんだ」
卒業式を終えてからすぐに旅行へ出掛けてしまったから丈とゆっくりする時間が取れなかった。
家族旅行はすごく楽しかった。それでも綺麗な風景や美味しいものを食べるたびに、丈が思い浮かんでばかりで。
「早く抱き合っていたくて」
丈が噛み締めるような顔をする。夕生は「ふふっ」と溢す。
初めてのセックスは夕生が卒業してからにしようと言ったのは丈だった。
夕生もそれに同意した。いずれ番になるにしても、アルファ性とオメガ性の自分たちは慎重になるべきだと思ったから。
学生のうちは無事に卒業することが第一優先だ。だから丈は今まで待ってくれた。
初めてキスをしたのは、付き合ってから数日後だ。
デートもしたし、手を繋いだり、体を抱きしめ合ったりもした。
でも肌を重ねたことはない。
……丈はいつも優しかったから分からないけど。
手を繋いだり、体を抱きしめ合ったりするたびに、夕生は丈にもっと触れたくて仕方なかった。
体を沢山触られたいし、触りたい。丈の肌を目一杯に抱きしめて、強く抱きしめられたい。
丈の見たことのない顔が見てみたい。
必死な声を聞いてみたい。
深いところまで繋がりたい。
まだ知らない丈を見てみたい。
——だから、ずっとこの日を待っていた。
「う、んんっ、ふ……っ」
「夕生」
ずっとこの声を聞きたかった。
「痛くない?」
「……へいき」
裸の丈が夕生を見下ろしている。『痛くない?』と聞いてきたのは丈なのに、彼の方がよっぽど辛そうな声をしている。
その余裕のない声に夕生は胸が締め付けられる。気遣ってくれる彼が愛おしい。
夕生は安心させたくて、微笑んでみせた。
体の内側に入り込んだ丈の指が動く。夕生はまた「あっ」と声を上げた。
「ほんとに?」
「うん、全然……思ったよりも」
丈の指はもう三本入っている。細くて長い指が、内側をゆっくりかき混ぜるように動いた。
夕生も丈も裸でいる。組み敷かれたら恥ずかしくてたまらなくなると思ったのに、実際にこうしてみると、丈の体から目が離せない。
何も纏ってなくても丈はずっとかっこいい。夕生は丈をじっと見上げた。
恥ずかしそうに微笑んだのは丈の方だった。眉を下げて、笑いかけてくる。
「痛くないならよかった」
「痛くない……変かな」
「変じゃないよ。柔らかい」
「自分でいじってたからかな」
「まっ……まじすか」
「あっ、!」
驚いた丈の指が敏感な箇所に触れる。強く押されて、ビクッと夕生の太ももが震えた。
何だろ。今の。
目を丸くする夕生を見下ろした丈は、こちらの反応を目敏く拾ってその箇所を指でいじってくる。
「うっ!? あっ、なんか、そこ」
「あ、ここか」
757
あなたにおすすめの小説
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
家族にも見捨てられ、学校で孤独を感じていた静。
毎日が辛くて生きる意味を失いかけた彼の前に現れたのは、眩しい太陽のような青年天輝玲。
玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
しかしある日、玲の口から聞いたある言葉で、信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
玲と再会を果たした静は復讐を果たそうとする。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
【完結】それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
隣の番は、俺だけを見ている
雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。
ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。
執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。
【キャラクター設定】
■主人公(受け)
名前:湊(みなと)
属性:Ω(オメガ)
年齢:17歳
性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。
特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。
■相手(攻め)
名前:律(りつ)
属性:α(アルファ)
年齢:18歳
性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。
特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。
【完結】君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる