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第一章 帝国脱出
『第十四話 脱出への戦い(Ⅲ)』
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「火の精霊、そして水の精霊よ。我とともに合体技の準備を。【ファイヤー・スラッシュ】!
俺が放った魔法であるファイヤー・スラッシュ。
火魔法のファイヤー・ボールと水魔法のウォーター・スラッシュを合体させた技だ。
直撃すると前者の力で炎に包まれ、後者の力で斬れるという効果がある。
「グァッ……どうして当てられるのだ?」
「こればっかりは感覚の差ですね。あなたの気配なら散々探って来ましたし」
昔は鉄拳制裁を受けることも普通だった。
だから失敗ときは、殴られる時間を短くするためにギルド内を逃げ回ったりしていたのだ。
その時は気配察知の能力を使いこなしているとは言い難かったし。
今回については、先制攻撃を放ってくれたことが大きい。
イリナたちに襲い掛かられている状態で大幅に移動できるとは思えなかったから。
「まさか俺の弱点も知っていたのか」
「ええ。魔法攻撃を無効化できるということは、技を受け慣れていないということですから」
「魔法攻撃に弱いってことですね」
騎士団の方に斬撃を放ちながらイリナが合いの手を入れる。
ギルドマスターに対して発動するように見せかけ、騎士団の注意を散漫にしているのか。
相変わらず剣については瞬間的に判断を下せるようだ。
やがて黒い炎が消え去り、傷だらけになったギルドマスターの姿が露わになった。
「――覚えていろ。この借りは必ず返してやるから」
「往生際が悪いですね。隣国に入ってしまえばあなたの管轄ではないでしょうに」
どこまでもしつこい男だ。
俺はジト目でギルドマスターを睨みながらアリアと戦っている騎士団に視線を向ける。
先ほどに比べて数は随分と減っているように思えた。
しかしアリアの疲労が色濃くなってきており、魔法攻撃を喰らいそうになることも多い。
というか……追っ手の騎士団の中に剣士がいないのはなぜだ?
アリアがピンチにならずに済んだから、俺たちにとっては僥倖でしかないのだが。
「ダイマスとデールはアイツらと戦え。他の者はギルドマスターにとどめを刺すぞ」
「分かりました。そういえば騎士団はどうして追ってきているんでしたっけ?」
ふと気になったことを聞いてみる。
ギルドマスターが追いかけてきているのは、報酬を不正に受け取っていた疑惑の件だ。
ただ、騎士団ではそういった話も聞かない。
ゆえに、国庫のお金を使ってまで俺たちを追いかけてくる理由が分からないのである。
べネック団長は顔を歪めながら騎士団と戦うダイマスを見やった。
「ダイマスだ。彼は国庫から金を盗んだ疑いをかけられている。そこに彼らの予算が……」
「予算を得るためだったんですか」
イリナが驚いたように呟きながらギルドマスターの頭を剣の柄で殴打する。
ついで感覚でとどめを刺すとは……恐ろしいな。
ギルドマスターは血走った目を思いっきり見開き、その場で白目を剥いて気絶した。
騎士団の方でも徐々に俺たちが優勢になっていく。
「僕一人にも勝てないくせに騎士とは笑わせますね。もう少し剣の稽古をした方が……」
「クソッ……剣士がいるなんて聞いてねぇぞ!」
強いはずの上級騎士を鮮やかな剣技で倒したダイマスがチラッと戦場を見回す。
すると何かに気づいたらしく、斬撃を明後日の方向に放った。
「グッ……帝国を裏切った弱者に何を手こずっているのだ。しっかりしろ!」
「あなたは第二騎士団の……」
斬撃の奥から紫色の髪をした吊り目の男が現れた。
四部隊あるリーデン帝国騎士団の中でも、追跡と捕縛を担当している第二騎士団。
その第二騎士団で団長をしているのが、吊り目の男ことヘールス=ジャック子爵である。
冷酷だと評判で、新しく騎士になった新人は総じて第二騎士団に入りたがらない。
前回は皇帝直々の指名で新人が強引に配属させられていたっけ。
「第二騎士団の団長であるヘールスだ。ダイマス=イエール、覚悟してもらおうか」
「僕に一度として勝てたことがないくせに、よく言うよ」
ダイマスは嘲笑を見せた後、おもむろに剣を構えてヘールスと対峙する。
いつの間にか周りの騎士たちも戦いの手を止め、ダイマスの試合を観戦しようとしていた。
だが、俺たちは攻撃の手を緩めない。
とにかく魔法を使えるようにしたいため、注意がおざなりになった魔術師を倒していく。
「アリア、大丈夫か?」
「大丈夫です。ただ、一度に何匹もの精霊を捕縛したことがなかったので疲れました」
精霊使いを全員倒し終えた後、木陰で休んでいたアリアに声を掛けた。
あれだけ沢山いた魔術師に、たった一人で立ち向かった腕前は称賛に値するだろう。
「最後はダイマスが決めてくれるんじゃないかな?」
「そうだといいですね。ダイマスさんの腕前を知らないので何とも言えませんが」
確かに俺も知らない。
ダイマスは剣術を得意としている方なのだろうか。
さっきの会話からすると、第二騎士団の団長を倒せるくらいには強いらしいけど。
「それでは行かせてもらうぞ。剣技、【焙烙斬】」
「氷の精霊よ、我に力を貸して壁を作れ。【アイス・ウォール】」
焙烙斬は、爆発系の火魔法を放った衝撃波に強力な斬撃を紛れ込ませる技だ。
ダイマスは衝撃波を氷の壁で防ぎ、斬撃を危なげなく避けていく。
「やっぱり爆発系の技を使ってきましたか……。その癖は相変わらずですね」
「グッ……それならば! 剣技、【水流演舞】」
「終わりにしてもいいですよね。土の精霊よ、我に力を貸して針を作れ。【ランド・ニードル】」
退屈そうに詠唱したダイマスの腕から二本の針が射出される。
針は正確にヘールスの腹を打ち抜き、彼は目を大きく見開きながら地に伏した。
「これで僕の十三勝零敗ですね。まったく……懲りない人です」
おいおい、そんなに戦って一回も勝てていないのかよ。
俺は、地面に倒れているヘールスが何だか哀れに思えてきた。
俺が放った魔法であるファイヤー・スラッシュ。
火魔法のファイヤー・ボールと水魔法のウォーター・スラッシュを合体させた技だ。
直撃すると前者の力で炎に包まれ、後者の力で斬れるという効果がある。
「グァッ……どうして当てられるのだ?」
「こればっかりは感覚の差ですね。あなたの気配なら散々探って来ましたし」
昔は鉄拳制裁を受けることも普通だった。
だから失敗ときは、殴られる時間を短くするためにギルド内を逃げ回ったりしていたのだ。
その時は気配察知の能力を使いこなしているとは言い難かったし。
今回については、先制攻撃を放ってくれたことが大きい。
イリナたちに襲い掛かられている状態で大幅に移動できるとは思えなかったから。
「まさか俺の弱点も知っていたのか」
「ええ。魔法攻撃を無効化できるということは、技を受け慣れていないということですから」
「魔法攻撃に弱いってことですね」
騎士団の方に斬撃を放ちながらイリナが合いの手を入れる。
ギルドマスターに対して発動するように見せかけ、騎士団の注意を散漫にしているのか。
相変わらず剣については瞬間的に判断を下せるようだ。
やがて黒い炎が消え去り、傷だらけになったギルドマスターの姿が露わになった。
「――覚えていろ。この借りは必ず返してやるから」
「往生際が悪いですね。隣国に入ってしまえばあなたの管轄ではないでしょうに」
どこまでもしつこい男だ。
俺はジト目でギルドマスターを睨みながらアリアと戦っている騎士団に視線を向ける。
先ほどに比べて数は随分と減っているように思えた。
しかしアリアの疲労が色濃くなってきており、魔法攻撃を喰らいそうになることも多い。
というか……追っ手の騎士団の中に剣士がいないのはなぜだ?
アリアがピンチにならずに済んだから、俺たちにとっては僥倖でしかないのだが。
「ダイマスとデールはアイツらと戦え。他の者はギルドマスターにとどめを刺すぞ」
「分かりました。そういえば騎士団はどうして追ってきているんでしたっけ?」
ふと気になったことを聞いてみる。
ギルドマスターが追いかけてきているのは、報酬を不正に受け取っていた疑惑の件だ。
ただ、騎士団ではそういった話も聞かない。
ゆえに、国庫のお金を使ってまで俺たちを追いかけてくる理由が分からないのである。
べネック団長は顔を歪めながら騎士団と戦うダイマスを見やった。
「ダイマスだ。彼は国庫から金を盗んだ疑いをかけられている。そこに彼らの予算が……」
「予算を得るためだったんですか」
イリナが驚いたように呟きながらギルドマスターの頭を剣の柄で殴打する。
ついで感覚でとどめを刺すとは……恐ろしいな。
ギルドマスターは血走った目を思いっきり見開き、その場で白目を剥いて気絶した。
騎士団の方でも徐々に俺たちが優勢になっていく。
「僕一人にも勝てないくせに騎士とは笑わせますね。もう少し剣の稽古をした方が……」
「クソッ……剣士がいるなんて聞いてねぇぞ!」
強いはずの上級騎士を鮮やかな剣技で倒したダイマスがチラッと戦場を見回す。
すると何かに気づいたらしく、斬撃を明後日の方向に放った。
「グッ……帝国を裏切った弱者に何を手こずっているのだ。しっかりしろ!」
「あなたは第二騎士団の……」
斬撃の奥から紫色の髪をした吊り目の男が現れた。
四部隊あるリーデン帝国騎士団の中でも、追跡と捕縛を担当している第二騎士団。
その第二騎士団で団長をしているのが、吊り目の男ことヘールス=ジャック子爵である。
冷酷だと評判で、新しく騎士になった新人は総じて第二騎士団に入りたがらない。
前回は皇帝直々の指名で新人が強引に配属させられていたっけ。
「第二騎士団の団長であるヘールスだ。ダイマス=イエール、覚悟してもらおうか」
「僕に一度として勝てたことがないくせに、よく言うよ」
ダイマスは嘲笑を見せた後、おもむろに剣を構えてヘールスと対峙する。
いつの間にか周りの騎士たちも戦いの手を止め、ダイマスの試合を観戦しようとしていた。
だが、俺たちは攻撃の手を緩めない。
とにかく魔法を使えるようにしたいため、注意がおざなりになった魔術師を倒していく。
「アリア、大丈夫か?」
「大丈夫です。ただ、一度に何匹もの精霊を捕縛したことがなかったので疲れました」
精霊使いを全員倒し終えた後、木陰で休んでいたアリアに声を掛けた。
あれだけ沢山いた魔術師に、たった一人で立ち向かった腕前は称賛に値するだろう。
「最後はダイマスが決めてくれるんじゃないかな?」
「そうだといいですね。ダイマスさんの腕前を知らないので何とも言えませんが」
確かに俺も知らない。
ダイマスは剣術を得意としている方なのだろうか。
さっきの会話からすると、第二騎士団の団長を倒せるくらいには強いらしいけど。
「それでは行かせてもらうぞ。剣技、【焙烙斬】」
「氷の精霊よ、我に力を貸して壁を作れ。【アイス・ウォール】」
焙烙斬は、爆発系の火魔法を放った衝撃波に強力な斬撃を紛れ込ませる技だ。
ダイマスは衝撃波を氷の壁で防ぎ、斬撃を危なげなく避けていく。
「やっぱり爆発系の技を使ってきましたか……。その癖は相変わらずですね」
「グッ……それならば! 剣技、【水流演舞】」
「終わりにしてもいいですよね。土の精霊よ、我に力を貸して針を作れ。【ランド・ニードル】」
退屈そうに詠唱したダイマスの腕から二本の針が射出される。
針は正確にヘールスの腹を打ち抜き、彼は目を大きく見開きながら地に伏した。
「これで僕の十三勝零敗ですね。まったく……懲りない人です」
おいおい、そんなに戦って一回も勝てていないのかよ。
俺は、地面に倒れているヘールスが何だか哀れに思えてきた。
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