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僕の一生

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毎日がつまらない こんな感想を抱くのは僕だけではないはずだ。 だが、今の日常を大切にしてほしい僕のようになると必ず後悔をするはずだから……

pipipi 目覚ましの音が鳴る。 僕は目を覚ました。 
そして……「はぁぁ」 第一声から早速のため息だった。
「つまらないなぁ」

正直自分でも中二臭いことを言いながら、毎朝の習慣と化した一言を言う。 この頃の僕はなんか変だ。 今までよりもいっそうに中二病をこじらせている。
「こんな日常壊れてしまえばいいのに」

また、中二臭いことを言いながら、僕は玄関から学校へと向かう。 時間にして10分、大した距離でもないのだが、億劫で仕方ない。 なぜなら僕はいじめを受けているからだ。 

始まりは高校一年の時、とある男子生徒から告白されたのを断ったことがきっかけだった。 女子からも人気のある男子で、僕への告白は当然付き合ってくれるよなと言う、決めつけのようなで、僕はそれが、その姿勢が頭にきて、当然のように断った。 そこから、女子にも男子にもお高く留まりやがってと思われるようになっていき、いつの間にかクラスで孤立。 そして、女子からは陰口、暴力、その他もろもろ、男子からはあからさまなセクハラメールや、僕の顔写真だけを合成した卑猥な写真の張り出しなどなど。 正直心も体もボロボロだ。

そんな僕は……、 僕と名乗っているが、実際れっきとした女の子である。別にボーイッシュと言うわけでもなく、普通に女子。 容姿は比較的に整っている方ではないかと思ってはいるが、髪型も毎日ポニーテールで特に目立たない方だと思っている。

話がそれてしまったが、そんな僕は、毎日こんなつまらなく、つらい日常からもっと楽しくて充実感のある日々を体験したいと考えていた。 まあ、そんなことは出来ないだろうとも思っているのだが、夢ぐらいは見たいのですよ。

そんなこんなで玄関前、苦痛10分前の家から学校へと向かう。 だが、次の瞬間、世界が、僕の日常がおかしくなっていることに気が付いた。

まさか……そんなバカな。 目の前には見覚えのないファンタジーな世界観が広がっている。 いかにも騎士とか龍とか、勇者とか魔法使いとか出てきそうな。 と言うか、まだ、草原だからよくわからないのだけど、すでに少女2人とミノタウロスが対決しているし、こりゃぁファンタジーだわ。 

少女2人は……仮に少女Aと少女Bとしておこう。 少女Aは身長が高く、騎士の甲冑と大き盾が特徴的である。 髪型は大きな三つ編みを肩から前に垂らした黒色をしていた。 遠くから見ても容姿が優れているのだが、切れ長の目が、近づきにくさを出している。 少女Bは身長が高くもなく、低くもない、俗にいう平均ぐらいで、胸の上部がはだけていてミニスカート、そして魔法の帽子と言ういかにもセクシー担当と言う特徴がある。 髪型は少しウェーブのかかったショートカットで紫色をしている。豊満なバストが男をすぐにメロメロにできそうであった。一方ミノタウロスは人間を両断できそうな鉈を持っているという特徴以外はミノタウロスだった。

それで、現在の状況だが、少女2人は分が悪そう。 助けてくれそうな、格好いい勇者様や、熟練の魔性使いさんはいなそうだからだ。

我ながらかなり痛めの夢に頭を抱えた。 だってそうしか思えないじゃん。 普通こういうのは僕みたいな貧弱ヒロインじゃなくて、引きこもりのヒーローがやるような仕事だし、やっぱり夢だな。 僕も本格的にメンタルがやばいのかもしれないな。

「それにしても、なんだよこの夢……」

かなり痛いぞ……。 後ろを振り向くと、家の玄関があるし。 この感じ・・・いかにも夢のでたらめな感じだなぁ。  やっぱり、これは夢だな……。

「さっき起きたような気がしたけど、なんか寝てしまったのね」
独り言をいってとりあえず独り言を言い、ミノタウロスに向かい歩き出す。

「にしても、ファンタジーの夢とは久しぶりだね この頃はSFの夢多かったしなぁ 多くの異星人を相手に僕無双をする夢、爽快感があり、朝すっきり起きられるから、良かったんだけどなぁ」不満を漏らしながら、二人の少女の前に立つ。

「どうも、どうもミノタウロス君、華麗なる少女方、僕の夢にようこそ 今宵も僕のストレス発散のためのエキストラ、感謝しています」夢だと疑わない僕は、発散の道具として存在してくれた彼らにお礼を言う。
その光景にミノタウロスと二人の少女は首をかしげている。

「あれ? ノリ悪いな三人とも、僕の夢なんだから、僕を勇者みたいに称えてよ」いまいちの反応のため声掛けをするが、やはりよくわからないという顔をするばかりだった。

僕の予想ではこんな感じになるはずなのだが。
「勇者様が来てくれたわ これで私たちもたすかるわぁ」
「勇者様、遅いのよ登場が……でも、ありがとう」
「オノレ ニンゲンノユウシャ マタワレヲ ジャマスルカ」
思い通りには、夢の中でも行かないわけか……。

でも、この状況をどうにかするのも夢の主の役目のはずだよね。 
「ここは僕に任せていいよ」僕は夢の主らしく一言。

「ミノタウロスを一人でなんて無理だぞ」少女Aは心配そうにこちらに話しかける。
「そんなことないよ、なんたって僕の夢だからね」僕は誇らしげに語ると、先ほどまで無言だった少女Bが会話へと入り込んできた。
「今は、私たちが逃げるのが先決だしさ、任せちゃおうよぉ」少女Bは平然と逃げるといっているが、こんなむかつく系の子が出てくるのも夢のだいご味だ。
「貴君が言っている、夢だなんだというのは私たちにはわからないが、自身があるようだからこの状況を頼む なるべく時間稼ぎをしてくれ」少女Aは決心したように僕に依頼する。
「はい、任された」と一言。

「おい、そこのミノタウロス……。 話は分かるか? 僕の夢のエキストラらしく、ストレス発散させてもらうよ」僕は意気揚々とミノタウロスに近づいていく。
まず、攻撃を開始したのは僕だった。 テレビや映画で見たことのある適当な格闘フォームをし、リズムをとりながら攻撃をする。 格闘戦の経験など微塵もない僕だが、夢の中では、格闘経験があるように軽やかに動けた。最初の一撃は大したダメージを与えることができず、ミノタウロスはこちらを馬鹿にしたように笑っている。 だが、僕は諦めない、同じ攻撃を何度も、何度も、何度も続けた。 その結果、最初は一切攻撃をせずに、こちらの動きを見ていたミノタウロスも、鉈で薙ぎ払いをしてくた。

僕は咄嗟にそれを避け、「危ないなぁ、もお」と軽く文句を言った。 だが、最初の僕のラッシュは嘘のようにミノタウロスの攻撃のラッシュが始まった。 僕はかろうじてすべて避けているのだが、なかなかの猛攻ですきを突くことができない。 なんで、夢なのにこいつこんなに強いんだろうとか思いながら、この状況の打開策を考えている。 そして、僕は妙案を考え付いた。 そうだ、あの場所を狙えばたぶんやれる。

僕は一旦、ミノタウロスから距離を保つために後ろに大きくジャンプした。 まさか4m近くジャンプできるとは思わなかったが、ちょうど良い間合いにすることができた。 次の瞬間ミノタウロスは、走ってこちらに向かってくる。 僕はぎりぎりのところまで、ひきつけ、ミノタウロスが大振りに鉈を振り下ろそうとした瞬間、ミノタウロスの下にもぐり、人間の男性の生殖器と同じ個所めがけて勢いよく飛び込んだ。

案の定ミノタウロスは悶絶、股間を抑え、苦悶の表情を浮かべている。 まさかこんな方法で勝つとは思わなかったが、どうにかミノタウロスを倒すと、二人の少女が近づいてきた。 
「まさか、本当にミノタウロスを倒すとは思わなかったぞ」と少女Aが喜びをあらわにした表情で言ってくる。
少女Bはと言うと「ミノタウロスの報奨金でガッポ、ガッポ ひひひ」と不気味な独り言を言い、ミノタウロスに近づいていく。 ミノタウロスはと言うと、まだ、悶絶しているためか、少女Bの行動に気が付いていない。 そして次の瞬間詠唱のようなものを唱え始まる。
「束縛を制する 鉄(くろがね)の鉄鎖よ、我が前にいるものに永劫の幽閉を ロッ!?」
少女Bが突き飛ばされた。 悶絶していたはずのミノタウロスが暴れ出したのである。 今のミノタウロスは怒りに身を任せた状態でとにかく鉈を振り回している。 決して近づけそうにない。 思考を巡らせていると、僕に気が付いたミノタウロスが勢いよく飛び込んでくる。 僕はすぐに動くことができずにミノタウロスにつかまってしまった。 さすがにまずいなと思った瞬間、僕の体を下に押さえつけ、勢いよく鉈を振り下ろそうとする。

「へっ!! さすがに夢でもまずいってこれは、トラウマものだって 早く僕起きてよ」と必死で叫んでいるのだが、一向に目覚める気配はない。
「まずい、まずい、まずい、めざめろ、めざめろ、めざめろ」と僕は祈り続けているが変化なし。
そして、次の瞬間、バッシュっというものを切る音が聞こえ、「ぎぇぇぇええええええ 
痛い 痛い 痛い」と叫び声が聞こえる、もちろん僕だ。 膝から下のみを鉈で切ったのだ。 どう考えても相手に痛みを与えることを目的としている嫌味な行動に僕は恐怖した。

だが、それよりも恐怖したのは、ミノタウロスの顔が少し笑っているようにみえたこと。 そして、ミノタウロスの一言。
「ニンゲン オンナ ニク ウマイ」

僕は必死で、とにかく必死で早く夢が覚めることを願っのだが、結局最後まで願いはかなわなかった。 臭気が漂うミノタウロスの口に入り、やっと夢が終了すると思っていた。


「になやましろ」
僕の名前を誰かが呼んでいる。 こんな時に誰だろう。 僕は今やっとあの夢から解放されたのに、心地よい眠りをまだ実感していたい。

「になやましろ」
まだだれかが呼んでいる。だから、まだ目覚めたくないんだよ。

「になやましろ」
先ほどよりもより正確に聞こえたこの声に、いい加減面倒になり、僕は起き上がった。 その瞬間周囲の風景に唖然とした。 真っ白の空間に椅子が一個、目の前には机があるがその机の上にはあぐらで誰かが座っている。

「になやましろ やっと目覚めましたか 遅かったですね」敬語を使う少女、先ほどのABどちらでもなく、身長は私より高く、白のワンピースを着た少女だった。桃色の髪の毛をショートボブで整えている。

僕はこの状況を理解できていなく、ずっと首をかしげていた。だが、次の言葉で何もかも理解をする。
「になやましろ あなたは死にました」
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