通学路

南いおり

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本編

6章

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20××年9月1日8:30

2学期最初の日。学校に京香のお父さんが来た。ジャーナリストをしており、娘の事件を解決するために来たらしい。私たちのクラスでも呼び出された人はいた。同じ部活だった人。元彼。私や他に仲の良かった女子生徒など。

呼び出されて聞かれたが、何も知らないとしか答えられなかった。あの事件が関わっているという証拠もないし、写真がネットにあげられると私や京香だけでなく他のマネージャーたちの人生さえも狂わせてしまう。そう考えると怖くて何も話せなかった。すると、何枚かの写真を並べられた。私と陸、宙、大河がホテルや私の家に入ろうとしている時の写真だ。

「この写真どうして持ってるの」  
「そんなことどうでもいいだろう。この写真をばら撒かれたくなかったら、素直に本当のことを言え」
「私は何も知らないんです。」

下を向きながら小声でそう言った。

「わかった。もう聞くことはない」


20××年9月2日8:15

朝、学校に着くと黒板に複数の写真が貼ってあった。クラスメイトの海斗がどれも違う女の子と遊んでいる写真だ。彼は京香の彼氏でサッカー部だった。この写真は京香のお父さんが撮ったものだろうか。

「海斗って京香の彼氏だったよな」
「ていうことは二股とか?」
「でも、こっちに違う人も写ってるよ」
「まさか自殺の理由ってこれじゃないよね?」

クラスメイトが噂を始めた時、海斗が教室に入ってきた。

「なにこれ。誰がこんな物貼ったんだよ。こんなもん合成だろ」

そんなことを本人が言っても誰も信じる人はいなかった。

「なんだよ。お前らその目。」

そのまま教室を出て行ってしまった。




20××年9月9日8:10

あれから1週間経ったが、彼は学校に来ていない。そして、また写真が貼られていた。その次の週も。その次の週も。
どんどんクラスの人が減っていった。




20××年10月7日 8:12

とうとう私の写真が貼られた。あの時見せられたものと同じ写真だ。

クラスメイトの私に対する視線が冷たかった。とりあえず貼られたものをはがした。もう学校には来られなくなる。海斗の時から覚悟をしているつもりではあったが、なかなか辛かった。

「お前も可哀想にな。あんな女に騙されて」

クラスの男子が陸に対して大声で言い放った。

「知ってたよ」
「え?」
「最初から全部知ってたよ。俺のこと好きじゃないことも。他に好きな人がいたことも」

私は驚くと同時に、3人に申し訳ない気持ちになり、席に座ることもなく、急いで教室を出た。

「瀬川一華」

呼ばれた方を見ると、京香のお父さんがいた。

「なんですか?」
「最後に一つだけ聞く、お前が京香を自殺に追い込んだのか」
「違います」
「わかった」

それから約1ヶ月学校に行くことはなかった。







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