通学路

本編

7章

20××年11月10日 20:00

教室に情報科クラス全39人が集められ、ホームルームが行われた。中には私と同じように不登校になっていたものもいた。呼んだのは京香のお父さんだった。 

「こんな夜遅くに呼び出しすみません。今日呼んだのは京香の自殺について真相がわかったからです。」
「あの、それなら私たちに言わないでら警察に言ったらどうなんですか？」
「警察は自殺ということで捜査を終了している。今更言ったところで何も変わらないし、これ以上自殺については騒ぎ立てるつもりもない。それにこの事件は君たちにも関わりがある話だ。話を本題に戻す。京香の自殺の原因はこれだった」

そう言い、出したものは妊娠検査薬だった。

「これは京香の部屋を片付けているときに出てきた。2つ入りだが、この中には1つしかなかった。つまり、１つは使ったと考えられる。」
「ということは、海斗が自殺の原因なの？」
「違う俺はそんなことしていない。」
「たしかに彼は関係ない。京香の自殺の原因はある事件に巻き込まれてたからだ。」
「事件？」
「その事件には京香だけじゃなく、3年生のマネージャー全員が関わっている。もちろん、そこにいる彼女もだ」

視線が私に集まった。

「一華何か知ってるの？」
「どう関わってるの？」
「もしかして自殺の原因って一華なの？」

一気にクラスのみんなから色々言われ、追い詰められたが私は黙っていた。

「黙ってないでなんかいいなよ」
「言えないんだよ！私だって言いたいよ！でも言ったら私だけじゃなく他の人の人生も狂わせちゃう！何もできないんだよ！辛くて助けを求めたくてもできないんだよ！」

思わず、叫んでしまった。その後疲れて床に座り込んでしまった。

「…片岡と須藤だろ」
「え…」

京香のお父さんの口から二人の名前が出ると思わなくて驚いた。

「知ってたんですか…」
「野上くんが教えてくれた。」
「…哲也が？」
「もうあの2人は警察に引き渡した。だからあの写真が出回ることもない」
「でもさっき、警察には言わないみたいなこと言ってませんでした？」
「たしかに言ってた」

クラスメイトが次々に口に出した。

「たしかに言った。自殺については。これからは彼女たちが被害にあった事件について話す。普通科でサッカー部だった片岡と須藤はある計画をたてていた。同じ学年のマネージャー全員をレイプすることだ。その度に写真を撮り、それを使って脅す。彼らと仲がよかった野上くんは気づいて、止めようとしたが、2人からいじめられるようになった。そして彼を利用し、瀬川さんを襲った。最後に京香も被害にあった。日付的にも恐らくそのときに妊娠したのだろう。」

みんなは無言ではあったが驚いていたようだった。同じ学校、学年の生徒同士でこんな事件があったなんて想像もしなかっただろう。

「…京香は妊娠してたんですか？」

私はつぶやいた。

「そうだと思う…私はシングルファザーで厳しく育ててきた、だから誰にも相談できなかったんだろう…」

その時、体育館で2人で話した時のことを思い出した。

「違う…京香は私に言おうとしていた…でも、私が言えなくさせた…わたしのせいだ。全部わたしのせいだ。」

床に座ったまま泣き崩れた。