237 / 592
最終章:二人の終末の二日間
後日談:ある月夜に ★挿絵有り
しおりを挟む
ある屋外酒場、一人の青年が一人晩酌をしていると、初老に差し掛かった頃の男が話しかけてくる。
「なあ、そこの変な兄ちゃんよ」
「ん? 私か?」
「あんたしか居ねぇだろう。なんだその武器は」
「これは変な友人からの贈り物だ」
初老の男の言葉に周囲から少しの怒りが漏れる。
青年は無精髭を生やし、ワイルドながらも整ったその容貌に周囲の女性達がチラチラと覗き見ながら、いつ話しかけようかと機会を伺っていた。
そんな周囲の視線に気づいているのかいないのか、その齢40を過ぎた頃の男性は青年に変な兄ちゃんだと話しかけてきたのだ。
それに対して青年は、同じく変な友人という言葉を使って返事をする。
「あんたよりも変な友人ってどんなんだよ」
周囲の女性達の瞳に怒りの色が湧くのが分かる。
変なのはお前だオヤジ。そんな声が聞こえてきそうだ。
とはいえ、青年の武器は確かに気になる。
「そうだな、魔王を殺す様なやつだ」
「やっぱ変人はおめぇじゃねえか」
確かに。
と、周囲の女性達も納得してしまう。
魔王なんてのは100年以上前に滅びたし、最近はドラゴンの目撃例もない。
呪いも聖女様が解除してくれて、魔物はまだいるものの、概ね平和といって良い世の中だ。
そもそも魔王なんてのは何千人もの勇者が犠牲となりながらやっとの思いで倒せる存在。
青年の言葉が嘘だなんてこと位、すぐに分かる。
「ははっ、ま、否定はしないさ」
「なんだそりゃ」
どこか嬉しそうに笑う青年に、流石に皆が怪訝な顔をする。
「まあそりゃ良いか、話は変わるけどよぉ兄ちゃん、聖女様の話をなんか知ってたりしねえか?」
「いきなりどうしたんだ?」
「いやな、俺は聖女様のファンでよ、嫁が呪いに罹っちまったんだが、お陰で助かったのよ」
「……なるほど、それで”変な奴”の私に声をかけたという訳か」
「そういうこった」
聖女と鬼神の話は、色々な所でちょくちょくと語られている。
何故かそんな中、二人は意外と変な奴だという噂が流れている。
だからこそ、冒険者らしい格好をして変な奴な青年に、何か知っていることがないかと話しかけてみたということらしい。
「あんたは変な奴と見れば誰にでも声をかけてるのか」
「ま、そうだな。そんなかでも兄ちゃんはとびっきり変だ」
なんだかんだで、ここまで来ると周囲の女性達も二人の話が気になってくる。
「ははは、そうかそうか。私はそんなに変か」
相変わらず嬉しそうに青年は笑う。
「まあ、そうだな。聖女様は素敵な人だ。美しいと言うよりも可愛いという言葉が似合うと思う」
「そこかよ」
「重要だろう」
当然の様に語る青年に、返せる言葉は一つだけ。
「ま、まあそうだが」
「私は彼女にぶっ飛ばされたことがあるんだ」
「ぶっははは、直接の面識があるんだな。で、何やったんだおめぇ……」
「応援してくれたのさ」
「応援でぶっ飛ばすなんてことはしねえだろ聖女様はよ」
嬉しそうに語る青年に、初老の男性は少し怒ったように言う。
「いいやするのさ。聖女様だからな。私が一番元気が出ることをしてくれたんだ」
「マゾかよおめぇ……」
「はっはっは、そうかもしれないな」
どこか捉えどころのない青年の言葉。
オヤジはもちろん、周囲の女性達も青年に対して”変な奴”という印象が強くなっていく。
「まあ兄ちゃんの性癖は興味ねえや。で、他は?」
「強い人だ。ドラゴンを倒せる力だけでなく、精神的にも」
「やっぱりそうかぁ」
酒のせいか、頬を少しだけ染めながら青年は言う。
それを聞いて男性も嬉しそうだ。
「ふむふむ、やっぱり聖女様はすげえ人なんだな。で、鬼神ってのは実在するのか?」
「私はあいつが嫌いだ」
今度は、青年が少し怒った様に言う。
「鬼神とは何があったんだおめぇ」
「何度ぼこぼこにされたか分からない」
「はっはっは、なんでもかんでもマゾってわけじゃねえのか」
今度はオヤジがなんだか嬉しそうだ。
周囲の女性も、必死に耳を傾けている。
「当たり前だろう。何が嬉しくて野郎にぼこぼこにされなきゃならんのだ」
「そりゃそうだ。で、そいつはどん位強いんだ?」
「全く分からん」
「なんだそりゃ」
別に、魔王を相手に無傷と言っても良かった。どうせ信じやしないだろう。
しかし、自分でそれを見たわけではないし、恐らくそれが底ではない。
あの男に対して、強さに関しては正確でないことは言いたくなかった。
「ま、一度も勝てなかったよ」
「そりゃ、そんなでかい武器じゃ勝てるもんも勝てないだろが」
「正論だな」
青年が隣の建物に立てかけているその武器は長さ3m程もある斧だ。刃は無く、代わりに扇型のそれは上下から見れば流線形が美しい。
明らかに人が扱うような代物ではない。超巨大な、それこそドラゴンの様な相手になら有効かもしれないが、これが有効な通常の魔物というと殆ど思い浮かばない。これを全力で振り回せたとして、それは明らかにオーバースペックだ。
ましてや人の様な相手だとでかすぎて邪魔なだけだろう。
「分かってるならなんでそんなもん使ってるんだ」
「そりゃ、友人からの贈り物だからさ。ここに剣もあるし、不便はしていない」
青年の腰には、一本のショートソードが差してある。素人目に見ても中々に良さそうな品だ。
「ああ、斧のインパクトで見えちゃいなかった。やっぱ主力はそっちか」
「いいや、これはまだ一度も抜いていない」
「っ……。はっはっは、やっぱおめぇは思った以上に変な奴だな」
目を見開いて驚きながらも爆笑を始めるオヤジ。
周囲の女性達も、最早完全に話しかけるタイミングを伺うことなど忘れて興味深げに聞き入っている。
「この剣は鬼神の情けだ。あいつに施された情けなんて意地でも受け取るものか」
「受け取るものかって、大事そうに差してんじゃねえか」
「……あ」
はっはっはと笑い合う青年とオヤジ。
女性達も、最早クスクスと笑いを抑えることは出来なかった。
そこまで仲良くなったところで、オヤジが確信に迫る。
「で、友人って誰だよ」
「そりゃ、決まってるじゃないか」
私に勝ち逃げしやがったあいつだよ。
この屋外酒場には変わったイケメンが出る。
作り話なのか本当のこと言っているのかは全く分からないけれど、その話は退屈しない。
きっと作り話なのだろうけれど、イケメンの話す言葉には、どこか信じたくなるようなものがある。
何故なら、それを話す彼は本当に楽しそうだったし、誰もまともに持てない大斧を、いとも軽々と持ち上げて帰っていったからだ。
だから少なくともそのイケメンは、とびっきりの勇者なのだろう。
自称英雄の子孫。自称鬼神の友人。
暫くの間、この町はそんな話題でもちきりだった。
……。……。……。……。……。……。……。……。……。……。……。……
以下挿絵
作者不詳 『鬼神レイン像』
「なあ、そこの変な兄ちゃんよ」
「ん? 私か?」
「あんたしか居ねぇだろう。なんだその武器は」
「これは変な友人からの贈り物だ」
初老の男の言葉に周囲から少しの怒りが漏れる。
青年は無精髭を生やし、ワイルドながらも整ったその容貌に周囲の女性達がチラチラと覗き見ながら、いつ話しかけようかと機会を伺っていた。
そんな周囲の視線に気づいているのかいないのか、その齢40を過ぎた頃の男性は青年に変な兄ちゃんだと話しかけてきたのだ。
それに対して青年は、同じく変な友人という言葉を使って返事をする。
「あんたよりも変な友人ってどんなんだよ」
周囲の女性達の瞳に怒りの色が湧くのが分かる。
変なのはお前だオヤジ。そんな声が聞こえてきそうだ。
とはいえ、青年の武器は確かに気になる。
「そうだな、魔王を殺す様なやつだ」
「やっぱ変人はおめぇじゃねえか」
確かに。
と、周囲の女性達も納得してしまう。
魔王なんてのは100年以上前に滅びたし、最近はドラゴンの目撃例もない。
呪いも聖女様が解除してくれて、魔物はまだいるものの、概ね平和といって良い世の中だ。
そもそも魔王なんてのは何千人もの勇者が犠牲となりながらやっとの思いで倒せる存在。
青年の言葉が嘘だなんてこと位、すぐに分かる。
「ははっ、ま、否定はしないさ」
「なんだそりゃ」
どこか嬉しそうに笑う青年に、流石に皆が怪訝な顔をする。
「まあそりゃ良いか、話は変わるけどよぉ兄ちゃん、聖女様の話をなんか知ってたりしねえか?」
「いきなりどうしたんだ?」
「いやな、俺は聖女様のファンでよ、嫁が呪いに罹っちまったんだが、お陰で助かったのよ」
「……なるほど、それで”変な奴”の私に声をかけたという訳か」
「そういうこった」
聖女と鬼神の話は、色々な所でちょくちょくと語られている。
何故かそんな中、二人は意外と変な奴だという噂が流れている。
だからこそ、冒険者らしい格好をして変な奴な青年に、何か知っていることがないかと話しかけてみたということらしい。
「あんたは変な奴と見れば誰にでも声をかけてるのか」
「ま、そうだな。そんなかでも兄ちゃんはとびっきり変だ」
なんだかんだで、ここまで来ると周囲の女性達も二人の話が気になってくる。
「ははは、そうかそうか。私はそんなに変か」
相変わらず嬉しそうに青年は笑う。
「まあ、そうだな。聖女様は素敵な人だ。美しいと言うよりも可愛いという言葉が似合うと思う」
「そこかよ」
「重要だろう」
当然の様に語る青年に、返せる言葉は一つだけ。
「ま、まあそうだが」
「私は彼女にぶっ飛ばされたことがあるんだ」
「ぶっははは、直接の面識があるんだな。で、何やったんだおめぇ……」
「応援してくれたのさ」
「応援でぶっ飛ばすなんてことはしねえだろ聖女様はよ」
嬉しそうに語る青年に、初老の男性は少し怒ったように言う。
「いいやするのさ。聖女様だからな。私が一番元気が出ることをしてくれたんだ」
「マゾかよおめぇ……」
「はっはっは、そうかもしれないな」
どこか捉えどころのない青年の言葉。
オヤジはもちろん、周囲の女性達も青年に対して”変な奴”という印象が強くなっていく。
「まあ兄ちゃんの性癖は興味ねえや。で、他は?」
「強い人だ。ドラゴンを倒せる力だけでなく、精神的にも」
「やっぱりそうかぁ」
酒のせいか、頬を少しだけ染めながら青年は言う。
それを聞いて男性も嬉しそうだ。
「ふむふむ、やっぱり聖女様はすげえ人なんだな。で、鬼神ってのは実在するのか?」
「私はあいつが嫌いだ」
今度は、青年が少し怒った様に言う。
「鬼神とは何があったんだおめぇ」
「何度ぼこぼこにされたか分からない」
「はっはっは、なんでもかんでもマゾってわけじゃねえのか」
今度はオヤジがなんだか嬉しそうだ。
周囲の女性も、必死に耳を傾けている。
「当たり前だろう。何が嬉しくて野郎にぼこぼこにされなきゃならんのだ」
「そりゃそうだ。で、そいつはどん位強いんだ?」
「全く分からん」
「なんだそりゃ」
別に、魔王を相手に無傷と言っても良かった。どうせ信じやしないだろう。
しかし、自分でそれを見たわけではないし、恐らくそれが底ではない。
あの男に対して、強さに関しては正確でないことは言いたくなかった。
「ま、一度も勝てなかったよ」
「そりゃ、そんなでかい武器じゃ勝てるもんも勝てないだろが」
「正論だな」
青年が隣の建物に立てかけているその武器は長さ3m程もある斧だ。刃は無く、代わりに扇型のそれは上下から見れば流線形が美しい。
明らかに人が扱うような代物ではない。超巨大な、それこそドラゴンの様な相手になら有効かもしれないが、これが有効な通常の魔物というと殆ど思い浮かばない。これを全力で振り回せたとして、それは明らかにオーバースペックだ。
ましてや人の様な相手だとでかすぎて邪魔なだけだろう。
「分かってるならなんでそんなもん使ってるんだ」
「そりゃ、友人からの贈り物だからさ。ここに剣もあるし、不便はしていない」
青年の腰には、一本のショートソードが差してある。素人目に見ても中々に良さそうな品だ。
「ああ、斧のインパクトで見えちゃいなかった。やっぱ主力はそっちか」
「いいや、これはまだ一度も抜いていない」
「っ……。はっはっは、やっぱおめぇは思った以上に変な奴だな」
目を見開いて驚きながらも爆笑を始めるオヤジ。
周囲の女性達も、最早完全に話しかけるタイミングを伺うことなど忘れて興味深げに聞き入っている。
「この剣は鬼神の情けだ。あいつに施された情けなんて意地でも受け取るものか」
「受け取るものかって、大事そうに差してんじゃねえか」
「……あ」
はっはっはと笑い合う青年とオヤジ。
女性達も、最早クスクスと笑いを抑えることは出来なかった。
そこまで仲良くなったところで、オヤジが確信に迫る。
「で、友人って誰だよ」
「そりゃ、決まってるじゃないか」
私に勝ち逃げしやがったあいつだよ。
この屋外酒場には変わったイケメンが出る。
作り話なのか本当のこと言っているのかは全く分からないけれど、その話は退屈しない。
きっと作り話なのだろうけれど、イケメンの話す言葉には、どこか信じたくなるようなものがある。
何故なら、それを話す彼は本当に楽しそうだったし、誰もまともに持てない大斧を、いとも軽々と持ち上げて帰っていったからだ。
だから少なくともそのイケメンは、とびっきりの勇者なのだろう。
自称英雄の子孫。自称鬼神の友人。
暫くの間、この町はそんな話題でもちきりだった。
……。……。……。……。……。……。……。……。……。……。……。……
以下挿絵
作者不詳 『鬼神レイン像』
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
留学してたら、愚昧がやらかした件。
庭にハニワ
ファンタジー
バカだアホだ、と思っちゃいたが、本当に愚かしい妹。老害と化した祖父母に甘やかし放題されて、聖女気取りで日々暮らしてるらしい。どうしてくれよう……。
R−15は基本です。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
