380 / 592
第十章:鬼の娘
第百四十三話:一対一の戦い
しおりを挟む
「サニィ、俺はオリヴィアとエリーを殺して、世界を滅ぼさなければならない」
グレーズ王達との戦いが決着して数日後、レインはたまきにそんなことを告げていた。
魔王は、世界の意思の通りに動く操り人形。
たまきはそれを深く知っている。
元の意思は残っているともいないとも言えず、時折魔王になる前の言葉を口にすることがある。それはまるで、夢を見ている人が寝言を言うかの様に。
「ええ、分かっています、レイン様」
相変わらず全力でチャームをかけ続けたままに、たまきは答える。
魔王になったレインと共に過ごしている内に、たまきは気付いたことがあった。
チャームが効いている間は、レインは生前のことをよく話すのだ。
「エリーは本当に才能がある。オリヴィアはどこまでも努力家だ。殺さなければならないことが、どうにも勿体ない」
「ナディアとライラは、なんだかんだで仲が良い。殺すのは俺の手でやる。手を出すなよ」
「サンダルの女好きはきっと、殺しても治らないだろうな」
「ルークとエレナはお前が相手をするのが良いだろう」
そう、嬉しそうに話すレインを、たまきはずっと見ていた。
魔王となって尚、この人はかつて仲間だった者達を大切にしている。それが何故か、たまきにはとても眩しく見えた。
ただ魔物であった以前なら、嫉妬で容赦なく英雄候補達を殺していたのだと思う。
しかし、人々と触れ合って生きた数年間の間に随分変わったものだと、自らの変化を噛み締めていた時に、ふとレインが言った「エリーとオリヴィアを殺して、世界を滅ぼさなければならない」という言葉。
『勇者側に回り、俺を殺せ』
それはきっと、そんな意味だったのだろうと、すぐに理解した。
しかしたまきに、そんな選択は出来はしなかった。
魔物はどこまで行っても魔物だ。
一度魔王側に付いてしまった以上、もう人には戻れない。周囲では常に斥候達が睨みを利かし、下手な動きをしない様にと見張っている。もちろんそんな包囲は簡単に突破することも、チャームしてしまうことも出来る。今まで生き延びてきた手管を使えば、信用を勝ち取ることすら可能だろう。
それでもたまきは、それをやらなかった。
レインを魔王にしてしまったのは、安易な考えで生き返らせた自分の責任だ。
ならば最後まで寄り添うことが、共に討伐されることこそが、自分のすべきことなのではないか。
たまきは、そう考えた。
何より、チャームをやめればその瞬間から魔王は世界を滅ぼさんと活動を開始してしまうだろう。
そうなれば、共に過ごした人々も、少なからず親しくなったまりやアリスを殺す場面にも立ち会わなければならない。
それが、何故か嫌だった。
魔物であるたまきに、その感情がなんなのかは理解出来ない。
だから、たまきは覚悟を決めていた。
「私は、最後の最後までお供させていただきます」
きっとレインは、彼らを殺したくはない。流石にそれくらいは分かる。
だからせめて……、二人の時間が少しでも続くようにと抵抗はするけれど。
――。
彼女、妖狐たまきは皆を傷付けるつもりがまるでない様に見える。
冷静になった頭で観察した結果、サンダルが抱いた感想はそれだった。
強大な攻撃にも穴があり、防御は凄まじく堅いものの、太刀打ち出来ないレベルにはしていない。不死のマルスだけは時折致命傷を与えているものの、実力からしてその数は極端に少ない。
そして何より、自分達がやられた棘の魔法は、あの時一度きり。
魔法使いはパニックになれば魔法を使えない。それが、大前提だ。
それは例えドラゴンだろうが聖女だろうが関係無く、魔法使いのルールと言っても良い程のこと。
ならばあの棘の魔法は暴走ではなく、手加減を間違えたと考えることが出来るのではないか。
直前の吐血の隙を突いて襲いかかったことで、手加減することを考えられなかった一撃なのではないか。
サンダルの頭の中で、そんな結論に至る。
現に、魔法使い二人対たまき一人の状態になっても、戦況が不利になってはいない様だ。
今までと何も変わらず、魔法使い達は善戦している。
一方、魔王側は今正に、イリスが強烈な蹴りを食らって吹き飛んでいる。
盾は凹み、腕がおかしな方向に曲がっている。治療にも多少の時間がかかるだろう。
あちらに、魔法使いの二人が割り当てられて居なくて正解だと、それを見て思う。
あのレインを相手に平静を貫ける魔法使いが居たら、それはもう魔王と同格だ。流石は聖女様が唯一恐れた勇者の成れの果て。
そんな感想を抱きながら、現状を整理する。
残るは、エリー一人。
臓器の修復は粗方終わったものの、まだ身体が痺れて言うことを聞かない。
「クソッ! 動けよ!」
こんな時に回復するのが聖女様だったのなら、もうとっくに戦線に復帰出来ていたのだろう。
そう歯噛みするも、身体は動かない。
見る間にエリーの宝剣は、遂に残すところ二つとなっている。
その二つと、その奥の一人を見て、サンダルはつい、レインに何度目か分からない嫉妬をしてしまう。
ともかく、決着は後、ほんの数秒のことなのだろう。
――。
ここまで来て、ようやく一対一になれた。
元気過ぎる師匠には殆ど意味が無かったけれど、今なら少しは効いている。
腕が一本無くなった師匠と、満身創痍に近い私ではあるけれど、ようやくこれで、一対一。
精神介入すら殆ど効かなかった師匠だったけれど、今は完全に私一人に集中し始めている。
転がっていったイリス姉に見向きもしていないことから、それが効いていることが分かる。
今は、師匠対弟子の一騎打ちだ。
残った宝剣は、師匠の名前を貰った【長剣レイン】と、師匠の愛剣【不壊の月光】
偶然とは言えこの二本が残ったことが、何処か嬉しかった。
他の、師匠がプレゼントしてくれたおもちゃ達はみんな壊れてしまったけれど、それにもきっと、理由がある。
あえて子どもとして挑んだ私は、この二本で師匠を超えることでようやく大人になるのだ。
きっと、これは師匠からのそんなメッセージ。
だから、私は私に出来る全力を尽くす。
そう、これは一対一の戦いだ。
……。
互いに肩で息をしている戦いも、終盤。
いつの間にか、その光景を皆が見つめていた。
たまきとルーク達も、いつの間にか手を止め、師弟の戦いを見守っている。
それ程に、極限の戦い。
「あの子は本当に、レイン様の弟子なのね」
そう呟くたまきに、ルークも思わず頷く。
その光景は、絶対に介入などしてはいけない聖戦の様で、しかし泥に塗れた血生臭い戦いで、見ている者達を惹きつける。
ガッと音がして、エリーが躓く。
前のめりに倒れた体はそのまま倒れ、月光が宙を舞う。
決着かと思われた瞬間だった。
エリーが逆の踵で柄を蹴り、その剣で、レインを貫かんとした。
意識は完全にエリーの方へと行っていた。
相手がこの男でさえ無ければ、これで決着が付いていたかもしれない。
レインはその剣を、月光を、左手一つで白刃どりする。既に踵からは離れてしまった剣はもう推進力を持たず、胸の寸前の所で停止する。
転がったエリーと、それを見下ろすレイン。
一対一の戦いは、ここで決着を迎えた。
――。
負けちゃったけれど、後悔は無い。
この戦いは私の負けだけれど、私達の勝ちだ。
一対一では勝てなくても、師匠にはもう一人の愛弟子が居ることを忘れてるよ。忘れさせたのは、一対一だと思い込ませた私なんだけど。
「オリ姉!」
エリーが叫ぶのとほぼ同時、全速力のオリヴィアがレインの間近に迫る。
直前でハッと気付いたレインが月光を僅かにずらそうとするが、相手はその自慢の弟子だった。
必中の蹴りがその速度域でもその柄を正確に捉え、月光をレインの胸へと突き入れる。
どうあがいても回避不可能な必中の蹴りを出せたのは、レインがエリーに止めを刺そうと集中していたからに他ならない。
しかし、最強の姫の相手もまた歴戦の、最強の勇者で、魔王だった。
己の肉体を貫かれることを理解した魔王は月光を手放すと、一瞬遅れてオリヴィアの腹部を貫かんとする。
そしてそれは、そのままオリヴィアに当たってしまって……遂に魔王は倒れた。
その剣は確実に、魔王の心臓を貫いていた。心臓の奥深く、魔王の結晶を確実に砕く様に、オリヴィアは命を賭して月光に必中を付与して。
「相手を確実に仕留められると確信した瞬間はどんな生き物であっても一瞬の隙が生まれる」
かつてレインが言っていたその言葉を、二人は共に体現した形となった。
グレーズ王達との戦いが決着して数日後、レインはたまきにそんなことを告げていた。
魔王は、世界の意思の通りに動く操り人形。
たまきはそれを深く知っている。
元の意思は残っているともいないとも言えず、時折魔王になる前の言葉を口にすることがある。それはまるで、夢を見ている人が寝言を言うかの様に。
「ええ、分かっています、レイン様」
相変わらず全力でチャームをかけ続けたままに、たまきは答える。
魔王になったレインと共に過ごしている内に、たまきは気付いたことがあった。
チャームが効いている間は、レインは生前のことをよく話すのだ。
「エリーは本当に才能がある。オリヴィアはどこまでも努力家だ。殺さなければならないことが、どうにも勿体ない」
「ナディアとライラは、なんだかんだで仲が良い。殺すのは俺の手でやる。手を出すなよ」
「サンダルの女好きはきっと、殺しても治らないだろうな」
「ルークとエレナはお前が相手をするのが良いだろう」
そう、嬉しそうに話すレインを、たまきはずっと見ていた。
魔王となって尚、この人はかつて仲間だった者達を大切にしている。それが何故か、たまきにはとても眩しく見えた。
ただ魔物であった以前なら、嫉妬で容赦なく英雄候補達を殺していたのだと思う。
しかし、人々と触れ合って生きた数年間の間に随分変わったものだと、自らの変化を噛み締めていた時に、ふとレインが言った「エリーとオリヴィアを殺して、世界を滅ぼさなければならない」という言葉。
『勇者側に回り、俺を殺せ』
それはきっと、そんな意味だったのだろうと、すぐに理解した。
しかしたまきに、そんな選択は出来はしなかった。
魔物はどこまで行っても魔物だ。
一度魔王側に付いてしまった以上、もう人には戻れない。周囲では常に斥候達が睨みを利かし、下手な動きをしない様にと見張っている。もちろんそんな包囲は簡単に突破することも、チャームしてしまうことも出来る。今まで生き延びてきた手管を使えば、信用を勝ち取ることすら可能だろう。
それでもたまきは、それをやらなかった。
レインを魔王にしてしまったのは、安易な考えで生き返らせた自分の責任だ。
ならば最後まで寄り添うことが、共に討伐されることこそが、自分のすべきことなのではないか。
たまきは、そう考えた。
何より、チャームをやめればその瞬間から魔王は世界を滅ぼさんと活動を開始してしまうだろう。
そうなれば、共に過ごした人々も、少なからず親しくなったまりやアリスを殺す場面にも立ち会わなければならない。
それが、何故か嫌だった。
魔物であるたまきに、その感情がなんなのかは理解出来ない。
だから、たまきは覚悟を決めていた。
「私は、最後の最後までお供させていただきます」
きっとレインは、彼らを殺したくはない。流石にそれくらいは分かる。
だからせめて……、二人の時間が少しでも続くようにと抵抗はするけれど。
――。
彼女、妖狐たまきは皆を傷付けるつもりがまるでない様に見える。
冷静になった頭で観察した結果、サンダルが抱いた感想はそれだった。
強大な攻撃にも穴があり、防御は凄まじく堅いものの、太刀打ち出来ないレベルにはしていない。不死のマルスだけは時折致命傷を与えているものの、実力からしてその数は極端に少ない。
そして何より、自分達がやられた棘の魔法は、あの時一度きり。
魔法使いはパニックになれば魔法を使えない。それが、大前提だ。
それは例えドラゴンだろうが聖女だろうが関係無く、魔法使いのルールと言っても良い程のこと。
ならばあの棘の魔法は暴走ではなく、手加減を間違えたと考えることが出来るのではないか。
直前の吐血の隙を突いて襲いかかったことで、手加減することを考えられなかった一撃なのではないか。
サンダルの頭の中で、そんな結論に至る。
現に、魔法使い二人対たまき一人の状態になっても、戦況が不利になってはいない様だ。
今までと何も変わらず、魔法使い達は善戦している。
一方、魔王側は今正に、イリスが強烈な蹴りを食らって吹き飛んでいる。
盾は凹み、腕がおかしな方向に曲がっている。治療にも多少の時間がかかるだろう。
あちらに、魔法使いの二人が割り当てられて居なくて正解だと、それを見て思う。
あのレインを相手に平静を貫ける魔法使いが居たら、それはもう魔王と同格だ。流石は聖女様が唯一恐れた勇者の成れの果て。
そんな感想を抱きながら、現状を整理する。
残るは、エリー一人。
臓器の修復は粗方終わったものの、まだ身体が痺れて言うことを聞かない。
「クソッ! 動けよ!」
こんな時に回復するのが聖女様だったのなら、もうとっくに戦線に復帰出来ていたのだろう。
そう歯噛みするも、身体は動かない。
見る間にエリーの宝剣は、遂に残すところ二つとなっている。
その二つと、その奥の一人を見て、サンダルはつい、レインに何度目か分からない嫉妬をしてしまう。
ともかく、決着は後、ほんの数秒のことなのだろう。
――。
ここまで来て、ようやく一対一になれた。
元気過ぎる師匠には殆ど意味が無かったけれど、今なら少しは効いている。
腕が一本無くなった師匠と、満身創痍に近い私ではあるけれど、ようやくこれで、一対一。
精神介入すら殆ど効かなかった師匠だったけれど、今は完全に私一人に集中し始めている。
転がっていったイリス姉に見向きもしていないことから、それが効いていることが分かる。
今は、師匠対弟子の一騎打ちだ。
残った宝剣は、師匠の名前を貰った【長剣レイン】と、師匠の愛剣【不壊の月光】
偶然とは言えこの二本が残ったことが、何処か嬉しかった。
他の、師匠がプレゼントしてくれたおもちゃ達はみんな壊れてしまったけれど、それにもきっと、理由がある。
あえて子どもとして挑んだ私は、この二本で師匠を超えることでようやく大人になるのだ。
きっと、これは師匠からのそんなメッセージ。
だから、私は私に出来る全力を尽くす。
そう、これは一対一の戦いだ。
……。
互いに肩で息をしている戦いも、終盤。
いつの間にか、その光景を皆が見つめていた。
たまきとルーク達も、いつの間にか手を止め、師弟の戦いを見守っている。
それ程に、極限の戦い。
「あの子は本当に、レイン様の弟子なのね」
そう呟くたまきに、ルークも思わず頷く。
その光景は、絶対に介入などしてはいけない聖戦の様で、しかし泥に塗れた血生臭い戦いで、見ている者達を惹きつける。
ガッと音がして、エリーが躓く。
前のめりに倒れた体はそのまま倒れ、月光が宙を舞う。
決着かと思われた瞬間だった。
エリーが逆の踵で柄を蹴り、その剣で、レインを貫かんとした。
意識は完全にエリーの方へと行っていた。
相手がこの男でさえ無ければ、これで決着が付いていたかもしれない。
レインはその剣を、月光を、左手一つで白刃どりする。既に踵からは離れてしまった剣はもう推進力を持たず、胸の寸前の所で停止する。
転がったエリーと、それを見下ろすレイン。
一対一の戦いは、ここで決着を迎えた。
――。
負けちゃったけれど、後悔は無い。
この戦いは私の負けだけれど、私達の勝ちだ。
一対一では勝てなくても、師匠にはもう一人の愛弟子が居ることを忘れてるよ。忘れさせたのは、一対一だと思い込ませた私なんだけど。
「オリ姉!」
エリーが叫ぶのとほぼ同時、全速力のオリヴィアがレインの間近に迫る。
直前でハッと気付いたレインが月光を僅かにずらそうとするが、相手はその自慢の弟子だった。
必中の蹴りがその速度域でもその柄を正確に捉え、月光をレインの胸へと突き入れる。
どうあがいても回避不可能な必中の蹴りを出せたのは、レインがエリーに止めを刺そうと集中していたからに他ならない。
しかし、最強の姫の相手もまた歴戦の、最強の勇者で、魔王だった。
己の肉体を貫かれることを理解した魔王は月光を手放すと、一瞬遅れてオリヴィアの腹部を貫かんとする。
そしてそれは、そのままオリヴィアに当たってしまって……遂に魔王は倒れた。
その剣は確実に、魔王の心臓を貫いていた。心臓の奥深く、魔王の結晶を確実に砕く様に、オリヴィアは命を賭して月光に必中を付与して。
「相手を確実に仕留められると確信した瞬間はどんな生き物であっても一瞬の隙が生まれる」
かつてレインが言っていたその言葉を、二人は共に体現した形となった。
0
あなたにおすすめの小説
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる