悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

文字の大きさ
57 / 319
連載

魔法少女にはなりたくない

しおりを挟む
その夜、晩餐に父が持ち帰った知らせは良い物とは言えなかった。

「あら…お茶会を…?」

「嫌なら勿論、断っても構わない」

シルヴァインは完全に醒めた顔で父を見ている。
それは聖女候補二人の養父である、ダドニー男爵とクレイトン伯爵によるお茶会の申し出であった。
名目は、数々の非礼への謝罪、である。

「いえ…謝罪したいというのであれば、お受けしないと狭量だと思われますし、
 今回だけは、わたくしの苦言の通りに父君を通されての申し出ですので、お受け致しますわ」

行動を訂正してくるのはマリアローゼには予想外だった。
もっと長い時間がかかると思っていたのだ。
もしかしたら別の思惑があるのかもしれないが、受けないという選択はしない。
デザートを口へ運びつつ、マリアローゼは少し考える。

「俺も一緒に行きましょう」
「駄目ですわ」

シルヴァインが不承不承言い出したが、マリアローゼは即座に首を横に振った。

「シルヴァインも誘われてはいるんだよ」

困ったようにジェラルドが言うが、断固としてマリアローゼは首を横にふるふると振る。

「わたくしからの唯一の条件として、申し出を受ける際にお伝え下さいませ。
 殿方の同席はご遠慮頂きたいですと」

「ふむ、分かった。伝えておこう」

父は何か考えながらも、深く頷いた。
了承した父を見て、シルヴァインもそれ以上の追究はせずに、押し黙る。
沈黙したものの、疑念をこめた目線で訴えかけるシルヴァインにマリアローゼは答えた。

「問題ございませんわ。ユリアさんとカンナお姉様がついてらっしゃいますもの。
 それに、お兄様がいては、彼女たちの気も散るでしょうし」

恨むならご自分の顔面偏差値を恨んでください、と心の中で付け足す。
シルヴァインは肩を竦めて、大袈裟に溜息をついて見せた。

「大丈夫です。万全の準備を致しますので」

「分かった。では控室で大人しく待っているよ」

部屋で待てばいいのだが、譲った結果が控室なのだろうから、マリアローゼもそれには頷く。
場所はこの前とは違う、賓客用の客間で行われるらしい。
この国で最後の仕事となるので、護衛騎士も全員強制参加になるようだ。

「予定通り出発は明後日だ。……何事もなければな」

意味深なその言葉が、不吉な予言となって的中する事になるのだが、
それはその場にいる全員が危惧していたことではあった。

翌朝、父母は最後の社交に出かけていく。
残されたマリアローゼはお茶会用のドレスを選び始めた。

「青、緑、と着たので、最後は赤にしようかしら……」

顎に手の甲を当てて考え込む姿に、ユリアはまたも部屋の隅で悶絶している。

「そうですわね。最後ですし、分かって頂く為にも華美に装いましょう」

あまり華美なのは好きではない。
似合いはするのだが、見た目ではなく心理的な意味で下品な気がしてしまうからだ。
勿論、社交と言う事柄上、豪奢な装いは不可欠なのは分かっている。
着飾り、財力を見せる事は貴族としての義務でもあるのだ。
今回は特に、公爵家の財力と権威を見せる必要がありそうだった。

「それなら良い考えがありますよ!!」

置物が喋った。
マリアローゼは思わず笑い声を立てる。

「何ですの?」
「髪型を、今、考えてました!ちょっとルーナさんに説明してきますね!!」

るうなさあんっ、というユリアの呼び声の余韻を聞きながら、
準備されていた宝石箱を開けていく。

赤い色の宝石はルビーだろうか、ガーネットだろうか…
見た目で違いは分からないが、ドレスの色に合いそうなチョーカーがある。
子供の身体には普通のチョーカーは緩いので、ビロードのリボンに宝石が付けられていた。
将来的にはチョーカーやペンダントトップとして作り直すことが出来そうだ。
問題はカットなのだが…ハートの形の、ハートシェイプカットになった赤い宝石。

何かの魔法少女みたい…

綺麗なのだが、少し子供っぽく見えてしまう。

あ、まだわたくし子供だったわ…
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。