悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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手紙とフクロウ

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シルヴァインと彼に報告があるというユリアを残して、
ルーナの開いた扉の中に、マリアローゼとカンナが入っていく。

「ええと、わたくしこれからお手紙を書きますので、ちょっと失礼致しますわね」
「では、私は読書をしてます」

窓際に置かれた机にマリアローゼが座ると、ルーナが手紙を書く一式を用意した。
カンナはすぐ近くの壁際に置いた椅子に腰掛けて、本を読み始める。

「ルーナ、わたくしの鞄もお願いしますわ」
「かしこまりました」

いつもルーナが持ち歩いている手荷物を持って、マリアローゼの足元へと運び、
ルーナはマリアローゼの為にお茶を用意しにその場を離れた。

マリアローゼは幾つかの手紙をゆっくりと書いていく。
1通はリトリーに向けて、もう1通は公爵邸にいる人々に向けての手紙だ。
リトリーに対しては記憶を失って、名前をオリーヴェに改めたテレーゼの話、
それから彼女の処遇の話を説明して、最後は幸運を祈っている事をしたためた。

公爵邸に関しては、マリクに薬のお礼や効果についての話と、レノやクリスタへの協力の話。
レノとクリスタの二人には、魔道具の進捗具合と、マリクが作る薬の量産体制について。
キースにはご機嫌伺いと、薬の生産についての統括を依頼と、代理人である商人との販路や諸々の相談。
エレパースには神聖国で手に入れた植物の種を小包にしたものにカードを添えた。

書き終わると、ルーナが淹れてくれた甘いミルクティで喉を潤した。

「ありがとう、ルーナ。とっても美味しいです」

ルーナはにっこりと嬉しそうに笑顔を見せる。

ひと段落ついたその瞬間に、バターーンと扉が開けられた。
ユリアが何かを持って立っていて、よく見ると大きな鳥籠だった。

「お約束のフクロウさんですよ!!」

鳥かごの中には、割と大き目の白いフクロウが止まり木にとまっている。

「まあ、白い。羽も、目も綺麗ですわね」

駆け寄ったマリアローゼが籠を覗き込んで、嬉しそうに笑った。
フクロウは白い羽に、銀色の嘴を持っている。
目は夜空のように青く澄んでいて、星を散らしたような光が宿っていた。
ユリアはまず、ルーナに厚手の革の手袋を渡しながら言う。

「フクロウを止まらせるほうの手に付けてあげてください」
「私もフクロウははじめてです」

側に寄ってきたカンナを見て、ユリアは少し考えた。

「私は別に素手でいけますけど、カンナさんは……革鎧なら大丈夫そうですね」

「大丈夫です」

しげしげとフクロウを見ていたマリアローゼが顔を上げてもじもじとするのを見て、
ユリアは鼻血が出ないか心配になり鼻と口を急いで覆う。

「あの…あの…噛まれたり、しないでしょうか?」

上目遣いの破壊力+もじもじの殲滅力にHPマイナスになりながら、ユリアが全力で答えた。

「噛まないと思いますけど、万が一噛みやがったら、私が噛んでやりますよ!」
「そ、それは可哀想なので、やめてあげてください」

ユリアがやると言ったら本当にやりそうで、マリアローゼは自分よりもフクロウの身が心配になるのだった。
ルーナが左手に革の手袋をはめてくれたので、ふんす!とやる気に満ちた目をユリアに向けると、
ユリアが籠に手を入れて、フクロウを取り出した。
もう片方の手に乗せてある餌を、マリアローゼに差し出す。

「これあげてみてください」
「分かりました」

恐る恐るフクロウの目を覗き込みながら、餌を嘴の近くへ持っていくと、静かに咥えてぽしぽしとフクロウが食べた。
ほわああと、頬を染めて大きく息を吸い込んで、マリアローゼは目を輝かせる。

「食べてますわ!」

「可愛いですね!じゃあカンナさんとルーナさんもどうぞ」

ユリアから餌を渡されたカンナは、今の可愛いですね、はマリアローゼ様の事なんだろうなあと思いながら、同じようにフクロウに餌を与えた。
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