悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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残念なユリアの考察

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「でしたら、後日其々の騎士団や私兵団宛にお礼状を出します。それならば問題ありませんわね?」
「頑固だなあローゼは」
「感謝の気持は忘れてはいけませんの。そしてお伝えする事も大事な事ですわ」

マリアローゼの髪を掬っては、小さな手で叩かれるシルヴァインと、幼いのに大人びた持論を可愛らしい声と口調とほっぺで語るマリアローゼを見守りながら、ユリアは考え込んだ。

前世の記憶があってもなくても、マリアローゼの言動は素晴らしく賢く、可愛らしく、尊い。
尊みに溢れている。そのお陰でユリアの寿命も延びている。
控えめに言っても地上に舞い降りた天使。
普通はその優しさは攻略対象及び、周囲のイケメンにのみ発揮されるのだが、寧ろ攻略対象まっしぐらなのだが、
マリアローゼが神対応を見せた今日の人物達は豪快でムサいおっさんと、
筋肉はあるけど見た目は色々でムサい、財産も地位も権力もないムサい冒険者達。
損得で考えるなら、打算であれば相手にする価値はないだろう。
かといって、媚びている訳でもない。
今も美形攻略対象であるシルヴァインの構う手をぺちぺちと叩いて防御している。

是非、叩かれたい。

脱線したが、彼女はやはり記憶があってもなくても、変わらずに自己を保っているのだ。
価値観に従い、自分なりの美徳や倫理を大事にしている。
結局、ユリアの目に狂いはなく、マリアローゼは至上最高の存在なのだ。

ユリアの思考の流れをカンナが追うことが出来ていたら、最初は笑顔で最後は残念な顔になっていただろう。
結局行き着く先はいつも同じなのである。
静かに考え込んでいると思われたユリアが、フラフラと両手を伸ばして喚きだす。

「わ、わた、わわたしも、ほっぺに触りたいです!」
「駄目です」

シルヴァインでもマリアローゼでもなく、給仕をしているルーナに断られた。
ユリアは残念そうな顔を一瞬したが、マリアローゼと目があうとふにゃりと笑顔を浮かべる。

「マリアローゼ様のお言葉はいつも素晴らしいです」
「私もそう思います」

ユリアの隣に座っているカンナも、前のめりで頷いた。

「あ、そういえば、頼まれていた件ですが、希望価格については予想より少し高めでしたので、当初の予定の金額で販売すれば、喜ばれると思いますよ」
「そうですのね。安心致しましたわ。これで、少しでも冒険者さま達の力になれれば嬉しいです」
「なりますよ。絶対なります」

カンナが嬉しそうに頬を染めて拳を握った。

「ならないとか言う奴がいたら、私が分からせてやりますよ!」

ユリアが違う意味で拳を握ったのを見て、マリアローゼは困った顔をした。

「乱暴はいけませんわ…」
「いいえ、拳で語り合うだけです。大丈夫です」

何も大丈夫じゃない事を言いながら、ユリアが力強く頷いた。

「さて、俺はそろそろ会場に行かなくてはな。後を頼んだぞ、ルーナ、カンナ」
「承りました」
「はい」

シルヴァインが立ち上がって、それぞれを一瞥して声をかけると、
カンナも立ち上がり、ルーナも居ずまいを正して返事を返した。

「あれぇ?名前呼ばれてないなぁ?おかしいぞぉう?」

腕を組んで首を傾げるユリアを無視して、シルヴァインは扉の前で振り返った。

「くれぐれもいい子にしているんだよ、ローゼ」
「はい、お兄様」

見送りに立ち上がったマリアローゼがスカートを摘んでお辞儀をするのを微笑んで見守って、シルヴァインはルーナの開けた扉から颯爽と出て行った。


出て行った途端にユリアがすっくと立ち上がる。

「さ、私達もパーティの準備をしましょう!」

「え?でも先程参加してはいけないと…」

マリアローゼが困った様にユリアを見上げると、ユリアはにっこりと笑顔を見せた。

「外の奴らなんて知ったこっちゃありませんよ!4人でパーティしましょう!
たまにはルーナさんにもドレス着せたりとか、したらいいんじゃないでしょうか」

「まあ…まあ、それは、是非、わたくしも見てみたいわ!」

小さな主人が喜ぶ様を見てしまっては、ルーナも断りの言葉が見つからなかった。
ルーナにとっては、マリアローゼを着飾らせる方がずっと大事で嬉しい事なので、
自分がドレスを着たいかと言われれば首を傾げてしまう。

「ルーナ、貴女のドレスも選びましょう」

愛しい主の小さくて温かい手で、手を引かれてしまっては従うより他はない。
ルーナは戸惑いながらもこくりと頷き、マリアローゼと共に隣の部屋へと移動していく。
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