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第三王子とのお散歩
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ロランドとアルベルトは去っていくマリアローゼの後姿を見ながら、母である王妃に目を向けるが、首を横に振られる。
言外に追うなと意思表示されてしまえば、言い出す事も追いかける事も出来ない。
席について間もないのに、令嬢を追いかけて席を立つのは公爵夫人にも失礼にあたる。
二人は、ふわふわと風に靡くマリアローゼの銀色の髪が、
茂みの向こうへ消えるのを何ともいえないモヤモヤした気持ちで眺めた。
まだ、言葉も発せない赤ん坊の弟に嫉妬している訳ではないのだが、久しぶりに会えたというのに、言葉をあまり交わせなかったのだ。
少なくとも兄弟同士が恋敵にすらなれていないのが分かって、残念な気持ちに落ち着いた。
「ゼナイダさんは、乳母のお仕事は長うございますの?」
「そうでございますねぇ。殿下達のお世話も任されて参りましたので、もう7年になりますでしょうか」
「まあ…ではお二人の事もよくご存知でいらっしゃるのね」
にこにこと無邪気な笑顔を浮かべるマリアローゼに、ゼナイダは柔らかな笑顔を返した。
「私どもにその様な丁寧なお言葉遣いは不要でございますよ」
「身近な使用人であれば、砕けた物言いも出来るのですが、年上の尊敬すべき方々に突然敬意を持たない
話し方は出来ませんわ。わたくしの我侭ですけれども」
マリアローゼの答えに対して、ふふっとゼナイダは笑った。
「坊ちゃま達がお変わりになられたのは、やはりお嬢様の影響なのでしょうね」
変わった?
どういう事なのだろう?
マリアローゼはこてん、と首を傾げた。
「ロランド殿下は…確かに穏やかにお成りあそばされたようですけれど、
アルベルト殿下はあまり変化が感じられませんような……」
「長年見守って参りましたから。同じ年月ご覧になられてきた王妃様も、多分同じご意見かと思われますよ」
「良い変化でしたら、喜ばしいのですけれど」
ゼナイダはゆったりと頷いて、微笑んだ。
小さな木立と花が咲く茂みを通り抜けると、少し大きめの木があり、ゼナイダは片腕でエネアを抱いたまま、器用に敷物を広げた。
「さあさ、お座りなさいませ。殿下も運動が必要ですから」
「有難う存じます。それでは失礼致しますわ」
マリアローゼが敷物の上にふわりと座ると、ゼナイダは敷物の上にエネアを下ろした。
エネアは少しの間、置かれた姿勢で座っていたが、ゆっくりと這い始める。
そして、マリアローゼの膝にぽふん、と顔を埋めた。
「まあ、じょうずに這い這いできましたわね、殿下」
褒め称えて、金色の巻き毛を撫でると、ほにゃあとエネアが笑った。
「さあ、殿下、次はゼナイダさんの所へ」
よいしょ、と抱えてゼナイダの方へ向けるが、エネアは振り返ってまたマリアローゼの膝に抱きつく。
「あら……」
困った様に見ると、ゼナイダはとても楽しそうに笑っている。
「お嬢様をお気に召されたのですねえ。では仕方ありません」
放って置くのかと思ってゼナイダを見ていると、ゼナイダはエネアを抱き上げると、マリアローゼの座っている場所から離れた場所に、エネアを降ろした。
降ろされて、今度はすぐにマリアローゼの方を見て、まっすぐに這い寄って来る。
割と、早い。
「まあ、殿下。手足の力が強うございますのね。早かったですわ」
小さな両手で、金色の巻き毛をくしゃくしゃと撫でると、エネアは満足そうに笑った。
「あーぅ」
「もっと撫でてほしいのですか?甘えん坊さんですわねえ」
などとお姉さんぶりながら撫でている間に、ゼナイダはさらに向こうに敷物を広げていた。
「さ、殿下、お励みくださいませ」
更に遠い場所に置かれたエネアは、不満げな声をあげた。
言外に追うなと意思表示されてしまえば、言い出す事も追いかける事も出来ない。
席について間もないのに、令嬢を追いかけて席を立つのは公爵夫人にも失礼にあたる。
二人は、ふわふわと風に靡くマリアローゼの銀色の髪が、
茂みの向こうへ消えるのを何ともいえないモヤモヤした気持ちで眺めた。
まだ、言葉も発せない赤ん坊の弟に嫉妬している訳ではないのだが、久しぶりに会えたというのに、言葉をあまり交わせなかったのだ。
少なくとも兄弟同士が恋敵にすらなれていないのが分かって、残念な気持ちに落ち着いた。
「ゼナイダさんは、乳母のお仕事は長うございますの?」
「そうでございますねぇ。殿下達のお世話も任されて参りましたので、もう7年になりますでしょうか」
「まあ…ではお二人の事もよくご存知でいらっしゃるのね」
にこにこと無邪気な笑顔を浮かべるマリアローゼに、ゼナイダは柔らかな笑顔を返した。
「私どもにその様な丁寧なお言葉遣いは不要でございますよ」
「身近な使用人であれば、砕けた物言いも出来るのですが、年上の尊敬すべき方々に突然敬意を持たない
話し方は出来ませんわ。わたくしの我侭ですけれども」
マリアローゼの答えに対して、ふふっとゼナイダは笑った。
「坊ちゃま達がお変わりになられたのは、やはりお嬢様の影響なのでしょうね」
変わった?
どういう事なのだろう?
マリアローゼはこてん、と首を傾げた。
「ロランド殿下は…確かに穏やかにお成りあそばされたようですけれど、
アルベルト殿下はあまり変化が感じられませんような……」
「長年見守って参りましたから。同じ年月ご覧になられてきた王妃様も、多分同じご意見かと思われますよ」
「良い変化でしたら、喜ばしいのですけれど」
ゼナイダはゆったりと頷いて、微笑んだ。
小さな木立と花が咲く茂みを通り抜けると、少し大きめの木があり、ゼナイダは片腕でエネアを抱いたまま、器用に敷物を広げた。
「さあさ、お座りなさいませ。殿下も運動が必要ですから」
「有難う存じます。それでは失礼致しますわ」
マリアローゼが敷物の上にふわりと座ると、ゼナイダは敷物の上にエネアを下ろした。
エネアは少しの間、置かれた姿勢で座っていたが、ゆっくりと這い始める。
そして、マリアローゼの膝にぽふん、と顔を埋めた。
「まあ、じょうずに這い這いできましたわね、殿下」
褒め称えて、金色の巻き毛を撫でると、ほにゃあとエネアが笑った。
「さあ、殿下、次はゼナイダさんの所へ」
よいしょ、と抱えてゼナイダの方へ向けるが、エネアは振り返ってまたマリアローゼの膝に抱きつく。
「あら……」
困った様に見ると、ゼナイダはとても楽しそうに笑っている。
「お嬢様をお気に召されたのですねえ。では仕方ありません」
放って置くのかと思ってゼナイダを見ていると、ゼナイダはエネアを抱き上げると、マリアローゼの座っている場所から離れた場所に、エネアを降ろした。
降ろされて、今度はすぐにマリアローゼの方を見て、まっすぐに這い寄って来る。
割と、早い。
「まあ、殿下。手足の力が強うございますのね。早かったですわ」
小さな両手で、金色の巻き毛をくしゃくしゃと撫でると、エネアは満足そうに笑った。
「あーぅ」
「もっと撫でてほしいのですか?甘えん坊さんですわねえ」
などとお姉さんぶりながら撫でている間に、ゼナイダはさらに向こうに敷物を広げていた。
「さ、殿下、お励みくださいませ」
更に遠い場所に置かれたエネアは、不満げな声をあげた。
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