143 / 319
連載
王弟殿下も拗らせ系?
しおりを挟む
にっこりと微笑んだマリアローゼに、ゼナイダは優しい笑みを浮かべて会釈すると、
エネアを抱えたまま城の方へと戻って行った。
マリアローゼはお茶会の席へと戻ろうとして、庭に人影を見つけて立ち止まる。
その人物は、マリアローゼを待ち構えていたかのように、佇んでいた。
金の髪に、空色の瞳。
見た目は王族一家とよく似ているが、顔付きは少し違う。
何といえば良いのか分からないが、獰猛さを感じさせるような、悪く言えば育ちの悪さだろうか。
アルベルトやロランドにある、どこか緩やかなおっとりとした雰囲気がまるでないのだ。
「これは、フィロソフィ公爵令嬢。お初にお目にかかります。キルクルスと申します」
「ご丁寧な挨拶、感謝致しますわ。キルクルス王弟殿下」
マリアローゼも、王族に対する礼儀正しいお辞儀をして、再びキルクルスと相対した。
キルクルスはこの国の王弟の1人だ。
本来ならば、王弟殿下と呼ぶべきかどうか迷う、複雑な出自の王子だ。
先王陛下は、現王であるアルフォンソの母であるユリア妃との間に2人の男児もうけた。
更に、貴族である側妃に1人、平民である側妾に2人。
側妾の兄の方が、目の前にいるキルクルスである。
王国では基本的に側妾を認めていない。
平民の血を王家に混ぜてはいけない、という考えと一夫一婦制が基本だからである。
歴代の王の中でも先王は慣例を無視した珍しい部類の人間だ。
だからこそ、庶民の血を受け継ぐキルクルスは王位継承権を持つ直系の血筋でありつつも、王座からは遠い距離にいる。
ニヤリ、と片方の口角を引き上げるような、野卑た笑みを浮かべて、キルクルスは言い放った。
「おや、公爵家は私を王弟と認めてくださるとはな」
「認めるも何も、王弟でいらっしゃいますもの。殿下は違うと仰せでございますの?」
スン、と表情を失くして、キルクルスは答えた。
「違わない」
貴方は何がしたいのですか。
公爵家の後ろ盾が得たいのなら、さっきのような露骨に嫌な態度は悪手でしかない。
素が出てしまったのだろうか?
それなら尚更、王には向かない。
冷たい感情を表に出さずに済む様に、マリアローゼは話題を変えた。
「此処で、何をしていらっしゃいましたの?」
よく分からないが、何か用があるのなら話を進めて貰って、お茶会の続きに戻りたかった。
マリアローゼはキルクルスの返事を待つように、静かに見詰める。
もしかしてこの人も拗らせているのだろうか?
失礼な事を思いながら、マリアローゼはむっつりとしている王子を置いて、お茶会に戻ろうかなと思い始めた。
エネアを抱えたまま城の方へと戻って行った。
マリアローゼはお茶会の席へと戻ろうとして、庭に人影を見つけて立ち止まる。
その人物は、マリアローゼを待ち構えていたかのように、佇んでいた。
金の髪に、空色の瞳。
見た目は王族一家とよく似ているが、顔付きは少し違う。
何といえば良いのか分からないが、獰猛さを感じさせるような、悪く言えば育ちの悪さだろうか。
アルベルトやロランドにある、どこか緩やかなおっとりとした雰囲気がまるでないのだ。
「これは、フィロソフィ公爵令嬢。お初にお目にかかります。キルクルスと申します」
「ご丁寧な挨拶、感謝致しますわ。キルクルス王弟殿下」
マリアローゼも、王族に対する礼儀正しいお辞儀をして、再びキルクルスと相対した。
キルクルスはこの国の王弟の1人だ。
本来ならば、王弟殿下と呼ぶべきかどうか迷う、複雑な出自の王子だ。
先王陛下は、現王であるアルフォンソの母であるユリア妃との間に2人の男児もうけた。
更に、貴族である側妃に1人、平民である側妾に2人。
側妾の兄の方が、目の前にいるキルクルスである。
王国では基本的に側妾を認めていない。
平民の血を王家に混ぜてはいけない、という考えと一夫一婦制が基本だからである。
歴代の王の中でも先王は慣例を無視した珍しい部類の人間だ。
だからこそ、庶民の血を受け継ぐキルクルスは王位継承権を持つ直系の血筋でありつつも、王座からは遠い距離にいる。
ニヤリ、と片方の口角を引き上げるような、野卑た笑みを浮かべて、キルクルスは言い放った。
「おや、公爵家は私を王弟と認めてくださるとはな」
「認めるも何も、王弟でいらっしゃいますもの。殿下は違うと仰せでございますの?」
スン、と表情を失くして、キルクルスは答えた。
「違わない」
貴方は何がしたいのですか。
公爵家の後ろ盾が得たいのなら、さっきのような露骨に嫌な態度は悪手でしかない。
素が出てしまったのだろうか?
それなら尚更、王には向かない。
冷たい感情を表に出さずに済む様に、マリアローゼは話題を変えた。
「此処で、何をしていらっしゃいましたの?」
よく分からないが、何か用があるのなら話を進めて貰って、お茶会の続きに戻りたかった。
マリアローゼはキルクルスの返事を待つように、静かに見詰める。
もしかしてこの人も拗らせているのだろうか?
失礼な事を思いながら、マリアローゼはむっつりとしている王子を置いて、お茶会に戻ろうかなと思い始めた。
395
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
異世界でも保育士やってます~転生先に希望条件が反映されてないんですが!?~
こじまき
ファンタジー
「こんな転生先だなんて聞いてないっ!」六年間付き合った彼氏に婚約を解消され、傷心のまま交通事故で亡くなった保育士・サチ。異世界転生するにあたり創造神に「能力はチートで、広い家で優しい旦那様と子だくさんの家庭を築きたい」とリクエストする。「任せといて!」と言われたから安心して異世界で目を覚ましたものの、そこはド田舎の山小屋。周囲は過疎高齢化していて結婚適齢期の男性なんていもしないし、チートな魔法も使えそうにない。創造神を恨みつつマニュアル通り街に出ると、そこで「魔力持ち」として忌み嫌われる子どもたちとの出会いが。「子どもには安心して楽しく過ごせる場所が必要」が信条のサチは、彼らを小屋に連れ帰ることを決め、異世界で保育士兼りんご農家生活を始める。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
転生令嬢は庶民の味に飢えている
柚木原みやこ(みやこ)
ファンタジー
ある日、自分が異世界に転生した元日本人だと気付いた公爵令嬢のクリステア・エリスフィード。転生…?公爵令嬢…?魔法のある世界…?ラノベか!?!?混乱しつつも現実を受け入れた私。けれど…これには不満です!どこか物足りないゴッテゴテのフルコース!甘いだけのスイーツ!!
もう飽き飽きですわ!!庶民の味、プリーズ!
ファンタジーな異世界に転生した、前世は元OLの公爵令嬢が、周りを巻き込んで庶民の味を楽しむお話。
まったりのんびり、行き当たりばったり更新の予定です。ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。