悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

文字の大きさ
278 / 319
連載

レモネーズの完成

しおりを挟む
昨夜の晩餐での珍しいカレーという食事は、大絶賛の嵐だった。
特に双子がお気に召したようで、散々お代わりをして、その後の勉強会ではずっと苦しそうにしていたのだ。
ノアークもシルヴァインに分けてもらった辛い味が気に入ったようで、次からは自分のもそうしてほしいと家令のノウェムに伝えていた。
ジェレイドも同じだ。

今朝も早朝に散歩に出かけたら、羊のマリーとウルラートゥスが図書館の近くに住まいを替えていた。
どうやら近くで警備する為らしい。
そんな朝散歩と運動を終えて、マリアローゼは元気よく厨房へ向かっていた。
最近厨房率が上がっている。

「その、お嬢様、連日お料理を作られておりますが、今日もまた新しいお料理を?」

何故か心配そうにシスネが尋ねてきた。
マリアローゼは少し首を傾げて、不思議そうに返事を返す。

「ええ、そのつもりですけれど、どうか致しまして?」
「いえ……ただ、凄い才能だと思いまして、出すぎた事を申し上げました」

どうやら褒められたようで、マリアローゼは気を良くして笑顔を振りまいた。
完全なチョロインである。

「いえ、いいのですわ。わたくしの侍女でしたら、忌憚なくお話してくれた方が嬉しいもの」

シスネは同僚の視線を気にした後、恥ずかしそうに会釈をした。


厨房に着くと、初日のメンバーが揃っていたし、若干増えていた。
でも、誰がどれだけ増えたのかは残念ながら分からない。
白い調理人の服を着た人物も、粗末な村人の服を着た人物も、お仕着せを着た人物も満遍なく増えていたからだ。

「ええと、今日は最初に調味料から作りたいと存じます。ノウェム、材料はツチラトから届いていて?」
「はい、乾燥させた海草と、小魚は錬金術師に加工させました」

どこから取り出したのか、スッと四角い銀色の金属の入れ物に、材料がそれぞれ載っている。

マリアローゼはふんふん、と海草を取り上げて匂いを嗅いだ。
数種類あるが、昆布だけをより分けて、小魚も簡単に使う分だけを分ける。

「それでは、玉ねぎのみじん切りを炒めてくださる?」
「次の方達は、このお米のお酒を煮詰めてくださいませ。あと此方の海草と小魚を別々に煮てくださる?」
「後の方々はレモーヌ・マヨネーズを作りますので、こちらにいらして」

3班に分かれた人々がそれぞれ作業をする間、マリアローゼは銀のボウルに、酢と塩と卵の黄身とオリーブ油を入れて、ユグムがそれを泡だて器でかき混ぜる。
乳化して出来たマヨネーズに、ユグムはううむ、と唸った。

「味見して宜しくてよ」
「はい」

うずうずしていたユグムは早速小匙で掬って舐める。

「美味しいです…これは、お嬢様は酢を良く利用されますね」
「ええ、健康に良いのですよ」

昨日、今日と確かに続けざまに調味料には酢を投入していた。
この世界では発酵食品が少ない。
なぜなら魔法が発達しすぎていて、物が腐りにくいからだ。
腐らせる事で生まれる技術が、進化していないのである。
だから、酢もあまり重用されていないし、種類も少ない。
たまたま多めに作られた年の果実酒が、劣化して酢になったものが多少広まったくらいなのである。

そして、皿に銀砂糖とレモーヌを混ぜてまろやかになった液体を、マヨネーズに追加する。
面倒くさい名前を呼ぶのは嫌なので、マリアローゼは「レモネーズ」と命名した。

手順を見た調理人達が、自分達の作業を始める。

「先ほどのマヨネーズも美味しいですが、レモネーズは格別ですね」
「甘味と酸味とレモーヌの香りが加わるので、サラダにも色々な料理にも使えますわ」
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界でも保育士やってます~転生先に希望条件が反映されてないんですが!?~

こじまき
ファンタジー
「こんな転生先だなんて聞いてないっ!」六年間付き合った彼氏に婚約を解消され、傷心のまま交通事故で亡くなった保育士・サチ。異世界転生するにあたり創造神に「能力はチートで、広い家で優しい旦那様と子だくさんの家庭を築きたい」とリクエストする。「任せといて!」と言われたから安心して異世界で目を覚ましたものの、そこはド田舎の山小屋。周囲は過疎高齢化していて結婚適齢期の男性なんていもしないし、チートな魔法も使えそうにない。創造神を恨みつつマニュアル通り街に出ると、そこで「魔力持ち」として忌み嫌われる子どもたちとの出会いが。「子どもには安心して楽しく過ごせる場所が必要」が信条のサチは、彼らを小屋に連れ帰ることを決め、異世界で保育士兼りんご農家生活を始める。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。