悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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売れ残ったら恥ずかしいのですが…

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「私の知り合いが作った魔道具でしてね」

後ろに控えていた従者が、大き目の黒い革鞄をマローヴァに求められて手渡す。
膝の上に置いた鞄を開けて、中から取り出したのは、不恰好なカメラもどきだった。

「ジェレイドには映写機の方を渡したのですが、こちらは写真機になります。これでお嬢様の絵姿を作り、店で販売したいと思っております」

「お止め下さい」

マリアローゼは思わず秒で返した。
そんな、まるでアイドル写真のように店頭に並べられるのはとても恥ずかしいのである。

「現在商会はとても潤っておりまして、資金提供頂いた方にも利益を還元できるように取り計らっております。ですが、各地の孤児院や救護院から人々を移動させ、養い、新たに人材として教育まで行うには些か心許ありませんでしてね」

チラッチラッと匂わせてくるが、要は元手のかからない資金源としたいと言う事である。

「そ、それは、あの高名な女優さんや役者さんを起用した方がですね…?」
「確かにそれも一理あるのですが、その場合やはりお支払いしなければいけない賃金もまた高くなりますし、売れるとは限りません」

(それですわよ!
わたしの売れ残りが店に列をなしますわよ!?)

「わたくしの姿絵なんて欲しがる方はいらっしゃいませんわ!そんな、無駄な事はお止めになってくださいまし」
「いいえ、売れます。これをどうぞ」

机の上に差し出された書類には、調査書と書かれている。
改竄されていない情報かどうかなんて見分けもつかないし、参考程度にしかならないが、マリアローゼは手にとってその書類を疑わしげに眺めた。

「まずは薬を作られたのがマリアローゼ様だという事を周知する為にも、お薬を持っている絵姿を冒険者ギルドと薬屋などに販促品として配布致します。これは、正規店だという目印にもなりますので、偽物の粗悪品を売りつけられる可能性を減らします」

(確かに、それは大事な事ですわ…)

主に冒険者ギルドや商業ギルド、道具屋や薬屋などに置く予定ではあるものの、ギルドを介していない店舗が正規店かどうかというのは分かりづらい。
所謂この宣伝用ポスターとなるものは、今の所複製出来ないものなのだとしたら、かなり有効である。
渋々、マリアローゼはその有用性を認めた。

「むう……それは仕方ありません。許可致します…けれど、叔父上様がお許し…」

下さるかどうか、と続ける前にマローヴァが意気揚々と答えた。

「許可は取って有ります」

「え」

(肝心のわたくしが訊いていないのに許可されている…ですって!?)

「勿論、公爵様にも許可は得ております」
「お、お父様まで!?」

一体どんな魔法を使ったのだろうか?
マリアローゼは冷や汗を流しながらにこにこと眼を細めて笑っている目の前の怪物を見詰めた。
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