皇女殿下は婚約破棄をお望みです!

ひよこ1号

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話せないこと

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「貴方は一番大事な役目ですのよ。わたくしから離れずに、わたくしの側にずっと居て」

リリーアリアの言葉に、マルグレーテはそれでも悲しそうに問いかけた。

「わたくしも戦場を見てはいけませんか?」
「いいえ、貴方は見ていていいの。わたくしがどれだけ罪深い事を行うのか。ずっと側に居てくれるなら
わたくしの側で、全てを見ていて…貴方は何があっても去らないと理解っております」

淑女と言うよりも騎士に近い口振りになったマルグレーテは、吊り上がった瞳を揺らした。
嫌いになったら去ってもいい、と言われると思ったが、そうならないと確信された事に安堵したのだ。
ぐっと零れ落ちそうになる涙を堪えて、マルグレーテは力強く頷いた。

「はい。アリア様の御心のままに。わたくしは貴方に一生お仕え致します」
「わたくしも、貴方に側に居てもらえたらとても安心致します」

不安な気持ちも切ない気持ちも、これから起こるだろう全ての事にリリーアリアは口を噤んだ。
全ては行ってみるまで分からない。
命を失うかもしれない可能性には触れなかった。
それを言ってしまえば、何よりもリリーアリアの命を優先され兼ねないからだ。
頬から手を下ろしながら、リリーアリアは心の中でマルグレーテに謝った。

全てをお話出来なくて、ごめんなさいね、ルーティ

「勿体無いお言葉です」

涙を堪えようと声を発せられくて遅れた返事が聞こえて、まるで謝罪を許されたように感じた
リリーアリアはマルグレーテを見上げて優しく微笑んだ。

そこへバタバタと双子が走ってくる。

「やりました!リーア様」
「メアとミアは頑張りました!!」

伯爵に頼んで貰って来てくれた宝石は、深い青の大きな宝石で、台座も美しい金で飾ってある。
そして、紫の2粒の中くらいの宝石は丸く磨いてあるだけの簡素な物だった。
リリーアリアは確認して、こくりと頷いて、じっと期待を籠めた瞳を向ける双子の頭をナデナデと撫でる。

「ミアもメアも有難う。これで準備が整いましたわ」

リリーアリアは荷物の中から、長兄のヴォルフガングが贈ってくれたオパールの首飾りと耳飾に指輪を取り出して、
机に並べる。
そして暫く考え込んだ。

一番必要なのは、魔力量だ。
そもそも消費出来る魔力量が少なければ、幾ら人から魔力を集めても発動が出来ない。

青い宝石には魔力の量を底上げする魔法を籠めましょう。

次に必要なのは、単純な魔力の強さ、攻撃力の高さである。そして、距離と範囲。
其々ネックレスと耳飾に籠める事にする。

そして最後、効果時間は指輪にしましょう。

「決まりましたわ。メアにミア、歌を歌ってくださる?」

二人はこっくりと頷くと、手を繋いで歌い始めた。

リリーアリアは、青い宝石に魔法を籠め始める。
籠めながら、マルグレーテに呟いた。

「もし魔力が足りなくなったら、お願いしますわね?」
「はい、喜んで」

魔法を籠め続けて、頭がくらりとしてきた頃、漸く青い宝石の光が点滅し始めて、止めようと思った矢先に、
金色の光を帯びた。

「はぁ…はぁ…」

疲労した様子のリリーアリアに、心配そうにメルティアとミルティアは歌を止めた。
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