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本物のお姫様
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「エッカート様、アデリナ様、これから領民の方々に挨拶と眠りの魔法をかけて、それからわたくし達も寝ます。
明日の朝、此処を経ちたいと思います」
その言葉にエッカートは眉根を寄せた」
「明後日が開戦日です。明後日の朝では?」
ふ、と冷たい微笑を浮かべて、リリーアリアは言った。
「ガルガンチュア帝国は約束を守りません。それに数で押すのならば、視界が塞がれる夕方以降になるでしょう。
わたくしの杞憂で済めば良いのですが」
「俺もそう思う」
ぶっきらぼうに、クリストハルトも認めた。
リリーアリアがジト目でクリストハルトを見ると、ふい、と顔を逸らした。
もし開戦に間に合うように辿り着けなければ、そのままリリーアリアを連れて逃げるつもりだったのかもしれない。
だが、もうそれも諦めたようだ。
顔を見られたくない時は眼帯のある方をリリーアリアの方に向けて、顔を背ける。
時々子供っぽいところがありますわ…
「ですので、これから少し城砦のほうへ行って参ります」
「……はい。準備を急がせます、殿下」
案内されるまま、双子に導かれて地下のトンネルを通り、城砦の内側に移動する。
「この通路は、教えても良い物なの?」
と不審そうに尋ねるマルグレーテに、ミルティアが即答した。
「良いのです」
「門を開けさせるほうが手間がかかります」
メルティアの補足した理由に、納得したようにマルグレーテは頷く。
最近過ごした広場を突っ切ると、調理場や兵舎のある建物があり、そこを迂回して裏側に行くと、
天幕が幾つも並んでいた。
石造りの城の城の前庭で、広場の三倍位はある広さだ。
説明はメルティアに任せて、リリーアリアはひたすら頭や頬を撫でて、魔力を奪っていく。
二十人を越えた辺りで、リリーアリアは酩酊感を覚えた。
これは魔力酔い、かしら?
中くらいの紫の宝石に魔力を注ぎ込むと、一気にその波は引いていった。
明滅するくらい注いだけれど、逆の疲労感は無い。
そしてまた、同じ事を繰り返した。
やはり、眠くはならない。
青い宝石の魔力量の底上げの効果が効いているのだ。
リリーアリアは頷いて、また魔力を奪って、人々に有難がられながら眠らせていった。
外にいる領民を眠らせた頃、また過剰供給による酩酊感に襲われて、リリーアリアは残しておいた指輪への
魔力付与を決める。
城の入口で、リリーアリアが頼んだ。
「双子ちゃん、歌ってくださる?」
「「はい」」
声を揃えて二人が応え、リリーアリアは指輪に魔法の持続時間を上げる魔法を籠めていく。
無事に金色の光に包まれた指輪を、リリーアリアは指に嵌めた。
「有難う、二人とももう宜しくてよ」
二人は頭を撫でて欲しそうにもじもじと頭を寄せてくるので、リリーアリアはくふふ、と笑ってその頭をナデナデと
撫でた。
そして、城の中にいる子供達を寝かしつけに向かう。
キャーキャーとはしゃぐ子供達だけの部屋があり、双子の姿を見ると、嬉しそうに話しかけてきた。
けれど、リリーアリアとマルグレーテの方には、近寄ってこない。
「リーア様に撫でて頂くのです」
「リーア様はお優しい方なのですよ」
ミルティアとメルティアがそう促しても、警戒したような顔で二人を見るだけだ。
「まあ、もしかしたらこのベールが怖いのかしら。では外しますわね」
結び目を、丁寧にマルグレーテが取り外すと、その下の素顔に子供達はわああ、と歓声を上げた。
「お姫様みたい!」
と1人の女の子が頬を染めて言うと、ミルティアがフフン、と胸を反らした。
「みたいじゃなくて、お姫様なのです!」
そう言えば、更に子供達がわああ、と喜ぶ。
「メアとミアはお姫様とお友達なの?」
と双子に問いかけているが、双子はモジモジとしながらリリーアリアを期待を込めた瞳で見ている。
「ええ、そうよ。ミアとメアはわたくしのお友達」
「それから、貴方達が仕えるお姫様でもあるのです。撫でて頂くのです」
メルティアが言うと、女の子がもじもじと近づいてきたので、リリーアリアは優しく微笑みながらその頭を撫でた。
明日の朝、此処を経ちたいと思います」
その言葉にエッカートは眉根を寄せた」
「明後日が開戦日です。明後日の朝では?」
ふ、と冷たい微笑を浮かべて、リリーアリアは言った。
「ガルガンチュア帝国は約束を守りません。それに数で押すのならば、視界が塞がれる夕方以降になるでしょう。
わたくしの杞憂で済めば良いのですが」
「俺もそう思う」
ぶっきらぼうに、クリストハルトも認めた。
リリーアリアがジト目でクリストハルトを見ると、ふい、と顔を逸らした。
もし開戦に間に合うように辿り着けなければ、そのままリリーアリアを連れて逃げるつもりだったのかもしれない。
だが、もうそれも諦めたようだ。
顔を見られたくない時は眼帯のある方をリリーアリアの方に向けて、顔を背ける。
時々子供っぽいところがありますわ…
「ですので、これから少し城砦のほうへ行って参ります」
「……はい。準備を急がせます、殿下」
案内されるまま、双子に導かれて地下のトンネルを通り、城砦の内側に移動する。
「この通路は、教えても良い物なの?」
と不審そうに尋ねるマルグレーテに、ミルティアが即答した。
「良いのです」
「門を開けさせるほうが手間がかかります」
メルティアの補足した理由に、納得したようにマルグレーテは頷く。
最近過ごした広場を突っ切ると、調理場や兵舎のある建物があり、そこを迂回して裏側に行くと、
天幕が幾つも並んでいた。
石造りの城の城の前庭で、広場の三倍位はある広さだ。
説明はメルティアに任せて、リリーアリアはひたすら頭や頬を撫でて、魔力を奪っていく。
二十人を越えた辺りで、リリーアリアは酩酊感を覚えた。
これは魔力酔い、かしら?
中くらいの紫の宝石に魔力を注ぎ込むと、一気にその波は引いていった。
明滅するくらい注いだけれど、逆の疲労感は無い。
そしてまた、同じ事を繰り返した。
やはり、眠くはならない。
青い宝石の魔力量の底上げの効果が効いているのだ。
リリーアリアは頷いて、また魔力を奪って、人々に有難がられながら眠らせていった。
外にいる領民を眠らせた頃、また過剰供給による酩酊感に襲われて、リリーアリアは残しておいた指輪への
魔力付与を決める。
城の入口で、リリーアリアが頼んだ。
「双子ちゃん、歌ってくださる?」
「「はい」」
声を揃えて二人が応え、リリーアリアは指輪に魔法の持続時間を上げる魔法を籠めていく。
無事に金色の光に包まれた指輪を、リリーアリアは指に嵌めた。
「有難う、二人とももう宜しくてよ」
二人は頭を撫でて欲しそうにもじもじと頭を寄せてくるので、リリーアリアはくふふ、と笑ってその頭をナデナデと
撫でた。
そして、城の中にいる子供達を寝かしつけに向かう。
キャーキャーとはしゃぐ子供達だけの部屋があり、双子の姿を見ると、嬉しそうに話しかけてきた。
けれど、リリーアリアとマルグレーテの方には、近寄ってこない。
「リーア様に撫でて頂くのです」
「リーア様はお優しい方なのですよ」
ミルティアとメルティアがそう促しても、警戒したような顔で二人を見るだけだ。
「まあ、もしかしたらこのベールが怖いのかしら。では外しますわね」
結び目を、丁寧にマルグレーテが取り外すと、その下の素顔に子供達はわああ、と歓声を上げた。
「お姫様みたい!」
と1人の女の子が頬を染めて言うと、ミルティアがフフン、と胸を反らした。
「みたいじゃなくて、お姫様なのです!」
そう言えば、更に子供達がわああ、と喜ぶ。
「メアとミアはお姫様とお友達なの?」
と双子に問いかけているが、双子はモジモジとしながらリリーアリアを期待を込めた瞳で見ている。
「ええ、そうよ。ミアとメアはわたくしのお友達」
「それから、貴方達が仕えるお姫様でもあるのです。撫でて頂くのです」
メルティアが言うと、女の子がもじもじと近づいてきたので、リリーアリアは優しく微笑みながらその頭を撫でた。
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