【R18】スマホが誤作動しただけなのに 〜肉体派男子にえっちに迫られていますがリアルで刺激は求めてません!〜

鳥海柚菜

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第2章 リスクしかないワンナイト?

8. 覚悟を決めた夜① ※

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ついてきてしまった。
色々考えに考えに考え、1回のアレを耐えるのと職場で社会的に抹消される可能性とリスクを天秤にかけて前者に傾いた。
別に処女じゃないし。これが脂ぎったおじさんだったら生理的に無理すぎたかもしれないけれどイケメンなら。

人間、顔じゃないって嘘だよ。顔って大概のことを許されて可能にする。ごめん、関本さん。顔で判断するなって説教して。謝る。

それにしても、脅迫、恐喝するにしてももっといいものねだればいいのに。
なぜこんな冴えない三十路がエロ展開に。

いつの間にかエロ小説の世界にトリップしていたとか。
~R18世界でなぜかイケメンに迫られてます!~とか?あはは、ありがち。
…………考えるだけ虚しくなってきた。

最初はこれで、さらなる恐喝ネタを手に入れてこの先、金でも搾り取られ続けるんだろうか。
裸のビデオ売り捌かれるとか。私でか?売れなそう。
やっぱり、お金か。
ブラック企業すぎて、いっそヒモになりたいとか。
家、ご飯、お金。
なんとなくしっくり来た。
免許証とか見られて……そうだ、財布を隠さなきゃ。免許証見られたらコトだ。

「夜は長いから腹ごしらえしてからね」ってドン引きするくらいたくさん食べてたワルな男にこれ以上の弱みを見せてなるものか。
手を繋がれて逃げられないまま、勢いがないと無理だとヤケクソでとにかくビールを流し込んできたから、若干ふわふわしている頭で、最悪シーンを想定する。

とにかく、とにかくだ。
私の最大ミッションは彼のスマホの写真と動画データを消すことだ。
ついでにハメ撮り阻止。
デジタルタトゥーになったら大変だ。

あと避妊!性病防止!
コンドームは薬局に寄ってバッチリ買ってきた。私が。ラブホならあるよ、と彼はきょとりとしていたが、うっかり売り切れとかサイズ違いだからとか色々言えるじゃん?
バッチリサイズを聞いて買ってきた。2箱がいいってどう言うこととパニックになったが、虚無で買ってきた。
……はっ、いや!オーラルセックスでうつる性病もあった!どうしよう!?この人も知らずにうつされてたら?

ひたすらに病気を心配する私に、風俗は行ってない、不特定多数と遊んではいない、と申告は受けたが、そんなものいくらでも取り繕える。
人のこと脅す、枯れ専だか熟女好きだか知らないけど、ワルだ。

ああー、でも、流石にこの流れで今更……。

「ねえ、全っ然、集中してないでしょ」
「ぅん……っ」

頭だけ高速回転していたけれど、黒沢誠にキスされていたんだった。彼も結構飲んでいたからお互いのビールの味が混ざり合う。
分厚い舌が口の中を這い、舌を絡め取り、唾液が絡んでも嫌じゃない。
よかった。元彼とディープキスするの、匂いが苦手だったんだ。もう2年も前だけど、生理的に無理になってしまい、別れたんだった。好きじゃないのにそれなりの年齢で打算で付き合い続け、本当悪いことをしてしまった。

黒沢誠は、イケメンらしく、いい匂いがする。身だしなみもきちんとしているんだな。さすがイケメンは自分の魅せ方をわかっている。

2年ぶりのキスは気持ちがよかった。

たとえラブホの部屋に入った途端、壁に押し付けられながら、という状況でも。むしろ興奮してる。

「ん……は、ぁ……んく……」
「はぁ……かわい……。ねえ、俺が言うのもなんだけどさ、いつもこんなことしてる?」

ようやく執拗に舌の表面を撫で回していた舌が出ていったと思ったら、ちゅ、ちゅ、と厚みのあるーーつまりえっちな様相の唇が、唇の表面やら頬やら鼻の頭やらに降ってくる。両手で頬を挟まれてるから逃げられない。
優しい触れ方に、額に重なる額の熱に、くっつきそうな位置にある金色のまつ毛に、ドキドキが止まらない。心臓が壊れそうだ。

「いつも………?」
「こうして、誘われたらついていってる?ってこと……」
「ア……!」

パンツスーツの上からお尻を鷲掴みされた。ビクッと肩が跳ねる。
けれど、ギッと睨みつけた。

「人を尻軽みたいに言わないで!写真を盾に脅してきたのに、いつもって、失礼でしょ!世の中そんな犯罪者多くないわ」

彼は何故かパッと顔を輝かせた。

「そりゃそっか。……でもさ、脅されても、もうついていったらダメ。俺を呼んでね?」
「はあ?何言って……ひゃ、んっ!」

諸悪の根源が何を言ってるかさっぱりもう意味がわからない。

「ふみさん、えっちな体つきしてるからピッタリとしたスーツだとさ、エロくて……いつも立ち上がるたびに興奮する」
「……やっ……」

お尻の形を確かめるように、大きな手が全体を這い、中指が布地の縫い目に沿って撫でていく。つまりお尻の割れ目を。往復してまた、太腿との境を執拗に確かめている。

この人、多分目が悪いか趣味が悪い。
別になんの変哲もないBカップ。上半身は細めなのにちょっと腰骨が張り気味でお尻が無駄に幅広で大きいのがコンプレックス。えっちというより残念。

「んん、揉まないで……っ」
「やだ。ずっと触りたかったんだよ。役所ってさ、静かじゃん?まあ時々怒鳴る人もいたけどさ。ふみさんっていつでもピンって背筋伸ばしてて、凛としててさ。全体的に細いのに、でもこれでいいですよって立ち上が立た時に見えるお尻はぽてんとしてて、いつも、えっっろって……」
「はっ?そんなこと考えてたの?!変態!!!」

人が懇切丁寧に教えてあげてたのに!

「や、ちゃんと話を聞いてる時はちゃんとしてたよ。ふみさんの首細いなとか、ペンをくるって持つ指が可愛いなとか、爪が荒れてるなとか、握ったら手首折れそうだなとか、いつも一つに結んてる髪引っ張りたいなとか、いいにおいだなとか、それくらいしか思ってないよ」
「ちゃんと話を聞いてないじゃない!」
「聞いてるよーふみさんの声好みだもん。甲高くなくて、落ち着いてるの、好き」
「っ、そ、ういうことじゃないの!」

好きとか言われると動揺してしまう。

「じゃあどういうこと?」
「だから……早く書類を、綺麗に書くのに集中してって意味で」
「集中?無理だよ。勃たないのに必死だもん」
「た……っ?」

役所で?勃起しそうと?
変態でしかない。漢字が読めずに教養がなくて残念過ぎると烙印を押されたイケメンは変態でもあったのか。

「うん。ほら見て、今はガン勃ちしてる」
「………ひっ」

促されるまま下を見れば、緩めの黒いズボンの股間が明らかに盛り上がっている。
私がそれを確認したのを見れば、目を細めて、すりすりと太ももになすりつけてきた。
感触だけ、で、おっっきくない……?こすこすしている間にもっとググ……と上を向いて動いてない……?

「くろさ、わさ……ちょ、………待って」
「誠」
「え……」
「誠って呼んで」

そんな身体の相性よさそうだけで軽く誘った女に名前呼ばせるんだ。

私は名前は親しくない相手にはあんまり呼ばれたくないな。

すごく些細。でも、全然違う世界の人だなって思った。

「誠さん……?」
「ふは、ふみさんのが年上なのに、さん?」
「いまは、くん、は差別的な…?」
「へー、ふみさん難しいこと考えるんだね。じゃあ、呼び捨てでいいじゃん。誠って呼んで?ね、ふみ」

私であり、私でない名前。
今日にぴったりな気がして、頷いて「誠」って呼び返すと、彼はまた、ぱあっとわかりやすく、口から歯をこぼして笑った。

ドキ、と心臓が跳ねたのは、知らないふりをした。
とりあえず、言うべきことは。

「お風呂に入らないとしない。なし崩しは絶対無理。働いたままの体でなんて不潔」

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