【完結】スマホが誤作動しただけなのに 〜肉体派男子にえっちに迫られていますがリアルで刺激は求めてません!〜

鳥海柚菜

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番外編

俺の大事なエロカワイイ奥さん ②

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 俺はいわゆる私生児ってやつだ。
 お母さんがクズな日本人のおっさんに騙されて(まあ惚れっぽいお母さんは運命の恋だったとかいうけど)、できた子供。
 お母さんは愛情深くて、俺を神様からの贈り物、一番の宝物っていつも言っていた。でも、俺がいなければお母さんはあんなに馬車馬みたいに働いて苦労しないでもよかったと思う。苦労して資格を取っていた美術の仕事だってずっと我慢してたのを知ってる。
 現実問題預けられてばかりだったお母さんの実家で俺は異端だった。顔は幼いし、誰にも似てない。何よりたとえ結婚という方法を取らなくたって離婚したって血の繋がった家族を大事にするコミュニティの中で完全に捨てられた子供。相手はお金持ちの日本人なのに養育費も持って来れないただのお荷物。
 祖父母からは可哀想にと可愛がられつつ、同居の親戚からは差別を受けた。お母さんをバカだバカだって言うからあいつらは嫌いだった。
 せめてお母さんを苦労させないようにと勉強と運動だけは頑張って、体が小さくて半端者のアジア人だって学校でいじめられても、腐らずに生きてきた。飛び級してからは周りの目が変わってきたし、運がいいことに背が伸びてきたから、喧嘩も負けなくなった。ボクシングが好きなお祖父ちゃんにずっと習っていてよかった。
 奨学生枠でハイスクールに行きながらブルーカラーのアルバイトをしてそのまま18歳になったら就職もと声をかけてもらえた。時給も悪くない。でも最終的にもっと稼ごうと思ったら大学を出ないといけない。そうなるとお金がいる。奨学金を取るつもりだけれどそれだけじゃ足りないし、何より家に入れるお金が減る。完全寮の一番難しい奨学金なら負担はかけないかもと思ったが、チャレンジするならアルバイトは減るし。
 働いてから大学に行くか先に大学に行くか。
 悩んだことをお母さんに相談したら、また日本人と恋愛して、今度は結婚しようと思っているだなんて言う。黒沢さんというその人はこちらで飲食店を何店も経営しててお金持ちだったからお金の心配せず大学に行きなさい、なんて言われて。
 ショックだった。
 お母さんの一番が自分でなくなってしまったという子供っぽい感情で、家を飛び出して、バイト先のお兄さんたちに連れられたバーで、まあ、その、……日本では違法、あちらではたぶん?合法なパーティに夜な夜な参加していたら、そこで知り合ったお姉さんにペットにならないかと持ちかけられた。いい体格なのに可愛い顔をしているから番犬ペットにぴったりだと言われた。
 この人が大変にまともだったから俺は今生きてる。
 若さの勢いって怖いよな。お姉さんの背後にマフィアとかいたら海に浮いてたよ。
 元々お母さんの実家で雑用全部押し付けられていたから俺は家事は得意で、重宝がられた。お姉さんの知り合いも紹介されてまともなコミュニティで大人の女の人が『喜ぶこと』を学ばせてもらった。
その時の経験からか、俺は自立してる年上の女の人が好き。かっこいいなあって思うから。

 あやとお互いの知らなかった時期のことを知り合おうっていう話になって、あやがすっごい好みなんだよねって言いたかったはずなんだけど。
 すごいジト目で見られた。

「それはつまりヒモじゃない。誠はやたら口が上手いと思った!やっぱり……」
「えっ、ち、違う!あれは……だから、弟とかペットみたいに可愛がってもらってただけだし!働いてっ、バイトはちゃんとしてたし!家を貸してもらってただけというか!ただの同居人?」
「お金入れてた?」
「えー……と、い、言われなかったし?家のことするのが対価みたいな?」
「それで、やることはやっていたと?」
「えー………えー……さ、誘われれば?」
「それをヒモって言うのよ?私が疑ってたのひどいって言うけど、同じことしてるよね?違ってないじゃない?」
「……………すべて若気の至りというか。未成年だし?そういうペット連れた人もたくさんいたし?おんなじ立場の男もたくさんいたし……あっちじゃ、そこまで特殊じゃないっていうか、あっ、俺は少なくとも複数同時はしてないし!」
「へー………」
「一時的だから!誓ってその時だけだから!こっちに来てから家に転がり込んだのあやだけだから!」

 冷たい目つきにぞっとして、ごめんね二度とすることないから許してって縋りついた。

 あや、潔癖だから。
 ゴミみたいな目でもいいから見られたいとか思ってた時期もあったけど、今、本当にされたら泣く。号泣する自信しかない。その時もほぼ半泣きだった。
 男が泣いて何が悪い。同情だろうとなんだろうと使えるものは全部使う。当たり前だ。

 一日中ぴったりくっついて後ろをついて回ってたら「別に怒ってないから!」とうざがられたけど、まだ唇が尖っていた。「昔のことなんか気にしてないし」って強がって涙目だった。
 昔のことに嫉妬してくれたのが嬉しくて抱き潰したらめちゃくちゃ怒られた。
 完全に腰が抜けて動けなかったの可愛かったなあ。
「悲しいからもうこの話二度としないでって。絶対他の人とも比べないで」と目をうるうるさせながら睨みつけてお願いされたのも、心臓止まるかと思ったなあ。
 もっかいシちゃっても仕方なくないか?
 休日って最高だよね。
 あやに「この絶倫!!!!」ってめちゃくちゃ罵られたけど。

 なんの話してたっけ。
 そうそう、グレてた頃の話は置いといて。
 日本に来ようと思ったのは、お母さんが「あの人へ届くように」って俺の名前につけた父親というやつがあまりにもクズだったからだ。
 お前なんか俺の子供じゃない、二度とタカリにくるな、って言われて、めちゃくちゃムカついた。
 結婚してるのを隠してお母さんをめちゃくちゃ口説いてすぐ捨てたのはそっちのくせして。
 あんな男の何が良かったのか、とキレ散らかしていたら「才能と情熱」だって。
 悔しいけどアイツの才能とやらは写真集見て感じた。情熱とやらはお母さんが後生大事に持ってた自己陶酔している熱烈な手紙の束から感じないこともない。口説いてる最中は筆まめなやつだったんだな。どうりでお母さんが俺に『手紙』って名前つけるわけだよ。
 もう過去はいいとお母さんは捨てようとしてたけど、俺はコレはいつか使えると思ったので譲り受けた。不倫相手への恋文。絶対恥ずかしいやつ。しかも英語下手くそだし。I love you以外のバリエーションねえのかよ。
 そういう不器用なとこがまたよかったのよぉ、と言うお母さんは、本当に見る目がない。黒沢さんは本当いい人でよかった。
 
 ちなみに、俺はあやにいっぱい言いたい。でも、日本語ってバリエーションないから、英語とスペイン語で毎日言ってたら、調べたらしいあやから禁止をくらった。恥ずかしすぎるって叫ぶあやが本当に可愛すぎてベッドに引きずり込んだら……以下、略。

 その後、勢いで日本に来たはいいけど、世に溢れる漢字はストレスだし、就職はうまくいかないし、クズな父親は暴露以外で見返せる術がたたないしで腐っていた俺を拾ってくれた社長には感謝しかない。

 俺の身の上を聞いた上で、長年の付き合いがある設計会社の人に一緒に頭を下げて基本だけでも教えてやってくれ、と頼んでくれた。
 見返すには同じ立場がいいぞ、ただの復讐に囚われるな、本当はこっち関係に興味あるんだろう、とドクズよりよほど親父みたいに面倒見て、叱って、励ましてくれた。
 だから社長が困った時は絶対助けるんだって思った。それであやに出会えたんだからやっぱり社長は俺の人生の恩人だ。
 会社を辞めると決めた時も門出だと一番泣いて喜んでくれて、いつか俺が設計した建物を一部でも作るためにもうひと頑張りするぞって嬉しいことを言ってくれた。
 今はポッと出のネームバリューと実親との対立構造で面白がられているが、その間に結果を出さないといけないプレッシャーはひしひしと感じる。もてはやされていいこともあるけどその分足を引っ張られるのも当然だ。
 下駄を履かせてもらうんだから。
 でもあやのご両親に少しでも認めてもらうためなら頑張れると思ったし、一方であやは「別に公務員は福利厚生しっかりしてるし、私と同じ職位で専業主婦家庭だってあるんだから贅沢さえしなければ何があっても大丈夫だよ」とどっしり構えてるし。
 なんなの、やっぱカッコ良すぎるでしょ。
 そういうところがめちゃくちゃ好き。
 俺の見た目とかぽっとだけの肩書きとか、チャラチャラとブランド品みたいに見ない女とはまるで違う。意味もなく高い声あげるヒステリックな女、大っ嫌いなんだよな。

 二人で暮らすにあたって堅実に中心部からは離れた築深めの2LDKのマンションに引っ越してきた。色々家具を買い替えたときも、あやはテキパキと予算を組んで、何が生活するに一番譲れないかを俺に聞いてくれ、一切無駄のない購入品で整えてくれた。ワンナイトだけの頭がおかしい女に理想の部屋とか言って見せられたブランド名は一つも出てこなかった。
 結局、あやの手配がしっかりしすぎてて俺の出番は家具の組み立てくらいだった。こだわりのベッドは大きすぎて流石に業者に頼んだ。一部屋をほぼ圧迫している原因はこれだけど、やっぱね。これが一番大事だし、毎日その実感している。マットレスいいものにしてよかった。
 汚さないで高いから!ってあやが毎度無駄な抵抗していた時期もあったな。ヤダヤダって必死で食い締めて潮を噴くのを我慢してるのたっまんなかった。真っ赤な顔してるあやを陥落させるの楽しくって………以下略。
 しばらくお風呂でしていたこともあったけどやっぱ狭いしあやの方が腰を痛めちゃって、防水シートを下に引くことで落ち着いた。あやには出産後も気兼ねなくえっちなお汁をいっぱい出してほしい。
 ほんっっとエロ可愛いの俺の奥さん。俺の宝物。神様からの贈り物。

 そんなエロ可愛いあやを俺から奪おうとするやつは今後も絶対に許さない。すうすうと穏やかに眠るあやを後ろから抱きしめながら、俺の脳裏に半年ほど前の忌々しい出来事が蘇った。
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