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甘すぎる恋人関係?
友人たちの目
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なんだかんだ距離は縮まされて、その日はイヴに乗って遠出をするということになっていたのだが、上司に呼ばれたと申し訳なさそうな、そして、少しだけ嫌な顔をしてセドリスが謝罪をしてきた。
「全然いいですよ」
むしろ二人で出かけるだなんて身が持つのか、と、いまいち不安しかなかったルリアナはほっと息を吐いてしまったくらいだ。
そのことに気がついたセドリスがますます面白くなさそうな顔をする。
「また別の日に必ず」
「……ふふっ、ご無理はなさらず」
彼が悪いのではない。嫌なわけでも全くない。
ふしだらなこの耳と体が悪いのだ。
とはいえ平静を保つのに全理性を傾けて大変なのでどうか許してほしい。
休暇の予定がなくなってしまったルリアナは、一人で部屋に戻ったものの、せっかくの休みに引きこもっていても仕方がないと思い、同僚を誘って城下町に出ることにした。
同僚たちは最初男爵令嬢と出かけるのは無理と言っていたが、ルリアナが仕事以外でも超庶民と気がついてからは何かと一緒に行動してくれる。なんなら田舎でのんびりと育ったルリアナは、王都生活の長い平民の彼女たちよりもグルメも流行りも何もかもに疎い。
隙がありすぎる!攫われる!と逆に面倒を見てもらっているくらいだった。
「はー、楽しい!本当王都って何でもあって素敵!!」
散々屋台で買い食いしたルリアナはさらに口の中に飴細工を放り込んでニコニコしている。
「こんなんで幸せになれるお貴族様いるんだ」
「だって領地は何にもないんだもん。牛と鶏と豚はたくさんいるけどあとは畑……?」
「農家なの?」
「農家みたいなものかなぁ」
「貴族ってもっといい暮らししてると思ってた」
「お金がないと何もできないよね。うちよりも商人の方が多分お金持ちだよ。弟を学校に入れるのも大変」
「だからルリが出稼ぎに?」
「そうそう。お給金こんないいなんて最高!」
「働いてる内容からしたらそんなよくはないと思うけどなあ…同じ給金でももっと楽な目立つ職場たくさんあるよ」
「ええー女の戦いのある職場はごめんだよ。仕事に集中したいし。親切なマルルとティディもいるし、いい人が多い!」
「ええい、可愛いやつめ!」
ぐりぐりとルリアナの頭を撫でるマルルは実家に妹がたくさんいるらしく面倒見がとてもいい。
「ていうかルリも頭いいよね。人の懐に入るのが上手いって言うか要領がいいって言うか」
ティデイは小柄だが母も王宮で働いていて王宮のことに詳しい。一番最初は貴族であるルリアナを職場イチというほどひどく警戒していたが仲良くなってみればひたすらに楽しい。裏表のない子だ。
「そうそう。あのお堅い黒騎士様もルリにご執心だしさ。今日は残念だったね」
「……え、残念?」
「だってデートがダメになっちゃったじゃん?」
「デートっていうか…馬に乗せてもらうだけの約束…」
「馬!とはいえねえ、今まで誰も乗せてもらったことないでしょ?2人きりでしょ!デートでしょ!」
「あーんもう、焦ったい。知ってるんだけど?二人でいちゃいちゃお昼ご飯食べててさあ」
「いちゃいちゃ?!してないよ!!」
ルリアナはギョッとした。まさか先日のことを見られていたのかと。
「いやいや、空気がね!ね!ディデイ?」
「わかる!わかる!もう甘酸っぱい!」
「あまずっぱ?」
「わかってないの?黒騎士様がルリアナを見る目めっちゃ優しいし!仕事終わるの待ってるときなんてじぃって追ってるし!」
「ルリもすぐ真っ赤になってるよ」
「っそれは…!」
とても言えない反応をしてしまうためであって。
「男の人に慣れてない、から…」
「うんうん、ルリは初心だよね」
いや、納得の表情をしているマルルには大変申し訳ない俗物である。
誤魔化した罪悪感から、ルリアナはもう一度飴を口に放り込んで転がした。
二人はまだ勝手にキャッキャと喋っている。
どれだけ観察しているのだ。出るわ出るわのエピソードにルリアナは居心地が悪くなってきた。事実ではあるのだが、なんだかそれを恋愛風に言われると自分のことではないような違和感がある。
ずっとふわふわとしているような、騙されていると疑いたくなるような、喉に小さな魚の骨が引っ掛かってしまったときのように絶対に無視できない不快感が胸に巣食っているのだ。
セドリスには何度となく好きだとは言われているものの。
「……信用できない」
ポツリとこぼした本音は、もう取り返しようがなく、勝手に話をしていた二人が驚いた様子で振り返ってきた。
「ルリ、何言ってるの?あんな顔されておいて?」
「だって……出会ったばっかで……….いきなり馬でぶつかられて、それでずっとお詫びって来て、そんなのおかしくない?」
「ルリに一目惚れしたんじゃないの?」
「……….……….どこを見て?」
「ルリ可愛いよ?」
ルリアナは鼻白んだ。
ティティリアの輝かんばかりの美貌を知る身としてはザ平凡。ド平凡。
「そもそもさ、出会った時、私、青緑の堀に突っ込んでて、すごい匂いしてたのよ?わかる?あの堀!」
「あー、あれは臭いよね!」
「濁ってるよね!」
「そこにどぷりと浸かった私に同情はあっても、あんなにしつこくお礼を押し付けられる謂れはないしまして付き合っ……」
ハッと口を閉じた。
それは呪いの問題からだから話してはいけない。
しかし、耳ざとい二人は「付き合ってほしいって実は言われたんだ?!」とニヤニヤしている。
「ち、ちがっ、ちがう!」
「違うの?どう言うふうに?なんて言われた?」
「ちがっ、……わないけど理由があって!」
「違わないんじゃーん」
揶揄われるのには慣れていない。
元のルリアナはどうだったか、思い出せない。
がっくりと頭を下げたルリアナは、うりうりと頬を突いてくるマルルに眉を下げた。
「………だって意味がわかんない……あんなすごい人が。選びたい放題な人が。カッコ良すぎる人が。私に付き合って……詐欺。これはそう、詐欺としか思えない」
「はあーなるほど?でも流石に詐欺ではないと思うよ」
「うん。黒騎士様は本当に女の人ダメだって有名だもん。でも、あの氷の騎士様があんなにマメだとは。本当に本人?双子?って誰もが一度は疑うのはあるよね。でも本人だよ!詐欺師じゃないよ!」
「……うん?氷の騎士?」
女嫌いは理解しているし、あまりやりすぎると蔑まれるというのも聞こえていたが、氷という言葉がにつかわしくなさ過ぎてルリアナはキョトンとした。
いつだって彼はこうあるべしと言わんばかりに穏やかで誠意を持ってルリアナに接してくれていると思う。
「それルリに対してだけだから」
ティデイが呆れた声を出した。
「言っておくけどルリを呼び出すのに私たちを通すまで最初何人も経由してたんだよ。最初はルリを知りもしない女官とか侍女とか。そりゃ噂の黒騎士様が近くにいるとなれば誰でも近づきたいよね」
「でもことごとく絶対零度の氷点下、ものすごく嫌そうな毛虫でも見るような目つきで"貴女に用はない"と一言だけで切って捨て切って捨て、今では完全に怖がられてるんだけど、知ってた?ついでに"彼女に不当な扱いをしたらどんな権力をつかっても絶対に報復する"とまで宣言してるんだよ」
きゃーー守られてるぅと二人はバシバシ叩きあっている。
「な、なにそれ??毛虫?でも二人とは普通に話してるよね?」
「あ、それはルリの味方…友達という認識だけだからだよ」
「というか私たちともかなり距離を取らないと喋らないし、喋ったとしても完全な無表情だけど。あと女ばかりの職場だからルリがそばにいないときはちょっと顔色悪いよね」
「わかる。気分悪そう。ルリといる時とは天と地ほどテンションが違う」
「え?」
ルリアナが見ているセドリスと二人が見ているセドリスが違いすぎて困惑する。
「ものすっごくわかりやすくルリだけ特別扱いだけど。だからみんな遠くできゃあきゃあ盛り上がってんの。取る気も起こらないよ。だって毛虫として見られてるんだもん」
「毛虫…」
「一度ルリにも見せてあげたい、あのめちゃくちゃ怖い顔」
「無理じゃない?ルリがいると遠くからでもルリ仕様に変わってるし。職場のみんなそれ目当てで遠くから見てるよね。眼福とか言って」
「何それ……」
セドリスと会う時には彼にだけ集中してしまうので、気がついていなかった。そんなにもみんなに見られているのだと知り、愕然とする。
「本当になんでルリだけは平気なんだろうね」
「黒騎士様に取り入りたいと男装までしてた人いるらしいけど断固近づけなかったらしいって噂もあるよね」
「………そうだよね。おかしいよね」
なんの美しさも取り柄もないルリアナは、やっぱり第三者から見ても不思議なのだ。
いつもルリアナを美辞麗句で褒め称えてくるのなんてあり得ない。よほど美的感覚がずれているのだろう。
ズレてるというより捻じ曲げられているがなんとなくしっくりくる。
やっぱり全てが呪いのせいだ。
だいたい女神様だって"出会える"ように"祝福"してくれていたのだし。
あの女神様だとやりすぎたのではなかろうか。
呪いを解く相手が絶世の美女に見えるとか。
呪いを解く相手がめちゃくちゃ好みの相手に見えるとか。
そんなことよりさっさとヤってほしい。
付き合うとかそういう課金が要求されそうなオプション本当にいらないから。
前世は置いておいて、セドリスは自分の人生を生きるべきだし、呪いを解いたおあとは強制力も働かず自由になってほしい。
自由に幸せになってくれないとこの呪いのせいで性虐待に遭ったセドリスに申し訳がたたない。あんなにいい人がなんてかわいそうなのだ。
「はあ……….目も曇る呪いか……」
「ちょっとルリ、そこは私が選ばれたのよって怒らないと!」
「そうだよ、私のが相応しいのよとか嫌味な人が来たら、アンタ一度でも笑ってもらったことあるの?私にはいつもにこにこよって言い返さないと」
「何それ絶対無理……ってちょっと待って!」
ふいにルリアナは遠くで叫び声を聞いた。
「全然いいですよ」
むしろ二人で出かけるだなんて身が持つのか、と、いまいち不安しかなかったルリアナはほっと息を吐いてしまったくらいだ。
そのことに気がついたセドリスがますます面白くなさそうな顔をする。
「また別の日に必ず」
「……ふふっ、ご無理はなさらず」
彼が悪いのではない。嫌なわけでも全くない。
ふしだらなこの耳と体が悪いのだ。
とはいえ平静を保つのに全理性を傾けて大変なのでどうか許してほしい。
休暇の予定がなくなってしまったルリアナは、一人で部屋に戻ったものの、せっかくの休みに引きこもっていても仕方がないと思い、同僚を誘って城下町に出ることにした。
同僚たちは最初男爵令嬢と出かけるのは無理と言っていたが、ルリアナが仕事以外でも超庶民と気がついてからは何かと一緒に行動してくれる。なんなら田舎でのんびりと育ったルリアナは、王都生活の長い平民の彼女たちよりもグルメも流行りも何もかもに疎い。
隙がありすぎる!攫われる!と逆に面倒を見てもらっているくらいだった。
「はー、楽しい!本当王都って何でもあって素敵!!」
散々屋台で買い食いしたルリアナはさらに口の中に飴細工を放り込んでニコニコしている。
「こんなんで幸せになれるお貴族様いるんだ」
「だって領地は何にもないんだもん。牛と鶏と豚はたくさんいるけどあとは畑……?」
「農家なの?」
「農家みたいなものかなぁ」
「貴族ってもっといい暮らししてると思ってた」
「お金がないと何もできないよね。うちよりも商人の方が多分お金持ちだよ。弟を学校に入れるのも大変」
「だからルリが出稼ぎに?」
「そうそう。お給金こんないいなんて最高!」
「働いてる内容からしたらそんなよくはないと思うけどなあ…同じ給金でももっと楽な目立つ職場たくさんあるよ」
「ええー女の戦いのある職場はごめんだよ。仕事に集中したいし。親切なマルルとティディもいるし、いい人が多い!」
「ええい、可愛いやつめ!」
ぐりぐりとルリアナの頭を撫でるマルルは実家に妹がたくさんいるらしく面倒見がとてもいい。
「ていうかルリも頭いいよね。人の懐に入るのが上手いって言うか要領がいいって言うか」
ティデイは小柄だが母も王宮で働いていて王宮のことに詳しい。一番最初は貴族であるルリアナを職場イチというほどひどく警戒していたが仲良くなってみればひたすらに楽しい。裏表のない子だ。
「そうそう。あのお堅い黒騎士様もルリにご執心だしさ。今日は残念だったね」
「……え、残念?」
「だってデートがダメになっちゃったじゃん?」
「デートっていうか…馬に乗せてもらうだけの約束…」
「馬!とはいえねえ、今まで誰も乗せてもらったことないでしょ?2人きりでしょ!デートでしょ!」
「あーんもう、焦ったい。知ってるんだけど?二人でいちゃいちゃお昼ご飯食べててさあ」
「いちゃいちゃ?!してないよ!!」
ルリアナはギョッとした。まさか先日のことを見られていたのかと。
「いやいや、空気がね!ね!ディデイ?」
「わかる!わかる!もう甘酸っぱい!」
「あまずっぱ?」
「わかってないの?黒騎士様がルリアナを見る目めっちゃ優しいし!仕事終わるの待ってるときなんてじぃって追ってるし!」
「ルリもすぐ真っ赤になってるよ」
「っそれは…!」
とても言えない反応をしてしまうためであって。
「男の人に慣れてない、から…」
「うんうん、ルリは初心だよね」
いや、納得の表情をしているマルルには大変申し訳ない俗物である。
誤魔化した罪悪感から、ルリアナはもう一度飴を口に放り込んで転がした。
二人はまだ勝手にキャッキャと喋っている。
どれだけ観察しているのだ。出るわ出るわのエピソードにルリアナは居心地が悪くなってきた。事実ではあるのだが、なんだかそれを恋愛風に言われると自分のことではないような違和感がある。
ずっとふわふわとしているような、騙されていると疑いたくなるような、喉に小さな魚の骨が引っ掛かってしまったときのように絶対に無視できない不快感が胸に巣食っているのだ。
セドリスには何度となく好きだとは言われているものの。
「……信用できない」
ポツリとこぼした本音は、もう取り返しようがなく、勝手に話をしていた二人が驚いた様子で振り返ってきた。
「ルリ、何言ってるの?あんな顔されておいて?」
「だって……出会ったばっかで……….いきなり馬でぶつかられて、それでずっとお詫びって来て、そんなのおかしくない?」
「ルリに一目惚れしたんじゃないの?」
「……….……….どこを見て?」
「ルリ可愛いよ?」
ルリアナは鼻白んだ。
ティティリアの輝かんばかりの美貌を知る身としてはザ平凡。ド平凡。
「そもそもさ、出会った時、私、青緑の堀に突っ込んでて、すごい匂いしてたのよ?わかる?あの堀!」
「あー、あれは臭いよね!」
「濁ってるよね!」
「そこにどぷりと浸かった私に同情はあっても、あんなにしつこくお礼を押し付けられる謂れはないしまして付き合っ……」
ハッと口を閉じた。
それは呪いの問題からだから話してはいけない。
しかし、耳ざとい二人は「付き合ってほしいって実は言われたんだ?!」とニヤニヤしている。
「ち、ちがっ、ちがう!」
「違うの?どう言うふうに?なんて言われた?」
「ちがっ、……わないけど理由があって!」
「違わないんじゃーん」
揶揄われるのには慣れていない。
元のルリアナはどうだったか、思い出せない。
がっくりと頭を下げたルリアナは、うりうりと頬を突いてくるマルルに眉を下げた。
「………だって意味がわかんない……あんなすごい人が。選びたい放題な人が。カッコ良すぎる人が。私に付き合って……詐欺。これはそう、詐欺としか思えない」
「はあーなるほど?でも流石に詐欺ではないと思うよ」
「うん。黒騎士様は本当に女の人ダメだって有名だもん。でも、あの氷の騎士様があんなにマメだとは。本当に本人?双子?って誰もが一度は疑うのはあるよね。でも本人だよ!詐欺師じゃないよ!」
「……うん?氷の騎士?」
女嫌いは理解しているし、あまりやりすぎると蔑まれるというのも聞こえていたが、氷という言葉がにつかわしくなさ過ぎてルリアナはキョトンとした。
いつだって彼はこうあるべしと言わんばかりに穏やかで誠意を持ってルリアナに接してくれていると思う。
「それルリに対してだけだから」
ティデイが呆れた声を出した。
「言っておくけどルリを呼び出すのに私たちを通すまで最初何人も経由してたんだよ。最初はルリを知りもしない女官とか侍女とか。そりゃ噂の黒騎士様が近くにいるとなれば誰でも近づきたいよね」
「でもことごとく絶対零度の氷点下、ものすごく嫌そうな毛虫でも見るような目つきで"貴女に用はない"と一言だけで切って捨て切って捨て、今では完全に怖がられてるんだけど、知ってた?ついでに"彼女に不当な扱いをしたらどんな権力をつかっても絶対に報復する"とまで宣言してるんだよ」
きゃーー守られてるぅと二人はバシバシ叩きあっている。
「な、なにそれ??毛虫?でも二人とは普通に話してるよね?」
「あ、それはルリの味方…友達という認識だけだからだよ」
「というか私たちともかなり距離を取らないと喋らないし、喋ったとしても完全な無表情だけど。あと女ばかりの職場だからルリがそばにいないときはちょっと顔色悪いよね」
「わかる。気分悪そう。ルリといる時とは天と地ほどテンションが違う」
「え?」
ルリアナが見ているセドリスと二人が見ているセドリスが違いすぎて困惑する。
「ものすっごくわかりやすくルリだけ特別扱いだけど。だからみんな遠くできゃあきゃあ盛り上がってんの。取る気も起こらないよ。だって毛虫として見られてるんだもん」
「毛虫…」
「一度ルリにも見せてあげたい、あのめちゃくちゃ怖い顔」
「無理じゃない?ルリがいると遠くからでもルリ仕様に変わってるし。職場のみんなそれ目当てで遠くから見てるよね。眼福とか言って」
「何それ……」
セドリスと会う時には彼にだけ集中してしまうので、気がついていなかった。そんなにもみんなに見られているのだと知り、愕然とする。
「本当になんでルリだけは平気なんだろうね」
「黒騎士様に取り入りたいと男装までしてた人いるらしいけど断固近づけなかったらしいって噂もあるよね」
「………そうだよね。おかしいよね」
なんの美しさも取り柄もないルリアナは、やっぱり第三者から見ても不思議なのだ。
いつもルリアナを美辞麗句で褒め称えてくるのなんてあり得ない。よほど美的感覚がずれているのだろう。
ズレてるというより捻じ曲げられているがなんとなくしっくりくる。
やっぱり全てが呪いのせいだ。
だいたい女神様だって"出会える"ように"祝福"してくれていたのだし。
あの女神様だとやりすぎたのではなかろうか。
呪いを解く相手が絶世の美女に見えるとか。
呪いを解く相手がめちゃくちゃ好みの相手に見えるとか。
そんなことよりさっさとヤってほしい。
付き合うとかそういう課金が要求されそうなオプション本当にいらないから。
前世は置いておいて、セドリスは自分の人生を生きるべきだし、呪いを解いたおあとは強制力も働かず自由になってほしい。
自由に幸せになってくれないとこの呪いのせいで性虐待に遭ったセドリスに申し訳がたたない。あんなにいい人がなんてかわいそうなのだ。
「はあ……….目も曇る呪いか……」
「ちょっとルリ、そこは私が選ばれたのよって怒らないと!」
「そうだよ、私のが相応しいのよとか嫌味な人が来たら、アンタ一度でも笑ってもらったことあるの?私にはいつもにこにこよって言い返さないと」
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