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第五章 真の求愛と番
23.誤解を解く
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◇◆◇◆◇◆◇
ラーダは反省した。
とても反省した。
なぜ自分は全然、種族が違う彼女に説明を尽くしてこなかったのかと、それはもう海よりも深く反省した。
痛いほどの股間に振り回されずことの全容を説明できるくらいに。
ミディアと話していて分かってはいたのだが、彼女は自己評価が低すぎる。
全てはラーダが「君のような女性に狼藉は働かない」と訳のわからないことを言ってしまったことからすれ違いが始まっていたようだ。
大切な大切な番にそんな乱暴なことをするわけがないと言いたかったのにアホな言い回ししかできなかった過去の自分を殴りたい。
なんなら獣人族の求愛と人族の求愛の違いを一度として考えなかった浮かれ果てた過去の自分の首を絞めてやりたい。
しかし、どう言う意図かもよく考えず散々にひっついて抱きしめて舐めても驚きはするが嫌がるそぶりを一度としてみせず、体を撫で回らせて逆に撫でてもくれて、挙句初対面でストーカーしたと言っているのにやっぱりあっさりと納得した様子のミディアは、本当の本当に危機感がなさすぎる。
これはもう常に見張ってないと気が済まない。
そういうことをなぜ可愛いラーダの番はわかってくれないのだろう。
理性が飛ぶからやめてくれと言ったのに平気で肩を触ってくるしなんならきっちりボタンを留めて着せたシャツの隙間からピンク色の乳首が見えても、じっと見つめるまで気がついていないし。
噛みついて舐め回して食い散らかして孕ませたい。
それでもどうにか必死で欲を耐えて、そうしてやっとミディアが何故かラーダが妹を好いていると勘違いしていたことを理解した。
それにしてもなんであんな臭い女を好きになると思うのか。何人もの男の匂いがべっとりとこびりついていて鼻の曲がる悪臭である。
ベタベタと勝手に触ろうとするのも気持ちが悪かった。息を止めないとやってられないというのに、なぜミディアはそれを照れてると受け取るのか。
顔が赤いというが、息が苦しかっただけだ。
耳も尻尾も警戒していただけ。
それが好きな女の前で緊張だと?俺はミディアだけに気を許して甘え倒してるのに!と全然理解してくれない番に不貞腐れ、気がついたらミディアを抱きしめていた。
またグリグリと匂いが強い首筋に頭を押し付けても彼女はくすぐったそうにほんの少し身を捩って笑うだけだ。
ーーーほらそうやって拒否しないから勘違いしてしまいそうだ。
ねとりとラーダの執念のような禍々しい匂いと甘いミディアの匂いがしっかり混ざり合っていて心地がいい。
都合のいい状況と望んでいた番との匂いの混合にクラクラとしてくる。
「それに比べてミディアの匂いはとてもいい。甘くてふわふわして。酔ったみたいになるんだ。今は俺の匂いも混ざっていて最高だ」
「ひえっ!卑猥なこというのやめてください!」
「なんで。もっと混ぜた……いや、違う。話をしよう。もう誤解はしたくない」
自分で自分の頬を引っ叩いた。
すぐ理性が飛ぶこの駄犬の頭をなんとかして欲しい。狼は知能が高いと言われていたがよっぽど馬鹿になっている。
そうして何度も自分の頬を殴り、腕に爪をたて、理性を保ったまま、番のこと、実家のこと、今までしてきたことを最後まで話続けた。
ここが番を迎入れるために用意した家だと知り、「大きすぎませんか…?」とミディアが困惑していた。巣をどれだけ快適に作れるかが雄の甲斐性なのだといえばぽうっと少し頬を染めたのが可愛くて言葉もなく襲いかからなかった自分に心の中で万感の拍手した。
家族に人間とつがうのは推奨はされていないから番が役に立つと示すために寝る間を惜しんで魔獣を狩
って周辺にいなくなってしまったから寝ずに随分遠くの地まで殲滅しておいたと言うと、獣人の脚力に単純に驚いていたし、「そんなに無理してたなんて。大丈夫だったんですか?」と心配そうに言ってくれたし、ミディアの菓子で元気になることを伝えればほわりと笑ってくれた。
ついやってしまう耳を擦り付ける仕草や抱きしめて首元の匂いを嗅ぐのは愛情表現といえばまた驚いていたけれど。
品評会の菓子作りもミディアのために姉に箔づけさせるためだったといえばもっと目を丸くしていた。
「本当にずっとわかってなかったんだな……」
「す、すみません。お菓子好きのわんちゃんに懐かれたのだとばかり…」
「犬じゃない、狼だ」
「そっ、それはわかっていますが…だって、ラーダが甘えてくるの可愛いんですよ?それが、まさか…ラーダが私を……??」
ーーーーかわいい、とは。こんな大男が?
しかし、照れているのか両手で赤くなった頬を押さえている番からぶわっと耐え難い芳しい香りが溢れ出た。
くらりと目の前が歪む。飛びかかって押し倒しそうになるのを必死に耐えた。いやこれは、絶対拒否されてない。されてない……はず、だが、ラーダはいままでの勘違いのこともあり必死に耐えてきちんと言葉で交わすことにした。
違う種族は厄介だ。
「えっと……ラーダのその大事な番が私なんですか?本当に?勘違いじゃなくて?私なんかに??」
そう、こんなふうにいまさらの質問してくるくらいなのだ。誤解は避けたい。
「そうだ。ずっとそう言ってる。ミディアがいきなり黙っていなくなって絶望した」
「………えぇ?こんな見窄らしい私に発情するとか可哀想すぎ……」
「なんで。なんで君はそんなに自分を卑下するんだ!君はいきなりぶつかってちゃっかり膝枕した俺にありがとうとか可愛く言ってくれて、そのまま買い物に連れて行ってくれて、いきなり襲いかかって気絶させても許してくれて、挙句に俺の好きな菓子を好きなだけ食べていいと言ってくれて、好きなだけどうぞと俺のために菓子を焼いてくれて、じぃっとその茶色の愛くるしい瞳で俺が食べているところを見つめてくれて、いつだってくるくると働き者で、あんなひどい兄妹にも家族だからと文句一つ言わなくて、可愛くて健気で甘くていい匂いで早く俺のものにしなきゃってずっと焦ってたんだぞ!」
「えー……??過大評価ですよ」
「そんなことはない!」
こんなに好きなところがたくさんあると伝えるのにいまいち響いてないミディアに、ラーダは素早くベッドから降りて彼のシャツをだぶだぶに着て(自分が着させたので大層満足である)色っぽいミディアの足元に跪いた。
そのままミディアの左足の甲を捧げ持ってそうっと額に近づける。
「ミディア、愛している。俺の番。順番を間違えてしまったことは深く詫びる。だが、もう俺は君と離れるなんて考えられない。命が尽きるまで、いや尽きてからも、その次の生も、永遠に俺とともにいてくれ。君に永遠に尽くす権利を俺にくれ」
「っ!」
きちんとわかりやすく求愛した。元々女性から求愛されたなど格好がつかないから今日プロポーズする予定だったので、するすると言葉が出てくる。
ミディアがあたふたと赤い顔をして掴んだ足を取り戻そうとしていた。
人族がプロポーズするときは手をとるのだと知らず、獣人らしくあなたに尽くすという意味で足を持っていたので下僕かと勘違いされていたのは知らない。
おたおたと逃げようとするので、すぐに暗い感情が湧き上がってくる。
「君が望むものならなんでも用意するからうんと言って欲しい。うんと言わないとこのまま部屋から一生出してあげられない。なるべくならミディアの自由を奪いたくない。俺はミディアの菓子をまた食べたい。……うん?いや、まあここの厨房なら鎖をつけてれば逃げられないか?ああでもミディアのあったかい気持ちがこもってなかったら死にたい。やっぱりこの部屋でずっと抱いてる方がマシだ」
逃げようとするなら鎖をつけるのは確定だ。心がともなってなければとっても悲しいことになるが、愛しい相手のためを思って逃すなんて選択肢は獣人にはない。
しかしミディアはふふっと柔らかな声で笑ってくれた。
「こんな私でよければ、いくらでもお菓子を作ってあげますよ」
ラーダにはとんでもない誤解をしても許してくれる心の広すぎる優しい女神が降臨したようだった。
ラーダは反省した。
とても反省した。
なぜ自分は全然、種族が違う彼女に説明を尽くしてこなかったのかと、それはもう海よりも深く反省した。
痛いほどの股間に振り回されずことの全容を説明できるくらいに。
ミディアと話していて分かってはいたのだが、彼女は自己評価が低すぎる。
全てはラーダが「君のような女性に狼藉は働かない」と訳のわからないことを言ってしまったことからすれ違いが始まっていたようだ。
大切な大切な番にそんな乱暴なことをするわけがないと言いたかったのにアホな言い回ししかできなかった過去の自分を殴りたい。
なんなら獣人族の求愛と人族の求愛の違いを一度として考えなかった浮かれ果てた過去の自分の首を絞めてやりたい。
しかし、どう言う意図かもよく考えず散々にひっついて抱きしめて舐めても驚きはするが嫌がるそぶりを一度としてみせず、体を撫で回らせて逆に撫でてもくれて、挙句初対面でストーカーしたと言っているのにやっぱりあっさりと納得した様子のミディアは、本当の本当に危機感がなさすぎる。
これはもう常に見張ってないと気が済まない。
そういうことをなぜ可愛いラーダの番はわかってくれないのだろう。
理性が飛ぶからやめてくれと言ったのに平気で肩を触ってくるしなんならきっちりボタンを留めて着せたシャツの隙間からピンク色の乳首が見えても、じっと見つめるまで気がついていないし。
噛みついて舐め回して食い散らかして孕ませたい。
それでもどうにか必死で欲を耐えて、そうしてやっとミディアが何故かラーダが妹を好いていると勘違いしていたことを理解した。
それにしてもなんであんな臭い女を好きになると思うのか。何人もの男の匂いがべっとりとこびりついていて鼻の曲がる悪臭である。
ベタベタと勝手に触ろうとするのも気持ちが悪かった。息を止めないとやってられないというのに、なぜミディアはそれを照れてると受け取るのか。
顔が赤いというが、息が苦しかっただけだ。
耳も尻尾も警戒していただけ。
それが好きな女の前で緊張だと?俺はミディアだけに気を許して甘え倒してるのに!と全然理解してくれない番に不貞腐れ、気がついたらミディアを抱きしめていた。
またグリグリと匂いが強い首筋に頭を押し付けても彼女はくすぐったそうにほんの少し身を捩って笑うだけだ。
ーーーほらそうやって拒否しないから勘違いしてしまいそうだ。
ねとりとラーダの執念のような禍々しい匂いと甘いミディアの匂いがしっかり混ざり合っていて心地がいい。
都合のいい状況と望んでいた番との匂いの混合にクラクラとしてくる。
「それに比べてミディアの匂いはとてもいい。甘くてふわふわして。酔ったみたいになるんだ。今は俺の匂いも混ざっていて最高だ」
「ひえっ!卑猥なこというのやめてください!」
「なんで。もっと混ぜた……いや、違う。話をしよう。もう誤解はしたくない」
自分で自分の頬を引っ叩いた。
すぐ理性が飛ぶこの駄犬の頭をなんとかして欲しい。狼は知能が高いと言われていたがよっぽど馬鹿になっている。
そうして何度も自分の頬を殴り、腕に爪をたて、理性を保ったまま、番のこと、実家のこと、今までしてきたことを最後まで話続けた。
ここが番を迎入れるために用意した家だと知り、「大きすぎませんか…?」とミディアが困惑していた。巣をどれだけ快適に作れるかが雄の甲斐性なのだといえばぽうっと少し頬を染めたのが可愛くて言葉もなく襲いかからなかった自分に心の中で万感の拍手した。
家族に人間とつがうのは推奨はされていないから番が役に立つと示すために寝る間を惜しんで魔獣を狩
って周辺にいなくなってしまったから寝ずに随分遠くの地まで殲滅しておいたと言うと、獣人の脚力に単純に驚いていたし、「そんなに無理してたなんて。大丈夫だったんですか?」と心配そうに言ってくれたし、ミディアの菓子で元気になることを伝えればほわりと笑ってくれた。
ついやってしまう耳を擦り付ける仕草や抱きしめて首元の匂いを嗅ぐのは愛情表現といえばまた驚いていたけれど。
品評会の菓子作りもミディアのために姉に箔づけさせるためだったといえばもっと目を丸くしていた。
「本当にずっとわかってなかったんだな……」
「す、すみません。お菓子好きのわんちゃんに懐かれたのだとばかり…」
「犬じゃない、狼だ」
「そっ、それはわかっていますが…だって、ラーダが甘えてくるの可愛いんですよ?それが、まさか…ラーダが私を……??」
ーーーーかわいい、とは。こんな大男が?
しかし、照れているのか両手で赤くなった頬を押さえている番からぶわっと耐え難い芳しい香りが溢れ出た。
くらりと目の前が歪む。飛びかかって押し倒しそうになるのを必死に耐えた。いやこれは、絶対拒否されてない。されてない……はず、だが、ラーダはいままでの勘違いのこともあり必死に耐えてきちんと言葉で交わすことにした。
違う種族は厄介だ。
「えっと……ラーダのその大事な番が私なんですか?本当に?勘違いじゃなくて?私なんかに??」
そう、こんなふうにいまさらの質問してくるくらいなのだ。誤解は避けたい。
「そうだ。ずっとそう言ってる。ミディアがいきなり黙っていなくなって絶望した」
「………えぇ?こんな見窄らしい私に発情するとか可哀想すぎ……」
「なんで。なんで君はそんなに自分を卑下するんだ!君はいきなりぶつかってちゃっかり膝枕した俺にありがとうとか可愛く言ってくれて、そのまま買い物に連れて行ってくれて、いきなり襲いかかって気絶させても許してくれて、挙句に俺の好きな菓子を好きなだけ食べていいと言ってくれて、好きなだけどうぞと俺のために菓子を焼いてくれて、じぃっとその茶色の愛くるしい瞳で俺が食べているところを見つめてくれて、いつだってくるくると働き者で、あんなひどい兄妹にも家族だからと文句一つ言わなくて、可愛くて健気で甘くていい匂いで早く俺のものにしなきゃってずっと焦ってたんだぞ!」
「えー……??過大評価ですよ」
「そんなことはない!」
こんなに好きなところがたくさんあると伝えるのにいまいち響いてないミディアに、ラーダは素早くベッドから降りて彼のシャツをだぶだぶに着て(自分が着させたので大層満足である)色っぽいミディアの足元に跪いた。
そのままミディアの左足の甲を捧げ持ってそうっと額に近づける。
「ミディア、愛している。俺の番。順番を間違えてしまったことは深く詫びる。だが、もう俺は君と離れるなんて考えられない。命が尽きるまで、いや尽きてからも、その次の生も、永遠に俺とともにいてくれ。君に永遠に尽くす権利を俺にくれ」
「っ!」
きちんとわかりやすく求愛した。元々女性から求愛されたなど格好がつかないから今日プロポーズする予定だったので、するすると言葉が出てくる。
ミディアがあたふたと赤い顔をして掴んだ足を取り戻そうとしていた。
人族がプロポーズするときは手をとるのだと知らず、獣人らしくあなたに尽くすという意味で足を持っていたので下僕かと勘違いされていたのは知らない。
おたおたと逃げようとするので、すぐに暗い感情が湧き上がってくる。
「君が望むものならなんでも用意するからうんと言って欲しい。うんと言わないとこのまま部屋から一生出してあげられない。なるべくならミディアの自由を奪いたくない。俺はミディアの菓子をまた食べたい。……うん?いや、まあここの厨房なら鎖をつけてれば逃げられないか?ああでもミディアのあったかい気持ちがこもってなかったら死にたい。やっぱりこの部屋でずっと抱いてる方がマシだ」
逃げようとするなら鎖をつけるのは確定だ。心がともなってなければとっても悲しいことになるが、愛しい相手のためを思って逃すなんて選択肢は獣人にはない。
しかしミディアはふふっと柔らかな声で笑ってくれた。
「こんな私でよければ、いくらでもお菓子を作ってあげますよ」
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