後輩の夜事情(2/5更新)

狂言巡

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口吸ひ4

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 ちゅっと音を立てて離れた唇。お互いを繋いだ糸に気がつかなかったふりをして、わざと視線を逸らす。濡れた口元を指の腹で拭うと、大きな掌がおそるおそるといった風に重ねられた。

「……何よ」
「先輩、俺、上達した?」

 ぽそりと呟かれた言葉に視線を上げると、揶揄の色を宿した垂れ目とぶつかった。ハンと鼻で笑うと、彼の長い指が淡島の顎に触れた。無駄なまでに恰好いい後輩の顔を至近距離で見つめる事になって、小さく息を飲んだ。

「満点出るまで、頑張るから」

 耳許で囁くように言われて思わず躰を捩ったけれど、壁際に追い込まれて、半ば覆い被さられている状態では逃げられるわけがない。彼に触れられているところから伝わる熱に眩暈がする。こんなんじゃ採点なんてできるわけがない。

「次は何点かなぁ」

 独り言に近い呟きに、淡島は誘われるように目を閉じた。
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