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共有財産
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カンカンカンと二階の住人が階段を登る音がする。割と筒抜けの声、速度超過を疑う音で駆け抜けるバイクや乗用車の音、消し切れなかった前の住人の煙草の臭い、ヨレヨレの日焼けしたカーテン。時代から取り残されたかのような草臥れたアパートの一室に、ある兄弟は住んでいる。性格と環境の不一致で喧嘩をしない日はないが、いつも同じ場所に留まっている。そんな彼らの共有財産は、最近増えた。
弟の柘榴が立て付けの悪いドアを開ける。カシャカシャとビニール袋を鳴らしながら、やや雑に靴を脱ぎ廊下とも呼べない長さの廊下を歩く。
「数分の待てくらい出来ないのかよクソ兄貴」
「あーん? てめえがちんたらしてるからだろうが愚弟がよぉ」
凄む兄の梧桐に構わず柘榴は妙に子供っぽい手つきで袋を放ってひっくり返す。薬局の棚を空にしてきたかのような量の避妊具が、音を立てて床に落ちた。解りやすく機嫌の上向いた兄に柘榴は単純なヤツめと愚痴混じりに言って、当の兄の下でひぐひぐと喉を鳴らす女の肌に指を滑らせた。
「ひぅ、うう、っああ、あぐ、ぅ」
「よしよし、可哀想にな。ユキさん、コイツに酷い事されてないか?」
梧桐の長く太い指で秘部を好きにされていた女が、薄っすらと目を開けた。汗で湿った額を拭ってやり、柘榴は彼女の下唇をパクリと食む。じゅ、じゅると音を立てて柘榴と舌を吸い始めたユキを眺めつつ、梧桐は袋の中にあったミネラルウォーターに口をつけた。
「お隣さんが変な顔して俺に声かけたけど何してたんだ、馬鹿兄貴」
「何ってナニだよ。こいつが一丁前に声抑えようとするからちょおっと可愛がってやっただけだぜ」
「性悪」
いつの間にか服をはだけさせた柘榴が、ごろんと布団に横になりユキを抱き寄せる。子供にするように頬や髪を撫でさすり、時おり唇を押し当てた。されるがままの彼女に柘榴が勝ち誇った顔をする。判りやすく梧桐の額に青筋が浮いた。
「おーおーよくやるぜ、さっきまで俺の腕の中でひんひん泣いてたのはどこの誰だ?んん?」
「あ、ぁやら、やらあ、さわっちゃらめぇ、あおぎりさんいじわるしないでえ」
クチュクチュと浅いところを掻き回してやると彼女が嫌々と頭を振って喘いだ。何かに掴まらないと安心できないのか、涙がたっぷり浮かんだ瞳で柘榴に腕を差し出すのだから本末転倒もいいところである。
きっかけがないにも関わらず、梧桐と柘榴は視線を交わして三人分の体臭が染みついた布団に横たわる恋人を見つめる。薄い手が律動のたびに一回り大きい弟のの方の手に縋る。柘榴は満足そうに口の端を上げてその手をにぎにぎと繋いでやる。もう片方の彼女の手はトロトロと涎を垂らす自分のものに這わせ、お礼とでも言いたげに目尻や首筋、真っ白で柔らかい腹をあやしてやるのだ。
「若いくせに枯れた趣味してんなァ」
「どこかの誰かが乱暴ばかりするからな。甘やかし要員だっているだろ」
ごく一般的な大きさの布団の上に三人、しかも二人は男、双方とも背丈も体格も申し分ない。当然狭くないはずがない。意地で温かい布団からはみ出ないのと単に彼女の柔らかい肌が心地良さを得るために、兄弟はお互いスペースを占拠されないように押し返していた。
「はあっ、ああ、あっ梧桐さん、そこ、そこおっ」
「お? おー、いいぜ。しっかりぐりぐりしてやろうなァ」
強請って腰を捻る彼女に気を良くした梧桐が勢いよく彼女の脚を持ち上げ自分の性器で膣壁を圧迫する。まだ全て入りきっていないというのに、彼女は死にそうな声を揚げて頭を反らした。結合部が白く泡を立てているのを梧桐は歯を剥き出しにして笑って見つめている。
「……ぁ゛ー最ッ高」
雄臭い声で呟いた梧桐に彼女はびくりと身を縮こまらせた。弟の方なら助けてくれると疑わない様子で、すぐ横の彼を見るが情欲を訴えかける視線をもろに浴びて思わず固まる。
「ひえ、」
あげかけた悲鳴はあっという間に柘榴の唇に塞がれて溶けた。
弟の柘榴が立て付けの悪いドアを開ける。カシャカシャとビニール袋を鳴らしながら、やや雑に靴を脱ぎ廊下とも呼べない長さの廊下を歩く。
「数分の待てくらい出来ないのかよクソ兄貴」
「あーん? てめえがちんたらしてるからだろうが愚弟がよぉ」
凄む兄の梧桐に構わず柘榴は妙に子供っぽい手つきで袋を放ってひっくり返す。薬局の棚を空にしてきたかのような量の避妊具が、音を立てて床に落ちた。解りやすく機嫌の上向いた兄に柘榴は単純なヤツめと愚痴混じりに言って、当の兄の下でひぐひぐと喉を鳴らす女の肌に指を滑らせた。
「ひぅ、うう、っああ、あぐ、ぅ」
「よしよし、可哀想にな。ユキさん、コイツに酷い事されてないか?」
梧桐の長く太い指で秘部を好きにされていた女が、薄っすらと目を開けた。汗で湿った額を拭ってやり、柘榴は彼女の下唇をパクリと食む。じゅ、じゅると音を立てて柘榴と舌を吸い始めたユキを眺めつつ、梧桐は袋の中にあったミネラルウォーターに口をつけた。
「お隣さんが変な顔して俺に声かけたけど何してたんだ、馬鹿兄貴」
「何ってナニだよ。こいつが一丁前に声抑えようとするからちょおっと可愛がってやっただけだぜ」
「性悪」
いつの間にか服をはだけさせた柘榴が、ごろんと布団に横になりユキを抱き寄せる。子供にするように頬や髪を撫でさすり、時おり唇を押し当てた。されるがままの彼女に柘榴が勝ち誇った顔をする。判りやすく梧桐の額に青筋が浮いた。
「おーおーよくやるぜ、さっきまで俺の腕の中でひんひん泣いてたのはどこの誰だ?んん?」
「あ、ぁやら、やらあ、さわっちゃらめぇ、あおぎりさんいじわるしないでえ」
クチュクチュと浅いところを掻き回してやると彼女が嫌々と頭を振って喘いだ。何かに掴まらないと安心できないのか、涙がたっぷり浮かんだ瞳で柘榴に腕を差し出すのだから本末転倒もいいところである。
きっかけがないにも関わらず、梧桐と柘榴は視線を交わして三人分の体臭が染みついた布団に横たわる恋人を見つめる。薄い手が律動のたびに一回り大きい弟のの方の手に縋る。柘榴は満足そうに口の端を上げてその手をにぎにぎと繋いでやる。もう片方の彼女の手はトロトロと涎を垂らす自分のものに這わせ、お礼とでも言いたげに目尻や首筋、真っ白で柔らかい腹をあやしてやるのだ。
「若いくせに枯れた趣味してんなァ」
「どこかの誰かが乱暴ばかりするからな。甘やかし要員だっているだろ」
ごく一般的な大きさの布団の上に三人、しかも二人は男、双方とも背丈も体格も申し分ない。当然狭くないはずがない。意地で温かい布団からはみ出ないのと単に彼女の柔らかい肌が心地良さを得るために、兄弟はお互いスペースを占拠されないように押し返していた。
「はあっ、ああ、あっ梧桐さん、そこ、そこおっ」
「お? おー、いいぜ。しっかりぐりぐりしてやろうなァ」
強請って腰を捻る彼女に気を良くした梧桐が勢いよく彼女の脚を持ち上げ自分の性器で膣壁を圧迫する。まだ全て入りきっていないというのに、彼女は死にそうな声を揚げて頭を反らした。結合部が白く泡を立てているのを梧桐は歯を剥き出しにして笑って見つめている。
「……ぁ゛ー最ッ高」
雄臭い声で呟いた梧桐に彼女はびくりと身を縮こまらせた。弟の方なら助けてくれると疑わない様子で、すぐ横の彼を見るが情欲を訴えかける視線をもろに浴びて思わず固まる。
「ひえ、」
あげかけた悲鳴はあっという間に柘榴の唇に塞がれて溶けた。
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