理想世界の創り方

無限キャラ

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不自由な世界の困った問題

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「ちょっとちょっと~! いつまでも同族同士で演劇ゲームにばかり明け暮れてちゃ駄目でしょう?」


「ああ、そうだった……俺たちは不自由な世界の改革案を考え出さなきゃいけないんだったな……」


「え? 僕たちの目標はあらゆる体験者たちのための最高最善の理想世界を創造するってことじゃなかったっけ?」


「それはそうなんだけど、不自由な世界を自由な世界にしないとみんな全員を救えないでしょう?」


「でも、不自由な世界は、ほんと、不自由だからなあ……」


「仕方がないじゃない。 世界創造の初めの設計段階でわざと不自由な設定にしてしまっている世界なんだから」


「制限がありすぎるんだよ。なんで思い描いた世界がすぐに実現できないようにしてあるんだか……」


「ゲームの基本仕様が全然違うんだから、しょうがないでしょう? 不自由な世界は超時空世界の常識を前提に考えてはダメなのよ」


「はじめから作り直しちゃった方が簡単なんじゃない?」


「それは簡単かもしれないけど……不自由な世界の魂たちの圧倒的多数がそういうやり方は嫌だって思ってるんだもの。

そんなことをそのまま言えば、大反対運動されて悪魔呼ばわりされるわよ」


「だって不自由な世界って、誰かを満足させると、別の誰かが不満になるみたいな状態があまりにも多すぎるじゃない」


「そうだよ。こちらを立てるとあちらが立たず……って感じの状況が多すぎるよね」


「だから、わざわざあたしたちが不自由な世界に派遣されてどうしたらいいかを調べているんでしょう?」


「どうしたってクリアできない糞ゲーム……」


「ちょっとそこ! 簡単にあきらめないの!」


「まあみんなの気持ちはよくわかるけど、落ち着いて不自由な世界の現状を理解してみようよ」


「現状って?」


「つまり現在何が問題なのかってこと」


「そりゃあ、みんなに本当の自由が提供されていないことが問題なんだろう?」


「そうよ、そもそも不自由な世界の創造主とか支配者たちですら不自由なんだから」


「自分の欲望すら自分で自由に選べないってことが大きな問題ってこと?」


「欲望以外にも、自分の内的体験全般を彼らは自由に選べないんだよ」


「あー、だから他者からの感謝や崇拝なんかを求めるわけね」


「そうそう、まあ、そういうことになるね」


「それなら、感謝される体験を超時空体験図書館から借りてきて体験させてあげれるようにすればいいじゃん」


「そんなことできるの?」


「できるよ。超時空世界なら」


「じゃあ、不自由な世界を丸ごと超時空化させなきゃいけないじゃないの」


「いや、彼らの意識だけを超時空世界に引き込めばいいじゃない」


「でも、彼らの意識は、不自由な世界のあれやこれやに執着してしまっていて、がんじがらめに縛り付けられているから無理じゃない?」


「そんなことないわよお、だいぶん昔だけど、そうした執着から解脱した魂もいたみたいよ」


「じゃあ、無理ではないってことだね」


「そうね、絶対無理ではないんだけど、難しい……」


「現状難しいなら、難しさのハードルをできるだけ下げてあげればいいんじゃない」


「ああ、それならある程度はできるかもしれないね」


「どうやって?」


「だから、この前やった演劇ゲームに誘ったり、VRゲームっていうのも最近はあるみたいだから、そういうのもいいかもしれないわね」


「ダメだよ。そういうゲームのほとんどが残酷バトルゲームだったりエロゲームだったりするから」


「別にいいじゃない。ゲームなんだからバトルでもエロでも」


「いや、そんなゲームばかりしていたら精神レベルがむしろ低下するんじゃないですか?」


「じゃあ、そうじゃない素晴らしいゲームをみんなで創ってあげればいいじゃない」


「ああ、それは悪くないですね」


「でも不自由な世界の支配者たちが、そうしたゲームをやるかなあ……」


「やりたくなるようなゲームにすればやるんじゃない?」


「じゃあ、ゲーム会社を作らなきゃ」


「別に会社じゃなくても作れるでしょう?」


「でもさあ、不自由な世界って戦争とか天災とかインフレとかパンデミックとか操り人形操作とかで、みんなゲームする余裕なんてないって感じじゃない?」


「そうねえ……とりあえずもうちょっと平和な状態にしないとゲームどころじゃないって感じだわねえ」


「いくら素晴らしいゲームを作っても、遊んでもらえなければ意味がないからなあ……」


「そうよ、SNS見てても、ゲーム最高!とか言ってる人間族ってあんまりいないわ」


「ほんと、何やってるんだろうね、不自由な世界って……」


「とりあえず前の話の自給自足の話じゃないけど、最低限の衣食住とか通信環境とかエネルギーとかをみんなに提供しないとゲームどころじゃないよね」


「やっぱり不自由な世界では生活の安全が確保できないとみんなゲームなんてする気にならないのよ」


「困ったねえ……」


「ちょっとそこ困ってないで、それなら、みんなに生活の安全を提供してしまえばいいわけでしょう?」


「いや、不自由な世界の支配者たちが計画的にわざと安全でない状態にしちゃってるから……」


「困ったねえ……」
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