理想世界の創り方

無限キャラ

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甘太郎の分身体たちの考える不自由な世界の改革案

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甘太郎の分身体たちはテレパシー空間でそんな話し合いをしていたが、いずれの改革案も不自由な世界の創造主や支配者たちが改革案を無視して残酷な世界支配を継続し続ける場合には、不自由な世界の世界改革はうまくいかないということが理解された。


「結局ねえ、あたしたちがどんだけ改革案を示しても不自由な世界を支配している奴らがどうしたって今まで通りに残酷な支配行為を継続し続けると改革案はすべて意味がなくなってしまうのよね」


「それもそうだね、いくら一部の魂を助けても、次から次へと助けた以上の魂にわざと残酷行為をされたんじゃ、いくら僕たちががんばって助けてもきりがないからね」



「そうよ! わざと自作自演で犠牲者を生み出す……みたいなことを計画的にやられたら、わたしたちは永遠に魂を助けるために救助活動をし続けなきゃらななくなるんだから! 

つまり、わたしたちも不自由な世界の支配者たちの奴隷状態にされてしまうんだから。魂の救助を永遠にし続けねばならない奴隷にされちゃうのよ」


「それってなんだか、とんでもない話だねえ……」


「とんでもないどころじゃないわよ。致命的よ。 良心を持っている魂全体をそうやって奴隷にされたら、おしまいなんだから」


「それって、わざとやってるのかな……」


「当たり前でしょう? わざとそうしなきゃ、そんな状態になるわけないじゃない」


「とんでもないことだねえ……」


「…………」


「それって良心的な魂たちの良心的な心を消すという大犯罪なんじゃないんですか?」


「その通りよ。不自由な世界ではそうしたことがえんえんと繰り返されてきたのよ」


「そんな大犯罪を実行しているのであれば、不自由な世界の支配者たちを刑務所に入れないと」


「刑務所ってどこの?」


「それは自業自得学園内にある自業自得刑務所でしょう」


「そんなのあったの?」


「あるわよ。自業自得学園には、それはもう何でもあるのよ」


「何でも?」


「自業自得の学びのために必要ならどんなものでも、世界でも自動発生するんだから」


「なんだか便利だねえ……」


「まあ、超時空世界だからね」


「え? じゃあ、不自由な世界が超時空化されちゃうの」


「そこが問題ね。不自由な世界を超時空化しちゃうと、不自由な世界の魂たちにしたら自分たちの世界が消滅してしまうわけだから」


「え?でも、不自由な世界が超時空化された方がみんな自由に楽しめるようになるよね」


「そうなんだけど、不自由な世界の魂たちの多くが超時空化された世界を知らないから嫌がるのよ。不自由な世界でずっと生きていたいとか言って」


「じゃあ、教えてあげればいいじゃない」


「教えてあげても嫌がるのが多いのよ。何としても大学受験に合格してエリートになるんだとか……何としても不自由な世界の支配者として君臨し続けたいだとか……何としても生身の体でいろんなラーメンが食べたいだとか……ご先祖様に申し訳ないとか……」


「なんだか他愛ないねえ……」


「はあ? 他愛ない? あんた真面目に考えてるの?!」


「か、考えているよう……」


「せっかくあたしたちが面白いゲームを創っても、リア充の方がいいとか言って……ぜんぜんしようとしないし……ゲーム世界で超時空世界を仮体験させてあげようと思ってたのに……」


「ゲーム世界もいいけど、空想世界の方がもっと自由でいいんじゃないかな?」


「でも空想能力を必要十分に獲得するまでは、ゲーム世界が有効でしょう?」


「まあ、それはそうかもしれないけど」


「でもダメね、不自由な世界の支配者たちが酷いことばかりするから、みんなゲームとかする余裕がないみたい」


「じゃあ、不自由な世界の悪い支配者たちだけ自業自得学園に送ればいいんじゃない?」


「ダメよ。いくら現時点での悪い支配者たちだけ自業自得学園送りにしても、その部下とか、他にもぞろぞろと悪い支配者予備軍がいるんだから」


「じゃあ、その部下とかも全員自業自得学園送りにすればいいんじゃない?」


「それでもまだ不十分なのよ。そうした悪い支配者一族を全員自業自得学園送りにしても、まだ野良悪い支配者予備分がうようよいるから」


「野良がいるの?」


「いっぱいいるのよ。不自由な世界には。なんとか他の魂を自分の好き放題に支配してしまいたい……なんてことを考えてばかりいるのがうじゃうじゃいるのよ」


「それは困ったねえ……」


「いいかげんに、困ったねえ困ったねえ……ばかり言ってないで、あんたも何かちゃんとしたアイデアを出しなさいよ!」


「そうだねえ…」


「いいじゃないか……僕たちはいろいろな違う個性にしてもらっているんだから、そういうのがいたって別にいいだろう?」


「悪いとは言ってないじゃないの! ちょっとは前向きなアイデアを出しなさいって言ってるだけでしょう?」


「野良甘太郎にそんなことを言っても可哀そうだよ」


「え? 野良なの?」


「そうだよ。捨てられていたみたいだから、拾ってきたんだよ」


「どおりで……」


「野良なら、野良とちゃんと教えなさいよ!」


「いいじゃないか、野良でも野良じゃなくても、良い意志さえ持っていれば」


「良い意志?」


「いや、まあ、野良に多くを求めるべきじゃないって」


「それはなんだか良い意志だねえ……」


「勝手に言ってなさい!もう!」


「まあまあ、話を戻そうよ。で、その野良の悪い支配者予備軍たちもまとめて自業自得学園送りにすればどうなの?」


「そうねえ……そこまで徹底的にやれば、ある程度はましな世界になるかもしれないわねえ」


「いやいや、それでもまだ不十分じゃないですか?」


「え? なんで?」


「だってですね、ほら、残った魂たちにも自由意志があるわけで、今は悪い支配者になりそうにない魂でも、何億年もすればどこかで悪い意志を持ってしまうかもしれないじゃないですか。

それに、新しく生まれてくる赤ん坊たちには、相変わらず生存本能というものがプログラムされてしまっているわけでしょう?


であれば、またしばらくすれば悪い意志を持った魂が増えてくるんじゃないですか?」


「…………あんた嫌なこと言ってくれるわねえ………それじゃあ、どうしろっていうのよ」



「いや、別に嫌なことを言うつもりじゃなくて……


つまり、積極的にあらゆる魂が良い意志を持てるように不自由な世界の魂たちを育て導くようなやり方じゃないとうまくいかないんじゃないかなって思うんですよ。

そして、あまりに利己的だったり残酷だったりするような本能は、治療して良い本能にしてあげる必要があるんじゃないでしょうか?」


「でも、そういうのに限って治療は拒否するし、導きも拒否するんだから」


「じゃあ、自業自得学園に治療院を創ればいいんじゃない?」


「いや、治療が必要なのは不自由な世界の魂たちだから」


「自業自得の体験をするのが嫌なら治療院で治療を受けなさいって言えば、治療を受けるんじゃないかな」


「それじゃあ、とりあえず不自由な世界の魂たちを全員自業自得学園送りにするってこと?」


「いや、全員はダメでしょう?さすがに……」


「なんでよ?」


「だって、中には良心的な魂も少なくても少しはいるわけでしょう? 良心的な魂まで自業自得学園送りにするっていうのはダメでしょう」


「なんでよ。 良いことばかりしてきたなら別に自業自得の体験をするのは苦にならないでしょう? むしろ素晴らしい体験ができるわけでしょう?」


「いや、でもですね、無理やり相手の合意もなく自業自得学園送りにするというのは暴力的過ぎますよ」


「…………それもそうか……すっきりわかりやすくていいアイデアだと思ったんだけど」


「いや、別に絶対ダメだとは言ってないですよ。良心的な魂たちには、不自由な世界に残るか、自業自得学園で素晴らしい果報体験をするかを自由に選べるようにしてあげれるなら」


「あら、そうなの? それならその案でいいんじゃないかしら」





そんな甘太郎の分身体たちや野良甘太郎たちの話し合いの結果、以下のような案がまとめられた。




ーーーーー不自由な世界の改革案ーーーーー


他の体験者の体験の自治権(=体験者が自分の意志で自分の体験を自由に選ぶ権利)を確信犯で否定し奪う選択を何度注意説得しても止めない魂たちは、基本、自業自得学園送りにする。(ただし、もし心から反省し、不自由な世界においてそのような悪い本能や性格を治療してほしいと自発的に願い出た場合には、超時聖生体様に治療を依頼する)


いくら注意説得してもどうしても反省しない魂においては、大意識世界の秩序を維持するために、少なくとも一度だけは自業自得の体験を味わってもらう。


ただし、自業自得学園内に超時空聖体様運営の治療院を置いて、さらに繰り返し自業自得の体験をして学ぶか、悪い本能や性格や価値観を苦痛なく消してもらう治療を受けるかを選べるようにする。


体験の自治権=体験者が自分の意志で自分の体験を自由に選ぶ権利 をあらゆる体験者に提供しようと不自由な世界で意志できていた魂には、不自由な世界に残るか自業自得学園に入るかを自由に選べるようにする。
また、その他の世界に行く自由や自分で新世界を創造する自由なども超時空体験図書館様や超時空聖体様が認めれば提供する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「こんな感じでいいのかしら?」


「いいんじゃね? 悪くないよ」


「良いと思います」


「え? でも具体的な改革案という感じじゃないよね」


「別にいいじゃない。具体的な改革案は、不自由な世界に残ると決めた良心的な魂たちが考えてくれるでしょ」


「でも……不自由な世界がはじめから不自由になるように設計されてしまっているのであれば、いくら良心的な魂たちといっても、その子供たちも良心的になるという保証はないんじゃないかな……」


「あー、そういえば、そんな話もしてたわねえ」


「じゃあ、全部残った良心的な魂たちにただお任せというわけにもいかないんじゃないかい?」


「そうねえ……悩ましいわねえ……」


「やっぱり超時空聖体様たちに世界の基本システムから改めてもらう感じで世界管理してもらわないとダメなんじゃない?」


「そうねえ、生命体同士の食い合いシステムとかをそうでないものに変えるとなると、いくら良心的な魂たちでも容易なことじゃないものねえ」


「それなら、もう、新しく安全で素晴らしい新世界を0から創造しちゃった方が簡単なんじゃない?」


「いや、不自由な世界に残ることに決めた良心的な魂たちがそれを嫌がるとちょっと問題だよ」


「じゃあ、不自由な世界とは別に新世界を創ればいいじゃない」


「いや、それは超時空体験図書館住まいの甘太郎親分がすでに着手してるから」


「じゃあ、その親分の新世界に不自由な世界を入れてしまえばいいんじゃね?」


「そんなことできるの?」


「そりゃできるさ、だって超時空体験図書館の甘太郎親分が思い描けることは何だって実現するんだから」


「それじゃあ、不自由な世界が不自由な世界じゃなくなってしまうんじゃないの?」


「そんなことないさ、ちゃんと不自由な世界らしさだけ親分に残してもらえばいいだけなんだから」


「らしさ?」


「そうだよ。不自由な世界を残したいと願っていても、不自由な世界をそのまま残酷仕様のまま残したいなんて良心的な魂たちが望むわけがないだろう?

だから、残したい悪くない部分だけ残してもらって、不自由な世界らしき世界だけど、残酷な体験は望まないと発生しないようにしてもらえばいいんじゃないかな」


「そんなことできるの?」


「こうやって分身体の僕でも思い描けるんだから、できるに決まってるじゃないか」


「すごい……何でもできちゃうんだ……」


「じゃあ、今現在のありのままの不自由な世界はどうなるの?」


「それは……うーんと……つまり、自由な不自由な世界になるんだよ」


「はあ?何それ?」


「つまり本気で切実に望めば不自由な体験もできちゃうけど甘太郎親分にちゃんと管理されていて安全な世界って感じかな……」


「なんだか、よくわからなくなってきたわ」


「ほら、苦行とか好んでする魂とかいるだろう? そんなタイプの魂たちにもサービスできる自由な世界になるんじゃないかな」


「つまり望めば不自由な体験も提供してくれるというわけ?」


「望めばね、あくまで」


「至れり尽くせりねえ」


「それなら甘太郎親分にそういう新世界を早く創ってもらわないと」


「じゃあ、結局、現状の不自由な世界は実質消滅するってことなの?」


「それは、現状の不自由な世界の魂たちの選択次第になるんじゃないかな」


「それって、どういうこと?」


「そりゃあ、現状の不自由な世界が甘太郎親分の世界改革案を自発的に推進してゆくことができれば、何もそうした処置をしなくても良くなるかもしれないし……それがどうしてもできなければ現状の不自由な世界は実質消滅することになるかもしれないし……」


「甘太郎親分の世界改革案ってどんなのだったっけ?」


「何言ってるのよ。そんな大事なことをもう忘れちゃったの?」


「え? だってなんだか難しい感じだったんだもの」


「どこが難しいのよ」


「だって体験の自治権だとか言われても良くわからないし……」


「体験の自治権=自分の意志で自分の体験を自由に選べる権利 でしょう? 難しくもなんともないじゃないの」


「他にもいろいろあったじゃない」


「本当の自由、体験の自治権、最大限の素晴らしい体験の選択肢、スタンドアロンで必要十分に満足できる能力 の提供 でしたね」


「そんなにいくつも憶えれないわ」


「たったの四つじゃないの」


「だってイメージわかないんだもの」


「イメージ?」


「じゃあ、こういう感じはどうですか?


そこに居るだけで必要十分に満足できる快適な自分だけの図書館で誰にもあーしろこーしろと一切言われない状態で無数の夢中になれる面白い本や漫画が自由に読めて、面白い映画や素敵な音楽や楽しめるゲームなんかも無数にあって、さらに完全合意の上であれば他の魂たちとも安全に自由に遊べて、甘太郎親分や超時空聖体様たちがそこでの最高の楽しみ方を手取り足取り親切に教えてくれる世界……


どうですか? 少しはイメージわきますか?」


「あ、それならイメージできるわ」


「で、その図書館というのが、体験図書館となっていて、実際に超時空体験図書館にあるありとあらゆる体験が味わえてしまう感じ」


「それはいいわねえ。そうなると体験選択自由自在って感じになるわねえ」


「図書館をバイキングレストランに例えることもできるよ。いろいろな本のかわりにいろいろな料理をそれぞれの好みに合わせて自由に選べる感じだね」


「いいわねえ、好きな料理だけ選べるの?」


「そういうこと、どうしても好きな料理がなければ自分で自分用の料理を作って自炊なんかもできる感じかな」


「わたしの作った料理を他の魂に食べてもらってもいいの?」


「そ、そうだね、ただし、毒とか入れちゃだめだよ」


「毒なんて入れるわけないじゃない!」


「いや、うっかり入れちゃうこともあり得るからね。他の魂に手料理を提供する場合は、超時空聖体様たちの料理教室とかでお勉強した方がいいよ」


「そんなお料理教室があるの?」


「そ、それは頼めば備えてくださると思うよ」


「なんだか面白そうね」


「手料理に挑戦するなら自業自得学園送りになっても困らない料理を作ろうね」


「なんでそんなこと心配してるのよ」


「いや……その……食中毒事件とかが起こると大変だから……」


「失礼しちゃうわ!そんな事件起こるわけないじゃない」


「いや、不自由な世界ではしょっちゅうそういう事件があるから」


「不自由な世界の魂たちってバカなんじゃないの? 何度も間違えて毒を料理に入れちゃうの?」


「いや、わざと毒を入れちゃったりするんだよ」


「えー! 嘘でしょう?」


「君は、まだ不自由な世界の体験歴史ビデオを見ていないのかい?」


「うん、見てない」


「恐怖映画とか好きな方?」


「好きなわけないじゃない!」


「じゃあ、見ない方がいいかもしれないなあ…」


「何よ、もったいつけて……そんな風に言われると見たくなるじゃない」


「ドカーーーン!!!!!」


「キャーーーー!!!」


「この程度で悲鳴を上げちゃうのなら、見ない方がいいね」


「ひどい!」


「ちょっとしたストレス耐性試験だよ。うかつに見ちゃうとトラウマになる魂もいるからね」


「試験、キライ!」
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