38 / 229
02 潜入捜査
17 Vesta (悪夢)
しおりを挟む
「ハイドラ、少し食べないとだめよ。ね。いらっしゃい、何も心配いらないわ」
ファビアがハイドラのブースを覗き込み、抱き抱えるように彼女を連れ出す。昨日に引き続きハイドラは顔色が悪くて、まだ目元が濡れている。
「大丈夫……?」
誰も答えない。仕方なくみんなの後をついて食堂に行く。朝の食堂は、いつも俺たちのチームしかいない……。
ファビアだけじゃなくて、他の二人とも距離を感じる。まるで人権保護局に入ってすぐの時みたいだ。間違ってここにいるみたいな。全然溶け込んでいない。昨日ファビアに言われたことが、楔みたいに突き刺さったままになっている。
食堂でガーゴが朝食を置いて行ったけど、なんだか食べる気がしなかった。こういうこと? 昨日のハイドラは。今朝は彼女は少しずつだけど口に入れている。誰も何も喋らない。
「……そうだ、ファビアは、ここに来る前はどうしてたの?」
昨日バルと話していて途中になってしまったのを思い出す。バルの聞き取りではファビアは半年も前にどこかに行ったことになっていると言っていた。
「……何が聞きたいの?」
ファビアは小柄でとても可愛らしいのに、ぞっとするほど冷たい声で言った。
「いや、ただ……。ごめんね、ちょっと聞いただけだよ。どうして、ここに来たのかなって」
「行くところがないからよ。ヴェスタだってそうでしょ? ねえ、そんなこと聞かないでよ!」
「………」
いつもの作業に入ってからも、3人にはなんとなく話しかけづらくて、誰とも話さなかった。なんだろう、これ。何かが喉のあたりに詰まったみたいで、少し苦しい。セミナーにも行く気がしない。だって、あのセミナーに行くとすごく嫌な気持ちになる。レプリカントが酷い目にあってる話ばっかり……。
「ヴェスタ。セミナーの時間だけど」
ブースをファビアがノックした。嫌だ。
「……ちょっと体調が悪くて。今日は休ませてもらえないかな」
「……本当に体調のせいなの? まあいいわ。行きましょう」
みんなが部屋を出て行く音。すごく居心地が悪い。でも一人になれて少しほっとする。こんな気持ちは久しぶりだ。バルと一緒の時はこんな気持ちにならない……。他の人の言動すべてが、ざらざらと俺の心を削り取っていくみたいだ。
時間を見る。まだ3時。ブリングを借りるか迷って、みんなが帰ってきた時にのんきにブリングなんか見ていたらまたイライラされるかもしれないと思ってやめた。退屈なのに身動きが取れない。バルは仕事中だな。ディーと何をしてるのかな。
──あんたなんか。
そうだよね。俺なんか……。ディーの方がバルもやり易いのかも知れない。
役に立てない。ここに来てからも何もできていない。みんなと仲良くなることさえ……。
──あれが?
──そう。レプリカントだって。
全身を舐めるような視線。
──バルトロイの? すぐ壊れるんじゃないのか?
──だからのレプリカントなんだろ。使い捨てさ……。
やめて。
──バルトロイも物好きだよな、職場にダッチワイフ持ってくるなんて。
──俺たちも使わせてもらうか?
やめて。
──ほら、しゃぶってみろよ。
──人間様の言うことは聞くんだろ?
嫌だ。触らないで。
──チッ、オーナーの言うことしか聞けねえのか?
──バルトロイはいいなあ! ちょっと仕事ができて豚の血が入ってるからって、セクサロイドまで買ってもらえて!
──しっ、聞こえるわよ。
やめて。やめて……。
俺はレプリカントのままでいい。何を言われても構わない。でもバルのことは言わないで……。
──バルにはベテランのバディを……
お願い。俺、がんばるから……。
「ヴェスタ」
──人材の配置として正しくないんじゃないかと……
ごめんなさい……。
「ヴェスタ!」
ぐっと肩を掴まれて目を覚ました。いつの間にか眠っていた。
「ヨールカ……」
「ファビアたちから、あなたが体調不良でセミナーを休むって聞いたから。本当に具合が悪そうだね。熱はないみたいだけど」
ヨールカの手がそっと額にふれた。俺の額は冷や汗でびっしょりだった。涙で頬が濡れていることにもやっと気がついた。
「夕食はここに持ってこようか? 大丈夫?」
「大丈夫……」
「どこか痛むの?」
「ううん。嫌な夢を見ただけ」
嫌な夢……。
「ここの生活はどう?」
「ん……」
つらい。
「うまくいかない……。みんなのこと、怒らせちゃったみたい」
「集団生活だからね。うまくいかないこともあるよ。大丈夫、みんな仲間だから」
「仲間……」
ざわざわと3人が戻ってきた。ヨールカが俺の肩をさすりながら声をかける。
「おかえり。ヴェスタは少し休めば大丈夫じゃないかな。すぐに夕食は行ける? ヴェスタ」
そんな気分じゃなくて首を横に振ると、ヨールカは「じゃあ、食べられそうになったらちゃんと食べるんだよ」と言って部屋を後にした。それに続くように、3人も部屋を出る。本当に嫌な夢。でも、本当にあったこと。俺に嫌なことを言ってくる人はカラスだけじゃない。捜査官の中でも好意的な人の方が少なかった。俺がレプリカントだから……。
ヒューマンの中にいた時は、仕方ないと思った。俺だけレプリカントなんだから。でも、レプリカントの中でも俺は嫌われるんだね……。どうしてなのかな。
ごちゃごちゃ考えていたら、みんなが戻ってきた。あんまり顔を合わせたくなくて、そっと部屋を出る。シャワーでも浴びようかな。お昼もあまり食べてないから、少し何か食べなくちゃいけない。本当に体調が悪くなったりしたら、余計に俺はお荷物になってしまう。
食堂に行ってみると、見たことのないグループが食事をしていた。なんだか新鮮だった。この施設に来てから、他にもたくさん人がいるはずなのに、あまり接触したことがない。見るともなくそのグループを眺めながらとにかく出されたものを食べた。
その人たちは食べ終わると全員で一斉に食堂を出て行った。入れ替わるように別のグループがやって来る。その人たちも食べ終わると連れ立って出て行く。そしてまた別なグループ……。
不思議。いつも食堂には一つのグループしか入らないようにしてるみたい。結構広いし、テーブルだっていくつもあるんだから、みんなで食べたっていいのに。
そういえば、こうして一人になるのも久しぶりだった。というか、一人で食事するのは初めてかもしれない。ずっとルームメイトと一緒だったから。一人で食べてる人を見たこともない。自分がすごく孤独な感じがする。今日も何も報告できることがない……。
「あ!」
食事をしていたグループの何人かがちらっとこっちを見た。恥ずかしい。思わず結構大きな声を出してしまった。バルには報告できることがある。
沈んでいた気持ちが少しだけ浮かんだ気がした。
ファビアがハイドラのブースを覗き込み、抱き抱えるように彼女を連れ出す。昨日に引き続きハイドラは顔色が悪くて、まだ目元が濡れている。
「大丈夫……?」
誰も答えない。仕方なくみんなの後をついて食堂に行く。朝の食堂は、いつも俺たちのチームしかいない……。
ファビアだけじゃなくて、他の二人とも距離を感じる。まるで人権保護局に入ってすぐの時みたいだ。間違ってここにいるみたいな。全然溶け込んでいない。昨日ファビアに言われたことが、楔みたいに突き刺さったままになっている。
食堂でガーゴが朝食を置いて行ったけど、なんだか食べる気がしなかった。こういうこと? 昨日のハイドラは。今朝は彼女は少しずつだけど口に入れている。誰も何も喋らない。
「……そうだ、ファビアは、ここに来る前はどうしてたの?」
昨日バルと話していて途中になってしまったのを思い出す。バルの聞き取りではファビアは半年も前にどこかに行ったことになっていると言っていた。
「……何が聞きたいの?」
ファビアは小柄でとても可愛らしいのに、ぞっとするほど冷たい声で言った。
「いや、ただ……。ごめんね、ちょっと聞いただけだよ。どうして、ここに来たのかなって」
「行くところがないからよ。ヴェスタだってそうでしょ? ねえ、そんなこと聞かないでよ!」
「………」
いつもの作業に入ってからも、3人にはなんとなく話しかけづらくて、誰とも話さなかった。なんだろう、これ。何かが喉のあたりに詰まったみたいで、少し苦しい。セミナーにも行く気がしない。だって、あのセミナーに行くとすごく嫌な気持ちになる。レプリカントが酷い目にあってる話ばっかり……。
「ヴェスタ。セミナーの時間だけど」
ブースをファビアがノックした。嫌だ。
「……ちょっと体調が悪くて。今日は休ませてもらえないかな」
「……本当に体調のせいなの? まあいいわ。行きましょう」
みんなが部屋を出て行く音。すごく居心地が悪い。でも一人になれて少しほっとする。こんな気持ちは久しぶりだ。バルと一緒の時はこんな気持ちにならない……。他の人の言動すべてが、ざらざらと俺の心を削り取っていくみたいだ。
時間を見る。まだ3時。ブリングを借りるか迷って、みんなが帰ってきた時にのんきにブリングなんか見ていたらまたイライラされるかもしれないと思ってやめた。退屈なのに身動きが取れない。バルは仕事中だな。ディーと何をしてるのかな。
──あんたなんか。
そうだよね。俺なんか……。ディーの方がバルもやり易いのかも知れない。
役に立てない。ここに来てからも何もできていない。みんなと仲良くなることさえ……。
──あれが?
──そう。レプリカントだって。
全身を舐めるような視線。
──バルトロイの? すぐ壊れるんじゃないのか?
──だからのレプリカントなんだろ。使い捨てさ……。
やめて。
──バルトロイも物好きだよな、職場にダッチワイフ持ってくるなんて。
──俺たちも使わせてもらうか?
やめて。
──ほら、しゃぶってみろよ。
──人間様の言うことは聞くんだろ?
嫌だ。触らないで。
──チッ、オーナーの言うことしか聞けねえのか?
──バルトロイはいいなあ! ちょっと仕事ができて豚の血が入ってるからって、セクサロイドまで買ってもらえて!
──しっ、聞こえるわよ。
やめて。やめて……。
俺はレプリカントのままでいい。何を言われても構わない。でもバルのことは言わないで……。
──バルにはベテランのバディを……
お願い。俺、がんばるから……。
「ヴェスタ」
──人材の配置として正しくないんじゃないかと……
ごめんなさい……。
「ヴェスタ!」
ぐっと肩を掴まれて目を覚ました。いつの間にか眠っていた。
「ヨールカ……」
「ファビアたちから、あなたが体調不良でセミナーを休むって聞いたから。本当に具合が悪そうだね。熱はないみたいだけど」
ヨールカの手がそっと額にふれた。俺の額は冷や汗でびっしょりだった。涙で頬が濡れていることにもやっと気がついた。
「夕食はここに持ってこようか? 大丈夫?」
「大丈夫……」
「どこか痛むの?」
「ううん。嫌な夢を見ただけ」
嫌な夢……。
「ここの生活はどう?」
「ん……」
つらい。
「うまくいかない……。みんなのこと、怒らせちゃったみたい」
「集団生活だからね。うまくいかないこともあるよ。大丈夫、みんな仲間だから」
「仲間……」
ざわざわと3人が戻ってきた。ヨールカが俺の肩をさすりながら声をかける。
「おかえり。ヴェスタは少し休めば大丈夫じゃないかな。すぐに夕食は行ける? ヴェスタ」
そんな気分じゃなくて首を横に振ると、ヨールカは「じゃあ、食べられそうになったらちゃんと食べるんだよ」と言って部屋を後にした。それに続くように、3人も部屋を出る。本当に嫌な夢。でも、本当にあったこと。俺に嫌なことを言ってくる人はカラスだけじゃない。捜査官の中でも好意的な人の方が少なかった。俺がレプリカントだから……。
ヒューマンの中にいた時は、仕方ないと思った。俺だけレプリカントなんだから。でも、レプリカントの中でも俺は嫌われるんだね……。どうしてなのかな。
ごちゃごちゃ考えていたら、みんなが戻ってきた。あんまり顔を合わせたくなくて、そっと部屋を出る。シャワーでも浴びようかな。お昼もあまり食べてないから、少し何か食べなくちゃいけない。本当に体調が悪くなったりしたら、余計に俺はお荷物になってしまう。
食堂に行ってみると、見たことのないグループが食事をしていた。なんだか新鮮だった。この施設に来てから、他にもたくさん人がいるはずなのに、あまり接触したことがない。見るともなくそのグループを眺めながらとにかく出されたものを食べた。
その人たちは食べ終わると全員で一斉に食堂を出て行った。入れ替わるように別のグループがやって来る。その人たちも食べ終わると連れ立って出て行く。そしてまた別なグループ……。
不思議。いつも食堂には一つのグループしか入らないようにしてるみたい。結構広いし、テーブルだっていくつもあるんだから、みんなで食べたっていいのに。
そういえば、こうして一人になるのも久しぶりだった。というか、一人で食事するのは初めてかもしれない。ずっとルームメイトと一緒だったから。一人で食べてる人を見たこともない。自分がすごく孤独な感じがする。今日も何も報告できることがない……。
「あ!」
食事をしていたグループの何人かがちらっとこっちを見た。恥ずかしい。思わず結構大きな声を出してしまった。バルには報告できることがある。
沈んでいた気持ちが少しだけ浮かんだ気がした。
10
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
肩甲骨に薔薇の種(アルファポリス版・完結済)
おにぎり1000米
BL
エンジニアの三波朋晴はモデルに間違われることもある美形のオメガだが、学生の頃から誰とも固定した関係を持つことができないでいる。しかしとあるきっかけで年上のベータ、佐枝峡と出会い、好意をもつが…
*オメガバース(独自設定あり)ベータ×オメガ 年齢差カプ
*『まばゆいほどに深い闇』の脇キャラによるスピンオフなので、キャラクターがかぶります。本編+後日談。他サイト掲載作品の改稿修正版につきアルファポリス版としましたが、内容はあまり変わりません。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
恋人はメリーゴーランド少年だった。
夏目奈緖
BL
溺愛ドS社長×ツンデレ高校生。年の差恋愛。社長からの告白と束縛に戸惑う高校生。すれ違いばかりの片想いから恋人同士へ。ひねくれもの天使的な高校生と心を閉ざした会社社長との年の差BL。中山夏樹(18)は従姉妹の結婚式の2次会で、倒れてきた酔っ払いの下敷きになり左手に怪我を負った。助けてくれたのが、会場レストラン経営の黒崎ホールディングス代表取締役社長・黒崎圭一(33)。左手の抜糸がすむまで黒崎の車で送迎されることになった。黒崎は誰にも心を開かない。夏樹も同じである。しかしながら、夏樹は黒崎の前だけは自分の意思とは反対に、本音を吐き出す。2人は孤独を抱えており、夏樹は黒崎に惹かれていく。黒崎は夏樹に一目惚れし、執着する。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
【BL】『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとでした
圭琴子
BL
この世界は、αとβとΩで出来てる。
生まれながらにエリートのαや、人口の大多数を占める『普通』のβにはさして意識するほどの事でもないだろうけど、俺たちΩにとっては、この世界はけして優しくはなかった。
今日も寝坊した。二学期の初め、転校初日だったけど、ワクワクもドキドキも、期待に胸を膨らませる事もない。何故なら、高校三年生にして、もう七度目の転校だったから。
βの両親から生まれてしまったΩの一人息子の行く末を心配して、若かった父さんと母さんは、一つの罪を犯した。
小学校に入る時に義務付けられている血液検査日に、俺の血液と父さんの血液をすり替えるという罪を。
従って俺は戸籍上、β籍になっている。
あとは、一度吐(つ)いてしまった嘘がバレないよう、嘘を上塗りするばかりだった。
俺がΩとバレそうになる度に転校を繰り返し、流れ流れていつの間にか、東京の一大エスカレーター式私立校、小鳥遊(たかなし)学園に通う事になっていた。
今まで、俺に『好き』と言った連中は、みんなΩの発情期に当てられた奴らばかりだった。
だから『好き』と言われて、ピンときたことはない。
だけど。優しいキスに、心が動いて、いつの間にかそのひとを『好き』になっていた。
学園の事実上のトップで、生まれた時から許嫁が居て、俺のことを遊びだと言い切るあいつを。
どんなに酷いことをされても、一度愛したあのひとを、忘れることは出来なかった。
『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとだったから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる