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02 潜入捜査
18 Baltroy (ヒント)
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「ブレンダン・コーツ」
『そう。レプリカントなんだって』
「ふーん……。調べてみるか」
端末から照合してみる。ブレンダン・コーツ。5年前に作られたレプリカント。戸籍はないが、名前がフルネームでわかっているからある程度辿れそうだ。ヴェスタがいる施設を所有している法人の代表?
「お前これ、どうやって調べた?」
『ザムザから聞いた』
「ザムザが俺に言えって?」
『ううん、話の中で出た感じ』
「ダメだぞ。お前の今のバディはザムザなんだから。バディとした仕事の話は他にすんなよ」
『……だって』
そういうことも教えてなかったな。コンプライアンス。今までは俺としか仕事の話も無駄話もろくにさせてないから……。今回はいい機会だったんだろうな。
「守秘義務。捜査官同士でも口を滑らせるな。違反になる」
『……でも』
「それから、俺にした話はザムザにもしろ。ザムザとの話は俺にしたらダメだ。それはバディへの最低限の礼儀」
『………』
「聞いてるか? あんな感じでもザムザは連邦捜査局の捜査官なんだから、かなり優秀なんだよ。もっと信用しろ。俺は今回は……おい?」
『………ヒック』
泣いてんのかよ? きつかったか?
「泣くなよ」
『ごめん……なんか、うまく……いかなくて………』
ちょっと刺激が強すぎたかもしれない。俺でも経験がないような単独潜入任務で、バディもザムザだ。面識もろくになきゃレプリカント人権保護局のやつでもない。意外といっぱいいっぱいだったのかもな。
「そっちはどうなんだよ。画像見てると楽しくなさそうだけど」
『……楽しく、ない……。みんなに、嫌われちゃって……』
「ハ……嫌われた?」
『うん。気に触ることばっかり……言っちゃったみたい……。俺、全然気づかなくて……』
ヴェスタが? どうもピンと来ない。こいつは割とこまごま気が利くタイプで、嫌味も言わないし表裏もない。俺と違って無神経でもない。
「何か行き違いがあったんだろ。気にすんなよ」
『………ごめんね。俺がバディで……』
語尾が涙声になった。だいぶ本気で泣いてる感じ。
『もうだめかも知れない。俺、バルのバディでいたかったけど……。こんなんじゃ……』
おいおい。何の話だよ。
「どうしたんだよ? 急に」
『だって……』
「局長から言われたこと気にしてんのか? あんなのただの嫌がらせだろ。よくあるやつさ」
わかんないかもな。こいつまだ1歳だもんな。
「お前はよくやってるし、俺はお前を降ろさねえよ。お前が嫌じゃなけりゃって話だけど」
『……俺のせいで、バルまで色々……。ごめんね』
「それはお互い様だろ」
『職場でだって、俺が、レプリカントだから……』
「お前のせいじゃねえよ。俺だって豚の子だ。3人捜査官を潰してる。お前が辛いのは俺のせいだよ」
だから。謝らないといけないのは俺の方なんだけどな。
「俺たちは人外コンビだろ。はみ出し者同士だ。お前がバディじゃなかったら俺と組む物好きなんかいねえよ。ヒューマンよりできるってことをさ、2人で見せてやろう」
『………ん』
「らしくないぞ、ヴェスタ。俺に怒鳴りつけてきた威勢はどうしたんだよ? 大丈夫だ。お前のことがわからないやつの仲間になんかならなくていい。やることやって早く帰って来い」
『……うん』
やっと早く帰って来いと言えたな、と思った。少しは気が紛れたらいいけど。どうだかな。俺は励ましたりがうまくねえから。
さて。
ブレンダン・コーツ。秘書技能がある。法律もプレインストールされている。凄いな。オーナーは? 法律事務所の所長。なるほど。
法律事務所の方は当然この時間には閉まっている。個人IDにコールするにしても非常識な時間だ。ザムザにも知らせないといけない。筋は通しておかないと。オーナーの情報をザムザに送っておく。調べろ。情報は共有してもらえないだろうけど、捜査自体は進むはずだ。黒子ってつまんねえな。
ReLFのこれまでの事件を調べ直してみる。そうなんだよ。ラライサの件で思ったんだけど、なんでわかるんだ? ぶっこんだ工場にレプリカントがいるって。こいつがレプリカントだって。
レプリカントを雇用していると公表してる企業は多くない。こういう団体の標的になるからだ。大量発注のレプリカントたちには、特殊な職場でない限り、目立ったオプションも付かない。それを、ヒューマンと確実に見分けるやり方。
俺たちみたいな、別にエスパーでもない捜査官がどうやってそれを見つけるかというと……。
くそが。
思わず舌打ちする。これまでReLFに連れ去られたレプリカントの一覧を開く。結構な人数だ。62人。このうち、人権保護局として保護できる人権アリのが24人。面倒くせえ。なんでこんなに面倒な仕事ばっかり舞い込むんだろうな? 俺とヴェスタが面倒なことばっかりやってるみたいに見えるからかな?
畜生。仕方ない。綻びを探さなくちゃいけないんだ。
一人一人の戸籍を開いていく。並べて比べてみるしかない。ヴェスタもきっとそうするだろう。あいつの方がこういうのは得意なんだけどな。まあ、普通。ざっと見てもオーナーもバラバラ、ぱっと見もヒューマンと変わらない。
うーん。
残りの38人は保護対象じゃない。器物扱いになる。念のため見てみるか? こっちは納品書しかない。たぶんこいつらもプログラムを書き換えられてるんだろうな。
納品書をぱーっと開く。やれやれ。こっちは見ようと思ったら情報がみっちり書いてあるから、一件一件見るだけで疲れる。現況コールの時はオーナーのIDしか見ないからなあ。
「ん?」
オーナーはバラバラだ。企業の発注のものは代表になってるけど、特に不審ではない。でも……。
メーカーが全部、アンドロイド・アンド・アドバンスだ。
人権ありの方の納品書も見てみる。戸籍にはメーカー記載欄はないからだ。こちらも見事に全てアンドロイド・アンド・アドバンスのレプリカント……。
これだ。
『そう。レプリカントなんだって』
「ふーん……。調べてみるか」
端末から照合してみる。ブレンダン・コーツ。5年前に作られたレプリカント。戸籍はないが、名前がフルネームでわかっているからある程度辿れそうだ。ヴェスタがいる施設を所有している法人の代表?
「お前これ、どうやって調べた?」
『ザムザから聞いた』
「ザムザが俺に言えって?」
『ううん、話の中で出た感じ』
「ダメだぞ。お前の今のバディはザムザなんだから。バディとした仕事の話は他にすんなよ」
『……だって』
そういうことも教えてなかったな。コンプライアンス。今までは俺としか仕事の話も無駄話もろくにさせてないから……。今回はいい機会だったんだろうな。
「守秘義務。捜査官同士でも口を滑らせるな。違反になる」
『……でも』
「それから、俺にした話はザムザにもしろ。ザムザとの話は俺にしたらダメだ。それはバディへの最低限の礼儀」
『………』
「聞いてるか? あんな感じでもザムザは連邦捜査局の捜査官なんだから、かなり優秀なんだよ。もっと信用しろ。俺は今回は……おい?」
『………ヒック』
泣いてんのかよ? きつかったか?
「泣くなよ」
『ごめん……なんか、うまく……いかなくて………』
ちょっと刺激が強すぎたかもしれない。俺でも経験がないような単独潜入任務で、バディもザムザだ。面識もろくになきゃレプリカント人権保護局のやつでもない。意外といっぱいいっぱいだったのかもな。
「そっちはどうなんだよ。画像見てると楽しくなさそうだけど」
『……楽しく、ない……。みんなに、嫌われちゃって……』
「ハ……嫌われた?」
『うん。気に触ることばっかり……言っちゃったみたい……。俺、全然気づかなくて……』
ヴェスタが? どうもピンと来ない。こいつは割とこまごま気が利くタイプで、嫌味も言わないし表裏もない。俺と違って無神経でもない。
「何か行き違いがあったんだろ。気にすんなよ」
『………ごめんね。俺がバディで……』
語尾が涙声になった。だいぶ本気で泣いてる感じ。
『もうだめかも知れない。俺、バルのバディでいたかったけど……。こんなんじゃ……』
おいおい。何の話だよ。
「どうしたんだよ? 急に」
『だって……』
「局長から言われたこと気にしてんのか? あんなのただの嫌がらせだろ。よくあるやつさ」
わかんないかもな。こいつまだ1歳だもんな。
「お前はよくやってるし、俺はお前を降ろさねえよ。お前が嫌じゃなけりゃって話だけど」
『……俺のせいで、バルまで色々……。ごめんね』
「それはお互い様だろ」
『職場でだって、俺が、レプリカントだから……』
「お前のせいじゃねえよ。俺だって豚の子だ。3人捜査官を潰してる。お前が辛いのは俺のせいだよ」
だから。謝らないといけないのは俺の方なんだけどな。
「俺たちは人外コンビだろ。はみ出し者同士だ。お前がバディじゃなかったら俺と組む物好きなんかいねえよ。ヒューマンよりできるってことをさ、2人で見せてやろう」
『………ん』
「らしくないぞ、ヴェスタ。俺に怒鳴りつけてきた威勢はどうしたんだよ? 大丈夫だ。お前のことがわからないやつの仲間になんかならなくていい。やることやって早く帰って来い」
『……うん』
やっと早く帰って来いと言えたな、と思った。少しは気が紛れたらいいけど。どうだかな。俺は励ましたりがうまくねえから。
さて。
ブレンダン・コーツ。秘書技能がある。法律もプレインストールされている。凄いな。オーナーは? 法律事務所の所長。なるほど。
法律事務所の方は当然この時間には閉まっている。個人IDにコールするにしても非常識な時間だ。ザムザにも知らせないといけない。筋は通しておかないと。オーナーの情報をザムザに送っておく。調べろ。情報は共有してもらえないだろうけど、捜査自体は進むはずだ。黒子ってつまんねえな。
ReLFのこれまでの事件を調べ直してみる。そうなんだよ。ラライサの件で思ったんだけど、なんでわかるんだ? ぶっこんだ工場にレプリカントがいるって。こいつがレプリカントだって。
レプリカントを雇用していると公表してる企業は多くない。こういう団体の標的になるからだ。大量発注のレプリカントたちには、特殊な職場でない限り、目立ったオプションも付かない。それを、ヒューマンと確実に見分けるやり方。
俺たちみたいな、別にエスパーでもない捜査官がどうやってそれを見つけるかというと……。
くそが。
思わず舌打ちする。これまでReLFに連れ去られたレプリカントの一覧を開く。結構な人数だ。62人。このうち、人権保護局として保護できる人権アリのが24人。面倒くせえ。なんでこんなに面倒な仕事ばっかり舞い込むんだろうな? 俺とヴェスタが面倒なことばっかりやってるみたいに見えるからかな?
畜生。仕方ない。綻びを探さなくちゃいけないんだ。
一人一人の戸籍を開いていく。並べて比べてみるしかない。ヴェスタもきっとそうするだろう。あいつの方がこういうのは得意なんだけどな。まあ、普通。ざっと見てもオーナーもバラバラ、ぱっと見もヒューマンと変わらない。
うーん。
残りの38人は保護対象じゃない。器物扱いになる。念のため見てみるか? こっちは納品書しかない。たぶんこいつらもプログラムを書き換えられてるんだろうな。
納品書をぱーっと開く。やれやれ。こっちは見ようと思ったら情報がみっちり書いてあるから、一件一件見るだけで疲れる。現況コールの時はオーナーのIDしか見ないからなあ。
「ん?」
オーナーはバラバラだ。企業の発注のものは代表になってるけど、特に不審ではない。でも……。
メーカーが全部、アンドロイド・アンド・アドバンスだ。
人権ありの方の納品書も見てみる。戸籍にはメーカー記載欄はないからだ。こちらも見事に全てアンドロイド・アンド・アドバンスのレプリカント……。
これだ。
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