被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。

文字の大きさ
32 / 36

三十二話 抱きしめたい

しおりを挟む
 連日の練習のせいか、セシリオは昼間けだるげにしてることが多くなった。

「今日もセシリオ様が眠たそうにしていらっしゃいますわ」
「やっぱり、ルイ殿下と…」
「下品な妄想はやめなさって!もしかしたら体調を崩されているのかも」
「でも、その…色っぽいですよね。今のセシリオ様…」
「はい…」

 そんなクラスメイトの話は意にも介さずにセシリオは窓の外の景色を眺めていた。
 ルイのクラスはちょうど体術の授業をしていた。

 ルイは目立たないように手を抜いているらしく、わざとクラスメイトに負けたりしている。前までのセシリオなら気づかなかったが毎日ルイの体術を見ている今ならさすがにわかる。

「ずっと、ああして目立たないように生きてきたのかな…」

 セシリオはそんなことに気を使ったことはなかった。そもそもセシリオの肩書と容姿では目立たずにはいられない。
 でも、それはルイも同じだったはずだ。
 ずっと目立たないように気を張って生きるのはどれほど大変なことなんだろう。セシリオにはわからなかった。




「今日、僕のこと見てたんですか?」

 その日の練習でルイがそう聞いてきた。

「え?あぁ…はい、体術の授業の時、教室から」
「クラスメイトがあなたが自分たちの体育を見ていると大騒ぎしていました。婚約者の僕もそのばにいたっていうのに…本当にあなたは生徒のお姫様なんですね」
「そんなことないです」

 体育ののぞき見なんてはしたないことをしてしまったと今さらながらセシリオは恥ずかしくなった。

「ルイ様はどうして目立たないようにしているんですか。今は僕の婚約者ですし、本気を出してもいいのでは…?」
「…そうですね。でも、敵が多いことには変わりありません。この国にいる限りは気を抜けない」

 セシリオはルイがかわいそうに思えた。セシリオにだって敵はいる。セシリオの家柄や要旨は多くの者に嫉妬される。でも、セシリオがその人たちに怯えたことはほとんどない。だって、守ってくれる人がいるから。

 ルイには、そんな人がいなかったのかもしれないと思うと、小さいころから今までのルイをみんなセシリオが抱きしめてまもってあげたくなった。

「今日も、練習ですね」
「…?はい」
「……いや、僕はいいのですが。でも、急に、しなくなると心配になるといいますか…」
「なにがですか?」
「……なんでもないです」

 セシリオはルイの煮え切らない言葉に首を傾げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【BL】SNSで出会ったイケメンに捕まるまで

久遠院 純
BL
タイトル通りの内容です。 自称平凡モブ顔の主人公が、イケメンに捕まるまでのお話。 他サイトでも公開しています。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

処理中です...