(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

茶ティム

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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(8) 咲かない花もある

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今日もお昼過ぎにお目覚めのミリエネッタ令嬢。果物とクッキーにミルクティーという簡素な朝食。

ご報告しないといけない事があります。


「お嬢様、王太子様がお部屋でお休みです。」
「へー。」
「お嬢様がお目覚めになったら、お会いしたいと。」
「へー。」
「今日は、お嬢様と王太子様に恋が芽生えると。」
「へー。」
「迷子の迷子の仔豚ちゃんー♪」
「へー。」


お嬢様は次の事業計画で頭が一杯なのです。恋の入る場所なんて有りませんけど。

あ、犬のような嗅覚で出た王太子!


「愛しのミリエネッタ、会いたかった会いたかった君にー♪」
「へー。」


何という冷たさ。王太子は鉄の心臓だから負けません。


「君だけだよ、私を相手してくれないのは。その愛想の無さに興奮するんだ!」


見習い執事は、貰い泣き~~♪男として好きな相手には優しくされたい。チヤホヤして欲しい。分かるけど相手が眼中に有りませんけど。

そして、トドメの一言が今日も出るのでした。


「ソバカスの数なんて構わないで、プンプンー。」

「だって、ミリエネッタのソバカスは可愛いくてー。」

「その可愛いも、掛けられた魔法て事よ。婚約したのは、悪い魔法使いに自分に最も相応しくない相手を選ばされたからでしょ!」

「最も相応しくない?悪い魔法使い?え、ええっ!?(かなりの動揺)」


見目麗(みめうるわ)しき若者の絶望感は、見る者には胸を打たれる。思わず支えたくなるのに、お嬢様は知らぬ顔。心臓も、鉄ですよ。きっと。

打ちのめされた美しい男は、煙のように消え去った。おいたわしい。でも、復活したら忘れて求愛に来るんだから。呪いだね。



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