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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は
(28)最期の竜人大王
しおりを挟む「竜人族の伝え話」
密かに口伝えられた竜人の19代王は、フランチェスコ・ドラコ。歴代の王達より魔力は数段も強いドラゴンであった。
その為、誰も王に意見する事が出来なくなる。それを、コムの父親は説明してくれていた。
「これは、私が親から聞かされた話で現実は分からない。竜人の国は滅びてしまったからだ。高位の者達が力を合わせて独占政治を終わらせた。大王を抹殺したからだ。」
遠い昔の事だった。国は豊かで人々は幸福に暮している。それは、当たり前こ事のように考えられていたのだ。だが、大王が世を去った時に真実が明かされた。
「大王様は、我が身を犠牲にして国の天候や実りを維持していたんだよ。だから、大王様が去られて全てが夢のように消え去った。」
温厚な気候も豊かな土地も、造られた物だったのだ。大王を復活させようとした者もいたが、叶わなかった。独裁者と憎む高位の者達は、再生出来ない魔法を使って消滅してしまっていたのた。
「大王様は、知っておられたらしい。人々の為にやったのに嫌われていると分かって自ら蘇る事の無い魔法に身を任せたという。」
人々が嘆いても竜人の黄金期は消え失せる。後には、何も残らなかったのだ。大王に守られて戦う事も知らず、攻め込んだ敵国の奴隷になる。竜人の民は哀しみのあまり、大王の歴史を封じてしまった。
それは、取り返しのつかない過去の歴史である。
そして、大王の死が原因で竜人族は破滅をしたとされたが、真実は隠されて来たのだった。
そして、現在はー。
サンリク伯爵家の書庫でコムは積み上げられた本に囲まれていた。読めば読むほどに目がクラクラしてくる~~。
「お嬢様、僕は奴隷なんですよ。勉強なんて無理!」
とうとう、本を枕に昼寝。ミリエネッタ令嬢は、見習い執事の仕事は休職して「竜人族」の歴史を学べと命令したのでした。
「なにゃなにゃ(こら、さぼるな!)」
出て来たミニ大王が、叱る。コムは、尋ねた。
「ね、本に書いてあったけどさ。あなたの末裔が居るらしいよ。何処かの王族に保護されて。」
「なにゃ?(何だ、それ?)」
「あなたの子供の子孫だよ。」
「我は、子供など成しておらぬぞ。そいつは、高官が手を付けて生まれた子なのだぞー!(激怒)」
「そうなの?」
「1人の子供に恵まれるだけなのだ。考えて作らねばならない。レニー(ミリエネッタ)の夫君は、126人も子がいた。羨ましい話だ(ハッキリと喋れるのだ)」
「え、126人も?教えて、お嬢様の転生前の話を。」
「なにゃなにゃ(あれ、喋れないぞ)」
どうやら、ミリエネッタ令嬢から過去の話をしてはいけないと言われていたらしい。急に大王は寡黙になった。
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