(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(24) 女神様へのお供え

都を出ると何処に行っても特別扱いをされる。当然です。王太子の婚約者様ですよ。将来の王妃様だから。

「影では、成り上がりと言っててもね。」

本人が平気で言うから驚く。同じくらいの年頃だから分かる。悪口なんて気持ちのいい物じゃないのに。どうして、平気なんだろう。

「言いたい人には言わせておけばいいのよ。若い時は腹が立ったけど歳とるとねえ。何を言われても雑音にしか聞こえないから。」
「お嬢様は、15歳なのに年寄りなんですか？」

ミリエネッタ令嬢は、急に慌てた。

「それはねー、冗談よ。あははは！」

なんか、引っかかる。時々、凄いお年寄りみたいになるのも。本当は、おばあちゃん？まさかー。








２泊して到着したのが以外な場所だった。


「お嬢様は、女神信仰者だったんですね。」


そこは、古代から祀られている女神祭殿である。旧くから信心される女神ヘレナデレアールの小さな祭殿は、この国だけでなく他国の色々な町にあるのだ。

ミリエネッタ令嬢は、ケラケラと笑う。


「信仰してるわけじゃないのよ、知り合いだから。」


知り合いとは？まるで、友達みたいな言い方だな。お嬢様は持参した供物を捧げて目を閉じて祈る。

グワングワンー、ドッコーーン！

兵士も召使いも揺れる大地に座り込む。平気なのは、貴女だけ。さすが、剛腕の成り上がり魔女！

すると、祭壇の下から光が浮かび上がって来るではないか。それを、ミリエネッタ令嬢は掴み取った。


「残っていたのね、良かったわ。さて、中身が無事だといいけど。随分と昔になってしまったからねえ。」


僅か13歳で、随分と昔とは何年前の子供なのか。時々、分からない事を言われる女主人。光は彼女の手の上で古い木箱となる。


「さあ、私の大事な品よ。姿を見せてちょうだい。」


その言葉を合図に、木箱の中身が箱から浮いて来るのだ。手編みのレースのような大きな鳥の羽根。鮮血のよな朱の入ったダイヤモンドの宝石。金の糸のよな長い髪の束。それが、宝物なのか？