45 / 77
「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は
(33) 回想
しおりを挟む
理解能力を越えた為にエネルギー消耗。与えられた造りものの身体に萎んでしまった大王を回復箱に納める。コムは、心配そうに見た。
「お嬢様、元気になりますよね?」
「大丈夫、明日は元通りになっていますよ。」
ミリエネッタ令嬢は、転生前の記憶に想いを馳せた。あの頃、気の合った2人は互いに忙しい身でありながら少しの時間でも会うようにしていたのだ。
(私が若ければ、好意を持たれていると思ったでしょう。残念でしたわ。)
金色のドラゴンは、博識な王妃と居る事を好んだ。人間の美貌の男の姿になって通って来ては、王妃の知らない話を聞かせてくれる。人間社会には知られてない魔物の解説など話題が豊富だ。楽しく過ごして帰って行く。
人の来ない互い山に咲く美しい花を手土産に訪れた大王は、賑やかな音に遠くにある後宮を見やった。
「随分と賑やかなことだ。めでたい事でもありましたか?」
「私の夫の愛妾の1人が子を産みました。男の子であったので、劇団や楽団などを呼び盛大に祝っているようですわ。」
夫君は沢山の子に恵まれているのだが、最近のお気に入りである愛妾だけに嬉しいのだろう。何時もより派手な誕生式を行なっているようだ。
「貴女は、王妃でありますから。お出かけには?」
「招かれもしないのに、参りません。それに、126人目の子供ですし。」
「それは、それは。励んでおられますな。フハハハー。」
「王家の男の務めを全うするつもりのようですのよ(女好き!)」
子供が誕生する度に派手に祝い、請求書だけは回してくる。稼ぐのは王妃の役目。王とは、使って当然なのだ。王の役目は、子孫を残す事であるから。その為に王妃は睡眠時間も削って働いていた。
「これだけ、王家と国の民に尽くしておられる貴女が、忌まわしい者のように扱われる。嘆かわしい!」
真実を理解してくれるのは、彼だけですあった。誰にも負けない強さ。離れに閉じ込めるように追いやられた自分とは違う。それが、羨ましいとも思っていたのに。
それが、次第に表情が沈んでいった。そして、あの時に別れの言葉を口に出したのだ。
「貴女と楽しい時間を過ごせた事に感謝します。御老体のような人間は珍しい。もっと、一緒に居たかったが仕方がない。」
「そんな寂しい事を言わないで下さいな。貴方が来なくなってしまったら、寂しくてならないでしょう。長生きしても意味がありません。」
「ありがとう、嬉しいですよ。私を惜しむ言葉を頂いて。では、こうしましょう。」
そして、彼は約束してくれた。
【いつか、何処かで巡り会えた時に私だと分かるようにしておきました。】
輪廻の輪に入ったならば、いつか、遠い時の向こうのどこかの時の中で巡り会うのです。あなたと。
また、一緒に楽しい時を過ごしましょう。
一族の幸福だけを願い、自分の命も捧げた直向きな貴方。背負う物を全て忘れて2人きりで。何の心配もせずに笑って。その時には私は若い娘で、貴方の恋のお相手を務めさせて頂けるかもしれませんね。
女として生まれたなら、I度は、胸を焦がす恋というものをしてみたかった。それは、貴方にお願いしたいですわ。
そう、思っておりましたのに。身代わり人形を使って私を口説き落としたいとは。嘆かわしい!
もう、夢は夢で終わらせます。長い時を経て普通の女の子となりました。今度は、目立たないように努めていますよ。でも、見習い執事が。
「お嬢様、失礼ながら。お嬢様は年寄り臭い喋り方だと皆んなが。それに、悪役令嬢と世間では悪口を言われております!」
そうだったんだ、気をつけていたつもりが。考えなおさなくては。だって、前世では毒殺されたんですもの。
今度は、殺されないように。
「お嬢様、元気になりますよね?」
「大丈夫、明日は元通りになっていますよ。」
ミリエネッタ令嬢は、転生前の記憶に想いを馳せた。あの頃、気の合った2人は互いに忙しい身でありながら少しの時間でも会うようにしていたのだ。
(私が若ければ、好意を持たれていると思ったでしょう。残念でしたわ。)
金色のドラゴンは、博識な王妃と居る事を好んだ。人間の美貌の男の姿になって通って来ては、王妃の知らない話を聞かせてくれる。人間社会には知られてない魔物の解説など話題が豊富だ。楽しく過ごして帰って行く。
人の来ない互い山に咲く美しい花を手土産に訪れた大王は、賑やかな音に遠くにある後宮を見やった。
「随分と賑やかなことだ。めでたい事でもありましたか?」
「私の夫の愛妾の1人が子を産みました。男の子であったので、劇団や楽団などを呼び盛大に祝っているようですわ。」
夫君は沢山の子に恵まれているのだが、最近のお気に入りである愛妾だけに嬉しいのだろう。何時もより派手な誕生式を行なっているようだ。
「貴女は、王妃でありますから。お出かけには?」
「招かれもしないのに、参りません。それに、126人目の子供ですし。」
「それは、それは。励んでおられますな。フハハハー。」
「王家の男の務めを全うするつもりのようですのよ(女好き!)」
子供が誕生する度に派手に祝い、請求書だけは回してくる。稼ぐのは王妃の役目。王とは、使って当然なのだ。王の役目は、子孫を残す事であるから。その為に王妃は睡眠時間も削って働いていた。
「これだけ、王家と国の民に尽くしておられる貴女が、忌まわしい者のように扱われる。嘆かわしい!」
真実を理解してくれるのは、彼だけですあった。誰にも負けない強さ。離れに閉じ込めるように追いやられた自分とは違う。それが、羨ましいとも思っていたのに。
それが、次第に表情が沈んでいった。そして、あの時に別れの言葉を口に出したのだ。
「貴女と楽しい時間を過ごせた事に感謝します。御老体のような人間は珍しい。もっと、一緒に居たかったが仕方がない。」
「そんな寂しい事を言わないで下さいな。貴方が来なくなってしまったら、寂しくてならないでしょう。長生きしても意味がありません。」
「ありがとう、嬉しいですよ。私を惜しむ言葉を頂いて。では、こうしましょう。」
そして、彼は約束してくれた。
【いつか、何処かで巡り会えた時に私だと分かるようにしておきました。】
輪廻の輪に入ったならば、いつか、遠い時の向こうのどこかの時の中で巡り会うのです。あなたと。
また、一緒に楽しい時を過ごしましょう。
一族の幸福だけを願い、自分の命も捧げた直向きな貴方。背負う物を全て忘れて2人きりで。何の心配もせずに笑って。その時には私は若い娘で、貴方の恋のお相手を務めさせて頂けるかもしれませんね。
女として生まれたなら、I度は、胸を焦がす恋というものをしてみたかった。それは、貴方にお願いしたいですわ。
そう、思っておりましたのに。身代わり人形を使って私を口説き落としたいとは。嘆かわしい!
もう、夢は夢で終わらせます。長い時を経て普通の女の子となりました。今度は、目立たないように努めていますよ。でも、見習い執事が。
「お嬢様、失礼ながら。お嬢様は年寄り臭い喋り方だと皆んなが。それに、悪役令嬢と世間では悪口を言われております!」
そうだったんだ、気をつけていたつもりが。考えなおさなくては。だって、前世では毒殺されたんですもの。
今度は、殺されないように。
0
あなたにおすすめの小説
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる