(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

茶ティム

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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(33) 回想

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理解能力を越えた為にエネルギー消耗。与えられた造りものの身体に萎んでしまった大王を回復箱に納める。コムは、心配そうに見た。


「お嬢様、元気になりますよね?」

「大丈夫、明日は元通りになっていますよ。」


ミリエネッタ令嬢は、転生前の記憶に想いを馳せた。あの頃、気の合った2人は互いに忙しい身でありながら少しの時間でも会うようにしていたのだ。


(私が若ければ、好意を持たれていると思ったでしょう。残念でしたわ。)


金色のドラゴンは、博識な王妃と居る事を好んだ。人間の美貌の男の姿になって通って来ては、王妃の知らない話を聞かせてくれる。人間社会には知られてない魔物の解説など話題が豊富だ。楽しく過ごして帰って行く。

人の来ない互い山に咲く美しい花を手土産に訪れた大王は、賑やかな音に遠くにある後宮を見やった。


「随分と賑やかなことだ。めでたい事でもありましたか?」

「私の夫の愛妾の1人が子を産みました。男の子であったので、劇団や楽団などを呼び盛大に祝っているようですわ。」


夫君は沢山の子に恵まれているのだが、最近のお気に入りである愛妾だけに嬉しいのだろう。何時もより派手な誕生式を行なっているようだ。


「貴女は、王妃でありますから。お出かけには?」

「招かれもしないのに、参りません。それに、126人目の子供ですし。」

「それは、それは。励んでおられますな。フハハハー。」

「王家の男の務めを全うするつもりのようですのよ(女好き!)」


子供が誕生する度に派手に祝い、請求書だけは回してくる。稼ぐのは王妃の役目。王とは、使って当然なのだ。王の役目は、子孫を残す事であるから。その為に王妃は睡眠時間も削って働いていた。


「これだけ、王家と国の民に尽くしておられる貴女が、忌まわしい者のように扱われる。嘆かわしい!」


真実を理解してくれるのは、彼だけですあった。誰にも負けない強さ。離れに閉じ込めるように追いやられた自分とは違う。それが、羨ましいとも思っていたのに。

それが、次第に表情が沈んでいった。そして、あの時に別れの言葉を口に出したのだ。


「貴女と楽しい時間を過ごせた事に感謝します。御老体のような人間は珍しい。もっと、一緒に居たかったが仕方がない。」

「そんな寂しい事を言わないで下さいな。貴方が来なくなってしまったら、寂しくてならないでしょう。長生きしても意味がありません。」

「ありがとう、嬉しいですよ。私を惜しむ言葉を頂いて。では、こうしましょう。」


そして、彼は約束してくれた。



【いつか、何処かで巡り会えた時に私だと分かるようにしておきました。】



輪廻の輪に入ったならば、いつか、遠い時の向こうのどこかの時の中で巡り会うのです。あなたと。

また、一緒に楽しい時を過ごしましょう。

一族の幸福だけを願い、自分の命も捧げた直向きな貴方。背負う物を全て忘れて2人きりで。何の心配もせずに笑って。その時には私は若い娘で、貴方の恋のお相手を務めさせて頂けるかもしれませんね。





女として生まれたなら、I度は、胸を焦がす恋というものをしてみたかった。それは、貴方にお願いしたいですわ。





そう、思っておりましたのに。身代わり人形を使って私を口説き落としたいとは。嘆かわしい!

もう、夢は夢で終わらせます。長い時を経て普通の女の子となりました。今度は、目立たないように努めていますよ。でも、見習い執事が。


「お嬢様、失礼ながら。お嬢様は年寄り臭い喋り方だと皆んなが。それに、悪役令嬢と世間では悪口を言われております!」


そうだったんだ、気をつけていたつもりが。考えなおさなくては。だって、前世では毒殺されたんですもの。

今度は、殺されないように。














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