(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「3」 ムスタカス家の子息

(2) 身から出た作用

仕方ないわねと肩をすくめたミリエネッタ令嬢。


「この前にも申し上げております。私は、除霊師では無いのです。あなたが、色事に手を出すから。これっきりにして下さいな！」


本気で腹を立てております。では、魔法の呪文を。


「ミリエネッタの意志のままに、せよ！」


そして、海坊主を張り飛ばす。バッコーン！その途端に、海坊主は弾けたのだった。


「ふわー、助かった！」


海坊主の中から、若い男の裸身が現れる。海坊主やらワカメやらに塗れて床へ倒れ込んだ。


「ミリエネッタお姉さま、動けないよ。ヘルプミー？」


ミリエネッタ令嬢は、ジロリと見る。すると、男の身体はフワリと浮き上がった。


「後片付けをする身になって下さいませ。」

「はいはい、申し訳ない。悪いのは、僕ー。ごめんごめん、ウフッー。」


ミリエネッタ令嬢の魔法で洗い流す。瞬間洗浄、バシューン！あっという間に、屋敷の廊下の生ゴミも男も綺麗になりました。


「とりあえず、シーツでも巻いて。」


イーグル・ムスタカスは、見えない手にシーツを巻かれて不満気だ。だが、ミリエネッタ令嬢に気兼ねして優雅に会釈のポーズ。


「重ね重ね、感謝いたします。」


ゴミを取り去ると、なかなかの美男子である。ストロベリーブロンドにグリーンアイ。甘すぎるマスク。自負している女性好みの容姿。


「イーグル様、申し上げているように「女禁」です。あなたに掛けられた呪いは、「女遊び」する度に化け物に変えましてよ！」

「はいはい、気をつけてるんだけどう。女性が追っかけて来るからね。僕が美しいのがイケナイんだよ。神さまに文句を言って。」

「へー、そー。」

「それに、お姉さまが助けてくれるから。ね？」

「へー、勝手にお帰りを。」


ミリエネッタ令嬢は、呆れて捨ててく事に。さっさと、仕事を再開する為に書斎へと戻ってしまった。

なので、残されたのは元海坊主とジュリエッタの2人。ウインクされたジュリエッタは、叫ぶ。


「ぎょえええええ、お化けは嫌いだー！」


飛ぶようにマルグリットの部屋へ逃げ込んだのであった。