(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「3」 ムスタカス家の子息

(10) 何でも売る商人

サンリク伯爵家に来た早々に人助けと化け物の掃除をした強腕商人ジョナサン。人々は、生まれた時からの商人だと褒め称え大の男を投げ飛ばす男のよな娘だと陰口を叩く。


「ムスタカス様のご子息とお会いしました。お暇そうでしたので、私が包装(海坊主)を解いてお返し致しました。手数料は、あちらへ送らせていただきます。本日は、お嬢様の注文の品をお持ち致しております。」


今日も彼女はテキパキとした動作で持って来たカバンをテーブルの上に乗せて広げた。


「お嬢様の要望に応えて、とりあえず、お持ちしました。魔力アイテムです。」


カバンの中には、分類分けされた林檎や葡萄などの果実が宝石のように納めららている。ミリエネッタ令嬢は、楽しそうに眺めた。


「面白いわ、簡単に手に入る魔法なんて考えられ無かったもの。新しい魔法を手に入れる為に、それは努力したものよ。昔の私は。」

「昔の？」

「あ、いいえ(汗)。３年前の事ですけど、昔に思えて(誤魔化し)」

「そうでございますか。ゴメス商会の会長の方針は平和的に行う事ですので。戦いで魔法アイテムを手に入れるのでなく買い求められる商品にしたわけなのです。」


ミリエネッタ令嬢も会った事のある会長。凄腕の商人で噂では幾つもの国の建て直しをして王族や貴族を入れ替えたとか聞いている。

そんな事を昔は誰も考えて無かった。貴族階級が上で下民は従う物だと。だから、下民で魔力のある者は狙われて命だけでなくアイテムも奪われてしまったのだ。


(そういう事を考えつきませんもの。女好きの夫に我慢して200年も生きましたから。私の場合は、魔族や妖精との契約で手に入れた物ばかりですけど)


せっかく、転生したのだから今度は少しは好きに生きたい。大王にも好きに生きて欲しいと願っている。


「大王は、魔力が少しだけですものねえ。火炎と縛りと移動と。」


やっぱり、見たら欲しくなる。全部、引き取りました。