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喫茶マヨイガ
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……気がついたら外村は会社に戻っていた。
夢だったのかと思ったが、手にしたバッグはずしりと重い。
早速開けて中を確認しようとしたところで、名前を呼ぶ声が耳に届いた。
「外村くん」
「副社長、どうかしましたか?」
今まであまり関わる事がなかった副社長から声をかけられ、これは早速『幸運と富』の効果が出たんじゃないかと外村は満面の笑みを浮かべる。一瞬で、出世した自分の姿を夢想した。
「どうかしたじゃないだろう、これを見なさい」
鼻先に突きつけられたスマホの画面を見て、外村は愕然とする。
「は?」
そこには、得意先の会社の前でビジネスバッグをひっくり返し、中身を打ち捨てる自分の姿が動画で繰り返し再生されていた。
「え」
「君ね、何を考えてこんな事をしたんだ。企画書を相手の会社前に叩きつけるなんて。この後、謝罪に出向くことになっているが取引を続けてもらえるかどうか……。とにかく君はしばらく会社には来なくていい」
「そんな、俺はこんな事した覚えは!」
「今まで頑張って来たストレスかな、まあ、ゆっくり休んでくれ」
救いを求めて周りを見渡すが、誰も外村と目を合わせようとしなかった。
言葉を失う外村の肩を副社長は優しく叩いて歩き去る。
幸運が手に入るんじゃなかったのかと歯噛みし、だけど外村は気を取り直した。
「俺にはまだ、あの場所から持って帰って来たコレがある」
さあ、金か宝石か。
期待を胸に、勢いよく開いたバッグの中には、ぎっしりと石が詰まっているだけだった。
●◯●◯
「って感じで、すっかり信用をなくしたみたいだったよ。そのついでに今までやった事も次々と明るみに出てる」
大きめのカップになみなみと注いでもらったコーヒー牛乳を冷ましながら、エニは見届けた外村の様子を報告していた。
マスターは一つ頷くと並んだカップを眺める。
「欲張らずにいれば、何もなかったのですがね」
「あれだけ煽っておいてねえ、怖い怖い」
マスターは、肩をすくめるエニを横目に、手の中の砂時計を見詰める。
「少しはこれであの子が楽になるといいんですが、もう聞くこともできません」
「あ。それなら心配いらないよ。その子とこの場所に縁を繋いでおいたから」
「そんな事を頼んだつもりは……」
「まあまあ、縁結びの招き猫、エニシの心ばかりのサービスさ」
にかりとエニが笑う。マスターはちょっと困った様に眉を下げた。
そこにタイミング良く扉の方から元気な声が届く。
「ブレンドコーヒー、ひとつお願いしまーす」
飴色の丸いテーブルの脇を小走りで向かってくる彼女のミルクティーブラウンの髪が、窓からの日差しでキラキラと光る。
カウンターの内側でマスターはぎゅっと眉根を寄せる。
「また来たんですね……」
そう言いながら彼は口元をゆっくりと綻ばせた。
夢だったのかと思ったが、手にしたバッグはずしりと重い。
早速開けて中を確認しようとしたところで、名前を呼ぶ声が耳に届いた。
「外村くん」
「副社長、どうかしましたか?」
今まであまり関わる事がなかった副社長から声をかけられ、これは早速『幸運と富』の効果が出たんじゃないかと外村は満面の笑みを浮かべる。一瞬で、出世した自分の姿を夢想した。
「どうかしたじゃないだろう、これを見なさい」
鼻先に突きつけられたスマホの画面を見て、外村は愕然とする。
「は?」
そこには、得意先の会社の前でビジネスバッグをひっくり返し、中身を打ち捨てる自分の姿が動画で繰り返し再生されていた。
「え」
「君ね、何を考えてこんな事をしたんだ。企画書を相手の会社前に叩きつけるなんて。この後、謝罪に出向くことになっているが取引を続けてもらえるかどうか……。とにかく君はしばらく会社には来なくていい」
「そんな、俺はこんな事した覚えは!」
「今まで頑張って来たストレスかな、まあ、ゆっくり休んでくれ」
救いを求めて周りを見渡すが、誰も外村と目を合わせようとしなかった。
言葉を失う外村の肩を副社長は優しく叩いて歩き去る。
幸運が手に入るんじゃなかったのかと歯噛みし、だけど外村は気を取り直した。
「俺にはまだ、あの場所から持って帰って来たコレがある」
さあ、金か宝石か。
期待を胸に、勢いよく開いたバッグの中には、ぎっしりと石が詰まっているだけだった。
●◯●◯
「って感じで、すっかり信用をなくしたみたいだったよ。そのついでに今までやった事も次々と明るみに出てる」
大きめのカップになみなみと注いでもらったコーヒー牛乳を冷ましながら、エニは見届けた外村の様子を報告していた。
マスターは一つ頷くと並んだカップを眺める。
「欲張らずにいれば、何もなかったのですがね」
「あれだけ煽っておいてねえ、怖い怖い」
マスターは、肩をすくめるエニを横目に、手の中の砂時計を見詰める。
「少しはこれであの子が楽になるといいんですが、もう聞くこともできません」
「あ。それなら心配いらないよ。その子とこの場所に縁を繋いでおいたから」
「そんな事を頼んだつもりは……」
「まあまあ、縁結びの招き猫、エニシの心ばかりのサービスさ」
にかりとエニが笑う。マスターはちょっと困った様に眉を下げた。
そこにタイミング良く扉の方から元気な声が届く。
「ブレンドコーヒー、ひとつお願いしまーす」
飴色の丸いテーブルの脇を小走りで向かってくる彼女のミルクティーブラウンの髪が、窓からの日差しでキラキラと光る。
カウンターの内側でマスターはぎゅっと眉根を寄せる。
「また来たんですね……」
そう言いながら彼は口元をゆっくりと綻ばせた。
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