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夢見る貘
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「ありがとう助けてくれて。あの人、いきなりベランダから窓割って入ってくるし、愛してるなんて言うから、気持ち悪いですって返したら殴られるしで……もうダメかなって思った」
「間に合ってよかったな」
間一髪エニが繋いでくれた縁を辿り、サトウラは無理やりにあの男をめあの夢に引き摺り込んだ。
そこからは、めあの独壇場。
めあが作り出した悪夢に苛まれ、男は今も悲鳴を上げながら逃げ回っている。
それを同じ夢の中で、俯瞰して二人で眺めていた。
「なんで助けてくれたの? 私、結構あなたをいじめちゃった気がするのに」
「あんたのマンガ読んだんだ、俺、あのヒロイン……嫌いじゃない」
ぶっきらぼうに言うサトウラにめあはぴたりと寄り添う。
「そうでしょう! なにせ、ヒロインが世界一可愛いですからね!」
ぎゅっと腕に縋りつかれて、こうしていれば可愛いなあなんてサトウラは思う。
だけどどうせ夢の中だけの縁なのだから。
「そろそろ目を覚まして警察なりなんなり呼びなよ、しばらくアイツはここから出さねーから」
「わかった」
素直に頷くめあ。
少し先に見える薄明かりに向かって歩き出す。
「でも、助けたんだから次の夢からは手加減してくれないもんかなあ」
「それはお約束できませんー。次もまた楽しみにしててくださいね!」
「ああ、そう」
こちらに手を振るめあの笑顔に、サトウラは諦めたようにたっぷりと長いため息をついた。
「また夢の中で」
どちらともなく交わした言葉、それを最後にめあの姿は消えた。
●●●
「って感じでね、そいつ一方的に雛川先生に執着をこじらせてたらしくて、様子がおかしいと気づいた同僚が手を回して担当交代。それにキレて無理心中をはかったって事だったみたい」
朱莉は固唾を飲んでエニの話を聞いている。
「それを僕が、二度とそんな気が起きないように縁切りしてやったんだよ」
実際に動いたのはサトウラではあったけど、まあ縁を繋いだのはエニの手柄なので胸を張って言い切る。
「さすがエニシ様です」
パチパチと拍手をして無邪気に褒めてくれる朱莉に、エニはふふんと笑う。
「縁結びもその勢いでお願いしますね!」
釘を刺すことを忘れない朱莉の笑顔に、エニは不満げに唇を尖らせる。
「でも、悪い奴を懲らしめるのも、嫌いじゃないよね?」
むしろ好きなはず。
エニはそう考えていた。だって小さな頃から大好きだったはずだから。
なのに朱莉はちょっと困ったように笑う。
「それはちっちゃな時の話ですよ、エニシ様」
「え! じゃあ今は何が好きなの?」
「そうですねえ、今は縁結びをがんばるエニシ様が好きですよ」
「そんな時ばっかり『好き』を使うんだから」
エニはそう言い、拝殿へ戻ろうと立ち上がった。
朱莉に背中を向けて歩き出す。
「本当なのにな」
朱莉の呟きは小さく、淡く。エニには届かなかった。
「間に合ってよかったな」
間一髪エニが繋いでくれた縁を辿り、サトウラは無理やりにあの男をめあの夢に引き摺り込んだ。
そこからは、めあの独壇場。
めあが作り出した悪夢に苛まれ、男は今も悲鳴を上げながら逃げ回っている。
それを同じ夢の中で、俯瞰して二人で眺めていた。
「なんで助けてくれたの? 私、結構あなたをいじめちゃった気がするのに」
「あんたのマンガ読んだんだ、俺、あのヒロイン……嫌いじゃない」
ぶっきらぼうに言うサトウラにめあはぴたりと寄り添う。
「そうでしょう! なにせ、ヒロインが世界一可愛いですからね!」
ぎゅっと腕に縋りつかれて、こうしていれば可愛いなあなんてサトウラは思う。
だけどどうせ夢の中だけの縁なのだから。
「そろそろ目を覚まして警察なりなんなり呼びなよ、しばらくアイツはここから出さねーから」
「わかった」
素直に頷くめあ。
少し先に見える薄明かりに向かって歩き出す。
「でも、助けたんだから次の夢からは手加減してくれないもんかなあ」
「それはお約束できませんー。次もまた楽しみにしててくださいね!」
「ああ、そう」
こちらに手を振るめあの笑顔に、サトウラは諦めたようにたっぷりと長いため息をついた。
「また夢の中で」
どちらともなく交わした言葉、それを最後にめあの姿は消えた。
●●●
「って感じでね、そいつ一方的に雛川先生に執着をこじらせてたらしくて、様子がおかしいと気づいた同僚が手を回して担当交代。それにキレて無理心中をはかったって事だったみたい」
朱莉は固唾を飲んでエニの話を聞いている。
「それを僕が、二度とそんな気が起きないように縁切りしてやったんだよ」
実際に動いたのはサトウラではあったけど、まあ縁を繋いだのはエニの手柄なので胸を張って言い切る。
「さすがエニシ様です」
パチパチと拍手をして無邪気に褒めてくれる朱莉に、エニはふふんと笑う。
「縁結びもその勢いでお願いしますね!」
釘を刺すことを忘れない朱莉の笑顔に、エニは不満げに唇を尖らせる。
「でも、悪い奴を懲らしめるのも、嫌いじゃないよね?」
むしろ好きなはず。
エニはそう考えていた。だって小さな頃から大好きだったはずだから。
なのに朱莉はちょっと困ったように笑う。
「それはちっちゃな時の話ですよ、エニシ様」
「え! じゃあ今は何が好きなの?」
「そうですねえ、今は縁結びをがんばるエニシ様が好きですよ」
「そんな時ばっかり『好き』を使うんだから」
エニはそう言い、拝殿へ戻ろうと立ち上がった。
朱莉に背中を向けて歩き出す。
「本当なのにな」
朱莉の呟きは小さく、淡く。エニには届かなかった。
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