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夜歩くモノ
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祖母へ遅くなると連絡してから、朱莉は夜木とファミレスの席で向かい合っていた。
あたたかいカフェオレで満たされたカップから立ち上る湯気の向こう、にこにこと笑ってこちらが口を開くのを待っている夜木を前に、朱莉は困ってしまい眉を下げる。
話を聞くと言われ衝動的に着いて来たものの、よく考えればエニシとの関係をどう説明していいのかわからない。
「話しにくい事なら、別にいいよ。俺は結城とお茶できてラッキーだし」
空気を察してなのか、呑気にそう言うと夜木はグラスの炭酸水を揺らした。
「結城ってさ、家が神社なんだっけ」
「うん、そう」
「へえ、通りでなんかいつも結城の周りって空気が綺麗な感じするんだ」
朱莉は目を瞬かせる。
「夜木くん、『そういうの』がわかる人なの?」
「いやいや、オカルトっぽい意味じゃなくって、イメージなんだけど。……キラキラしてるっていうかさ、そんなふうに見えるからずっと気になってたんだよね。まあ、単に結城が好きだからそう感じるのかもしれないけど」
さらりと言われた『好き』の二文字に、朱莉はどうしていいかわからなくなる。
「私は……」
「わかってるって、さっきのあの人が結城の『好き』な人なんだろ?」
「うん」
朱莉は向けられた好意に応える事ができない分、きちんと自分の気持ちを言葉にするのがせめてもの誠意だと思った。
「誰かのためにいつも一生懸命で、優しい。……大事な人」
縁を結ぶ時にもエニシはいつもたくさん走り回って、『願われたから繋ぐ』だけではなくて、本当にその人にとって良縁になるよう手を尽くす。
そんな姿が朱莉は大好きだった。
そう考えると、さっきの連れ立って歩いていた女性も多分『縁切り』を頼まれた相手だろうと思い至った。チクチクと傷んでいた胸が、すっと落ち着く。
「そんな顔されちゃ、勝ち目ないかあ」
夜木はぺたりとテーブルに頬をつけ、長いため息をついた。
「ごめんなさい」
頭を下げる朱莉の前で、夜木は『気にしないでいいよ』と力無く笑った。
「あ、でもさ。もし気になるなら、一つだけお願い聞いてくれたら嬉しいんだけど」
「できる事なら」
夜木は頭を上げて朱莉を真っ直ぐに見つめる。その真剣な表情に、どんなお願いだろうかと身構えるが、
「結城の家に今度招待して欲しいんだよね」
「招待って、ウチの神社に来たいってこと? それならいつでも大丈夫だけど」
拍子抜けして簡単に頷く朱莉。
「やった! じゃあ、今度行くよ」
「うん、待ってる」
随分と嬉しそうに笑う夜木を前に、朱莉はどこを案内しようかなんて呑気に考えていた。
その時は。
あたたかいカフェオレで満たされたカップから立ち上る湯気の向こう、にこにこと笑ってこちらが口を開くのを待っている夜木を前に、朱莉は困ってしまい眉を下げる。
話を聞くと言われ衝動的に着いて来たものの、よく考えればエニシとの関係をどう説明していいのかわからない。
「話しにくい事なら、別にいいよ。俺は結城とお茶できてラッキーだし」
空気を察してなのか、呑気にそう言うと夜木はグラスの炭酸水を揺らした。
「結城ってさ、家が神社なんだっけ」
「うん、そう」
「へえ、通りでなんかいつも結城の周りって空気が綺麗な感じするんだ」
朱莉は目を瞬かせる。
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「いやいや、オカルトっぽい意味じゃなくって、イメージなんだけど。……キラキラしてるっていうかさ、そんなふうに見えるからずっと気になってたんだよね。まあ、単に結城が好きだからそう感じるのかもしれないけど」
さらりと言われた『好き』の二文字に、朱莉はどうしていいかわからなくなる。
「私は……」
「わかってるって、さっきのあの人が結城の『好き』な人なんだろ?」
「うん」
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「誰かのためにいつも一生懸命で、優しい。……大事な人」
縁を結ぶ時にもエニシはいつもたくさん走り回って、『願われたから繋ぐ』だけではなくて、本当にその人にとって良縁になるよう手を尽くす。
そんな姿が朱莉は大好きだった。
そう考えると、さっきの連れ立って歩いていた女性も多分『縁切り』を頼まれた相手だろうと思い至った。チクチクと傷んでいた胸が、すっと落ち着く。
「そんな顔されちゃ、勝ち目ないかあ」
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「ごめんなさい」
頭を下げる朱莉の前で、夜木は『気にしないでいいよ』と力無く笑った。
「あ、でもさ。もし気になるなら、一つだけお願い聞いてくれたら嬉しいんだけど」
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「招待って、ウチの神社に来たいってこと? それならいつでも大丈夫だけど」
拍子抜けして簡単に頷く朱莉。
「やった! じゃあ、今度行くよ」
「うん、待ってる」
随分と嬉しそうに笑う夜木を前に、朱莉はどこを案内しようかなんて呑気に考えていた。
その時は。
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