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第五章 真っ暗聖女、初めてのデート?
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「先日のレイリの不手際、誠に申し訳ございませんでした」
ルルタの執務室。
メイナが聖堂にいる間にとやってきたラウミの謝罪を手で遮り、ルルタは書類から目を離さないままで答える。
「その事なら、気にしなくていい。メイにもレイリを怒らないでくれと念を押されたからね、それにあの姿を見てもメイは僕が怖くないと言ってくれたから」
その言葉に、ラウミは、ほう、と息を吐く。
「それは……さすが聖女様でございますね」
「聖女でなくても、ずっとメイは優しいよ」
「そうでございますか」
ラウミは感情が全く乗っていない、平坦な返事をして目を細めた。
「それで、いつまで『白い結婚』を通すおつもりですか、殿下?」
ルルタのペンを握る手が、ぴたりと止まる。
「やっぱり君にはお見通しだったか」
「それは、まあ。メイナ様は正直な方でいらっしゃいますから、表情は分からなくてもお声に動揺が出ておりましたよ。……他の者は気づいていないと思いますが」
「臣下達に気づかれていないなら良いんだ。……メイがきちんと役目を終えるまでは、もうちょっと僕も我慢しないといけないから」
「毎日同じ寝台で、よく我慢できておりますね」
追い討ちをかけるようなラウミの言葉に、ルルタはようやく顔を上げる。
「聖女様のおかげで、殿下との婚約話が立ち消えになりました事を大変感謝しておりますので、私、お二人を応援しているのですが」
「ああ、君は結婚せず、働いていたいというのが希望なんだっけ」
「それもありますが、会うたびに初恋のお相手の話を延々する様な殿方との結婚など、御免被ります」
しれっとそう言うラウミに、ルルタは苦笑する。身に覚えがありすぎて。
「でもいいの? 君の父上、ロウデル伯爵はメイを排除して君を僕の婚約者にしたいと目論んでるんだろう?」
「そこまですっかりバレているのに、その目論みに乗るような馬鹿に見えますか、私? メイナ様に手を出したら伯爵家ごと消えて無くなるとわかっているのに」
ルルタはラウミのその言葉を否定しない。否定しないということは、そう言う事だ。
「我が伯爵家の末長い繁栄と安寧の為にも、メイナ様を逃したりなさらないでくださいね」
「誰に物を言っているの?」
まあ、逃すわけはないだろうとラウミも思ってはいた。ルルタと初めて会った時から、内容を覚えてしまうほどにメイナの話を聞かされてきたのだから。
「でも、確かに、そろそろ我慢も限界ではあるね。……本格的な邪魔が入る前に、少しは距離を詰めてもいいかな」
「……メイナ様には、そのように悪い顔を見せない様になさってくださいね」
「わかっている。ここまできて逃げられては元も子もないからね」
ルルタの微笑みに、ラウミは背中が寒くなる。メイナのこれからに、同情の念を禁じ得ないラウミだった。
ルルタの執務室。
メイナが聖堂にいる間にとやってきたラウミの謝罪を手で遮り、ルルタは書類から目を離さないままで答える。
「その事なら、気にしなくていい。メイにもレイリを怒らないでくれと念を押されたからね、それにあの姿を見てもメイは僕が怖くないと言ってくれたから」
その言葉に、ラウミは、ほう、と息を吐く。
「それは……さすが聖女様でございますね」
「聖女でなくても、ずっとメイは優しいよ」
「そうでございますか」
ラウミは感情が全く乗っていない、平坦な返事をして目を細めた。
「それで、いつまで『白い結婚』を通すおつもりですか、殿下?」
ルルタのペンを握る手が、ぴたりと止まる。
「やっぱり君にはお見通しだったか」
「それは、まあ。メイナ様は正直な方でいらっしゃいますから、表情は分からなくてもお声に動揺が出ておりましたよ。……他の者は気づいていないと思いますが」
「臣下達に気づかれていないなら良いんだ。……メイがきちんと役目を終えるまでは、もうちょっと僕も我慢しないといけないから」
「毎日同じ寝台で、よく我慢できておりますね」
追い討ちをかけるようなラウミの言葉に、ルルタはようやく顔を上げる。
「聖女様のおかげで、殿下との婚約話が立ち消えになりました事を大変感謝しておりますので、私、お二人を応援しているのですが」
「ああ、君は結婚せず、働いていたいというのが希望なんだっけ」
「それもありますが、会うたびに初恋のお相手の話を延々する様な殿方との結婚など、御免被ります」
しれっとそう言うラウミに、ルルタは苦笑する。身に覚えがありすぎて。
「でもいいの? 君の父上、ロウデル伯爵はメイを排除して君を僕の婚約者にしたいと目論んでるんだろう?」
「そこまですっかりバレているのに、その目論みに乗るような馬鹿に見えますか、私? メイナ様に手を出したら伯爵家ごと消えて無くなるとわかっているのに」
ルルタはラウミのその言葉を否定しない。否定しないということは、そう言う事だ。
「我が伯爵家の末長い繁栄と安寧の為にも、メイナ様を逃したりなさらないでくださいね」
「誰に物を言っているの?」
まあ、逃すわけはないだろうとラウミも思ってはいた。ルルタと初めて会った時から、内容を覚えてしまうほどにメイナの話を聞かされてきたのだから。
「でも、確かに、そろそろ我慢も限界ではあるね。……本格的な邪魔が入る前に、少しは距離を詰めてもいいかな」
「……メイナ様には、そのように悪い顔を見せない様になさってくださいね」
「わかっている。ここまできて逃げられては元も子もないからね」
ルルタの微笑みに、ラウミは背中が寒くなる。メイナのこれからに、同情の念を禁じ得ないラウミだった。
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