元VRMMOプレイヤーは異世界にて無双します

宇宙猫

文字の大きさ
3 / 11
第一章 異世界漂流編

第三話 冒険者の説明を聞いてみよう

しおりを挟む
 冒険者用紙と登録料セリエムス小銀貨2枚を支払い、2階にある3畳もないような個室へと案内されてきた。
 室内は大きなテーブルで分けられ、狭い室内がさらに狭かった。
向かい側のギルド職員が入るであろう方は、それに書類などを収めた収納が左右を挟み、座るだけで一苦労なようだった。

「お待たせしました、改めて冒険者の説明をさせていただきます。よろしくお願いしますね」

 向かい側の扉から、先の代筆を頼んだ人が入ってきて、聞くことは出来るということで説明する要項が記載された紙を数枚渡された。

「こちらこそ代筆に続き説明、よろしくお願いします」

 その紙を受け取り、会釈をして説明を聞く体勢を整える。
 人と話す上で、目を合わせる・私語を慎む・体を相手の方に向かせるは大事なことだ。

「では冒険者とは何かと言うと……基本的には何でも屋です」

 話が長くなりそうなので、省略かつ整理して説明する。

 冒険者が何でも屋というのは、冒険者を必要とする仕事先が多岐に渡るからだろう。
 また十人十色。考え・好み・性質などが、人によってそれぞれに異なることとあるように。
 人間一人一人、冒険者一人一人にも得手不得手がある。

 その中でも職業を専門的に行うような冒険者が増加して、
 魔物退治専門なら ─モンスターハンター
 遺跡、迷宮専門なら トレジャーハンター
 護衛任務専門なら ─ガーディアン
 対魔術師専門なら ─魔術師殺し
 対人戦専門なら ──傭兵、賞金首ハンター
 というような感じで別れていた。今出したのは主な職業の例に過ぎず、仕事の分類はまるで毛細血管のように緻密に細分化されている。
 ある意味冒険者ギルトというのは血液と言うなの冒険者をあらゆるニーズに合わせて細部まで行き届かせる心臓のような役割なのかも?

 それはともかく冒険者は、足の軽い専門家の集まりなのである。
 (もちろんいくつも専門分野をこなす手の器用な冒険者もいる)

 そして、冒険者には「等級」という、階級のようなものがある。上から見てると、
 ミスリル星石等級
 プラチナ白金等級
 ゴールド等級
 シルバー等級
 アイアン等級
 カッパー等級
 とあり、私は銅等級から始まる。

 冒険者タグのフレームに各等級の金属を用い、その確認もあるため常に誰でも見える場所に掛けておくか、別の形で掲示できるよう選べることも出来るらしい。
 一般的なネックレス式からピアス、ブレスレットなど、女性を意識しているのかファッションの一種として扱うことも可能らしい。
 そこまで興味がなかったから、無難なネックレス式を選択する。

 タグについて禁則事項もあるようで、当たり前のような話だが、
 本人以外の使用禁止。
 貸し出し禁止。
 タグの売買禁止。
 偽造・勝手な内容変更禁止(特殊な魔法術が施され、本人確認が行われるため偽造は不可能らしい)。

 盗難・紛失の場合、すぐさま使用不可にするので、すぐにギルドへ届けを出すこと。
 再発行する場合、面談と再発行料として銀貨5枚がかかる。

 以上の決まり事に反する行為を行った場合、レベルの降格。
 最悪、ギルドから退会させられ二度と登録してもらえなくなるようだ。

 職を失うのはかなわないので、よっぽどの理由がなければやらないだろう。何より君主危うきに近寄らずということで危険を回避していけばいいだけの事。
 冒険者になろうとしてる時点で矛盾しているような気もするけど……まあいいか。

 また、もしクエスト中に冒険者のタグを発見した場合、ギルドに持ち帰ると謝礼金が出るという。
 亡骸を目の前にするのは御免ではあるけど、そういう役割をタグは持っているのだ。
 仕方のないことなのでしょう。

 気を取り直し、仕事を受ける方法は5パターンある。

 ①募集掲示板から、仕事を選択し依頼を受ける。
 ②窓口で相談の上、仕事を選択する。
 ③依頼主から指名され直接、依頼を受ける。
 ④ギルドから本人に直接、仕事を依頼する。
 ⑤その他(突発的に依頼仕事に巻き込まれる等)。

 またレベルⅠの冒険者が、レベルⅤの仕事を請け負うことはできないとしている。
 高レベル冒険者が受けたレベルⅤのクエストに、レベルⅠの冒険者を同行させることも禁止されている。レベルⅤのクエストは高い報酬金が支払われるため一獲千金を試みる馬鹿がいるが、そういうようなクエストは命にかかわる極限状況が殆ど。
 パーティーなどの場合であれば足手まといを増やし、貴重なレベルⅤの人材を最悪死亡させてしまうケースもあるため禁止されている。

 だが逆にレベルⅤの人が、レベルⅠの仕事を受けても問題なし。
 罰則は存在しない。
ただ、そのような行為はタブー視されるため本当に必要な場合以外はしないというような暗黙の了解があるようだ。

 話を聞くに、銅等級だと極端で滅多に無いが、金等級程度であれば、空き時間があったから等の理由で仕事を受ける人もいるらしい。 

「レベルを上げる方法は、依頼をこなしその実力に応じてギルド側が順次あげていきます。その判断基準は常に公平。種族差別は一切ありません。ローヴェン組合冒険者ギルドの名誉にかけて」

 ローヴェン組合というのは、冒険者ギルドの縄張り争いみたいなものだ。このフレスベルニクではそれなりの実力を持っているらしい。
 他にもギルドは存在する。
 例えば、商人・手工業・漁師・肉屋・鉄工・石工等だ。

 それらは職人や売り手の利益などを共有し有事の時には助け合う協力関係を気付くことが出来るようだ。
 これを上手く利用すれば、友人などのコネを使ってクエストを斡旋してもらえたりなど有利に動くことが出来る。 が、今のところ興味の湧く所ではなかった。

「ここまでの説明で不明な点などはありますか?」

「いえ、不明な点はありません。ありがとうございます」

 終わったのかと礼をしようと立ち上がったものの、最後の説明があると座り直す。

 銅等級なら草むしり、引っ越しの手伝い、行方不明のペット捜索、家庭教師のバイトなどのクエストが中心で、基本的な金額はドライアンド大銅貨2枚と小銅貨8枚~セリエムス小銀貨1枚程。
 完了すれば、1日の宿&食事には困ることはない。

 鉄等級なら周辺の魔物退治などで一匹辺りの基本金額は最低でもセリエムス小銀貨1~3枚程と言われた。
 ゲーム内ポイントで換算しても銅等級は450~500ポイント、鉄等級でも500~1500ポイント程とあまり奮わない金額だ。

「えぇ……銅等級は実戦的なクエストがないんですか?」

 一匹辺りの稼ぎは少なくとも、数を揃えれば何とかなるだろうと思っていたのは甘かったか。
 嫌でも雑用系クエストを受けて昇格させるようだ。

「はい、まずは雑用などの……稼ぎは少ないですが、クエストを受けそれをこなす。その基本を学んでもらうためのブロンズです。冒険者見習いという立場ですのでここはわかってもらいたいです」

 私のような考えのものがいるのでしょう、言い返しようのない歴然たる態度て言われてしまった。 

 そう言われてしまうと言い返す勇気はなくなってしまい、その時「は、はい」と一言返すだけで説明は終わってしまった。

 長い説明を終えて個室から出ると、時間はゆうに1時間以上は話し合っていたようだ。
 早いうちにクエストを済ませてきた冒険者達が帰ってきて、クエストの完了報告、納品、早めの乾杯など、活気溢れる様子だった。

 あまり目立つ事がないよう、急いでスマホの購入欄からカーキ単色の服を買い、セットに登録した上で装備変更のボタンを押す。
 全身がポリゴン片で一瞬包まれると、上下カーキ色の服と、必要最低限の装備がベルトキットに吊るされていた。
 手元に持っていたポンチョを胴体に巻き、それを隠すようにした。階段を降り始めると、その音に気づいた冒険者達の視線が集中した。

「あれが例の新入りか……骨があるといいが」
「おい見ろよ女だぜ、ちょっくら声かけようか?」

 そんなヒソヒソ声が、騒がしいギルド内のはずなのに聞こえてくる。
 時には、あまりこの場では綴りたくない言葉まで聞こえるようだ。

 あんたらなんか足にも及ばないんだ、直ぐに出し抜いてやる。
 ストレスに弱い私はそれを心にいい聞かせ、ファイブセブンを取り出して撃たんとする震える右手を左手で抑える。

 大体、なんで男はそう胸や下の方を見たがるのでしょうか。
 そりゃあ、冒険者というのは女子は少なく、そういうのに植えてるのだと思いますが、お酒でちょっとお口が緩いのかと思いますが……それを前面に出すのはどうかと思う。

 心の中で蠢くそれを、何とか抑えつつ出口へと向かう。
 すると、その途中で大剣を肩に下げた大男が立ちはだかった。

「よォ。お前、さっき冒険者登録をやってたよなァ」

 その大男は完全に酒に酔っていた。顔が仄かに赤く、そして口から出る息が酒臭い。

「はい、黒恵と申します、若輩者ですがどうぞよろし──ッ!?」

 冷静を装い挨拶を交わそうとすると、突然顔の大きさほどある手が肩を叩く。
 何事かと体を強ばらせ、何かあったら股間を蹴れるような体勢になる。

「よろしかなぁ……この業界、女の子って少なくてなぁ、入ってくれて嬉しいわぁ~」

 何を言うかと思えば、急に涙ぐんで左手を差し出してきた。やはり酔っ払っているのだろう。
 だが悪意ではないことは分かるし、それを無下にするのは私にとっても損というもの。
 その手をそっと握手し、そのあとは酒場の流れ。
 新入りの歓迎会と宴会ムードになり、先輩冒険者の方々に色々と奢ってもらったり、冒険の心得や武器の選び方などを聞くことが出来、有意義な時間を過ごした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話

yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。 知らない生物、知らない植物、知らない言語。 何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。 臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。 いや、変わらなければならない。 ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。 彼女は後にこう呼ばれることになる。 「ドラゴンの魔女」と。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団体とは一切関係ありません。

異世界きたのに、冒険者試験で詰みました。

アセチルサリチルさん
ファンタジー
【追放もざまぁも無双もない。あるのは借金と酒と笑いのみ!】 お父さん。お母さん。 あなたたちの可愛い息子は―― 異世界で、冒険者になれませんでした。 冒険者ギルドでのステータス鑑定。 結果は「普通」でも、 固有スキルは字面最強の《時間停止》 ……なのに。 筆記試験ではギルド創設以来の最低点。 そのまま養成所送りで学費は借金三十万。 異世界初日で、多重債務者です。 ……なめてんのか、異世界。 ここで俺たちパーティのイカれたメンバーを紹介するぜ! ケモミミ用スキルが初日で無駄になったバカ、タクヤ。 魔力制御が全くできない厄病神のバカ、リーシャ。 実は厨二病で呪い装備しか愛せないバカ、オルファ。 そして――スキルで時間を止めても動けないお茶目な俺、ユウヤ。 うーん! 前途多難! これは―― 最強でも無双でもない。 理不尽な世界で、借金と酒と事故にまみれながら、 なんだかんだで生き延びていく話。 追放? ざまぁ? 成り上がり? そんなものはございません。 あるのは、 愛すべバカどもが織りなすハートフルな冒険譚のみ。 そんな異世界ギャグファンタジーがここに開幕!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える

yukataka
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、 家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。 降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。 この世界では、魔法は一人一つが常識。 そんな中で恒一が与えられたのは、 元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。 戦えない。派手じゃない。評価もされない。 だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、 戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。 保存、浄化、環境制御―― 誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。 理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、 英雄になることではない。 事故を起こさず、仲間を死なせず、 “必要とされる仕事”を積み上げること。 これは、 才能ではなく使い方で世界を変える男の、 静かな成り上がりの物語。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...