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第二十六話 ぎこちない二人と修行

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 昨夜に何やかんやあったがそんなことも関係なく今日という新たな一日が始まろうとしていた
 
 ルーゼ「昨日は随分と遅かったな何かあったのか?」
 海斗「いえいえ、湯船が良すぎて長く浸かってしまったんですよ…それに俺は長風呂だし」

 さすがに昨日のことを話すわけにはいかないのでそれっぽい嘘をいって誤魔化す

 ルーゼ「そうか 夜中の少しした特訓があるから早めにして欲しかったが意外と器用にできてたな…」

 海斗「あれってそんなに難しかったんですか?」

 ルーゼ「思ったよりも出来が良かったからな、とにかくこの調子で頑張ってくれ」

 海斗「了解しました まずは朝飯食べに行きましょう」

 朝にバッチリと起きることができた海斗とルーゼは朝食を食べるためにいつもの部屋へと入る 部屋に入るとエナがご飯を作っているのが見える

 エナ「あっ…海斗おはよう…」
 海斗「…おっおはよう」
 ルーゼ「ん??」

 昨日のことが引っかかっているのか何だかぎこちない雰囲気になり特にこれといった会話をすることなく普段と同じようにそれぞれの持ち場へと向かう

 ルーゼ「おい あの嬢ちゃんと何かあったのか?」
 海斗「何で…特に何もないですけど」

 ルーゼ「昨日と接し方に違いがあるからな、実はいつもあんな感じか?」

 海斗「大体あんな感じかな…それよりも今日の特訓もお願いします」

 ルーゼ「おお……そうか、なら今日の特訓の内容はだな……」

 石を割る事に成功し次の段階に進む、しかし次の特訓は魔力を感じとるというもので瞑想をするというものだった。

 ルーゼ「魔力を纏う事が出来るようになるなら感じ取れないと意味が無いぞ今からその特訓だ」

 海斗「分かりました!!」

 ルーゼは昨日との雰囲気が違うことに違和感を感じたが特に気にすることなく海斗を指導することにしてあっという間に時間が過ぎていく


 集中していたためか一日が一瞬で終わり夜飯を食べに部屋へと向かう

 エナ「あっ お疲れ様…たくさん食べていいからね」
 海斗「…うん いただきます」
 クシア「ん??」

 ぎこちない二人を見てクシアも何かを感じ取るが声をかけるということもせずに食事を終えてルーゼと海斗は風呂場へと向かう

 海斗「ふーっ いい湯だ」
 ルーゼ「……」

 昨日と同じように湯船へと浸かり繕いでいる二人だが
 ルーゼ「よし俺は上がるかな、まだゆっくりしてても…」

 ルーゼから先にあがろうとするが
 海斗「俺も上がるよ」

 海斗も同時に上がろうと湯船からでてくる
 ルーゼ「お前今日長風呂って言ってなかったか?」
 海斗「今日はそういう日ですよ」
 ルーゼ「まあいいか」

 何かを恐れた海斗はルーゼと共に風呂から上がることにし、ルーゼは違和感を感じつつも昨日のように夜の特訓をするため着替えて正門へと向かう

 海斗「おーし明日こそは……」

 海斗も正門へ行きルーゼの夜の特訓を受ける、しっかりと復習をした海斗は明日に備え慣れない地面でルーゼと共に眠りにつく、そして特訓を始めて六日目になり


海斗「よし……時間はかかったけど感じとれるようになったぞ」
 ルーゼ「それならテストだ」

 そう言うとルーゼは海斗の魔石の首飾りを外すように言う、ルーゼが首飾りを隠してその魔力を感じ取り見つけることが出来れば合格という事らしい
 
 海斗「そんなの簡単だな……すぐに見つけてやる」

 もちろん魔力を感じ取れるようになっていた海斗は簡単に見つけ出す事に成功する

 ルーゼ「時間はかかったがまあまあといったところだな 次の段階にすすむぞ」
 
 海斗「はい!!」
 ルーゼ「今のお前は魔力を使って割ることに成功してさらに感じ取ることが出来るようになっている、次は魔力を纒うということをやってもらう」
 
 海斗「纏う?」
 ルーゼ「今まではただ放出しただけで無駄になるだけだ 実戦だとすぐにガス欠になる だから次は纏って上手く扱うということを覚えてもらう 今のお前ならすぐにできるはずだ」
 
 海斗「了解……でも腹が減って」
 ルーゼ「そうだな…今日は終わりでまた明日からだな」

 石を割り感じ取れることに成功したがまた次のステップがあり強くなるため次は纏うということを覚えることになる、ルーゼ曰くすぐにできると言っていたが中々上手くいかずに、九日、十日と時は流れついに十一日目となったが海斗は纏うということを全くできずにいた

 海斗「くそ 全然できねえ」
 ルーゼ「……」
 海斗「大体俺らの世界じゃ魔力ってのは馴染みがないんだよなー」

 当然ながら海斗の言う通り元の世界では魔力というものは無いので言い訳をする

 ルーゼ「(やり方が悪いのか?…こいつの話を聞く限り……もしかして)」
 
 出来ない理由を考えているとルーゼは何かを思いついたようで海斗へ話しかける

 ルーゼ「おい、フェンリルをぶった斬ったと言ってたな?その時の状況を説明しろ」

 今までの生活で海斗から話を聞いており、その中で1番疑問に思った事を聞く

 海斗「えーーっと…まずは両足が亡くなってて、そこから今は持ってない大剣に力を全力で込めて斬ったら倒せたって感じかな?後左腕もやられたね」

 ルーゼ「成る程…(俺の推測が正しいならこれ以上ここで特訓しても効果が無いってことになるな…とすれば)」
 海斗「何でか分かったの? 」

 海斗は意味深に考え事をするルーゼに話しかけるが

 ルーゼ「取り敢えず、纏うという課題は中止だ」
 海斗「ええっ!? 才能無しってことか…」

 ルーゼ「いや違うな今は状況が良くないってことだ」
 海斗「どいうことです?」

 ルーゼ「そのうち分かるだろうから気にするな」
 海斗「……」

 上手くいかない原因を理解できたルーゼだが海斗は全く理解できずにモヤモヤしている"状況"とはどういうことか気になっていると

 ルーゼ「変更して次にお前の弱点を補える技を教えてやる」
 海斗「弱点?」

 ルーゼ「そうだ、まず貴様の弱点は…」
 海斗「素早さが無いところか…でも魔力を纏えなかった俺にできるのか?」

 ルーゼが指摘する前に答えてしまう海斗これまでの戦いを振り返り自身の弱点を十分に理解しているようである

 ルーゼ「分かっていたか、しかしこれは魔力を使わない移動技だ」
 海斗「そうなのか…とにかくやってやる」

 ルーゼ「お前の勇者としての身体能力を最大限使った技だ、その名を"赤雷"と呼ぶ」

 海斗「せきらい?」

 ルーゼ「そうだ、まずは俺がやるから見ていろ」

 そういうと構えをとったルーゼは地面を蹴り上げて移動する、その瞬間に赤い雷のようなものが現れたのを海斗は見逃さずルーゼのいた足場は穴が開いており一瞬で数m先まで移動していた

 海斗「成る程…赤い雷で赤雷か見た感じだと0の状態から一気に加速する技なのか?」

 ルーゼ「初見で見抜くとはやるな、今のお前の身体能力ならできるはずだが、何故今までできなかったのか理由は分かるか?」

 今ルーゼが見せた赤雷は海斗にはできるという事に驚いている

 海斗「嘘だー、そんな簡単にできないだろ」

 理由が分からずに考えるが答えが出るはずもなく…

 ルーゼ「信じられないって顔だな、ならさっきの俺のようにやってみろきっとできるはずだ」

 海斗「うん……分かったよ」

 ルーゼの言葉に半信半疑だったが言われるがままに足に集中して力を入れ地面を全力で蹴り上げる、すると
 

 海斗「おおっ!?」

 蹴り上げた瞬間に赤い雷がはしり素早く移動することができた海斗

 海斗「できたのか?」
 ルーゼ「始めから赤色とは流石だな、できているぞ」
 海斗「でも何で今まではできなかったんだよ」

 一発で技を習得することができてますます分からなくなる
 ルーゼ「意識の問題だ」
 海斗「意識?」

 悩む海斗にルーゼが説明を始める

 ルーゼ「まずお前が戦っている最中は手で攻撃することしか考えて無いだろう?」
 海斗「まあ確かに、全力で目の前のやつを叩くことしか考えてないかも」
 ルーゼ「そういうところだ!! 」

 ルーゼはポイントとばかりに大きな声で指摘する

 ルーゼ「相手を叩くことばかり考え手に意識が集中した結果下半身が上手く扱えずにスピードが足りなくなっているというわけだ」

 海斗「成る程百%の出力を出せてなかったってことか」
 ルーゼ「そういうことだ、理想は体全体の力を無意識に百%引き出すことができればかなり成長できるはずだ」

 海斗「分かった やってみる…」

 こうして体の使い方という基礎的な部分からやることとなった海斗、今までの特訓とは違い魔力を使わないので飲み込みが早く習得までそんなに時間がかからないようであった

 ルーゼ「なかなかやるみたいだなだが魔力操作は致命的と…」
 海斗「そう言われるとなー…」

 肝心なことが出来ていなかったが身体能力だけはルーゼが認めているようで

 ルーゼ「良いだろう、今日から野宿に付き合わなくていいぞ」

 海斗「ということは……」
 ルーゼ「布団で眠れるということだ」

 今まで臨んでいたはずの暖かいベットで寝ることができるのが嬉しいはずなのだが…

 海斗「喜びたいけど…野宿も全然悪くないな」
 ルーゼ「ほーう?ということ…」

 ベットで眠れる選択肢があってもこちらで野宿をしてくれると思い嬉しそうにするルーゼだが

 海斗「でも疲れたから今日はベットで寝るよ」
 ルーゼ「…………そうか、慣れたら以外と良いもんだけどな」
 海斗「つまらないって訳じゃないけど特訓の疲れが取れにくいんだよ…」

 少し悲しそうにしているルーゼだが海斗の意見に納得して尊重することにした、時間もちょうど日が沈みだして暗くなってきてたので二人はいつものように夜飯を食べるべく屋敷の中へと向かう

 海斗「所でさ…そろそろ俺達はもう用済みなんじゃないの?」

 ルーゼ「あぁ…その事なんだが」

 マールとの契約ではニ週間だけであり体調不良のメイドが帰ってくるので用済みとなるはずだが…

 ルーゼ「見てくれた方が早いかもな」

 そう言っていつも夜飯を食べる部屋へと行くと…

 マール「今日の料理も素晴らしいわね あなた才能あるわよ」

 食堂でこの屋敷の主で村の村長であるマールがエナの作った料理を絶賛しながら食べている
 エナ「いえいえ…きっと食材が良いんですよ」
 マール「いいやあなたは食材の味を上手く引き出せているわ」

 照れて謙遜しているエナに構わずベタ褒めしており相当気に入っている様子である
 海斗「褒めまくってるじゃないですか…」
 ルーゼ「最近はずっとこんな調子なんだよ」

 海斗「マジで美味しいから仕方ないですね」
 ルーゼ「分かる」

 エナの手料理を褒めていると二人の声に気がついたマールがこちらに話しかけてくる

 マール「あらあなた達も来たのね」
 ルーゼ「はい!!それでこの者たちの事ですが一応契約は二週間までとなってますがどうされますか?」

 マール「そんなの決まってるじゃない他のメイドがこの料理を覚えるまでここに居てもらうわ」
 
 本来ならば二週間で終わるはずだった関係がエナの料理を気に入ったマールにより伸びてしまう、果たしてここからどうなるのだろうか
 
 
 
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