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第四十話 天空城の真下

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 昨日の決闘でAクラスの生徒を倒してしまったカンナは良くも悪くも噂が広まってしまい多くの人に知られる事となってしまったが(俺は正しい事をしたんだ……)と後悔はしていないようだった

 昨日のように早起きして調査を済ませて学校の教室へ入るとカリータに朝一番でお礼を言われその後ろにいたグライスなどのEクラスの生徒がカンナに話を聞こうと押し掛けてくる

「凄いよ」「どうやって勝てたの?」など称賛する声や質問をしに来ており最初はカンナに興味など無さそうにしていたが入学二日目で大きく状況が変わってしまった

 カンナ「ええと……取り敢えず気合いと根性で頑張った……かな(あんまり勝った瞬間なんておぼえてないや……)」

 この言葉を聞いた皆は笑って教室が賑やかになっており暗かった雰囲気が少しだけ良くなったように感じる

 キーン

 盛り上がっている中で始業の鐘が鳴り全員席に着く、シドウも時間通りに来たのでカリータと言い合いをする事なく授業が進んでいき4コマ目の授業が終わり自由な時間となるはずだったが

 カンナ(今日はどこら辺を調べればいいのやら……)

 斉藤「カンナさん?何をしてるのですか?」

 カンナ「今から帰るつもりですが……」

 街を回る予定だったカンナは呼び止められてしまい斉藤は呆れたようにしながらカンナに話しかける

 斉藤「帰るって……今から私達は博物館の見学ですよ?」

 カンナ「あれ?でもそれは確か任意の参加だって」

 斉藤「私達編入生は強制参加と学長は仰られてたじゃないですか……本当に重要な話しを聞いてないのは誰かに似てるんだから」

 重要な部分が抜けていたカンナは教えてくれた斉藤にお礼を言って謝り斉藤に着いていく事にした

 斉藤に着いていくと以前に行った学長室前に到着しそこには編入生と何人かの任意参加の生徒が既に集合していた

 リナ「あっ……カンナさんやっと来た、忘れてるのかと思いましたよ」

 その任意参加の生徒の中にリナも入っており嬉しそうに声をかけてくる

 カンナ「リナも参加するんだね、所でさ博物館ってどんな所?」

 博物館の事を聞かれたリナがそれについて解説しようとすると丁度良いタイミングで学長とローゼン先生が来て人数を確認して着いてくるように指示をする


 学園の外にでて学長が用意した空飛ぶカーペットに全員が乗るとガレオスの天空城の真下へと向かって飛んでいく

 この途中でリナが博物館についての説明を始める、博物館はガレオスの天空城の真下にあるもので大昔の古びた武器や戦いの歴史などが刻まれている歴史ある場所のようだ

 また真上にお城があり落下の危険があるとして一般の人の出入りは出来ないようになっており基本的に立ち入り禁止との事らしい

 カンナ「そうなのね、ありがとう(ここが今の所一番怪しいって事になるのか?)」

 そんな事を考えていると博物館の入り口に着くとジック学長が魔法を唱える

 ジック「聖なる加護を」

 すると見学をする人全員を覆う巨大な空間ができる

 ジック「知ってる人は知ってるかもしれませんがここから先は薄い瘴気に覆われていますのでこの円の中から飛び出さないようにお願いしますね」

 全員が返事をして頷く

 リナ「ごめんなさい……瘴気については言ってなかったですね」

 カンナ「大丈夫だよ、確か体を蝕む悪い空気みたいなやつだったよね?」

 リナは「大体合ってるよ」と返事をする、この会話をしれっと聞いていたクシアは(私が説明しても良かったのですが 海斗も少し勉強したみたいですね)と解説する気だった事を二人は知る由もなかった

 つまりは瘴気を防ぐ事が出来る優秀な魔導士でないとここに入る事はできないという事になる

 博物館という名前だが大きな建物などはなくその場所には人が誰もいない廃墟が広がっているだけで全体的に暗い感じが漂っており綺麗で明るい街の方とは異なりこちらは正反対の死の街ともいえるだろう

 そんな死の街を見学者はジックとローゼンの解説を聞きながら歩いておりその途中で気になった事があったのかエナが学長に質問をする

 エナ「この瘴気は街に漏れたりして影響はないのでしょうか……」

 エナは少し怯えているような声で学長に質問をすると学長はエナの事を少しだけ見つめた後にゆっくりと答える

 ジック「(この娘は……)心配はありません 入り口には薄い結界が貼られていますので瘴気が外に漏れる事はありません……しかし」

 ジック「最近は瘴気の力が強くなっているので学園の生徒や街の皆さんの協力が必要なのですよ」

 要するにこの都市に魔術適正が高い人を集めていたのは瘴気を効率よく抑える為であり色んな人をこの国に集めるようになったのは結界を張るための魔力を補うためだと説明する

 エナ「分かりました……ありがとうございます」

 カンナ(成る程な、だからこの国に住む人は自分の魔力を寄付してて魔力の量を増やす為に人を集めてると、そしてこの結界の為に使った魔力の余りであんな風に夢のような風景が出来てるって事なのか……あれ?問題の八割くらい解決した感じがする)

 元々の目的はなぜこの都市は最近人を集めるようになったのかという問題は解決してしまったようなものだ

 この説明を境にカンナはローゼンと学長の話や説明が頭に入らなくなってしまうが……

 カンナ「うあっ!? 何だ?」

 何かを感じ取ったカンナは思わず驚いてしまいエナとシアが駆け寄る

 エナ「カンナ!!大丈夫なの?」

 この様子を見ていたジックは「どうしたのかね?」とカンナに近づくとカンナはとある方向を指差す

 カンナが指差す方に全員が注目すると瓦礫の山の上に大きなメイスが突き刺さっているのが見える

 そのメイスは汚れて錆びておりいかにも古そうな見た目だが先端から半分まで棘のように尖っており人が簡単に持てるような大きさのものではなかった

 ジック「あの武器はガレオスという人物が竜を倒した時に使っていたとされているものですな」

 カンナ「ガレオスって あの城を作ったとされている人の事か……」

 ジック「そうです、ガレオスは50で寿命が来たとされてますがその原因はあの武器に宿っている瘴気という説があるのです……もしかしてあの武器に宿る瘴気を感じとれるのですか?」

 ジックの質問にカンナは首を縦に振る

 カンナ「あの赤黒いのが瘴気ってものですか?」

 この一連の会話に全員理解が追いついていないようである

 斉藤「あの大きな武器から? 何も感じませんけど……」

 他の人は何も感じておらずカンナとジックだけが感じ取る事ができているようだった

 ジック「ほーう……あの赤黒い瘴気を感じとれるとは……あなたのような方は稀に居ます 私もそのうちの一人ですから」

 ジック「しかしここで長話する訳にも行きませんのでもしあの武器の事が気になるのなら時間がある時に私の所へ来なさい それでは皆さん行きますよ」

 ジックはそう言い残して最初に入った入り口へ歩いて辿り着くとその場で解散となった

 時刻は夕方の四時半でまだ明るく人の話し声が響いておりさっきまで居た場所とは正反対である

 カンナ(これからどうすれば……取り敢えずエナとシアを誘って調査の作戦会議だな)

 何かを感じたあの武器について気になる事はたくさんあったのだがこの都市が人を集めている理由を学長自ら話してくれたので色々考えなければならないからである

 カンナ「エナ、シアどこかお店でゆっくりしていかない?」

 エナとシアに話しかけると二人とも頷いたので三人でどこかに行こうとしていると

 リナ「カンナさん!! 私も一緒に……いいですか?」

 いきなりリナが話しかけてきたのでカンナは驚いており(リナが来たら 調査の事についてなんて話せないな……)と本音を言うと来てほしくはないのだが……

 カンナ「全然良いですよ、ゆっくり話そうよ」

 リナ「うん!!ありがとう、カンナさん」

 本音は来てほしくなかったが勇気を持って話しかけて来たリナの誘いを断る事はできなかったのだった

 しかしエナとシアの二人は調査の事を話すとは思っていなかったのかリナの事を歓迎しており楽しく話していた

 アスフェア「まあ、結果オーライってやつじゃない?」
 
 カンナ「そうね、二人とも仲良く話してるしゆっくりお茶でもするか」

 アスフェア「ここに来てあんたが一番まともな感じするわね」

 仲良く話しているリナを見ながらアスフェアが小馬鹿にしてきたのでカンナは「うるさい」と一言だけ返して歩き続けているととある店の前で立ち止まる

 リナ「こことかはどうですか?」

 そのお店はお洒落なスイーツのお店のようだ

 カンナ「ええっと……女性限定orカップル限定だと!?」

 目を凝らして見るとそのスイーツのお店にはカップルか女性しか入れない店のようでエナとシアの二人も賛成しているようだった

 カンナ(なんでだーー何故男だけだと入れないんだ、男でもスイーツ好きなやつだっているだろ、腹にたまらないし俺はそんなに好きじゃないけど……てか差別にならないのか?)

 心の中で男女差別を訴えるが今の海斗は一応女性である、驚いているカンナにリナは少し疑問を持つが気にする事なくお店に入る

 中に入ると白い内装をしており全体的に明るくて外から見える街並みがいい感じでありとてもお洒落だ
 
 店に入り席に着くとメニューがあるので全員その中から選んでいる

 カンナ(やっぱりスイーツしかないよな……女性かカップル限定だし肉なんてあるわけないよな……)

 リナ「カンナさんは決まりましたか?」

 カンナ「えーっと……じゃあこの魔法のおうが(オーガ)?盛りチーズケーキとケルベロスサンドイッチ?にしようかな(何て名前だよ)」

 人生で一度もこのような店に来た事ないカンナは取り敢えず量の多そうで腹に溜まりそうな物に決める

 他の皆も注文が決まったようなのでベルを鳴らすと可愛らしい店員の女の子が出てきて注文を受ける

 その女の子は長くて言いにくそうなメニューを噛まずに言っておりそれを見たカンナは関心していた

 注文したものを待っている間エナとリナとシアの三人はお互いの名前や甘いものの事などを話しており見た目は女の子中身は男のカンナはこの女子トークについていけなかった

 しかし暇なのでアスフェアと普段のようなくだらないやり取りをしていると注文したのがこちらに届いたのでそれぞれのスイーツを食べ始める

 全員笑顔で美味しそうに食べており楽しそうで微笑ましい空気が流れている

 楽しい時間は一瞬で過ぎていきスイーツも食べ終わったので外に出て帰る事になっていた

 リナ「皆さん今日はありがとうございました!!とても楽しかったです カンナさんもまた明日」

 リナは寮に住んでいるのではなく実家があるようで途中で別れる、彼女は手を振り続けており本当に楽しかった事が伝わってくる


 カンナ(そういえばエナも両親とここで暮らしてたって言ってたよな?会ったのだろうか?……俺の知らない所で会ってるだろうし気にするだけ無駄か)

 心の中でエナの事を気にするが気にしていても仕方ないと感じる、リナと別れ三人になり普段と同じように明るく話しながら夕日が照らす道を歩きその日は眠りについた
 
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