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第四十二話 反省点

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 マルク「フッ……所詮はEクラスの実力じゃ僕らに敵うはずもない」

 マルクの言葉に誰も言い返す事はできずに黙っている、Eクラスは格上にクラス単位での決闘を挑んだのだが大きな差をつけられて敗北してしまったのだ

 勿論その他のクラスの人からも「勝てる訳ないだろw」と馬鹿にされながら教室へと戻る

 シドウ「フハハハハッ!! 盛大にやられたなお前達」

 教室に入った瞬間に思いっきりシドウが笑いだす

 クラス全体は落ち込んで暗い雰囲気になるかと思いきやほとんどの人がが全力でやり切った感じで笑っている

 カンナ「いやー 全力で倒しまくったんだけどなー」

 グライス「俺らももう少し倒せたかもしれない」

 斉藤「仕方ないよ 向こうには上野君と寺山君がいたんだから」

 リナ「…………」
 カリータ「…………」

 カンナや斉藤のように納得いく動きができた人もいればリナやカリータのように納得いかない人も何人かいるようだ

 シドウ「何人か実力を出せずに満足してない奴もいるかもしれんが今日はお前達が全力で格上にぶつかった事に意味がある」

 カンナ(こんな事言える先生だったんだな……非常勤だけど)

 カリータ「でも……私の指示が駄目だったから……」

 リナ「いえ、私も全く動けなかったですから……」

 シドウ「そういうのいいから、取り敢えずやる気無しで負け犬根性を植え付けられたお前達がやれる事は今の悔しい気持ちと次に繋げる意思が必要だった訳だ」

 口は悪いが全員を励ましているシドウに全員が返事をして頷いている

 シドウ「少しはまともな顔になったじゃないか、あとこれは参考までに」

 シドウは黒板に文字を書きだす、その内容は誰が何体の魔物を倒したのかをランキング形式でまとめたものでありクラス全員分の討伐数と順位が大きく黒板に書かれた

 シドウ「完璧に合ってる訳じゃなく多少誤差はあるかもしれんがな……それしても斉藤はさすが勇者だと言ったところだなダントツだったぞ」

 黒板には1200と大きく書かれており2番目のグライスとは400程の差があるため実力の違いが明らかになる

 ちなみにカンナは683でクラスの中では四番目に高い順位となっていた

 カンナ「さすが斉藤さんだね」

 斉藤「なんか……恥ずかしいです」

 照れている斉藤を見て(斉藤さんらしいな)と感じるがその一方でリナとカリータは落ち込んでいる様子を見せている

 カリータ「私は241ですか……」

 リナ「212で一番下だ……本当にごめんなさい」

 シドウ「そう落ち込むな 記録が低い者はまずは自分の得意な魔法を見極める自己分析から始めていくんだ」

 シドウ「例えば今日の決闘を例に上げると リナとカリータは一体の魔物にこだわり過ぎていたな 自分の得意な魔法と敵の相性を考える思考力と視野を広く持ち相性の悪い魔物を無視する判断力が足りなかったと言える」

 
 
 リナとカリータから一人ずつ大雑把ではあるが一人一人にアドバイスをしていく、この様子に(最初の態度は何だったんだよ)と心の中で突っ込むカンナだった

 シドウ「そしてカンナは他の奴らに比べて素早く動けて無理な魔物に手を出さずに次々とターゲットを変えているのは評価できるが諦めが早すぎだな、もう少し記録を伸ばせたはずだ」

 カンナ「はい(ルーゼさんからは素早さが足りないって言われてたけど結構動けてたんだな……いやこれは魔導士が基準になっているのか)」

 カンナのアドバイスを最後にシドウは「残りの上位三人は俺から言える事は特に無いから自分で頑張ってくれ」と言い残す

 シドウ「他にも反省点はあるかもしれんがこの悔しさを忘れ内容にする事が大切だ、そして2ヶ月後の魔術競技祭でリベンジを果たすぞ」

 カンナ「魔術競技祭?」

 斉藤「…………簡単に言うとそれぞれの魔法の分野で全クラスで競い合うってやつで 運動会みたいなものかな」

 カンナ「成る程……運動会みたいなやつか……リレーでもやるのか?」

 斉藤「詳しくは分からないけどそんな感じだと思う(運動会で通じるんだ……)」

 シドウ「これからは大きな行事が続いていくからな、最初にゼミ決めそして合宿を挟むが競技祭まであっという間だぞ」

 カンナ(2ヶ月後か……そんなにここにいる訳にはいかないのにな……)

 これから先は行事が続いていくようだが余り乗り気になれないが全員に合わせて「はい!!」と返事をしてその日は解散となった

 放課後になりやる事も無いのでシアとエナとアスフェアと集合して今後の作戦を立てる事にした

 エナ「またカンナのクラスが話題になってたよ」

 カンナ「まぁね……」

 シア「一応勝負を見ていましたが良い勝負だったと思いますよ」

 カンナ「そうなのかな? でもあの王子は王宮で会った時と全然違う感じがする……ムカつくのは同じだけど何か違う感じがするんだ」

 シア「うーん…… 余り違いは無いように見えますが言ってる事は分かるような気がします」

 カンナのシアは王宮で間近で見ているだけあり学園でのマルクに感覚的に違和感を感じているようだ

 エナ「そうなんだね……」

 カンナ「うん……こんな事を話しても仕方ない、まだ一週間少ししか経ってたないけどどこか怪しいところとかは会った?」

 しばらくの時間が経ち三人は都市の区間を決めて各個人で調査をしていたのだった

 シア「街中の近くを見て回りましたが特にこれといったものは……」

 エナ「…………私も」

 アスフェア「エナ……本当は やっぱり何も無いわ」

 アスフェアとエナは共に行動しており何か言いたそうにしていたが途中で辞めてしまった

 アスフェアの発言の真意が気になるカンナだったがそれ以上に今の現状に頭を悩ませている

 シア「全て細かく調べられている訳ではないのですけど街中に怪しい場所は無いかもしれませんね……」

 カンナ「だよな……やっぱり学園の生徒しか入れない場所だったりするのか」

 シア「恐らくその可能性が高そうです」

 エナ「…………うん」

 今後の事について話しているがカンナとシアの二人が積極的なのに対してエナはどこか思うところがあるのか口数が少ない

 カンナ「エナはこの前見学した瘴気の場所の近くを調べてたって言ってたね……何か変なのは無かったの?」

 エナ「うん……特には」

 シア「…………見落としている所もあるかもしれませんので何回か調べてみた方がいいかもしれませんね」

 エナ「分かった……後怪しい所はあれとかかな?」

 不安そうなエナは上を指差して呟いたので全員が上を見上げる

 シア「ガレオスの天空城ですか」

 カンナ「あれにはどうやって行くの?」

 エナ「私のクラスで聞いたけどあの城には二ヶ月後にある魔術競技祭で優秀な成績を残した上位十名が見学とあそこを調べる権利が与えられるって言ってた」

 カンナ「勝手に行けないよな……」

 エナ「無理だと思うよ」

 エナが聞いたにはあの城は学長が色々と調べているようで薄い結界が張ってあるそうでそもそも遥か上空まで登らないといけないのに更に結界も解除しないといけない事実を知りどうしようもない事を思い知る

 過去に誰かが勝手に入ろうとしていたがすぐに学長にバレてしまったらしい

 カンナ「と言う事は2ヶ月後の競技祭で活躍するしかないって事か」

 エナ「うん、そうするしか無いと思う(そうすればこの学園にまだ居る事ができるから)」

 エナは少し元気になったように感じるが暗くなってきたので「一旦考え直そう」と言い残してその日は解散してそれぞれの寮へと帰っていった


 カンナ「ふぅー今日は疲れた」

 部屋に戻ると先にお風呂を済ませた斉藤が魔法で誰かと話しているようだったがこちらに気付くと会話を途中で切り上げて話しかけてくる

 斉藤「カンナさん遅かったですね、私はもう風呂に入ったので後は自由にしてもらって大丈夫ですよ」

 カンナ「うん……(今日は誘って来なかったな、本当に勘弁してくれ)」

 斉藤としばらくの間一緒の部屋で過ごしたカンナは意外な一面を見ていた、それは斉藤が積極的にカンナに絡んでくる事である

 理由は分からないが元の世界では人と話す時に丁寧な話し方ではあるのだが距離を置いているようにも見え特に男子と話す時はそれが顕著に表れていた

 しかし海斗と話す時は小学校からの付き合いからか少し砕けた感じになるのだが鈍感な海斗はそんな事を知るはずもない

 カンナ(こんな感じだったかな……でも何で夜中に手を握ってきたりアピールしてくるのか……しまいには一緒に風呂に入ろうとしてくるし 皆本当に変わったな)※変わってない

 斉藤(避けられているなー……でも今夜は)

 斉藤の変化に驚くカンナを他所に斉藤は不敵な笑みを浮かべている、斉藤は元々百合好きでクラスの皆には隠していたのだが異世界に来た事をきっかけに爆発してしまっていたのだ

 そんな事も知らずにカンナは風呂から上がって寝る時間となり「斉藤さん……お休み」と言い自分のベットに入る

 斉藤「お休みー」

 斉藤も挨拶を返し今日は決闘で疲れた事もあってかカンナはすぐに眠ってしまった……のだが

 カンナ「……うーん? 何か……触って……る?」

 カンナが寝てしばらく経ち何か違和感を感じたので目が醒めてしまい目を凝らして見ると斉藤がカンナの布団に潜り込んできている事に気づく

 カンナ「斉藤さん!? ちょっと何してるんですか 揉まないでください……」

 斉藤「いいじゃん一緒に寝るくらい どうせ減るものでもないでしょ?」

 気付けば斉藤は上目遣いでカンナに抱きついており体の至る所を触られてしまっている

 カンナ「女の子同士でこんな事しても……(ヤベェよ真実を知られるとガチでどうなるか分からんぞ)」

 斉藤「女の子同士だからいいじゃん 今は私の事を妹か何かだと思って甘やかしてほしいなー」

 カンナ「うぅ……そうすれば辞めてくれるのなら(斉藤さんは夜になると暴走しがちなのね……)」

 そうすれば辞める事を条件にしてカンナは斉藤に対して普段の妹と接しているように頭を撫でたりして甘やかす

 色々としていると斉藤は満足して眠くなったのかカンナの胸の中でぐっすりと眠ってしまった

 カンナ「疲れたなー 俺も眠くなって……」

 カンナも釣られるようにそのまま眠ってしまい二人はお互いに抱き合うようにして眠りその日の夜を過ごしたのだった
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