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第四十三話 世界の敵

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 カンナ「あのう……斉藤さん?」

 朝がきて目が覚めるとカンナは斉藤を胸に抱いて寝ている事に気がつき気まずそうに声をかける

 斉藤「ん……おはよー」

 斉藤は特に気にしている様子も無くいつものように起きて学校に行く支度を始める

 カンナ(斉藤さんって女の子が好きなのか……)

 そんな斉藤に頭を悩ませながらカンナも支度を始め斉藤と共に登校する

 カンナ(そういえば斉藤さん達って何でこの学園に来たのかな? 自己紹介では強くなる的な事言ってたけど他に何か目的がありそうだしな 俺達はリゼルが調査しろって言われたから仕方なくやってるけど……もし同じ調査をやるならリゼルが事前に言ってくれるはずだしな……聞いてみるか)

 今更ながら勇者組がこの学園に来た本当の目的があるのではないかと感じたカンナは斉藤に質問をする

 斉藤「えっと……強くなるためだよ」

 カンナ「でも斉藤さん達勇者の人は普通に強いしこの学園に来る意味なんてあるのかなーって」

 斉藤「そんな事ないですよ、カンナさん達から見たら凄いのかもしれないですが召喚された勇者の中で見ると私達はかなり劣っているのですよ」

 斉藤が何かを隠しているような感じがするが直接口では教えてくれないのは間違いなかった

 カンナ「そ そうなんですね……斉藤さん達が劣ってるってなると他の勇者の人は相当凄いんですね(まじかよ……確かに委員長や絵美とか武はかなりヤバい感じだったけど更に強くなってるのか……というより他の人は何してるんだ?)」

 その他のクラスメイトについて気になるカンナだったがこれ以上探ると怪しく思われると感じて聞くのは辞めた

 そして普通の雑談をしながら歩いていると通学路に学生が増えはじめ全員が今日あるゼミを決める事について話しているようだった

 斉藤「そういえば今日はゼミの希望をだす日だったよね?私は人気らしい学長のところに希望をだすけどカンナさんはどうするの?」

 カンナ「そうだね……まだ迷ってるかな(本当はどこでもいいし決めて無いな……エナとシアはどうするのかな?会ったら聞いてみるか)」

 斉藤「そうだよね たくさんあるから悩んじゃうよね」

 そんな事を話していると教室の前に着いたので教室へと入るとクラスメイト全員がゼミの話題でもちきりのようだった

「どこにする?」「私はローゼン先生の所かな?」「俺らに学長のゼミは無理だろ」などと色んな声が聞こえる

 学長から学ぶゼミは非常に人気がありEクラスの生徒は希望通りにいかない事が多いらしく不安な声が多く聞こえる

 クラスメイトの声を聞きながらカンナは自分の席に向かうと隣にはリナが来ており挨拶をしてゼミについて聞いて見る事にする

 カンナ「リナはゼミはどこにするの?」

 リナ「私はレージュ先生の所に入ってみたいけど……」

 カンナは心で(誰だよ)と突っ込むがリナはひどく落ち込んでいるようである

 カンナ「そうなんだ……その先生は人気な所なの?」

 リナ「学長のほど人気じゃないけど私はそんなに成績が良くないから落とされる可能性が高いから……」

 カンナ「そうなんだ……上手く言えないけど希望が通ると良いね……」

 カンナの言葉にリナは静かに頷き不安な表情を浮かべている

 カンナ(人気な所はわかったけど逆に不人気なやつが気になるなー)

 そんな事を考えていると始業の鐘が鳴りシドウが教室へと入ってくる

 シドウ「えーっと 分かってると思いますが今日はゼミの希望をとる日なので全員第五希望まで書いてください」

 そう言うとクラスのみんなに用紙を配る、全員が紙をもらうと近くの人と話しだして教室の中がザワザワしている

 カンナ「えーーっと、ローゼン先生が雷系統の魔法……(これは溝上がいきそうだな)学長が何だ?分からん(取り敢えず難しそうだ)…………」

 配られた紙には希望するゼミの先生の名前と簡単な説明が書かれているがどうでも良かったカンナは取り敢えず雑に目を通している

 カンナ(…………おっ このゼミは少し興味があるな それにこの先生なら絶対大丈夫だろ)

 内容と先生を見たカンナはそのゼミに興味が湧いてそこを第一希望とし後は適当に書いて紙を提出する

 提出してしばらくすると続々と他のクラスメイトが希望を提出し全員が出し終わる

 シドウ「今日で所属するゼミを決めるために先生達全員で話し合いますので皆さんは四コマまで自習をしておいて下さい……なるべく静かにするように」

 そう言い残しシドウは教室を出て行く、一応注意はされたがクラスの全員小声で話しだしてザワザワしている

 カンナ「リナはレージュ先生って人の所にしたの?」

 リナ「第一希望はそうしたけど……いけるか分からない、カンナはどうしたの?」

 カンナ「私はシドウ先生の所を第一希望にしたかな」

 リナ「本当ですか!?」

 これを聞いた瞬間にリナは大声で驚きクラスの皆が注目したので「ごめんなさい」と小声で謝るがカリータやその他の生徒が何人か駆け寄ってくる

 カリータ「リナさんどうしたのです?」

 グライス「そーだよ、いきなり大声だすなんて(何か変わったな……)」

 リナ「いえ……だってカンナがシドウ先生のゼミを第一希望だって言うから驚いちゃって……」

 グライス「そーなの!? あんなに人気がなさそうなゼミにしたの?」

 カリータ「…………」

 カンナ「そんなに言われるほど人気ないんだな(まあそうだろうと思ってた)」

 グライスも驚いておりクラスの皆に注目されるそれほどシドウのゼミは人気がないというのが理解できる

 グライス「確かシドウ先生は魔力を使った格闘戦を学ぶ講義だよ?それに魔法の研究じゃなくて体を鍛える事がメインになるって噂もあるし……」

 カンナ「そーだよね……でももし魔力が使えない状況になるかもしれないじゃん そうなった時のために身を守る方法を身につけるのもありかなって思ったから(本当は違うんだけど)」

 グライス「確かに言ってる事は分かるけどカンナさんならもっといい所に行けたような気がするんだけど……」

 グライスは半分納得したようだが色々と言いたそうにしている、その一方でカリータは頷いておりカンナの意見に納得しているようだった

 カンナ(シドウ先生の魔力格闘技はそんなに不人気だったのか……考えてみればそうだな、魔法が専門なのにワザワザ体を鍛えたりするようなゼミだし生徒からしたら不人気なのは仕方ない事か)

 カリータ「カンナさんが決めた事ですから他人の私達がつべこべ言う事じゃないでしょ?」

 カリータの言葉にグライスは頷いて元の席へと戻って行く、それからしばらくの間自習の時間が続きカンナはリナなどに魔法の分からない事を聞きながら勉強していると昼の十二時を過ぎて飯の時間まで後少しという時に事件が起こる

 ドガッ!!

 静かに自習をしている教室の扉が破壊される音が聞こえると同時に鎧を纏った男達が教室の中へと入ってくる

 ?「おい!!お前ら抵抗せずに大人しくしろ!!」

 男は三人で教室に入りこんで大声で叫ぶ

 カリータ「何なのですかあなた達は!!ここがどんな場所なのか分かってるのですか」

 突然入ってきたテロリストの男にカリータは強気に声をかける

 テロリスト1「我々はデストリンガー!!この学園を占拠しにきた」

 斉藤「あなた達がこの世界を壊そうとしている人達……」

 
 カンナ(おいおいまじかよ……学校にテロリストが攻めてくる妄想をした事あるけど それが現実になるなんてな それにデストリンガーって何だよ)

 

 男なら学校にテロリストが攻めてくる妄想を一度はした事があるのではないだろうか?海斗もそのうちの一人であったがヒーローのように格好よく倒すなんて事は無理な話である

 カンナ(想像した事が現実になるなんてな、このパターンって大体可愛い女の子か誰かが人質になったりするよな……てか実際に笑えない状況だぞこれ)

 普通は体験出来ないような事が起きており色々と考え事をするカンナに対して何人かのクラスメイトは当たり前だが怯えている

 グライス「占拠しに来たのは分かるけど俺達にやられる可能性は考えなかったのか? こちらには勇者もいるんだぞ」

 カンナ(そーだよな、斉藤さん達がやっつけてくれるよ、攻める学校を間違えたなテロリストさん)

 斉藤を筆頭に異世界からの勇者がこの学園にいるため何人かの生徒は反抗する気のようだがテロリストの男は笑っている

 テロリスト1「馬鹿がそんな事は知っとるしお前らガキにやられるか 」

 テロリスト2「魔力を封じる結界が張ってあるから今のお前達は魔力を全く使えない状態だ 例え勇者といえど魔法を使えないなら大したことない」

 グライス「そんな事……嘘だ」

 グライスは試しに魔法を使おうとするが何も起こらずに焦っている

 斉藤「そんな……私達も何も出来ないなんて……」

 テロリストの言っている事は本当のようで魔法がメインで戦う人がほとんどの学園でそれを封じられれば例え異世界からの勇者といえど敵では無くなるのだ

 カンナ(確かに斉藤さん達は魔力を中心にして戦うから魔力無しの戦いとなると当たり前だけど俺や亜紀の方が強いってなるのか……当然だが妄想のように上手くはいかないもんだし一応アレを用意しとくか)

 カンナは本当は使いたくなかったが自分の影に手を伸ばして飴玉を取り出していつでも噛み砕けるように口の中に含む

 しかしその動きをテロリストは見ておりこちらに大声をあげて近付いてくる

 テロリスト「おい!!そこの女 何をした」
  
 カンナ「ヒッ ただ飴を食べようとしただけで……」

 リナ「カンナ!!辞めて……ください」

 近付いてきたテロリストは拳銃を取り出しそれをカンナに向けており銃口を向けられたカンナは怯えるしかなかった

 テロリスト1「丁度いいこいつらを人質にするか ついて来い」

 リナ「……うっ 死にたくないです」

 カンナ「はい……(クソが俺が人質になってどうするんだ)」

 リナとカンナは銃口を突きつけられ泣き目になりながらテロリストの後に着いていき教室を出ようとするとカリータが立ち上がり

 カリータ「……私も連れていきなさい」

 怯える二人を見てられなかったカリータは人質に立候補しテロリストも嫌らしい目線でカリータを見た後に「着いて来い」と言いカリータ、リナ、カンナの女子生徒3人が教室から連れ出されてしまったのだった
 
 

 
 
 

 

 

 

 

 
 

 
 

 

 
 
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