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第四十六話 深まる謎

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 デストリガーに学園を占領されて一日が経ち今日から登校が再開する日となりいつも通りの通学路を歩き学園へと向かう

 始業の鐘が鳴り響くが今日は所属するゼミの発表があり活動もやっていくということでクラス全員がざわついていた

 シドウ「はーい皆さん静かにしてくださいね、色々あって大変でしたが今日からいつも通り講義をやっていきますので気を引き締めて行きましょう……後斉藤にいう事があるから後で来てくれ」

 最後に意味深な言葉を残してシドウはいつものように授業を始めたので改心したカンナは真面目に授業を聞いて魔法についての知識を深めた

 カンナ(成る程な、ルーゼさんから教わった事と少し似てるからこれを上手く応用できれば……)

 授業を聞く中で色々と考えているとあっという間に時間が過ぎてお昼ご飯の時間になる

 カンナ「もうお昼になったのか、リナ 一緒にどうだい」

 リナ「あっゴメン私は少しだけシドウ先生に用があるから」

 カンナ「そうなのか……カリータさんとリナと食べようと思ってたけど用事があるなら仕方ないか」

 リナ「カリータさんも先生に用事があるって言ってたよ」

 カンナ「……そうなのか(エナとシアを誘ってみるか)」

 誘うつもりだった二人はシドウに用事があるようだったので余り話せていないエナ達と食べようと教室を出ようとするとクラスメイトに声をかけられる


 グライス「カンナさん、僕たちと一緒に食べない?」

 カンナ「グライスがいいなら全然いいよ」

 グライス「あと彼女達も一緒にいいかな?カンナさんと話したいって」

 カンナ「マリアさんとフレイさんだったよね?全然構わないよ」

 マリア「そうだよー私はマリアでーす。今日はカンナさんと色々とお話ししたいなーって」

 フレイ「私も同じです ここではなくてまずは食堂に移動しましょうか」

 マリアは金髪で短い髪が特徴の元気で明るい女の子で少し子供っぽい雰囲気を感じる、一方でフレイは赤髪の長い髪をしており言葉遣いや仕草からマリアと対照的に大人っぽい雰囲気を放っている

 この二人とグライスは斉藤を除いたEクラスの中でトップの成績をもちこの前の魔物討伐を競う決闘でフレイが上から三番目マリアが五番目で実力もそれなりにある

 また学園全体でも成績は上位の方でカンナはこの二人とはよく話す訳ではないのだが授業中に色々と絡む機会があり名前は覚えていたのだった

 カンナ(話したい事って何だろう?ゼミの事かな?)

 エナ(カンナを誘おうって思ってたけどクラスの人と楽しそうにしてる……あの人達はこの前スイーツを食べた子じゃないね……他の人とどんどん仲良くなってるじゃん 色々と聞きたい事とかあるのに)

 モヤモヤした気持ちを抱きながら食堂への道を歩いているとエナがこちらを見つめておりカンナを誘おうとしていたようだったが他の人と仲良くしているのを見て諦める

 そんなエナの視線にも気が付かずにカンナはいつものように食堂で大量の飯をとってきて一緒に食べている三人が驚いている

 マリア「……そんなに食べるんだね」

 フレイ「マリアは食事制限をしすぎだと思います」

 カンナ「そんなに多いか? 」

 グライス「多い方だとは思うけど僕はたくさん食べる人は好きだよ」

 マリア「ちょっとグライス カンナさんに余計な事言わないでよ」

 マリアはグライスの言葉に反応して嫉妬しているのか言葉が強い

 グライス「なんだよ 嫉妬してるのか?」

 マリア「うるさいわね 大体あんたが細い子が好きだって言ってたじゃないの」

 フレイ「近いうちに合宿で水着を着るから制限をするのは分かるけど それじゃあ成長しない所もあるんじゃない?」

 グライス「そうだよな……」

 グライスはマリアとカンナの胸を交互に見て比べておりこれに激怒したマリアはグライスの首元を両手で掴んで文句を言っている

 マリア「この変態!!あんたの為にやってるってのに この分からずや」

 グライス「ゴメンって 大きいのがあると見ちゃうけど俺はちゃんとマリアの事を見てるから許してくれよ」

 カンナ「何だ?二人って付き合っているのか?」

 カンナの一言で言い争いをしていた二人は黙り込んでしまい顔を赤くして照れている

 フレイ「……そうですよ グライスとマリアの二人はお付き合いをしているんですよ」

 カンナ「おーう……」

 しばらくの間をおいてフレイが答えてカンナも納得するがカップルの二人はフレイに文句を言ってくる

 カンナ「三人はいつもこんな感じなんだな (楽しそうだ)」

 マリア「こんなやつ好きになるなんて私くらいなのに 平気でこんな事するんだから信じられない」

 グライス「何を言いやがる お前みたいな女には絶対に言われたくないぞ」

 フレイ「まーまー二人共落ち着いてください 今日はカンナさんに色々と聞きたい事があるんじゃなかったのですか?」

 イチャついていた二人は思い出したかのように我に返る

 カンナ(俺が余計な事言ってしまったからこうなったのに……でも嬉しそうだったからいいか でも聞きたい事って何だろう)

 マリア「それで質問なんだけど……カンナさんを助けた謎の男ってどんな人だったの?」

 カンナ「えっ!?あの……えーっと……何故そのような事を?」

 グライス「その事なんだけど二日前に学園を占拠された時にシドウ先生が動いて助けてくれたのは知ってるんだけど」

 フレイ「それと同時に謎の黒マントを纏った男が居たそうでその男が今生徒の中で話題になっているんですよ」

 カンナ「そうなんだ……助けてもらったみたいなんだけど記憶がないの(俺の事じゃないか……でもそんなに話題になるほどの事なのか?)」

 マリア「そうなのですか……」

 カンナ「何故その人の事を知りたいのですか?」

 グライス「何か分からないけどAクラスの人達がマルク王子を中心にその男の情報を集めてるみたいだから」

 マリア「それで気になって私達のクラスにその男と一番関わったかもしれない人に話を聞いてみたかったの」

 カンナ「そうだったんですね……(俺が一番知りたいぞ)」

 衝撃を受ける事実が多いが適当な事を言って誤魔化すしかないので適当に話を合わせてそれっぽくするが思いの外盛り上がってしまう

 その盛り上がっている様子をAクラスの人に目撃されてしまい食事中だが強引に話に割り込んできたのでグライス達は驚く

 マルク「Eクラスの方が揃って楽しそうですね?」

 カンナ「はんの ほふへふか(何の用ですか)」

 食事中でご飯を口に含みながら会話をするカンナだがとても行儀が悪い行動にマルクは呆れる

 マルク「下品な奴だな だが僕らは君に用がある」

 ?「そーよこの乳女 本当に醜い様ね 本当に女なのかしら?」
 
 カンナ「(なんかまた増えたな……嫌な奴らだよ)私に何か用があるのですか?……」

 関わりたくないカンナは取り巻きの女を無視して嫌な感じでマルクに反応する

 サリー「無視しないでもらえるかしら?私はサリー学年一番の水魔法の使い手よ」

 カンナ「そうなんですね……凄いです、それで何か私に聞きたいことでもあるのですか?」

 適当な返事をするカンナにサリーはまた突っかかろうとするがマルクが止めて話しかけてくる

 マルク「大体の予想はついているのでは? 僕らは貴方が助けられたという謎の男について調べているんだよ」

 カンナ「だから 本当に記憶が無いんですよ……ごめんなさい」

 サリー「どうせ嘘でしょ?私達が気に入らないから教えたくないだけなんでしょ?」

 マリア「私達も聞いたけど本当に記憶にないみたいよ」

 サリーの言葉にクラスメイトが弁明するがサリーはイマイチ信じられない様子だ

 サリー「どうかしら 貴方達は同じクラスメイトだから庇っているだけじゃないの?」

 マルク「サリー落ち着け 記憶がないのなら魔法で思い出させたらいいだろう」

 カンナ「そんな……どうしても思い出さないとダメなのですか?(色んな魔法があるんだな)」

 サリー「貴方の記憶を写し出す魔法があるからそれに協力しろって言ってるの」

 カンナ「(それはまずい 頭の中を見られるなら俺が謎の男の正体ってバレるじゃないかよ これは阻止しないと)いっ……嫌です記憶を写し出すなんてそんなこと」

 マルク「君がその男について覚えていれば問題なかった事だろう?」
 
 カンナ「それはそうですが……(どうしたらいいんだ……こうなれば……)」

 サリー「面倒な女ね マルク様の為にさっさと記憶を見せろっての」

 サリーが割り込んできてカンナの髪を引っ張り脅迫する

 カンナ「痛いですっ……お願いします 私の過去は振り返りたくないです……お願いします お願いします」

 カンナは先程とは違う様子で泣き目になりながら訳ありの過去を持つような感じでサリーに訴えるがこれは演技で嘘である

 しかしその場にいる全員は騙されてクラスメイトは同情して優しい声をかけてサリーとマルクは気まずそうにしている


 カンナ「ウッ……イヤ……ごめんなさい(よしよし、このまま流れてしまえ)」

 フレイ「サリーさんですか?よくもカンナさんを傷つけてくれましたね」

 サリー「いきなり何よ!!そっちが勝手に泣き出したじゃない」

 マリア「嫌がってるのにあんたが強引にしようとするのが悪いでしょ?」

 グライス「確かにな」

 サリー「Eクラスの癖に生意気聞いてくるなよ クソ」

 マルク「……ここは引くよサリー」

 サリー「何でですか こいつから情報を引き出して色々聞けば学長についてもっと……」

 マルク「…………」

 サリーの発言に無言の圧をかけたのでサリーは大人しくなる

 マルク「じゃあ行くよ、迷惑かけたね もし思い出したら僕らのクラスに来てくれないかな?」

 カンナ「……分かりました」

 最後に言い残しマルクとサリーは食堂から出ていく、今回は真剣な内容で何故マルク達が海斗にこだわっているかの謎だけが残ってしまった

 フレイ「カンナさん大丈夫でしたか」

「うん」と返事をしたカンナはフレイに抱きついて傷ついたフリをする

 その場にいた全員も深く聞く事はせずにカンナを慰めながら食堂をでたのだった


 グライス「そういえばゼミの発表は今日だったよな」

 マリア「そーよ あんたと私とフレイなら多分大丈夫でしょ」

 フレイ「グライスとマリアは同じ先生でしたもんね カンナさんはどこに希望をだしたのですか?」

 カンナ「えーっと……私は」

 フレイの質問に答えようとすると後ろにいたリナがこちらに来てカンナに話しかけてくる

 リナ「カンナ!!大丈夫だったの? 少し騒ぎになってたみたいだけど」

 Aクラスに絡まれてしまったのを聞いたのかリナは心配しているようだが「大丈夫だよ」と答えたので安心している

 フレイ「リナさんと仲良いのですね」

 カンナ「そうです、リナは大切な友達だから」

 リナ「ちょっと……恥ずかしいじゃん」

 リナは照れておりとても嬉しそうだ

 グライス「何か分からないけどカンナさんが来てからリナさん変わったよね」

 マリア「確かに 前と比べて明るくなった感じがする」

 リナ「そっ……そうですか?」

 フレイ「はい 変わったと思いますよ 最近のリナさんは毎日楽しそうにしています」

 マリア「これをきっかけにして私たちとも仲良くなろうよ」

 リナ「はい!! 是非お願いします」

 カンナ(前のリナがどんな感じか分からないけど新しい友達ができて良かったよ)

 リナに新しい友達ができて嬉しそうにしており明るいマリアと仲良く話している

 フレイ「っと……聞きそびれていました カンナさんはどの先生のゼミを選んだのでしょうか?」

 マリアとリナが話しているのを他所にフレイがさっきと同じ質問をしてきたのでカンナは「シドウ先生の所にしたよ」と答えるとそれを聞いたリナが

 リナ「私もシドウ先生のところにしたよ 一緒だね」

 カンナ「ええっ!?」

 シドウのゼミは相当人気がないのか他の三人は何故そこにしたのか分からないと顔にでているがそれ以上にリナと同じ所になってしまったカンナは大きく驚いていしまった

 

 

 
 

 
 

 

 
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