17 / 23
幸せですか?
1-6 充と修斗
しおりを挟む
ーーー
ーーーーー
「今日は自習です」
久志が、充たちと喧嘩をしたあと、じつはおかしなことがあった。
久志の母親が帰ってこなかったのだ。
事故?事件?家出?
父親は、秘書や部下と警察と連携しながら血なまこになって探しているし、久志も心配はしていた。
でも、その矢先で、さらに大変なことがおきた。
「昨日、充たちが夜、突然歩道に飲酒運転の車が突っ込んできて緊急搬送されたって!」
「他にも歩行者いたらしいじゃん?たぶんお年寄りのほうは助からないよね…」
「もう!なんで最近こんなに不幸なことばっかり続くの!?」
「おうちにかえりたい…」
「やっぱり、なんかおかしくない?絶対呪いだよ!」
その瞬間、久志が目の前の椅子を後ろから蹴り飛ばし、クラスメイトは一斉に久志に注目した。
もちろん久志の母親のこともあるが、まさかあのあと充たちにもこんなことがおきるなんて。
「うるせーんだよ。どいつもこいつも。呪い?はぁ?んなことばっかり言ってっから、自分から呼んじゃってんじゃないの?あの豚の呪いでいいよ、だったらこっちから行ってやろーじゃんか!!」
頭に血が沸いていた。
自分をこんなにみじめな思いをさせた紀子への怒りだった。
だってあいつは自殺して、もう死んでいるじゃないか。
呪いや、幽霊なんて、映画の世界の話なのに、本当にそれがあるとしたら?
そんな話、誰が信じるっていうんだよ。
「だったら、もう1度いじめてやる」
クラスメイトのまるで不憫なものを見るかのような視線に、久志はさらに苛立ちを感じる。
「おい、明菜!」
久志の声にビクッと肩を震わせる明菜。
教室の窓際に不安そうな表情のヨウキと2人で立っている。
「な…なに?」
「お前と、そうだなヨウキ、お前も来い。」
「どこにいくのよ?」
「死んだくそ豚の家に決まってんだろ」
「「え?!」」
「あいつの線香でもやりにいこーぜ」
教室内は久志の言葉に静まり返る。
もちろんそれは、久志たちが紀子をいじめていたことを全員が知っているからで、久志のいう「線香でもやりにいこーぜ」は、全く良い行いではないと誰もが感じていたからだった。
やめたほうがいい。
紀子の親が知らないはずがない。
みんな頭では分かっていても、誰も言葉にはできなかった。
誰かが言葉にできるものなら、もっと早くにいじめは解決していた。
誰も、何も、意見することはできないクラスだからこんなことになった。
怯える明菜とヨウキのカバンを久志が当人たちに投げつけ、「こいよ」と口答えできないような圧をつけながら教室の外へ誘導する。
明菜が「まって、わかったらから!」と言ってそれを追いかけ、ヨウキも言われるがままついていった。
クラスメイトたちはそんな様子をみて、とりあえず安堵した。
自分たちは「いじめをしていない」し、関係がないから。
もう自分たちは関わりたくないから。
責任は全部、加害者のあいつらが背負えばいいから。
ーーーーー
「今日は自習です」
久志が、充たちと喧嘩をしたあと、じつはおかしなことがあった。
久志の母親が帰ってこなかったのだ。
事故?事件?家出?
父親は、秘書や部下と警察と連携しながら血なまこになって探しているし、久志も心配はしていた。
でも、その矢先で、さらに大変なことがおきた。
「昨日、充たちが夜、突然歩道に飲酒運転の車が突っ込んできて緊急搬送されたって!」
「他にも歩行者いたらしいじゃん?たぶんお年寄りのほうは助からないよね…」
「もう!なんで最近こんなに不幸なことばっかり続くの!?」
「おうちにかえりたい…」
「やっぱり、なんかおかしくない?絶対呪いだよ!」
その瞬間、久志が目の前の椅子を後ろから蹴り飛ばし、クラスメイトは一斉に久志に注目した。
もちろん久志の母親のこともあるが、まさかあのあと充たちにもこんなことがおきるなんて。
「うるせーんだよ。どいつもこいつも。呪い?はぁ?んなことばっかり言ってっから、自分から呼んじゃってんじゃないの?あの豚の呪いでいいよ、だったらこっちから行ってやろーじゃんか!!」
頭に血が沸いていた。
自分をこんなにみじめな思いをさせた紀子への怒りだった。
だってあいつは自殺して、もう死んでいるじゃないか。
呪いや、幽霊なんて、映画の世界の話なのに、本当にそれがあるとしたら?
そんな話、誰が信じるっていうんだよ。
「だったら、もう1度いじめてやる」
クラスメイトのまるで不憫なものを見るかのような視線に、久志はさらに苛立ちを感じる。
「おい、明菜!」
久志の声にビクッと肩を震わせる明菜。
教室の窓際に不安そうな表情のヨウキと2人で立っている。
「な…なに?」
「お前と、そうだなヨウキ、お前も来い。」
「どこにいくのよ?」
「死んだくそ豚の家に決まってんだろ」
「「え?!」」
「あいつの線香でもやりにいこーぜ」
教室内は久志の言葉に静まり返る。
もちろんそれは、久志たちが紀子をいじめていたことを全員が知っているからで、久志のいう「線香でもやりにいこーぜ」は、全く良い行いではないと誰もが感じていたからだった。
やめたほうがいい。
紀子の親が知らないはずがない。
みんな頭では分かっていても、誰も言葉にはできなかった。
誰かが言葉にできるものなら、もっと早くにいじめは解決していた。
誰も、何も、意見することはできないクラスだからこんなことになった。
怯える明菜とヨウキのカバンを久志が当人たちに投げつけ、「こいよ」と口答えできないような圧をつけながら教室の外へ誘導する。
明菜が「まって、わかったらから!」と言ってそれを追いかけ、ヨウキも言われるがままついていった。
クラスメイトたちはそんな様子をみて、とりあえず安堵した。
自分たちは「いじめをしていない」し、関係がないから。
もう自分たちは関わりたくないから。
責任は全部、加害者のあいつらが背負えばいいから。
0
あなたにおすすめの小説
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/10:『つかまれる』の章を追加。2026/1/17の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
M性に目覚めた若かりしころの思い出 その2
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、終活的に少しづつ綴らせていただいてます。
荒れていた地域での、高校時代の体験になります。このような、古き良き(?)時代があったことを、理解いただけましたらうれしいです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる