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新聞社に警察の人間が雪崩れ込んでくるのは時間の問題だった。
朝早くに優しい従弟を自分のオフィスから追い出したレイチェル・ハートは、疲れ果てて床で死んだように眠る同僚の身体を跨ぎ越えて、ドースンのデスクに近づいた。
あの晩・・・レイチェルが夜遅くにこのデスクの前でドースンに声をかけた時、彼は明らかにレイチェルの目から何かを隠そうとして、慌ててデスクの引き出しを閉じたのだ。
明らかにドースンは何かを掴んでいた。── そう、彼の命をも奪ってしまうような、大きな何かを・・・。
悲しんでばかりはいられなかった。泣いてばかりはいられない。
ドースンのためにも、そして彼の妻のためにも、自分はドースンの意志を受け継ぐべきなのだと感じた。それが、ドースンの暴走を止めることができなかった自分に課せられた使命なのだと思った。
そのことで、警官であるセス・ピーターズとの間で気まずいことになったとしても、それは仕方がないと覚悟をした。
セスの前では、いろんな憎まれ口や可愛げのないことを言い続けてきたレイチェルだったが、心の底では彼のことを本当に愛している。多分この気持ちは、セスよりも深い。
そのことを悟れらるのが嫌で、セスの前では気のない素振りを続けてきた。彼がどこまでそんなレイチェルの気持ちに気付いているかは、定かではない。
いつも呑気なセス。笑うと目尻が下がりすぎるセス。いつもわがままを許してくれるセス。
ここ数日間、全く連絡は取り合っていない。お互い微妙な立場だ。そんなことは百も承知である。
これまではマスコミと警察が揉めて、幾日も顔が見れなかったり、声が聞けなかったとしても、二人の気持ちは離れたりしなかった。互いにプロとしてのキャリアに敬意を表してきたからだ。
── しかし今回ばかりは・・・。
失われたものは余りにも大きく、そしてこれから失われるかもしれないものを守っていかねばならない。
ドースンが何かを掴んでいたとして、それを自分の命に危険が迫っても、彼は警察に何も言わなかった。ということは、ドースンが掴んでいたことは、警察には言えないような事実なのかもしれない。
── もしそうだとしたら・・・。
レイチェルは、ドースンのデスクの引き出しに手をかけた。情けないくらいに手が震えていた。
この引き出しを開けたら、後には戻れない。
この中から出てくるものは、警察にとって重要な証拠品となるはずだ。
もしかしたら自分は、それをジャケットの内ポケットに隠すことになるのかもしれない。
── もし、そうなったら・・・・。
本当にセスを愛していても、彼を欺くことになるのなら、彼に別れを告げなければならない。
── けれど、その犠牲を払ってでも私は、ドースンを救えなかった罪を償わなければならない。
レイチェルはそう決心を固めると、徐に引き出しを開けた。
セントルイスから、無事に契約が済んだことを知らせる電話がかかってきたのは、マックスが退社する直前のことだった。
ミラーズ社の今後の更なる発展を決定づけた契約ともあって、いつも冷静なはずのウォレスの声も、少し浮き足立っていた。
ウォレスの声の向こう側では、歓喜の奇声を上げる企画管理部の連中の声も聞こえていた。
随分長い間、苦労に苦労を重ねて勝ち取った契約だった。
それに携わった社員達は、ほとんど全員、セントルイスでの契約に立ち会っている。それは、ミラーズ社社長のベルナルドの計らいだった。
チャーター機も、当初の予定では、幹部陣が乗れる程度の小型セスナの予定だったものを、社長の希望で大型のものに変更した。
契約を進めるために尽力した社員を全てセントルイスに連れて行くとの社長の指示だった。契約がまとまる瞬間を見ることが、社員達にとって一番の労いになると思ってのことだった。
こういう細かな気配りが、ミラーズ社から実力のある部下が決して出て行かないという事実に繋がっている。今やまさにミラーズ社は、順風満帆といっても過言ではないだろう。
「今夜は盛大なパーティーになりそうですね」
思わずマックスの声も弾んだ。
ドースンの事件で沈んでいた気分が、ウォレスの嬉しさが滲み出る声を聞いて、ふっと軽くなる。
『こんなに大人数になると思わなかったからな。パーティー会場も多少調整を取らねばならない。この分だと、レストランまるまる貸切になりそうだ。今からまた調整に奔走しなければならないよ。大変だ』
「あまり無理はしないでください。飲み過ぎでぶっ倒れたりしないように。── って、俺じゃあるまいし、ジムに限ってそんなことはないか」
受話器の向こうで、聞き心地のいいウォレスの笑い声が洩れてくる。
『それから、ドサクサに紛れて嬉しいニュースをひとつ』
「何ですか?」
一呼吸おいて、ウォレスが言う。
『社長が・・・ベルナルドが祝福をしてくれたんだ。幸せなことで、何よりだと』
「え? 祝福って・・・。え?」
ウォレスの言ったことに、マックスは戸惑う。
『この間、ベルナルドにばれてしまって。思い切って言ってしまった。初めは責められると思ったんだが・・・。だから彼の前で隠さなくてもいい。まぁ、客観的に見るとたいした事のない、ほんの小さな一歩なんだが、私に取っては大きな意味を持つ。ベルナルドは、親類のいない私にとっては父親のような存在で、彼に認めてもらえるだなんて、夢のようだ。凄く重要なことなんだよ』
ウォレスがこんなにあからさまに喜びを声に出したのは、初めてのように思えた。彼の感情が昂ぶって、微妙に声が震えている。
ウォレスが、誰よりもベルナルドのことを大切に思っていることは知っていた。
詳しくは知らないが、若い時、それこそ路頭に迷って死にかけていたところを社長に救ってもらったというようなことは聞いている。
だから、身寄りのないウォレスにとって、ミラーズは確かに父親、いやそれ以上の存在なのだろう。
だから余計に、ウォレスの喜びようがわかった。
きっと契約成功の雰囲気に煽られて、この話も思わず口に出してしまったのだろう。
だがマックスも、そんなウォレスの声を聞くことに堪らない幸せを感じた。
結婚を誓うことのできない二人だから、ミラーズに認められたということは、ある意味、婚姻を交わすのような大きな出来事であるとマックスも感じることができた。
思わず声を詰まらせたマックスの耳に、少し不安げなウォレスの声が続いた。
『・・・どうした? やっぱり嫌だったかな、社長に言うのは・・・』
「そんな! まさか!!」
マックスは慌てて叫んだ。
思い切り怒鳴ったので、受話器の向こうからウォレスの呻き声が聞えてきた。
「あ、す、すみません。大声出しちゃって。思わず・・・」
『いや、大丈夫だよ。君が気分を害していなければいいんだ』
「害するなんて、とんでもない。あんまり嬉しくて、何と言っていいかわからなかっただけなんです。あなたが帰ってきたら、こちらでもパーティーですね。俺の引越しパーティーになるのかな」
一瞬、沈黙が流れる。
やがて囁くようなウォレスの声がした。
『それは・・・、つまり・・・』
「はい。俺を本当の家族に加えてください。あなたと一緒に暮らしたい。もちろん、シンシアとも」
『・・・ありがとう・・・。ありがとう・・・』
先ほどとは違って、静かな、とても静かなウォレスの声。それだけに、彼の心が伝わってきた。正直、涙が出そうになった。
── ああ、今ここでジムをこの腕で抱き締めることができたなら・・・・!!
「早く・・・。早く帰って来てくださいね」
『ああ。もちろん・・・。でもひょっとしたら今日は、あまりに嬉しすぎて、ベルナルドより先に酔いつぶれるかもしれないな』
そんなウォレスの冗談に二人で笑い合って、電話を切った。
マックスは、長い溜息をつく。ソワソワする自分の心臓を静めるための溜息だった。
明日から、新しい人生のステージが目の前に開けることになる。
マックスは、微笑を浮かべた。
そんなマックスが、自宅のアパートメントに辿り着いたのは、夕方早い時間だった。
昨夜寝ていなかったせいか疲れも溜まっていたので、残業もせず、早めの帰宅となった。
しばらくぶりに帰ってきたアパートメントの外の様子をマックスは思わず立ち止まって見上げてしまう。
短い間だったが、自分にとっては運命的なことが次々と起こった場所。
それも近いうちにお別れになる。
そう思うと、何の変哲もない古びたアパートが恋しく思える。
マックスは少し肩を竦めて、部屋までの階段を上った。
3階まで来ると、廊下の端に小柄な人影が見えた。
東端のドアの前。マックスの部屋の前だ。
── やっと新聞泥棒の犯人と遭遇した。
マックスはそう思って、ニヤリと笑った。
それは、マックスが思っていた通り、1階下のウェイズリーという名の男の子だ。なかなかやんちゃだが、可愛げがある子である。
彼は暇で暇でどうしようもない時、決まってアパート中に配達された新聞に、日替わりで落書きをして回っている。本日はどうやら久々にマックスの家の番らしい。
おそらく、現行犯逮捕となったのは、今日が始めてだろう。
管理人さんが喜ぶかもしれないな、なんて冗談を思い浮かべつつ、マックスは気配を忍ばせて近づいた。
新聞を抜き取ったところを捕まえないと意味がない。
ウェイズリーはマックスに気付くことなく、マックスの部屋の前にしゃがみこむ。
彼が新聞に手をかけた時、マックスはいよいよだと思って、「こら!」と声を上げた。
ウェイズリー少年がビクッと身体を震わせて、新聞を掴んだまま、立ち上がる。
次の瞬間。
突然、マックスの目の前が真っ白になった。
そして不思議なことに、世の中から全ての音がなくなったかのような感覚に襲われた。
だが次の瞬間、少年の身体が粉々に吹き飛ぶのを見ながら、自分の身体もまた爆風で吹き飛ばされるのを感じた。
そして世界は、真っ暗闇になった。
朝早くに優しい従弟を自分のオフィスから追い出したレイチェル・ハートは、疲れ果てて床で死んだように眠る同僚の身体を跨ぎ越えて、ドースンのデスクに近づいた。
あの晩・・・レイチェルが夜遅くにこのデスクの前でドースンに声をかけた時、彼は明らかにレイチェルの目から何かを隠そうとして、慌ててデスクの引き出しを閉じたのだ。
明らかにドースンは何かを掴んでいた。── そう、彼の命をも奪ってしまうような、大きな何かを・・・。
悲しんでばかりはいられなかった。泣いてばかりはいられない。
ドースンのためにも、そして彼の妻のためにも、自分はドースンの意志を受け継ぐべきなのだと感じた。それが、ドースンの暴走を止めることができなかった自分に課せられた使命なのだと思った。
そのことで、警官であるセス・ピーターズとの間で気まずいことになったとしても、それは仕方がないと覚悟をした。
セスの前では、いろんな憎まれ口や可愛げのないことを言い続けてきたレイチェルだったが、心の底では彼のことを本当に愛している。多分この気持ちは、セスよりも深い。
そのことを悟れらるのが嫌で、セスの前では気のない素振りを続けてきた。彼がどこまでそんなレイチェルの気持ちに気付いているかは、定かではない。
いつも呑気なセス。笑うと目尻が下がりすぎるセス。いつもわがままを許してくれるセス。
ここ数日間、全く連絡は取り合っていない。お互い微妙な立場だ。そんなことは百も承知である。
これまではマスコミと警察が揉めて、幾日も顔が見れなかったり、声が聞けなかったとしても、二人の気持ちは離れたりしなかった。互いにプロとしてのキャリアに敬意を表してきたからだ。
── しかし今回ばかりは・・・。
失われたものは余りにも大きく、そしてこれから失われるかもしれないものを守っていかねばならない。
ドースンが何かを掴んでいたとして、それを自分の命に危険が迫っても、彼は警察に何も言わなかった。ということは、ドースンが掴んでいたことは、警察には言えないような事実なのかもしれない。
── もしそうだとしたら・・・。
レイチェルは、ドースンのデスクの引き出しに手をかけた。情けないくらいに手が震えていた。
この引き出しを開けたら、後には戻れない。
この中から出てくるものは、警察にとって重要な証拠品となるはずだ。
もしかしたら自分は、それをジャケットの内ポケットに隠すことになるのかもしれない。
── もし、そうなったら・・・・。
本当にセスを愛していても、彼を欺くことになるのなら、彼に別れを告げなければならない。
── けれど、その犠牲を払ってでも私は、ドースンを救えなかった罪を償わなければならない。
レイチェルはそう決心を固めると、徐に引き出しを開けた。
セントルイスから、無事に契約が済んだことを知らせる電話がかかってきたのは、マックスが退社する直前のことだった。
ミラーズ社の今後の更なる発展を決定づけた契約ともあって、いつも冷静なはずのウォレスの声も、少し浮き足立っていた。
ウォレスの声の向こう側では、歓喜の奇声を上げる企画管理部の連中の声も聞こえていた。
随分長い間、苦労に苦労を重ねて勝ち取った契約だった。
それに携わった社員達は、ほとんど全員、セントルイスでの契約に立ち会っている。それは、ミラーズ社社長のベルナルドの計らいだった。
チャーター機も、当初の予定では、幹部陣が乗れる程度の小型セスナの予定だったものを、社長の希望で大型のものに変更した。
契約を進めるために尽力した社員を全てセントルイスに連れて行くとの社長の指示だった。契約がまとまる瞬間を見ることが、社員達にとって一番の労いになると思ってのことだった。
こういう細かな気配りが、ミラーズ社から実力のある部下が決して出て行かないという事実に繋がっている。今やまさにミラーズ社は、順風満帆といっても過言ではないだろう。
「今夜は盛大なパーティーになりそうですね」
思わずマックスの声も弾んだ。
ドースンの事件で沈んでいた気分が、ウォレスの嬉しさが滲み出る声を聞いて、ふっと軽くなる。
『こんなに大人数になると思わなかったからな。パーティー会場も多少調整を取らねばならない。この分だと、レストランまるまる貸切になりそうだ。今からまた調整に奔走しなければならないよ。大変だ』
「あまり無理はしないでください。飲み過ぎでぶっ倒れたりしないように。── って、俺じゃあるまいし、ジムに限ってそんなことはないか」
受話器の向こうで、聞き心地のいいウォレスの笑い声が洩れてくる。
『それから、ドサクサに紛れて嬉しいニュースをひとつ』
「何ですか?」
一呼吸おいて、ウォレスが言う。
『社長が・・・ベルナルドが祝福をしてくれたんだ。幸せなことで、何よりだと』
「え? 祝福って・・・。え?」
ウォレスの言ったことに、マックスは戸惑う。
『この間、ベルナルドにばれてしまって。思い切って言ってしまった。初めは責められると思ったんだが・・・。だから彼の前で隠さなくてもいい。まぁ、客観的に見るとたいした事のない、ほんの小さな一歩なんだが、私に取っては大きな意味を持つ。ベルナルドは、親類のいない私にとっては父親のような存在で、彼に認めてもらえるだなんて、夢のようだ。凄く重要なことなんだよ』
ウォレスがこんなにあからさまに喜びを声に出したのは、初めてのように思えた。彼の感情が昂ぶって、微妙に声が震えている。
ウォレスが、誰よりもベルナルドのことを大切に思っていることは知っていた。
詳しくは知らないが、若い時、それこそ路頭に迷って死にかけていたところを社長に救ってもらったというようなことは聞いている。
だから、身寄りのないウォレスにとって、ミラーズは確かに父親、いやそれ以上の存在なのだろう。
だから余計に、ウォレスの喜びようがわかった。
きっと契約成功の雰囲気に煽られて、この話も思わず口に出してしまったのだろう。
だがマックスも、そんなウォレスの声を聞くことに堪らない幸せを感じた。
結婚を誓うことのできない二人だから、ミラーズに認められたということは、ある意味、婚姻を交わすのような大きな出来事であるとマックスも感じることができた。
思わず声を詰まらせたマックスの耳に、少し不安げなウォレスの声が続いた。
『・・・どうした? やっぱり嫌だったかな、社長に言うのは・・・』
「そんな! まさか!!」
マックスは慌てて叫んだ。
思い切り怒鳴ったので、受話器の向こうからウォレスの呻き声が聞えてきた。
「あ、す、すみません。大声出しちゃって。思わず・・・」
『いや、大丈夫だよ。君が気分を害していなければいいんだ』
「害するなんて、とんでもない。あんまり嬉しくて、何と言っていいかわからなかっただけなんです。あなたが帰ってきたら、こちらでもパーティーですね。俺の引越しパーティーになるのかな」
一瞬、沈黙が流れる。
やがて囁くようなウォレスの声がした。
『それは・・・、つまり・・・』
「はい。俺を本当の家族に加えてください。あなたと一緒に暮らしたい。もちろん、シンシアとも」
『・・・ありがとう・・・。ありがとう・・・』
先ほどとは違って、静かな、とても静かなウォレスの声。それだけに、彼の心が伝わってきた。正直、涙が出そうになった。
── ああ、今ここでジムをこの腕で抱き締めることができたなら・・・・!!
「早く・・・。早く帰って来てくださいね」
『ああ。もちろん・・・。でもひょっとしたら今日は、あまりに嬉しすぎて、ベルナルドより先に酔いつぶれるかもしれないな』
そんなウォレスの冗談に二人で笑い合って、電話を切った。
マックスは、長い溜息をつく。ソワソワする自分の心臓を静めるための溜息だった。
明日から、新しい人生のステージが目の前に開けることになる。
マックスは、微笑を浮かべた。
そんなマックスが、自宅のアパートメントに辿り着いたのは、夕方早い時間だった。
昨夜寝ていなかったせいか疲れも溜まっていたので、残業もせず、早めの帰宅となった。
しばらくぶりに帰ってきたアパートメントの外の様子をマックスは思わず立ち止まって見上げてしまう。
短い間だったが、自分にとっては運命的なことが次々と起こった場所。
それも近いうちにお別れになる。
そう思うと、何の変哲もない古びたアパートが恋しく思える。
マックスは少し肩を竦めて、部屋までの階段を上った。
3階まで来ると、廊下の端に小柄な人影が見えた。
東端のドアの前。マックスの部屋の前だ。
── やっと新聞泥棒の犯人と遭遇した。
マックスはそう思って、ニヤリと笑った。
それは、マックスが思っていた通り、1階下のウェイズリーという名の男の子だ。なかなかやんちゃだが、可愛げがある子である。
彼は暇で暇でどうしようもない時、決まってアパート中に配達された新聞に、日替わりで落書きをして回っている。本日はどうやら久々にマックスの家の番らしい。
おそらく、現行犯逮捕となったのは、今日が始めてだろう。
管理人さんが喜ぶかもしれないな、なんて冗談を思い浮かべつつ、マックスは気配を忍ばせて近づいた。
新聞を抜き取ったところを捕まえないと意味がない。
ウェイズリーはマックスに気付くことなく、マックスの部屋の前にしゃがみこむ。
彼が新聞に手をかけた時、マックスはいよいよだと思って、「こら!」と声を上げた。
ウェイズリー少年がビクッと身体を震わせて、新聞を掴んだまま、立ち上がる。
次の瞬間。
突然、マックスの目の前が真っ白になった。
そして不思議なことに、世の中から全ての音がなくなったかのような感覚に襲われた。
だが次の瞬間、少年の身体が粉々に吹き飛ぶのを見ながら、自分の身体もまた爆風で吹き飛ばされるのを感じた。
そして世界は、真っ暗闇になった。
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